【このテーマの目的・ねらい】
目的:
第2・第3の人生のあり方を考えていただく。
外山先生の人生哲学を理解していただく。
ねらい:
「二毛作」目の参考にしていただく。
やはり先生の本をお読みください。
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外山滋比古先生の「50代から始める知的生活術」
のご紹介です。
失礼ながら外山先生が何者であるか、
私は詳しく知りませんでした。
それもそのはず、もともとは英文学者なのに、
その後、日本語の研究もされ「日本語の論理」
という著書を50歳前に出されるほど
日本語にも専門性を発揮されているのです。
それ以外にも専門的発信を多数されておられます。
現在は91歳です。
ビックリする高齢者殿です。
その先生が、ご自分の経験から
人生80年の時代だ、「人生二毛作」を目指しなさい、
というご託宣です。
二期作と二毛作というのは、こうでしたね。
同じ作物を年に2度作るのが二期作
違う作物を年に2度作るのが二毛作
そこでこれをビジネスライフに当てはめるとどうなるのでしょう。
外山先生は、
英文学と国語をやりましたが、
学校の先生として同じだというなら2期作だが、
まったく違う領域をやっているから二毛作とも言える
と仰るのです。
そうか、それならビジネスパーソンは、
会社を変わっても
同じ営業とか経理の仕事だったら二期作ですかね。
でも、
会社を変わるというのは今の日本社会ではたいへんなことだから
二毛作と言えなくもない、ようです。
ということは、
こんな定義論をしていても意味がないようです。
先生のご意見はこうです。
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人生の二毛作を志すなら40代から準備を進めておくことです。
これまでの私の人生をふり返ってみて、
起点は40代だったと思います。
一般のサラリーマンでもそれは同じでしょう。
第2の人生が定年後に始まるとして、
超高齢社会になった現在では、
まだ30年も、
場合によっては40年もセカンド・ステージが待っているのです。
その長期戦に備えるためには、
早くから、2度目の作つけの準備をしておかなければなりません。
自分の畑にどの作物が合うのか。
最初は、試行錯誤も必要でしょう。
それを始めるのが40代というわけです。
サラリーマンとしては、定年まであと20年近くあります。
二つ目の作物の種をまき、
じっくり生育状況を見ることができます。
今年がだめなら、来年再挑戦もできます。
ところで育成すべき作物とは何か。
中略
ひとつ言えるのは、
一毛作時代の「得意」には固執しないほうがいいということです。
商売をやっている人なら別ですが、
サラリーマンの場合はもともと、
自分の本来の価値観とピタリとハマったものを
仕事にしているわけではありません。
そのことを、組織のエスカレータに乗っているうちに、
いつのまにか
自分の「得意」と思いこんでしまっていることもあります。
(上野:まさにそうでしょうね)
中略
これまでの経験があるからという理由だけで、
同じことで2回目の作つけをするのは、
おもしろみがありません。
だいいち、古い土俵では緊張感が乏しくなります。
人間、年をとると経験則をあてはめようとします。
数多く集めたて知恵の引き出しを使おうとします。
それでは第2の人生の収穫は色あせます。
わたしの場合は、40代を、教師の2期作目として
お茶ノ水大学で送っていました(上野:教授です)。
しかし、英文学だけを相手にするのはつまらないし、
日本人が外国のことをいくら勉強しても
たかが知れていると思っていました。
英語だけではつまらないなら、日本語がある。
そう思って始めたのが、日本語の仕事です。
ただ、研究者としてはまったくの素人でした。
中略
英文学の勉強が一毛作だったとすれば、
日本語の仕事は二毛作目だったわけです。
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そのとおりだと思います。
先生の自らのご経験に基づくご意見は説得力があります。
こう続きます。
人生の二毛作を志すなら、隠居生活などは、
たとえどんなに資産があるとしても、考慮の埒外です。
