2020年7月21日火曜日

新型コロナの中国陰謀説は??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 新型コロナウィルスの蔓延について習近平陰謀説を検証してみます。
ねらい:
 やはり真実は闇の中です。
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「トランプ大統領は、習近平がコロナを世界に撒いたと言っている」
米国通の日高義樹著「世界ウィルス戦争の真実」ではこう述べています。

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武漢からアメリカに引き上げてきた人々、
特に国防総省や国務省の専門家たちの報告を見ると、
現地では少なくとも2019年11月には
得体のしれない風邪や気管支炎、肺炎が流行していた。
(上野注:11月から始まっていたのですね!)

武漢を中心に新型コロナウィルスが急激に蔓延し、
市民がバタバタと死亡している中で北京政府は
1月26日、武漢を閉鎖したものの、中国人の国内の移動、
外国への旅行などは一切制限しなかった。

そのせいで新型コロナウィルスはまずアジア全域へ、
そしてヨーロッパ諸国、アメリカへと、
世界中にばら撒かれることになった。

12月と1月の2か月で
少なくとも150万人が中国からアメリカに入り込んでいる。
この人たちがウィルスを世界にばら撒いた。
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トランプ大統領をはじめアメリカの指導者は、
習近平が国際的な責任を持つ大国の責任者として
倫理的にも道徳的にも許されない行動をしたと非難している。

その証拠として挙げているのは、
中国が自ら決めた法律を破り、
世界中にコロナウィルスを拡散させたことである。

習近平は、
武漢で感染者が出たことをいつ知ったのか明らかにしていないが、
あらゆる状況と情報から判断して、
ウィルスが蔓延しはじめたのを知りながら、
WHOにも、世界の国々にも知らせなかった。

習近平は2003年、中国でSARS騒ぎが起き、
世界中の人々がその対応にあたった際の取り決めに
明確に違反したのである。
(中略)
この法律はWHOとの協定によって
「世界保健条約」と名付けられており、
とくにその第5条から9条によって通告義務を厳しく規定している。

トランプ大統領が重視しているのはこの問題である。
「中国の習近平は自らの国が決めた国際的な取り決めを破って
コロナウィルスを世界中に拡散させた。
これはまさに犯罪的な行動である」

トランプ政権の首脳はこう指摘しているが、
トランプ大統領が批判している問題はまだある。

この取り決めの第9条によると、
WHOは伝染病の感染者が出た国から連絡があった場合には、
直ちにその国を緊急事態地域に指定し、
封鎖するなどの措置を取らなければならない。
ところが
WHOは中国寄りのテドロス事務局長が中国政府の要求に屈して、
2か月以上も緊急事態の宣言を遅らせてしまった。
このことも中国の法律違反であると糾弾している。
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本書は、日高さん(日高氏は大学空手部の1年先輩です)らしい
生々しいレポートですが、要点は以上でした。

これより客観的冷静な分析と思われます小原雅博東大大学院教授の
「コロナの衝撃 感染爆発で世界はどうなる?」によれば、
時系列はこうなっています。
2019年12月8日 初の患者確認(新型ウィルスが確認できた)
     12月30日 李医師がネットでウィルスの危険性について言及
2020年1月1日 感染源と見られた武漢の海鮮市場閉鎖
            当局は「ヒトからヒトへの感染はない」と発表
     1月3日 李医師は公安当局から警告と訓戒を受けた(2/7感染死亡)。
     1月20日 中国政府専門チームが「人から人へ感染する」可能性に言及。
     同日    周氏の最初の重要指示あり。
     1月21日 医療従事者15人の感染が確認された。
     同日    「環球時報]は地方政府の情報公開の遅れを批判
     1月23日 武漢市封鎖
     1月24日 国内団体旅行の中止
     1月25日 湖北省封鎖
     同日    党中央政治局常務委員会で、多くの医者の派遣発表と、
            500億円を投じて1000床を有する臨時病院を
            10日間で建設する指示を出した。
     1月26日 湖北省長、武漢市長、湖北省秘書長の記者会見
            (3人は甚だしい無能ぶりを露呈)
     1月27日 海外の団体旅行とパック旅行の中止
     1月30日 WHOがパンデミック宣言
上野注:
1月20日の周氏の登場から1月27日までの1週間の動きは素早いです。
周氏は20日以前のかなり早い時点で状況を把握して
対応を準備していた可能性がありそうです。

少なくとも1月20日より前に、習近平は状況を把握していました。
数日間は状況把握と対策検討に要したと思われますので、
習近平の陰謀を疑わない場合は、
習近平が知ったのは1月中旬だということになります。

習近平がコロナの威力を知っていて放置したという説では、
1月の2週間、場合によって12月8日以降が空白の期間です。
日高説のような見解だと、習近平の陰謀は
最大で12月8日から1月中旬までの期間が疑われることになります。

小原教授著書後半ではこういう記述があります。
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習近平国家主席は、「四つの自信」を唱えてきた。
そこには、
中国共産党統治という政治制度を至上の価値とする政治の掟がある。
自信は確信に変わり、確信は信念となる。
鉄のような信念によってこそ米国との体制闘争に勝利できるとされる。
習近平政権下では、そうした左傾化とナショナリズムが強まっていた。

そんな党の自信を武漢の感染爆発が吹き飛ばした。
情報隠蔽や中央と地方(武漢)の意思疎通の欠如が
初動対応の致命的遅滞につながった。
党は厳しい批判と圧力に晒された。
しかし、
その後の徹底した強権的措置によってウィルス封じ込めに奏功し、
「中国終息と欧米蔓延」という構図が生まれると、
習政権は反転攻勢に出た。
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こういう状況からすると、
意図して発表を遅らせて世界にウィルスをばらまいたという説には
疑問が残ります。

そのリスクがどのくらいのものかは予測が付かなかったでしょうから、
場合によって習政権の終焉につながるかもしれないことに
賭けることはできなかったと思われます。

地方政府の無能のために、
中国国内、欧米各国及び世界中にウィルスをばらまいてしまった、
というのは事実です。
WHOへの報告が遅れたのは意図したことでなくても、
明らかに国(習近平)の責任です。

それが意図したことであったかどうかは不明で、
陰謀説はやはり闇の中です。
このテーマは、継続審議です。

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