2015年3月30日月曜日

「なぜあの会社は100年も繁盛しているのか」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 100年以上続いている老舗の研究があることを知っていただく。
 日本的経営や経営一般の本質論に触れていただきます。
 老舗の生成・存続・消滅要因を知っていただく。

ねらい:
 一般の企業経営での共通性を考えていただく。
 何か自分も研究してみようかなと考えていただく。

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こういうタイトルの本だと、
大きな企業のことかと思うではありませんか!
そう興味を持って開けてみたら違うのです。















副題に「老舗に学ぶ永続経営の極意」とありました。
しにせレベルの企業のことだったのです。
またもタイトルに騙されたと思いました。

では極意とは何だろう?と思いますね。
極意には共通的という語感があります。
「極意はこれだ!」という感じです。

ところが極意は、
「暖簾は自分のものであって自分のものではない」
などいいことを言っていますが、20か条もあるのです。

100年繁盛している老舗は、
20か条のどれか、あるいは複数のどれかが効いている
というのです。
これもタイトルからすると少し期待外れですね。

しかし内容は、
全国の老舗750社を訪問し、
371社のトップに直接取材をしたという
極めて実証的なものです。

20か条が何かに関心のある方は、
ぜひ原本に当たってください。

この20か条以外にも、
以下のように日本に関する優れた分析結果の図や表が
示されています。

興味を引かれた資料やまとめをご紹介します。

先ず1番めは、
トップの出身大学です。
以下の図のように、一般の企業と老舗はほとんど差がありません。
下位の方の2校が入れ替わっているだけです。


図表① 社長の出身大学ランキング

全企業
老舗
1
日本大学
慶応義塾大学
2
慶応義塾大学
日本大学
3
早稲田大学
早稲田大学
4
明治大学
明治大学
5
中央大学
同志社大学
6
法政大学
中央大学
7
同志社大学
法政大学
8
近畿大学
立教大学
9
関西大学
東京農業大学
10
立教大学
関西大学学院

〔全企業:データバンクの登録企業
 老舗:そのうち操業100年言い上の企業〕
「TDB REPORT Vol92「特集 伸びる老舗、変わる老舗」
11頁 帝国データバンク2008年6月

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学生数の多さが効いていますが、
やはり慶応は強いですね。

この表は帝国データバンクの資料に基づいているそうです。

参考までにということで、
年商1000億円以上の大企業だと、
1位東大、4位京大、7位一橋と国立大学が登場する
ことが示されていました。

2番めは、ブランドや暖簾とは何かの整理です。
これは凄いものです。
非常に参考になります。

ブランドの概念
























暖簾の概念























ブランドは、家畜の焼印から始まり家の紋章に発展した経緯を持ち
識別を目的としたものです。

それに対して
「暖簾は同心円状に拡大し、すべての意味を包含する」
ものだそうです。
研究してみませんか。

次は、日本型経営の整理です。

日本型経営のトライアングル


















 日本型理念経営の流れ










































日本型経営の本質は
「公の心」「恥の文化」「和の精神」であることを示して、
その流れを明らかにしています。
中国・韓国の文化・価値観と比較してみてください。

これ以外にも、
経営の本質を突いた図解が多数載っています。
分析力のたいへん優れた方だと感心します。

最後は、老舗の形体(かたち)の整理です。

  
















何らかの要因で起業(尾ひれの部分)があった後、
外的環境要因、内的組織要因への対応をうまくやって成長する、
そうしていま頭があるということを言っておられます。

それではその内外要因とは何であるかを
次の表で示されています。
この表は中身のたいへん濃いものだと思われます。

 
図表10-1 老舗の生成、存続、消滅の共通要因

共通要因
生成
存続
消滅
マクロ要因
政治経済体制を
ビジネスチャンスに
自然・社会の変化を乗り越える
政治経済体制の
変化、自然災害
地域要因
資源の恩恵、
交通インフラの
メリット、
地産地消の風土
地産地消、
地域共生、
社会貢献
外部市場の成長、
外部資本の脅威、
資源の枯渇、
交通・情報インフラの変更
マネジメント
要因
顧客大事、
取引先大事、
イノベーションの
活用
業態転換、
第二創業、リストラ
不動産投資、
多角化、詐欺被害、
不祥事
ヒューマン
要因
母県文化、
修行経験、
先祖の強み、
暖簾分け
婿取り、養子、
女性後継、
労使協調
家系後継難、
企業家精神喪失、
悪い風通し



この「存続」のノウハウが前掲の20か条の極意なのです。

この本の著者は、前川洋一郎さんという方で、
「老舗ジャーナリスト」「老舗学の権威」と称されているようです。
老舗学という言葉は驚きです。

前川さんは、
超大企業の松下電器で経営企画室長も経験された方です。
そういう方が老舗の研究を始められたという点に
興味をひかれますね。

ぜひ、当書をご一読ください。

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