2015年3月2日月曜日

「大義なき選挙」の大義は何だったのか!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「大義なき選挙」の大義が何であったのか
  を知っていただきます。
 安倍官邸の意思決定機構を知っていただきます。
 安倍総理の「愛国」の実態を知っていただきます。
 安倍総理復活のタネアカシを知っていただきます。
 
ねらい:
 何かを納得していただきます。

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昨年12月の衆議院解散総選挙は、
国民目線では「大義なき戦い」でしたが、
その「大義」が分かりました。

時事通信社解説委員田崎史郎氏の
「安倍官邸の正体」で解明されたのです。
既にご存じだった方も多いのかも知れません。
















それはこういうことです。
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安倍政権では、
アベノミクスを打ち出し日本経済の復興を目指していた。
ご承知のようにその3本の矢は金融、財政、成長で、
本命が成長である。

成長がなければ国家財政の均衡はありえない。

消費増税は短期的には税収増になるが、
成長を削いでしまっては元も子もなくなる。

その意味で消費増税は増税を吸収できるだけの勢いが
経済にある時でなければならない。

したがって次の増税を意思決定するには、
4月の8%への増税が経済にどのような影響を与えているかを
把握しなければならない。

経済指標を見ると弱含みで次の増税には慎重にならざるを得ない、
と総理筋では判断していた。

ところが、財務省・財務官僚・その同調議員が、
「慎重」の動きを察してすさまじい「ロビー活動」を行った。

その状況で、増税延期を打ち出そうものなら
「政局になってしまう」
(「政局になる」というのは、
政権の責任問題に発展するという意味だそうです)

解散をすれば、選挙がすべてになり「政局」問題を回避できる。

極秘裏に行われた選挙情勢調査でも、
自民党優位の情報が得られていた。

早期の選挙実施は
準備が整っていない野党に対しても有利である。
自民党および安倍政権にとって
長期安定基盤を得ることができる。
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つまり、キレイに整理すると、
アベノミクスの成長戦略を通すために
消費再増税を延期する必要があり、
再増税強硬派の財務官僚対策のための選挙だった、
ということになります。

財務官僚対策だ、などとは言えませんから、
婉曲にアベノミクスの信を求める、などという言い方をしたのです。
これでは分かりません。
「大義なし」になってしまいます。

結果はオーライでした。
今のところ、
日本経済は消費再増税を呑みこむほどの体力はなさそうです。


ところで、同書の本題である「安倍官邸の正体」は
こうなっているようです。

安倍官邸の意思決定機構
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ほぼ毎日、首相官邸で開催される「正副官房長官会議」、
出席者は
安倍晋三総理、菅義偉官房長官、
加藤勝信・世耕弘成・杉田和博官房副長官
今井尚哉主席秘書官
で、この場で重要課題は検討されている。

正副官房長官会議は安倍官邸における
「最高意思決定機関」と言える。

安倍総理は、菅に対しては全幅の信頼を置いている。

安倍は言う。
「志を官房長官ともまったく同じにしていて、
「私は(閣議決定が)うまくいかないと思う時もあったんだけと、
官房長官は終始、強気なんだよ。

私の前ではけっこう『大丈夫ですから』って強気だった。
いやもうちょっと時間を置くかな、
なんて気持ちになる時もあるじゃないですか。
そのとき彼は『この期を逃してはダメです』という感じだった。
終始ね」
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安倍総理と菅官房長官の息のあったチームプレーのようですが、
やはり安倍総理のリーダシップが強いようです。

