2016年10月3日月曜日

「AI 時代の勝者と敗者」 男性の肉体労働は残るのでしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 AI時代になって、コンピュータが人間の能力を凌駕するようになると
 人間は何をすることになるのでしょうか、
 特に男性の仕事がコンピュータにとって代わられることになりそうです、
 考えてみましょう。

ねらい:
 だんだん押し寄せてくる変化に備えましょう。

----------------------------
本稿は、ハプソン大学経営・情報テクノロジー科の
トーマス・ダベンポート特別教授の著書「AI時代の勝者と敗者」
に触発されて考えてみたことです。




コンピュータによる人工知能(AI)活動は
人間の仕事をどんどん奪っていきます。

本書は、どんな仕事はAIに奪われるのか、
AIに奪われない仕事は何かを論じています。

AIと言ってもいろいろなタイプがあります。
現在主流となって関心を集めているのは
大量のデータを分析してそこから「正解」を求めるものです。

碁の世界で「名人」に勝ったというのがその典型です。

もともとコンピュータは大量処理マシンとして登場したので
その類型は当然の帰結です。

しかし人間の判断力は、
大量処理の結果で得られているものではありません。
少量のデータ(経験)から結論を導き出すのが得意です。

そこで、日本は大量処理のAIの世界に追い付くのは諦めて、
少量処理の中で有為な結論を導き出す方法を
以下のように研究しようとしています。

政府が成長戦略の柱とする人工知能技術を
10年間で1000億円を投じ理化学研究所を拠点にして
産官学で開発する計画が公表されています。

その応用例は、たくさんあります。
 病院では診察例が少なくても患者一人一人に合う治療法を選ぶ。
 ほとんど記録のない地震に備える。
 経験の少ない河川の氾濫に備える。
 工場で数十枚の製品写真から不良品を検査する。


私はこの方が人工知能的だと思いますし、
応用領域も広いと思われます。
その研究の成果と日本勢の活躍に期待したいと思います。

それはともかく、本書のテーマですが、著者の主張は、
コンピュータではできない仕事は
以下の領域です。
そちらの仕事に転換なさい、と言っています。

1)ステップ・アップ
 自動システムの上をいく仕事に転じなさい。
 「大局的にものごとを見れる人、十分なデータなしで判断できる人は
 今後も機械よりも高いレベルで問題を解決する。

2)ステップ・アサイド
 機械にできない仕事に転じなさい。
 機械が得意でない作業を人間がする。
 人間との交流、人間への説明や説得など。

3)ステップ・イン
 ビジネスと技術をつなぐ仕事に転じなさい。
 機械の仕組みを理解し、監視し、改善する仕事は
 人間の仕事として残っていく。

4)ステップ・ナロウリー
 自動化されない専門的な仕事に転じなさい。
 機械を導入しても経済的でないニッチな専門分野には、
 人間が活躍する仕事が残る。

5)ステップ・フォワード
 新システムを生み出す仕事に転じなさい。
 技術力を持ち、次世代のスマートマシンをつくる仕事は
 今後もなくならない。

ステップで並べた工夫は面白いのですが、
そもそも、ここで「転じなさい」と著者が言っている対象者は、
それなりの知能を持った技術者です。
その人たちは何とかするでしょう。

それよりも、機械に置き換えられる大量の人たちは、
もっと「低レベル」の仕事をしている人たちです。

その人たちが何を仕事とすればよいか、の方が問題です。

そもそも、どういう仕事がコンピュータやAIに奪われるのでしょうか。

力仕事、危険な仕事、したくない仕事、単純な仕事です。

知識労働者も心配かもしれませんが、
そうでない多くの人たちは、
コンピュータが自分たちの仕事を奪うなんて考えてもいないでしょう。

例えば、掃除をしているパートの「ご婦人」です。

ダベンポートさんの区分で言えば、ステップ・アサイドですが、
人間関係中心の仕事、人と接する仕事は最後まで
機械化の対象外でしょう。

それは、
 人のケアをする人。
 人を喜ばせる仕事、お話し相手もそうです。
 社交場、バー、クラブ、キャバレーの従業員です。

その延長のセックスサービス提供は機械化は絶対できません。


こうして見ると、男性が圧倒的に不利です
男性には何ができるのでしょうか。

男性向きの対人関係業務って何でしょうか?

