2015年3月31日火曜日

マクドナルドの沈没

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 マクドナルドの経営危機の原因を研究していただきます。
 外食産業の厳しさを再認識していただきます。
 会社がダメになる時の原因を再認識していただきます。

ねらい:
 マクドナルドの今後を見守りましょう。
 マックが好きな方は応援してあげてください。

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本稿は、法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科の
小川孔輔教授の書かれた「マクドナルド失敗の本質」
のご紹介です。















それに加えて上野の拡張見解も述べさせていただきます。

当書では小川教授の長年の研究成果によって
詳しく具体的なデータに基づく分析がされています。

それによれば、贔屓があるとみられる小川教授にも
マックは「賞味期限切れのビジネスモデル」(本書の副題)
と言われるくらいの大ピンチなのです。

因みに、
私は孫娘の付き合いでしばらくの間、
頻繁にマックに行っていました。
孫の望むおまけの付いた「ハッピーセット」と
100円マックがお目当てでした。

最近はなぜか行かなくなりました。
別に、中国の鶏肉問題が原因ではありません。
考えてみたら、もっと魅力的なお店があるからなのです。
マックで育ったマックファン以外は、それが一般でしょうね。

先ず非常に示唆に富んだグラフを見ていただきます。































両時代とも、顧客満足度CSが落ちてきたところへ
致命的なパンチを受けています。
藤田時代はBSE問題、
原田時代は
賞味期限切れの鶏肉、不衛生な食肉の処理作業です。

もともとCSが落ちていたのは、何だったのでしょう?

そもそもハンバーガーという食べ物は
日本人向きではないのです。

若い世代はパン食に慣れているのかもしれませんが、
パンにハンバーグを挟んだだけの食べ物は、
多くの日本人の繊細な好みには合わないはずです。

それに対して藤田氏は、1970年代に、
米国を説得して銀座に1号店を出したことでも分かるように、
米国崇拝者を狙ったブランドイメージ戦略を推し進めたのです。

それが成功しました。
その後も日本に合った商品を投入しました。
フィレオフィッシュとかチキンナゲットです。
その戦略が成功しマックは流行になったのです。

しかし、新商品投入が途切れたところで、
消費者から飽きられてしまいました。

そこで、原田氏に交代です。
日本化を徹底的に進めて成功した藤田モデルが行き詰ったのに対して、
原田氏は単純に米国モデルに回帰をしたのです。

大ヒットとなった100円のプレミアムローストコーヒーも米国発です。
直営店を減らしてフランチャイズに切り替えていったのも米国流です。
メガマックも米国発です。

ただそれらの商品提供を支える店舗や従業員については
かなりの強化策をとったようです。

米国流の人事政策で従業員の精神的離反現象もあったようです。

大塚家具騒動は久美子社長の圧倒的勝利に終わりました。
ですが、株主総会で株主からの「従業員の心は掴んでいるのか」
という質問に対して、
久美子社長は「グッ」と詰まったようでした。

親子喧嘩している場合ではないですね。
ニトリやIKEAに押されている大塚家具も危ないですね。


私の目からすると、原田氏の成功は
単に目先が変わっただけでのように見えます。

人間は飽きることの好きなぜいたくな動物なのです。
特に食べ物はそうではありませんか。
毎日同じものを食べるのはイヤでしょう?

米国モデルも本国で苦戦中なのです。
ダメな米国流が日本でいけるわけがないでしょう!

日本では外食として、牛丼チェーン、すしチェーン、
ファミリーレストランチェーン、が頑張っています。
うどんやそばのチェーンもあります。

中食も弁当屋チェーンだけでなく
コンビニもおいしいお弁当を提供しています。

今私が孫と行くのは、地元の中華料理屋とすし屋です。
前者では野菜ラーメンとチーズ揚げ、
後者では茶碗蒸しと納豆巻きが孫の好物です。
これもいつまで続くか分かりません。

新鮮味のないマック、
おいしいハンバーガーの好きな人は
元もとモスバーガーに行っていたし、
つなぎとめる、
または引きつける新商品・サービスが途切れたところが
縁の切れ目という点では
今のマックは藤田時代の最後と同じということです。

この段階での再生のチャンスはあるのでしょうか。
「寿司を主力にする」くらいの思い切った商品転換をしない限り
ダメなのではないでしょうか。
米国の主食はパン、日本の主食はご飯なのですからね。

結びとして、専門家小川教授自身の言葉をご紹介します。
経営危機の一般論としてもたいへん参考になります。

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戦略転換8年目の経営危機

藤田氏、原田氏のどちらの時代においても、戦略転換後の8年目に
経営危機に陥ってしまったのはなぜなのだろうか。

 筆者は、両者の失墜の裏側には共通の要因が三つあったと考える。
 ①マーケティングの失敗、
 ②サービスのトライアングルの崩壊、
 ③画期的なイノベーションの不足
の三つである。この順番で、両時代の経営を評価してみる。

マーケティングの失敗(経営の短期志向)

