2014年7月29日火曜日

「人類進化700万年の物語」


【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 人類の歴史をおさらいしていただく。
 種族滅亡の歴史から教訓を得ていただく。

ねらい:
 何かに活かしていただく。

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この本を買ってしまいました。
300ページくらいの大作です。
元CNNの支局長で
数々の賞に輝いた科学ドキュメンタリーの脚本と監督を担当した
チップ・ウォルターという人が著者です。























なかなか興味深い力作です。

皆様は人類の歴史をどの程度ご存じでしょうか。
ネアンデルタール人は我々の先祖ですか、そうでないですか?
どちらだと覚えておられますか?

考古学の新発見等でずい分その「定説」は変わってきているようです。

現時点の著者の整理した「定説」は以下のようになっています。

  









































この種族の変遷を、物語調にして解説してくれています。

このヒト亜属の前にチンパンジー属が分かれ、
その前にヒト族がゴリラ属と分かれています。
さらにその前にオランウータン科・テナガザル科が
ヒト科と分かれています。
ご参考まで。

DNA鑑定ができるようになって、
この系統図はずい分正確になったようです。
いつ頃、この種族は元の種族から枝分かれしたのだろう?
とかいうことはDNA鑑定で分かります。

しかし残念ながら、
その種族がどんな生活をしていたか、
どんな言葉を喋っていたのかは
DNAでは分かりません。

それと常々疑問に思っていたのですが、
断片の遺骨から、よくも頭部・顔部の想定ができる、
身長の想定ができるものですね。

身長を想定するには、
その遺骨が成人なのか、未成人なのかが分からないとできません。
健康だったのか、そうでなかったのか、
現在を見ても誰をサンプルにするかで結論は違うでないですか。
現に、日本人だっていろいろな骨相がありますものね。

本書に挙げられている例です。
初めのネアンデルタール人の遺骨は
おそらく病気で骨が曲がっていたのに、
それを正常人と思って、
ひどいがに股で猫背の姿がネアンデルタール人だとされてしまった、
ということがあったようです。

前掲の図の種族の変遷を、物語調にして解説してくれています。

それをご紹介しても散漫になりますので、
以下の観点に絞ってご紹介することにします。

1.人類が生き延びられた理由

2.頑丈型人類と華奢型人類がいたが、頑丈型が滅んでしまった理由

3.ネアンデルタール人が滅んでしまった理由

4.現在の人類も滅ぶ可能性がある理由



1.人類が生き延びられた理由
 人類は頭脳が発達して頭脳を活かすことによって生き延びたのですが、
 頭脳が大きくなり、
 また二足歩行するようになって骨盤が細くなったために、
 幼児が十分成長してから出産することができなくなりました。

 ゴリラの新生児は誕生してすぐに生きていける状態になっていますが、
 人間の幼児がそうなるには
 20か月子宮の中で過ごさなければならないのです。
  
 そんな未熟幼児がアフリカのジャングルの中で
 どうやって生きたのでしょうか。
 猛獣がたくさん狙っていたでしょうに。

 樹の上に生活していたとすると、
 カラスの巣のようなものを作っていたのでしょうか。
 そのくらいのことはできたでしょう。
 おそらく食料探しのとき以外は樹から降りなかったのでしょうね。

 樹から下りてサバンナで生活するようになったときには
 どうしたのでしょうか?
 大人だってライオンや虎・豹等の猛獣から逃れられないのに
 子供幼児は完全にやられますね。
 
 それでもその猛獣たちは一度に何人もを食べないでしょうから
 群れ全体が死滅ということはなかったのかもしれません。

 そこで人類は、猛獣のいない土地すなわち北へ北へと上ったのでしょう。
 寒いくらいは猛獣の危険からすればどうってことはなかったのでしょう。

 この辺のことは本書に書いてありません。
 私の妄想です。

2.頑丈型人類と華奢型人類がいたが、
             頑丈型が滅んでしまった理由


 頑丈型人類と華奢型人類が併存していたが、
 120万年前に頑丈型人類は滅び、
 華奢型人類の一部が生き残った。

 頑丈型人類
  根茎、ナッツ、ベリー類の安定的な食物を主食にして
  頑丈なすり潰し用の歯と丈夫な胃腸を持っていた。
  この食物を消化するために胃腸はかなりのエネルギを要して、
  脳の成長に十分なエネルギを送ることができなかった。
  (脳は450ccしかない)

 華奢型人類
  肉(恐ろしい捕食者が残していった死肉や獲物の残骸等)を食べる。
  しかしその食料は安定的に調達できるものではなく、
  飢餓的状態で調達に知恵を絞っていた。

  歯は引き裂くのに都合のよい形だった。
  食料の消化にエネルギを要しないので、
  生きていくのに必要な脳の発達にエネルギが回り、
  脳が大きくなった(900cc)。