安倍総理はどうして立ち直ったのか。

第1次安倍内閣を放りだした「無責任な』安倍さんが、
どうして返り咲くことができたのでしょうか。

国民の多くは、
2012年の自民党大勝の後の総裁・総理選びで
安倍さんが勝利したときに「意外!」の感じを持ちました。
「なんで、安倍さんが???」と。

第1次安倍内閣の安倍総理が2007年9月に退陣したのは、
相次ぐ閣僚の不祥事を受けて
参院選で歴史的大敗をしたことの引責辞任の要素が強いと
思われていました。

ところが実際は安倍総理の健康障害で、
辞任後直ちに難病「潰瘍性大腸炎」で長期入院しました。

おそらく入院中に、
じっくり第1次安倍政権の経緯を反省したのでしょう。

この反省の成果が、
非常に周到な現在の政権運営につながっている
のだと思われます。

失礼ながら、
安倍総理は非常に頭のよい方なのだと思います。

復帰のために、安倍総理が
地元山口県の選挙区などで並々ならぬ努力を続けれれたことも
本書で紹介されています。

第2次安倍内閣時代(2012年12月~)の安倍総理の言動は、
極めて理に適っています。
読みが的確なのです。

なぜ靖国神社参拝を強行したのか

納得のいく行動の中で、唯一大きな批判を受けている行動が、
2013年12月の靖国神社参拝です。
周囲の反対を押し切って参拝したのです。

田崎さんは、次のように分析しています。

 「今の保守は右派とか左派とかの区別はできにくい、
 靖国参拝賛成派を「強硬保守」と言いたい。
 
 安倍さんを第1次辞任後の雌伏時代に支えてくれたのは、
 強硬保守の人たち(評論家筋では、櫻井よしこ、金美齢ら)だった、
 その人たちへの「借り返し」だった」

安倍総理は「愛国的現実主義者」(田崎さんの言葉)

安倍総理は「強硬保守」ではない、
と田崎さんは判断しています。

その根拠は、強硬保守の人たちは中韓を排斥・避難するが、
安倍総理は「開かれた保守主義」を唱えていて、
一線を画している、というのです。

安倍総理の「開かれた保守主義」を以下のように紹介しています。

2006年10月の衆議院本会議での安倍総理の発言

「私にとって保守とは、いわゆるイデオロギーではなく、
日本および日本人について考える際に、
自分の生まれ育ったこの国に自信を持ち、
今までの日本が紡いできた長い歴史を、
その時代に生きた人たちの視点で見つめ直そうとする
姿勢であると考えています。

一方で、
そうした歴史に根差した保守主義という基盤に立ちながらも、
それは閉鎖的あるいは排他的なものであってはならず、
現実に対しても虚心に目を向けることで、
開かれた保守主義を目指していきたいと思っています。

私の考えるナショナリズムとは、
自分たちが生まれ、育ち、そしてなれ親しんだ自然や祖先、
家族、また地域のコミュニティーに対する帰属意識であります。

そういう帰属意識があるからこそ、誰かに言われなくても、
ごく自然なみずからの感情として、
そうした自然や家族、地域に誇りを持ち、
これらを壊さないように愛情を持って守ろうとする、
そうしたものがナショナリズムであると考えております。

14年1月30日の参院本会議での発言

政治は国民のもの、
自民党の立党宣言はこの言葉から始まります。
私たち自民党には、
右に偏った政治も、左に偏った政治もありません。
あるのは、
ただ現実の国民に寄り添う政治、それだけであります。

(中略)

南西の海では主権への挑発が繰り返されています。
日本の安全保障環境は厳しさを増している、
これが現実であります。

そうした現実の下で、私たち自由民主党は、
国民の生命と財産は断固として守り抜いていく決意であります。
これは右傾化などでは決してありません。
国民を取り巻く現実を直視した責任ある政治にほかなりません。

そのとおりですね。まったく同感です。
安倍総理の国を思う精神はまったくぶれていません。

このような愛国精神は、
人間であれば誰しも持っているものだと思いますが、
今の多くの日本人はそれを見失っていると言われています。

安倍総理が「現実を直視する」
という点では以下の意見開陳があります。

自分の方針を打ち出し、各政党や世論の動向を冷静に見て、
押し通せるなら押し通す。
分厚い壁にぶち当たったら
「ゼロか100という勝負ではなく、
30でも40でも徐々に積み上げていこう。
(正論10年10月号の日下公人によるインタビューでの発言)

現実主義という点では、
テレビなどの画像を通じたイメージづくりを重視しています。

本書で例として挙げられたのは、
14年9月の内閣改造時の記念撮影です。
女性閣僚5人に安倍総理を囲ませています。
女性重視をアピールしているのです。


安倍総理の国を愛する精神はどこから来たのか?

このような安倍総理の信念・
愛国者としてのバックボーンはどこから来ているのでしょうか。

田崎さんの著書での紹介文です。
ニクソンは信用できませんが、いいことを述べています。

 ニクソン元米国大統領の著書「指導者とは」の中で
 チャーチル元英国首相、ドゴール元フランス大統領、
 アデナウアー元西ドイツ首相についてこう述べている。

 「多くの指導者が荒野にさまよう過去を持ち、
 その間に得た洞察力と英知、
 復帰のための闘争が養った力などが、
 のちに威力を発揮したのだった。

安倍総理もまさにそうだったのです。
雌伏5年余の間に賢明な安倍総理が磨いた
「洞察力と英知、復帰のための闘争が養った力」
が今の強い安倍総理を作ったのです。

追記:
私としては、
安倍総理の愛国精神のよって来たる所の全容解明
ができたとは思えません。
今後の課題としたいと思います。

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