目的:
学士會会報最新号に掲載された3編の
ねらい:
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著者 |
肩書 |
タイトル |
小原雅博 |
東大法学政治学研究科教授 |
コロナ時代の国際政治 |
国末憲人 |
朝日新聞記者・ヨーロッパ総局長 |
コロナ危機と欧州政治 |
早川英男 |
東京財団政策研究所上席研究員 |
コロナ後世界の政策レジームを考える |
私なりにその要点をまとめてみました。
共通して言えることはこういうことのようです。
「コロナ時代の国際政治」 要約
テーマ |
概要 |
総論 |
ü コロナウィルス対応は、スペイン風邪流行の分析をした以下の2点の報告書が正当な報告をしている。 1) 米国疾病予防管理センター(CDC)の2007年報告 「早期の、持続した、多層的な」措置が健康へのダメージを和らげた。 2)FRB,MITの報告書 ü 感染対策をしっかりとった都市ほど経済の回復度合いが大きかった。 ü その実践を行った中国は早期に感染拡大を抑止することに成功した。 ü それを避けた米国経済の大幅落ち込みが顕著である。 |
パワーの視点 |
ü 台頭中国の自信は「中国の特色ある大国外交」として概念化され、「力の外交」や「力による現状変更」となって国際政治を揺るがす。 ü 米国では、コロナ情報を隠蔽した中国への「責任転嫁」を図るトランプ大統領の「自分第一」に加え、国民の対中感情の大幅悪化もあり、対中強硬論が台頭し、南シナ海や台湾海峡では不測の事態も憂慮されるほどの緊張状態を生んでいる。 |
国益の視点 |
ü 中国は自国の「核心利益」の概念に根ざした発展を企図している。 ü 米国の「自国第一」のエゴを追究し、両者対立する。 |
価値の視点 |
ü 習主席は「中国共産党の指導と中国の特色ある社会主義制度が明らかに優勢である」と主張している。 ü 自由を「法と秩序」の支配の下で実現することを目指す米国は、コロナ禍対応の稚拙さで劣勢である。 |
米中関係と日本外交 |
ü 第1に日米中関係としては、これまでの「日米同盟+日中経済協力」の枠組みの維持は困難である。「日米同盟+α」を追究しなければならない。αは、「日本自身の防衛努力」日本との関係を重視する中国に責任ある行動を求める対話の強化、価値や利益を共有する諸国との経済連携や安全保障協力の推進などが含まれる。 ü 第2に、感染症や気候変動などの国境を越える問題に対処する国際協力の実現に努力すべきである。 |
2.コロナ危機と欧州政治
「コロナ危機と欧州政治」 要約
テーマ |
概要 |
総論 |
ü 新型コロナウィルスの被害は全世界に及んだが、これによって欧州が受けた衝撃はとりわけ甚大であった。 ü SARSやエイズ、エボラ熱などの感染爆発を経験して備えができていたアジアやアフリカと異なり、大規模な感染症をしばらく免れたこの地域は、安全地帯にいるかのような錯覚に陥っていたからである。 |
英国死者4万人の背景 |
ü 中国からの旅行者によって持ち込まれたとみられる新型コロナは増す、イタリアで観戦爆発を起こし、南欧から欧州北部へと広がった。 ü 英国ジョンソン首相は、2月から3月前半を無策で過ごし、その後急遽、病床確保を急ぐあまり病院の高齢入院患者を老人ホームに移送するという暴挙を実施し、各ホームでクラスターを発生させた。 ü 欧州外でも、米国やブラジルのトップは、感染症の脅威を軽視した結果、被害を拡大させている。 |
ポピュリズムの時代は終わるのか |
ü 2010年代を通じて吹き荒れた「ポピュリズム(大衆迎合)」の時代は終わりを告げているようである。 ü 契機は、英国のEU離脱で、このテーマで各国民は事の本質を掴み、安易はポピュリズムに批判的になった。 ü しかし、コロナ危機に真剣に取り組んでいるポピュリスト政権も多い(世界17か国のポピュリスト政権のうちで12か国がそうであるという英国研究所の調査結果もある) |
地域単位の協力の可能性 |
ü EUは当初、感染対策で足並みがそろわなかった。 ü しかし難航の末であるが、7月には,EUレベルでの復興基金の設立に合意し、イタリアやスペインなどの被害が大きい国への支援の枠組みを整備した。 ü その過程で欧州各国は曲りなりにも結束を強めた。 ü コロナ危機は、国ごとではなく地域単位で危機に対応する姿勢がいかに重要であるかを、欧州に再認識させたのである。 ü 米国主導に変わる地域単位で安定と繁栄を確保する試みが強化される契機になることを期待したい。 |
3.コロナ後世界の政策レジームを考える
「コロナ後世界の政策レジームを考える」 要約
テーマ |
概要 |
総論 |
ü コロナ・ショックに伴う世界経済の急激な落ち込みは4-6月を底に最悪期を脱したとみられるが、しばらくはウィズ・コロナの時代が続くと覚悟する必要がある。 ü それでも、ポスト・コロナの時代を今から考えておくのは決して無駄ではないだろう。 ü 本稿では、過去100年余りの世界の経済政策の枠組みを振り返ることを通じて、コロナ後の世界で展開されるであろう政策レジームの姿をてんぼうしてみたい。 |
歴史的回顧とコロナ後への問い |
ü 前世紀からの世界の経済政策の枠組みを振り返ってみると、国家優位と市場優位の間を大きくウ揺れ動いてきている。 ü 前世紀初頭は国際金本位制度に基づく第1次グローバル化の時代であった。小さな政府・低い税率が好ましいとされた。 ü この時代は、二つの大戦と大恐慌を機に、国家による統制の時代になった。 ü 第2次大戦後も、経済社会に占める国家の役割が低下することはなかった。マクロ安定化政策は定着化していき、累進風邪による所得分配の平等化や社会保障の充実が追求された。 ü 1980年頃を境に市場が主役となる時代になった。契機は、経済成長の減速とインフレが政策の失敗を主張させたことである。 ü 1980年代末に東西冷戦が終結すると、経済のグローバル化=自由競争促進が一気に加速した。 ü この弊害は、企業や富裕層への課税が困難化し、経済格差の拡大につながったことと、自由放任市場が金融バブルの暴走を招き経済の不安定化を招いたことである。 ü リーマンショックなどで、この自由放任主義の反省がされたが有効な解決策は提示されなかった。 ü そんな中、コロナ危機で、期せずして国家の強い統制が実施されている。 |
コロナ後は中道回帰の模索か |
ü コロナ後の世界がハイパー資本主義、ハイパーグローバル化への逆戻りということは考えられない。 ü コロナとの戦いで人々は国家の重要性を再認識したし、限界なきグローバル化の欠陥も明らかになったからだ。 ü まず、市場を制御する国家の役割が増すことは必至である。それは財政政策の復権である。コロナ危機対応で国家の対応不十分が露呈している。 ü 一方、グローバル化の限界に関しては、貿易や直接投資の自由化は多くの国に便益をもたらしたが、自由な金融資本移動に関しては、各国の経済不安定要素となることも確認されている。その点を踏まえた規制が必要である。 ü 以上をまとめてみると、コロナ後の経済政策の枠組みは、大恐慌から第2次大戦までのような強力な国家統制ではなく、また2000年代初頭をピークにした自由放任でもない、中道回帰の模索となることが予想される。 ü そのためには、国家が企業や富裕層への課税能力を取り戻すことが前提となる(上野注、現在EUを中心にその動きが出ている)。 |
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