 本書にこういう記述があります。
  この華奢型の進化の道は他の影響ももたらした。
  たとえば、私たちは霊長類の他の親戚ーー
  チンパンジー、ゴリラ、オランウータンーーほど力が強くない。
  どうやら私たちは、脳と腕力を交換したようだ。

  リチャード・ランガムは、
  火の扱いと調理を習得したことによって
  肉や他のあらゆる食物が消化しやすくなり、
  摂取できるタンパク質が増加して、
  長い腸の必要性がさらに減少したと論じている。
  (中略)

  その結果どうなったのだろうか。
  この200万年の間に華奢型人類の脳の大きさは
  2倍近くになったのだ。
  
 華奢型の生き残りは、要約すればこうなります。

 安定した環境の草食依存で生活をしたものは滅びた。
 飢餓的状態で肉食依存をしたものは、
 知恵を出さなければならない必要性と
 胃腸が大きなエネルギを必要としないということから
 脳が発達して生き残った。

【教訓】
 厳しい環境が生き物を強くする。
 
3.ネアンデルタール人が滅んでしまった理由
 ネアンデルタール人は20万年前から存在しましたが、
 2万8千年前に死滅しました。

 一時はかなり隆盛な種族だったのに
 なぜ滅んでしまったのでしょう。

 ほぼ同じ時期から人類の祖先ホモサピエンス(クロマニヨン人)
 も生きていて一方が滅んだのです。

 諸説はこうなっているようです。

 1)クロマニヨン人に滅ぼされた
 殺戮等によってです。

 2)クロマニヨン人に追いやられた
 氷河期に生きるのに都合のよい土地から追いやられて
 結果的に死に至った。

 3)クロマニヨン人と混血した
 これもあったようです。
 現に何種類かの現代人のDNAを調べたところ、
 フランス人、パプア人、漢民族には
 ネアンデルタール人のDNAが含まれていたそうです。

 アフリカ人にはそのDNAは検出されませんでした。
 ネアンデルタール人は
 人類の祖先がアフリカを出てから生まれた種族だからです。
 DNA鑑定は凄いことが分かりますね。

 しかしなぜ、クロマニヨン人に負ける弱さがあったのかについて
 本書はこう述べています。

 人類の進化の一つの表れは、幼少期を長くすることで、
 それによってゆっくり人生に必要なことを学んで一人前になる
 ようになっているのだそうです。

 ところが、ネアンデルタール人は、
 氷河期等で生き残りが厳しい環境になった際に、
 早く一人前になって人口を維持する必要が生まれたたために
 進化を逆転させて幼少期を短くしてしまった。

 そのために、「知恵」がクロマニヨン人に及ばす、
 あらゆる面で劣勢に立たされたということのようです。

【教訓】
 成人するまでの教育は非常に重要である。


4.現在の人類も滅ぶ可能性がある理由
 著者はこう言っています。
 長い人類の歴史を振り返ると、
 必ず種は滅んでいる。
 現人類は滅びるとすれば何が原因だろう。
 
  安穏な環境にいると生き物は頭を使わないようになる。
  環境の悪化は確実に生命を脅かす
  肥満・糖尿病などの贅沢病も危うい
  ストレスによる障害を受けている
 
 そうしてこう述べています。

 アメリカ心理学会によって2010年に行われた研究レポートは
 こう言っている。

 アメリカ人は悪循環の中に捕えられている。
 自分に及ぼしているダメージを修復するための行動修正を
 阻止しようとする乗り越えられない障壁を組み立てながら、
 健康に悪い方法でストレスに対処しようとしている。

 その結果、人口の68%が太りすぎている。
 34%は病的肥満だ。
 (これは狩猟採集民の文化では問題になることがあまりない)

 アメリカ人の10人に3人はうつ状態だと言い、
 うつ病は45歳から65歳までに最も多くみられる。
 
 42%は怒りっぽかったり腹をたてたりして、
 39%は神経質あるいは不安であると報告している。

 X世代の人々やいわゆるミレニアム世代は、
 ベビーブームだった彼らの両親よりも
 さらに人間関係でストレスを感じていることを認めている。

 研究室のラットで繰り返し証明されているように、
 ストレスはその生物が住んでいる世界に
 次第に適合しなくなっていることを示すサインであり、
 ダーウィンやアルフレッド・ラッセル・ウォレスも
 150年以上前に鋭く観察したように、
 生物とその環境がもはやうまく適合しなくなると、
 どちらかがあきらめるしかない。
 そしてそれはいつも生物の方なのだ。

著者は現人類が滅んでしまうのではなく、
発展的進化を遂げる可能性もあると言っています。

興味のある方は是非本書をお読みください。






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