2023年4月16日日曜日

ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき)

[このテーマの目的・ねらい】
目的:
 がんの新療法のご紹介の追加をします。
ねらい:
 日進月歩でがんを撲滅してほしいですね!!
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今年の2月17日に以下のブログで、
がんの新療法が続々開発されていることをご紹介しました。
上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく! (uenorio.blogspot.com)

そうしましたら、その後2つの関連記事が出ました。
1)3月25日日経新聞 
「第一三共、新型がん薬で先行、抗体で標的狙い撃ち」
「抗体薬物複合体(ADC)」 
 がん細胞に結合する抗体と、薬物を組み合わせた複合体。
 抗体が体内のがん細胞まで薬物をピンポイントで運ぶことで、
 従来の抗がん剤よりも高い効果が期待できる。
というものです。
エーザイや米ファイザーなど国内外の製薬大手も新規開発に参入している。
第一三共は先行して、2023年度にも米国で承認申請する。
のだそうです。



2)4月11日日経新聞
「手術困難ながん 超音波で治療へ」
「医療機器新興 膵臓がんの治験開始」
膵臓は胃の陰にあるなどして、放射線治療が難しいのだそうです。
これを解決するために開発中の治療法です。







































3)さらに、別項でご紹介している「医の変革」には、
免疫チェックポイント療法が紹介されていました。

そこで、前掲のブログの表にこの3件を追加しました。
この表の9番・10番・11番が追加です。
他は変更していません。

がんの新療法

 

療法名

内容

有効な症例

中心推進者

実用化時期

ウィルス療法

出典:「新しいがん治療時代の夜明けーウィルス療法」東京大学医科学研究所藤堂具紀教授(學士會会報2022号)

腫瘍細胞(がん細胞)だけで増えるように改変したウィルスを腫瘍細胞に感染させ、ウィルスそのものが腫瘍細胞を殺しながら腫瘍内で増幅していく。

 

脳腫瘍や白血病など手術が困難ながん

東京大学医科学研究所附属病院 脳腫瘍外科

2021年7月、世界初の脳腫瘍ウィルス療法薬製品名:デリタクトが、悪性神経膠腫の適応で承認された。

ウィルス療法

(続き)出典:

2023/2/16日経新聞「進化するがん治療3

同上

前立腺がん向けの臨床研究

 

悪性黒色腫(メラノーマ)向け医師主導治験を

杏林大泌尿器科と実施中

 

信州大学医学部と進行中

デリタクトを使用。

動体追跡放射線治療

出典:「癌における動体追跡放射線治療」白土博樹北大教授(学士會会報2023-Ⅰ掲載)

放射線をピンポイントで患部に当てることは、動く臓器等では困難である。それを解決する各種手法が開発されている。

 

呼吸器、消化器など動きが大きい部位のがん

北大が初期の技術開発

1990年代後半から

放射線療法「セラノスティクス」

出典:2023/1/13 日経新聞「放射線新手法「セラノスティクス」実用化進む」

がん細胞にくっつく診断用の放射性医薬品(例:ガンマ線)と、同じ構造の治療用の放射性医薬品(例:ベータ線)を患者に投与する。病巣の場所や状態を可視化してピンポイントで攻撃する。

前立腺がん、転移したがんにも有効。

スイスのノバルティス社などが先行している。

2022年、ノバルティスの医薬品は前立腺がん用で米欧の認可を受けた。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

出典:2023/2/14日経新聞「進化するがん治療1」

がん細胞がホウ素を取り込む性質を利用し、ホウ素と中性子の核反応によってがん細胞を破壊する。中性子を発生させるのに原子炉は使用許可が出ないので加速器を使う。

手術がしにくい部位のがん

大阪医科薬科大学BNCT共同臨床研究所(小野公二所長)

 

2001年に実験的に初利用で効果を確認した。

一部府県で保険適用が可能。

ADC(抗体薬物複合体)療法

出典:2023/2/15日経新聞「進化するがん治療2」

特定のタンパク質(HER2)を持つがん細胞に結合する抗体と薬物を組み合わせた薬剤を利用する。

乳がんが中心だったが、肺がんでも治験が進んでいる。

第一三共社

2020年に第一三共から「エンハーツ」名で発売

がんゲノム医療 出典:2023/2/15日経新聞「進化するがん治療4」

血液検査により、がん由来の遺伝子を見つけ出し、早期診断を実現する。同時に、特定のがん由来遺伝子の有無によって、抗癌剤の有効性の判定も可能である。

大腸がんなど。

国立がん研究センター

研究進行中。

mRNAガンワクチン療法

出典:2023/2/11日経新聞「mRNA次は癌治療に」

がんの目印となるたんぱく質「抗原」の断片を生成するmRNAを体内に入れると免疫機能が抗原を覚え、がんを攻撃するようになる。

悪性黒色腫、頭頚部がん、皮膚扁平上皮がんなど

モデルナ、ビオンテック、など

2025年の実用化を目指し治験中。

ADC(抗体薬物複合体)療法

出典:2023/3/25日経新聞

上掲6の続き

肺がん向けの2新薬の開発を終え治験中である。

肺がん

第一三共

2023年度に米で承認申請

10

超音波治療

出典:2023/4/11日経新聞

他の臓器の陰にあり放射線治療が困難ながんに対して、超音波を一点に集中して照射する「集束超音波」の治療装置を開発した。

すい臓がん

ソニア・セラピューティクス

22年10月治験開始。26年の販売開始を目指す。

11

免疫チェックポイント療法

出典:春日雅人編「医の変革」など。

がん細胞がPD-L1たんぱく質を生成し、免疫細胞のPD-1にくっつき免疫機能が働かないようにする。この働きを抑える薬を投与する。

カーター大統領は悪性黒色腫から肝臓や脳に転移して「余命」の状態であったが完治した。

(どの症状にどの医薬が有効か不明なのが難点)

悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫など

本庶佑先生はこの抑制機能を発見し臨床応用に道を開きノーベル賞を受賞した。

オプジーボ、キートルーダなど複数の医薬品が市販されている。



 


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