2018年8月21日火曜日

「33の思考実験」あなたの思考性はどうでしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 思考実験とはどういうものかを知っていただきます。
 その例題について考えていただきます。
ねらい:
 興味を持たれましたら、ぜひ本書をお読みください。
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「論理的思考力を鍛える33の思考実験」は
学者ではないパズル作家の北村良子さんの著作です。


わざわざ「学者ではな」」と申しあげましたのは、
説明の文章が明快で非常に分かりやすいのです。


たいへん失礼な言い方ですが、
非常にアタマの良い方だと思います。


内容は考えさせられてたいへんおもしろいものです。


まず、思考実験とはどんなものかを、
当書の冒頭のテーマで見てください。
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【暴走トロッコと作業員】
この「暴走トロッコと作業員」は、
イギリスの倫理学者フィリッパ・フットが1967年に提示し、
今日まで議論が繰り返されてきている非常に有名な思考実験です。


思考実験がどのようなものかをまずは体感していただくために、
この有名な思考実験から始めたいと思います。

トロッコ問題の思考実験はいくつかのパターンがありますが、
いずれも共通しているのは5人を助けるために
1人を犠牲にするのは正しいか?ということです。


5人を助けるか、1人を助けるかという部分は同じでも、
背景として様々な設定があり、
その設定により多数派となる意見が異なってきます。

ある条件下では5人を助けることを選択し、
他の条件下では、1人を助けるほうを選択する人が多くなるのです。


あなたの思考で是非それを体感してください。
ただ、あなたの意見は多数派に属さないかもしれません。
もしそうなったとしても、
多数派が正解というわけではありませんのでご安心ください。
それでは、シンプルで1番有名なトロッコ問題からみていきましよう。




線路の切り替えスイッチのそばにいるあなたは、
とんでもない光景を目の当たりにしていました。


あなたの右方向から石をたくさん積んだトロッコが
猛スピードで暴走しています。
ブレーキが故障しているのか明らかに異常なスピードです。
とうてい今から止めることはできません。


ただ、線路の切り替えを行えば進行方向を変えることができます。
線路の先には5人の作業員がいます。
5人ともトロッコにはまったく気づいておらず、
おそらく避けることはできないでしよう。


このままではトロッコが突っ込み、5人は死んでしまいます。
あなたは、切り替えスイッチの存在に気がつき、
これを切り替えて5人を助けようと思い立ちます。
あなたは切り替えスイッチに近づき、
勢いよくスイッチに手を伸ばします。


しかし何ということでしょう。
あなたは一瞬、切り替える先の線路のほうに目をやり、
様子を確認しました。
すると、視線の先には1人の作業員がいるではありませんか。
スイッチを切り替えれば、この1人の作業員が死んでしまいます。
                 
あなたはこの6人と画識はなく、6人とも何の罪もない人です。
ただ、悲惨な現場に居合わせてしまっただけです。
あなたもたまたまこの現場に居合わせてしまっただけで、
そこにスイッチがなければただの傍観者の1人です。


実際には「5人もいればだれか気づくだろう」とか、
「大声を出して危険を知らせる」とか、
いろいろな方法を考えてしまうところですが、
ここではスイッチを切り替えること以外あなたにできることはなく、
作業員は皆トロッコの暴走に気づいていない状態とします。


あなたはスイッチを切り替えますか?
それともそのままにしますか?
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いかがですか?
思考実験は、正解を求めるわけではありません。
どう考えるかなのです。


85%の人がスイッチを切り替えて5人を助ける、
という選択をするそうです。
1人の命より5人の命の方が尊いと考えるのです。


ところが、少数派の意見は、こうです。
スイッチを操作することで、
自分は傍観者からこの事故に関係する人となる。
そして、本来なら何ごともない1人の作業員を
自分の手で殺すことになる。それはイヤだ。


因みに、私はこの意見でした。


こういうテーマが33点紹介されているのです。
頭の体操になります。


その章建てと、その中の代表的テーマをご紹介します。


第1章 倫理観を揺さぶる思考実験
 暴走トロッコと作業員と太った男 
   暴走するトロッコの先にいる5人を見殺しにするか、
   1人を線路に突き落してトロッコに当てて止めるか


第2章 矛盾が絡みつくパラドックス
 タイムマシン物語
   自分が生まれる前に死んでしまった母親を
   タイムマシンで救いに行くことは可能か


第3章 数字と現実の不一致を味わう思考実験
 トランプの奇跡
   トランプをランダムに4枚引いて全ての絵柄がAである確率と
   全て違う絵柄である確率はどちらが高いか


第4章 不条理な世の中を生き抜くための思考実験
 生きるための答え
   「お前が言った死に方で死なせてやる」と言われたときに
  生き残るためにはなんと答えればいいのか


この章建てもよく考えられています。
ぜひ、本書をお読みください。



1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

感性悟性の時代‼️✨