いずれにしても対人関係が苦手な人は生きる道がなさそうです。


タクシー運転手は?

トラックの運転手も自動運転になっても完全自動化はありえないでしょう。

力を出す仕事は何が残るでしょう?
土木現場作業員も、道路工事作業員も完全自動化はなさそうです。

しかしこれらの仕事だけでは不足するでしょうから、
女性の方が向いている「生活関連サービス業」に
進出せざるを得ないでしょう。
どんな領域の仕事が考えられるのでしょうか。

以下検討してみました。

業種別労働人口とパート比率  注:出典は不明になってしまいました。



業種

従事者
(千人)

パート
(千人)

パート比率
(%)

運輸業、郵便業

3,333

585

18

卸売業、小売業

8,943

3,920

44

学術研究等  

1,385

154

11

飲食サービス業等

4,648

3,559

77

生活関連サービス業等

1,779

851

48

教育、学習支援業

3,104

973

31

医療、福祉

6,704

2,037

30

複合サービス事業

  342

46

13

その他のサービス業

3,831

1,091

28

  合計

49,029

14,910

30

 
パート比率が高い職業は、
他の職業からの転職も容易ではないかと考えます。
そうすると、
卸売業・小売業(おそらく小売業の方がパート比率が高いでしょう)、
飲食サービス業等のパートはほとんど女性が活躍する職場です。

 
生活関連サービス業の新しい定義 
以下の表のように、
新たな「生活関連サービス業」という捉え方をしましょう
という提案がされています。
経済産業省 関東経済産業局資料


























この新しいグルーピング方法の生活関連サービス業だと
その業種は以下の表のようになります。
これで、男性向き職業を探してみましょう。


分野

主なサービス例

業種の例示

健康・福祉サービス分野
健康増進・疾病予防サービス、栄養管理食宅配サービス、
福祉機器サービス等
N:73 医療業、75社会保険・社会福祉・介護事業(児童福祉事業を除く)
O:77その他の教育、学習支援事業(フィットネスクラブ)
Q:84娯楽業(スポーツ施設提供業)
また、製造業のうち、
F:食品製造業、医療品製造業、医療用機械器具製造業

育児支援サービス分野
病中・病後児保育サービス、安全提供サービス、
幼児教育サービス、宅配食サービス、家事代行サービス等
M:70一般飲食店
N:753児童福祉事業
O:77その他の教育、学習支援事業(フィットネスクラブを除く)
Q:82洗濯・理容・美容・浴場、83その他の生活関連サービス業
(831旅行業除く)、906:警備業
また、卸・小売業のうち、
J:55:各種商品小売業、56:織物・衣類・身の回り品小売業、57:飲食料品小売業

観光・集客サービス分野

産業観光・集客サービス、娯楽サービス
I:42鉄道業、43道路旅客運送業、46航空運輸業
M:72宿泊業
Q:831旅行業、84娯楽業

 
この表を吟味してみても、男性向きの頭脳労働ではない領域は
運送業と介護くらいしかなさそうです。

それ以外は、女性と同じようなサービス提供を努力するか、
女性の手伝いをするという位置づけの仕事になるようです。

医療関係は、医師1人に対して看護師4.5人、医療技術者0.7人、
事務職員1.3人だといいます。
肉体労働者が担当できる仕事はあるのでしょうか。

介護の領域は男性の働き場を作れるのではないでしょうか。
力が必要な仕事も多く、女性には過酷のようです。

我が娘も介護福祉士、ケアマネージャーの資格を取りましたが、
現在は辞めてしまいました。
勤務が不規則で過酷で給与が低いのです。

給与のことは別として過酷な労働という点に関しては
男性の方が向いています。
(ときどき問題を起こす人がいるのが問題ですが)

以上の検討からすると、
AI時代には、女性が正規に働いて、
男性は主夫+パート労働ということになるのかもしれません。
それこそたいへんな社会変革です。


原始の時代から男が外で獲物を掴んできて、
女性は残って家族を守ってきたのです。
その人類数万年の歴史が塗り替えられようとしているのです。


多くの男はそのように「進化」できるのでしょうか。


0 件のコメント:

コメントを投稿