突き詰めて考えると、どちらも短期的なマーケティング施策に
走ってしまったことが、マクドナルドの行く先を
危うくした原因である。

藤田氏は、1995年にディスカウントの進軍ラッパをならし、
2000年ごろには大勝利をもたらした。

世間からも注目を浴び、「デフレの勝者」と称賛されていた。

原田氏は、米国から持ち込んだ新商品
(プレミアムローストコーヒー、メガマックなど)をヒットさせ、
マクドナルドのV字回復により、
メディアにも頻繁に登場するようになった。

両者それぞれ、価格プロモーションに偏重した施策と、
リメイクした商品投入(米国からのアイデア借用)だけでは、
先が見えていたはずである。

どちらの時代にも共通していたのは、価格水準が商品力に
見合わなくなったことである。

しかし、願客に対するサービスも、店舗の清潔度も、
ハンバーガーそのもののおいしさにも、
抜本的な変革は起こらなかった。

結局は、短期的な対応に終始し、
長期的な環境変化に対応するチャンスを逃してしまった。

売上高の成長と短期的な利益を求めて、
小手先のマーケティング施策に注力しすぎていたツケが、
いま回ってきている。


サービスのトライアングルの崩壊

マクドナルドの組織面での本来の強さは、
「サービスのトライアングル」という概念によって説明が
できる(図表7-2)。




マクドナルドのようなサービス業は、企業、顧客、従業員の
努力によって支えられている。

マクドナルドでの食事に顧客が満足し、
従業員が仕事や待遇に喜びを感じ、
企業が利益を生み出すことができて、
マクドナルドのビジネスが健全運営される。
どれが欠けても、トライアングルは崩れてしまう。

その中でも、
マクドナルドにとってとくに重要なのは、
アルバイトを含む従業員の存在である。

というのは、
サービスは、シャンプーやタブレット端末のようなモノとは
根本的に違っているためだ。

カウンター越しにハンバーガーを手渡す瞬間に、
サービスの品質は決定される。

真実の瞬間(3秒間)に、マクドナルドのクルーが登場してくる。

明るい笑顔が、
ハンバーガーをおいしくする大切な要素なのである。

さらに、高収益なサービス業では、
サービスを提供する全体の枠組みとして、
持続的で他社にはまねができない
ビジネスモデルが構築されていることが必要である。

自社の経営理念(QSC+V)について、
従業員の理解が進んでいることも重要である。

急成長してきた20年間で、
日本マクドナルドの経営陣は、
従業員、FCオーナーによって、
マクドナルドのハンバーガービジネスが支えられていることを
失念したのではないのか。

つまるところ、
マクドナルドは現場の人間によって
支えられている「ピープルビジネス」だったはずである。

藤田・原田時代の後期、
強固だったはずのトライアングルがもろくも崩れてしまった。

三角形の最初のほころびは、
従業員と来店顧客との接点で生じている。

藤田時代は、
ディスカウントと急速な店舗拡大戦略によって、
来店客が増加した。

しかし、
あまりにも忙しすぎて、
クルーの表情からは笑顔が消えてしまった。

原田時代には、
売上の低迷を脱しようと、
メニュー表の撤去や「ENJOY!60秒サービス」を実施した。

これが裏目に出て、
クルーの疲弊とモチベーションの低下を招いた
(サーゼス水準の低下)。

手が回らなくなった店内は、
清掃が充分ではなくなり
汚れが目立つようになる(清潔度の低下)。

さらに、
新投入した商品がヒットしなくなる(品質の低下)。

QSCが下降し始めると、
ブランドイメージが徐々に低下していった。

基本のQSCが徹底できなくなると、
来店客のCSは下がり始める。
そこから1~2年後に、業績が急降下することになる。


画期的なイノベーションの不足

より深刻なのは、イノベーションの不足である。
初期の成功から3~4年後には、
その成果を弾みに、
ビジネスの根本的な改革に乗り出すべきだったのである。

たとえばセブンーイレブンは、
創業以来いまでも継続的なイノベーションを起こす
ことに力を注いでいる。

具体的には、
セブン銀行ATMや共同配送、プレミアムPB商品開発などである。
その成果もあって、いまだに成長を続けている。

米国で創業してから約60年間、抜本的な
イノベーションは起こらず、
いまやマクドナルドのFCシステムは、
古びたモデルになっている。

ビジネスモデルの刷新に取り組むべきだった経営陣は、
目先の価格・プロモーション戦略で
苦境を切り抜けようとした。

日本マクドナルドをV字回復させたように見えた原田氏も、
自らが主導して日本発の商品や事業システムのイノベーション
に取り組むことができなかった。

思い起こしてほしいのだが、
2008年に、筆者らが原田氏に依頼した講演のテーマは
「マクドナルドの成長戦略新ブランド開発や新商品開発、
または差別化戦略等について」であった。

「新ブランド開発」と「差別化戦略」という
イノベーションに関連するキーワードが、
ちりばめられていた。

ところが、2009年以降、
新基軸を打ち出すどころか、
日本発の新商品を発売する気配はなかった。

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いかがでしょうか。
マクドナルドに再生のチャンスはあるのでしょうか。
小川先生も、
現在の外人CEOではダメそうだ、と悲観的です。

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