2014年7月24日木曜日

「絶対に受けたくない無駄な医療」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 Choosing Wisely活動を知っていただく。
 医療のムダ、ムリ、ムラを知っていただく。

ねらい:
 「絶対に受けたくない無駄な医療」を読んでいただく。 
 医療を受けられる際の参考にしていただく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このタイトルは、
室井一辰さんという東大農学部獣医学課程修了の方が
書かれた著書名です。

もともと獣医という目から
人間の医療に対する疑問を持っておられたようです。

その室井さんが、
米国でのChoosing Wisely(賢く選択)の活動成果を
紹介したのが本書です。

医療に関心のあるつもりの私は、
Choosing Wiselyのことを知りませんでした。

Choosing Wiselyは
2011年にABIM財団(米国内科専門医認定機構、
米国の医師らで構成している非営利組織)が始めた活動です。

今は米国の71の医学界が参加しています。
各学会が不必要な医療を5つずつ挙げるのです。
そうすると
全部で355の不要医療行為がリストアップ
されていることになります。

室井さんはその中から100を選んで解説しています。

どんな医療行為がやり玉に挙がっているかの例として
表紙に書かれた10項目を以下に示します。

なぜ不要と言うのかの理由を室井さんの解説に従って
私の判断で整理しました。






























ここで考えなければならないのは、
有効性が低いからしない方がよいというものの判断です。

効果が低いから
費用対効果面から止めた方がよいということなのです。
統計的マスの観点からはそう言えるでしょう。

しかし、個人の立場からすると、
藁にもすがるという状況があるはずです。
そういう時は、「可能性が低くてもやってください」
となるのではないでしょうか。

必要かムダかは「目的・ねらい」の違いということになります。

これ以外に私が関心を持ったものについて、
以下に挙げます。


























普通の人は知らないことがほとんどですね。
ぜひ治療に疑問のある方は本書をお読みになるとよいと思います。

個人にとっての正解かどうかは分かりませんが、
少なくともお医者様の診断に疑問を持つことはできるでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところで、Choosing Wiselyの活動には
大きな疑問が生まれます。

それは、なぜ米国の医学界は、
医療費=自分達の収入を削減することになる
この活動に参画しているのか、という点です。

室井さんはこう解説しています。

 多くの医師は、
 必要な医療だけを施したいと考えている。
 限られた医療費の中で、
 無用な医療にばかりカネが突っ込まれていては、
 本来必要な医療にカネが回って来ないからだ。
 無用な医療を排除するのは、
 医療側の利益にもつながる。

本当にそんな風に考えているのでしょうか。
室井さんの判断は表層的にすぎる気がします。
利益追求主義のアメリカで、
そんな正論で動くものでしょうか。

この問題は今後考えてみることにします。

日本の日本医師会はそういう活動に対しては
強い抵抗勢力です。
別のもっともらしい理由をつけて、です。

たとえば、
健康保険対象の治療と対象外の治療を同時に行う
混合診療の保険適用条件に対して反対しています。

その理由は、
お金のある人が
保険で利用を認めていない先端的な治療を
より容易に利用可能にすることになるので不公平を助長する、
と言うのです。

混合診療を認めていない現在は、
保険外の先端的治療を受ける場合は、
保険対象のサービスもすべて保険外の扱いとなり
保険制約なしで自由な治療ができています。
全体として高額収入になっているのではないでしょうか。

それと、混合診療が認められるようになると、
現在認められないために保険診療のみでの診療をしている
医院の収入が減る
(患者が優れた混合診療のできる大病院に逃げる)
と考えられて「反対」している面もあるようです。

しかし、
どちらが医師にとって収入が多いのでしょうかね。
混合診療を保険適用(保険対象サービスについて)にした方が
希望者が増えて
全体としての収入が増えるかもしれません。

とにかく、長らく日本医師会は日本最強の抵抗勢力です。

日本で医療の適正化を図ろうという活動は
健康保険組合がしています。
健康保険組合は
従来から不正診療・過剰診療をチェックしていました。

チェックをしていない頃は、
架空の治療を健康保険組合に請求していることもありました。
それで御殿を建てた近所の医師を知っています。

2014年4月に、
健康保険組合連合会は日本人間ドック学会と組んで、
血圧の正常値を
上の血圧で147、下の血圧で94以下としました。
従来は140と90でしたから健康の範囲を広げたのです。

それは、過去の150万人の検査データから、
超健康の1万5千人を選びだして、
そのデータを割り出したのです。
なるほど、です。

これでは日本医師会も文句の付けようがありません。

どんどんそういう活動をしてほしいですね。
日本が社会保障費で破綻しないように。

ところが、日経新聞7月20日ころの「真相深層」コラムに
こういう記述がありました。

 診療が妥当かどうかの審査は
 地域の社会保険診療報酬支払基金で行われているが、
 その判断基準がバラバラなので
 統一しようという動きがあった。
 
 厚生労働省が、
 2012年12月に「連絡協議会」を設けて検討しようという
 通知を出した。

 しかし、健保組合が我々も参画させろ
 と要求したためにそれを嫌った厚労省が
 メンバの調整がつかずに1年半宙ぶらりんのままだ。

厚生労働省はなんと医師会の利益代弁者なのでしょうか。
健保組合等にもっともっと頑張ってほしいものです。
 
最後に一言、
この本の書名もいい加減なおかしなものです。
「絶対に受けたくない無駄な医療」とありますが、
無駄な医療は誰が絶対に受けたくないと思うのでしょうか。

「絶対に受けたくない」のは「危険な医療」です。
「無駄な医療」は「すっきりやめてほしい」です。

0 件のコメント:

コメントを投稿