【このテーマの目的・ねらい】
目的:
名著「歴史とはなにか」を知っていただく。
歴史の見方を考えていただく。
何か目新しいことを見つけていただく。
ねらい:
歴史に関心のある方は、ぜひ当書をお読みください。
中国・韓国との歴史認識問題に関心のある方も
ぜひ当書をお読みください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
岡田英弘名誉教授の「歴史とは何か」を
ある尊敬する方のご推薦で
シルバーウィークの半日をかけて読みました。
歴史嫌いの私としては
自分の判断では決して手に取らない本です。
個々の「発見」以前に、著者の見識に感心しました。
歴史とは何かの見解
いかに多くの歴史書が誤った判断をしているか
それはなぜか
これから「国民国家」はどうなっていくか
など、1歴史家を超えている神業に近い分析・判断力です。
歴史好きの人であれば、
これまでの自分の知識と照らし合わせて、
「へーそうだったのか!!」ということが非常に多いでしょう。
歴史音痴の私は
「ふーーん」くらいにしか感じませんでした。
その私でも「なるほど」と感心したのは以下の点でした。
1.歴史の定義(岡田氏)
「歴史とは、人間の住む世界を、時間と空間の両方の線に沿って、
それも一個人が直接体験できる範囲を超えた尺度で、
把握し、解釈し、理解し、説明し、叙述する営みのことである」
長い間かけて練り上げた一字一句なのだと思われます。
この主語は「誰か(個人か団体か)」なのでしょう。
2.歴史は歴史書から知るものである
古代の遺跡の発掘から分かることは考古学であって
歴史ではない。
歴史家は、過去の文書を基に歴史を書いている。
3.歴史は「事実の記録」ではない
歴史家の判断で作られているものである。
ほとんどの歴史は、手間暇かけて書くのだから、
自らの立場を強化するために書かれており、
当然自分に都合のよいことだけを書く。
あるいは都合のよいように解釈する、
場合によってはねつ造する。
4.「国家」はいつできたか
18世紀の末までは「国家」と呼べるようなものは、
世界中どこにもなかった。
あったのは、君主の位であり、君主の権利であり、
君主の財産だった。
今の時代になってから回顧すると、
君主の財産が国家だったかのように見えるだけのことだ。
5.「国民」はいつできたか
国家ができて初めて国民ができる。
それまでは、市民、領民である。
6.歴史の時代区分
古代と現代の2区分しか意味がない。
間に中世を置くことは半端で実質的な意味がない。
現代は、国民国家が生まれた時期である。
7.日本の国の始まり
倭国から日本国になったのは、7世紀の終わり頃、
天智天皇か持統天皇か文武天皇の時であろう。
それ以前は神話の時代である。
日本の最初の歴史書は日本書紀で古事記ではない。
8.ヨーロッパの歴史の始まり
地中海文明の歴史、世界で初めての歴史を書いたのは
紀元前5世紀のヘロドトスで
その記述対象は紀元前7世紀から始まる。
9.中国の歴史の始まり
司馬遷が史記を書いたのは紀元前2世紀の終わりから
紀元前1世紀の初めである。
10.世界史の始まり
13世紀のモンゴル帝国がユーラシア大陸を制覇した時から
世界史が始まる。
11.歴史のない文明
アメリカ合衆国は誰でも知っているその典型例
過去を背負わずに憲法だけで国をつくったのは後にも先にも
この国だけ。
インド文明もイスラム文明も歴史を持たない。
詳細は本書をお読みください。
12.ユダヤ教・キリスト教の出自
本書をご覧ください。
13.日本と韓国・中国との影響の与え方関係
かなり参考になります。
内容は本書をご覧ください。
14.国民国家・民主主義のの限界
「人間はすべて神の前に平等に創られているというのが、
民主主義の前提になっている思想だが、これは
ほとんど考えられないくらいの大ウソだ。
「みんなでみんなを持つ」ということが民主主義の基本概念だが、
そんなことは論理の矛盾だ。
だいたい、自分が他人を所有するのはいいが、
自分も他人に所有される、というのは許せない。
それを考えても不自然だが、
そういう不自然がまかりとおるのが民主主義なのだ」
良く本当のことを言いますねー!!!
プラトンの「衆愚政治」が思いだされます。
私が一番感心したのはこの項目です。
0 件のコメント:
コメントを投稿