経済的な問題があるにしても、
同じ会社で定年後の再雇用を望むのも、
よくよく考えたほうがいいでしょう。
問題は、どれだけ働きがいのある仕事ができるか
ということです。
給与の大幅ダウンを受け入れて、
閑職で細々と働く、
それではなんの張り合いもありません。
継続した雇用期間も、早晩、終点が近づきます。
そこで第二の人生の目標を考えていたのでは、
いくら寿命が長くなったといっても遅すぎます。
同じ会社に無理して長くしがみつこうとするのは、
賢い選択とは言えません。
となると、目指すは再就職の道をさぐることですが、
これもやはり仕事の中身が問題でしょう。
できることなら、
新たな気概をもって取り組める仕事を選びたいものです。
それまで勤めていた会社に残るよりも、
少しでも
「新しい自分」を見出せる職場であることが理想です。
もっとよいのは、
定年を迎えてからの再就職ではなく、
五十代のなかばで「意思的な決断」をすることです。
先が見える五十代で、
このまま会社に残ってもたかが知れていると
第二の道を選択した人がいたとします。
もう一方は、
定年まで、あるいは定年後も雇用延長で会社に残っていた人。
このふたりを比べると、六十歳以降の十年間、
二十年間はあきらかに違ってくるでしょう。
もちろん、前者のほうが、
活力に満ちた第二の人生になるはずです。
第二の人生を充実させようと思うなら、
資産形成のトレーニングも、
新たな仕事を見つける試行錯誤も
早いほうがいいのはたしかです。
そして、決断してひと苦労するなら、
それも早いほうがいいはずです。
三十代で、将来を見据えた資産形成の第一歩。
四十代で、自分を生かせる「もうひとつの仕事」の発見。
そして、五十代が「もうひと苦労」するための
適当な時期というわけです。
苦労のない人生はありません。
苦労せずして、充実した老後もありえません。
もちろん、これはあくまで理想です。
五十代の転職が大きなリスクをともなうことはたしかです。
しかし、転職しないまでも、
定年後にすぐ二毛作の実行計画をスタートさせられるよう、
五十代からそれに沿った準備行動をとったほうが
いいのではないでしょうか。
「五十にして天命を知る」
この孔子のことばにしたがえば、
五十代のテーマは、
二回目の作つけの種を決めることです。
天の命(めい)とも言うべき、
後半生の自分の生き方を決することです。
サラリーマン人生は、あくまで全人生の前半です。
その終盤にさしかかったところで、
後半戦の戦略はすでに決まっていなければなりません。
そういうひとりひとりの生き方をしやすくするために
中高年の雇用を創出するのは、
人を雇用する企業・組織、そして社会の
大きな課題と言えます。
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仰るとおりです。
1月29日付の日経新聞にも、
柳川範之東大大学院教授のいたビュー記事に
「40歳定年」で次の挑戦、
スキル・知識を磨き直し
という見出しが躍っていました。
システム企画研修社では、
「45歳から第二のビジネスライフを見つけ出す」
プログラムを開発してご提供を始めています。
45歳までの20年間が第1のビジネス人生で、
それからの20年ないし30年間が第2のビジネス人生です。
第1のビジネス人生で作りあげた
自分の心の奥にある情報や本音から
何が自分に合っているのかを探り出すプログラムです。
その時に見つかる「天職」は、
今と同じ職業かもしれないし、まったく違う職業かもしれません。
ですがどちらにしても、
これからを託す第2の「二毛作目」のビジネス人生が見つかるのです。
ご関心のある方は以下をご参照ください。
http://www.newspt.co.jp/data/semina/mind-pd.pdf
お問い合わせはこちらへどうぞ。
mind-pc@newspt.co.jp
先生は、
現在はウォーキングと料理作りを楽しみ、
間に図書館で原稿書きをされるという
非常に充実した生活を送っておられます。
これは三毛作目なのでしょうかね。
人に振り回されずに自らの道を歩いて来られた素晴らしい人生です。
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