2015年8月1日土曜日

インダストリー4.0の衝撃!ドイツが製造業の覇権を狙う!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 インダストリー4.0とは何かを知っていただきます。
 インダストリー4.0の重大な意義を確認していただきます。
 インダストリー4.0を支える人材の育成法を知っていただきます。

ねらい:
 日本はどうすべきかを考えましょう!!

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最近のICT活用技術は目覚ましい進歩を遂げ、
あらゆるビジネスのあり方が変わっていこうとしています。

今まで目についているのは、

 ネットを通じての売買(アマゾンや楽天)
 情報流通(グーグル,SNS)
 スマホ・GPSを活用した各種案内
 ビッグデータ・過去実績を活用した販促

など主に消費者向け(B2C)の世界でしたが、
B2Bのビジネスの世界でビジネスへのICT活用が
本格化しようとしています。

その波のうまく乗ろうという動きが世界中で始まっています。
ドイツは、それを製造業の世界で実現しようとしています。
それが、インダストリー4.0(第4次産業革命)です。

産業革命の世代で表現するので、
「第4次産業革命」と言っていますが、
この動きはもはやあらゆる世界で起きている
ICT技術を活用するビジネス革命なのです。

新しいビジネスがどんどん生まれてきています。
その新しいビジネスモデルで、
今までのトップ企業があっという間に凋落するということが
起きてしまうのです。

古くは出版業界、広告業界、電話業界
小売(消費者向け販売)業界
ICT活用と縁遠かった製造業もその仲間に入ってきています。


第4次産業革命と言いますが、これまではどうなっているのでしょう。

 産業革命の世代とリーダ国


内容
リーダ
第1次産業革命

18世紀英国に始まった蒸気機関の利用による機械化

イギリス
第2次産業革命

20世紀初頭に始まった電気エネルギーを活用したフォードのベルトコンベア方式に代表される大量生産方式
アメリカ
第3次産業革命

1970年代に始まったコンピュータ・電子技術(工業用ロボット等)の活用による生産自動化

日本
第4次産業革命
工場内外の生産設備・製品・人間が相互につながるIoT産業革命

ドイツ?
アメリカ?
日本?

ドイツは、製造業の覇権を目指しているので、
産業革命と言っていますが、
この第4次は、もはや産業の革命ではありません。

第3次のトヨタのシステムも企業間連携システムでしたが、
人間が繋いでいるシステムでした。

それに対して、第4次産業革命は、モノとモノは当然として、
企業間も完全に自動でつなごうという考えです。

その結果、第4次の特長は、
マスカスタマいぜーション(個別受注生産でありながら、
自動化大量生産方式を実現する方式)なのです。

ドイツは、下表のように
今でも製造業分野で強みを発揮していますが、
ICT技術で急激に変化していく環境変化の中で
トップ企業の位置を確固たるものにしようということです。

世界ランクのドイツ製造業
業界
ドイツの代表企業
世界シェア
自動車
フォルクスワーゲン
1位を争っている
重電
シーメンス
2位
化学
BASF
1位
医薬
バイエル
2位


以下の表は、2015年5月に刊行された日経BPムック
「まるわかりインダストリー4.0 第4次産業革命」の内容を編集したものです。
ドイツは官民一体でこれに取り組んでいるのです!!

インダストリー4.0の概要
項目
内容
1.インダストリー4.0
の「目的・ねらい」
(1)目的
 インダストリー4.0は、ドイツの製造業が事業競争力強化を目的に打ち出したコンセプトである。

 生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化のレベルを現在より大幅に高めることによりコストの極小化を目指す。
 スマート工場(自ら考える工場)の実現

(2)ねらい
 ドイツは、狭い国土・大きくない国内市場(人口8000万人)・高い労働力(高福祉国家)であるため、高付加価値製品に特化する必要がある。

 現在は東欧の安い労働力を利用している。生産工程の徹底的自動化によって製造業の脱労働力依存を実現するのがねらいである。

 スマートビジネス先進国の米国(アマゾン、グーグル、フェイスブック)に対抗することもねらい。それを自国が強い製造業で実現する。

2.インダストリー4.0
の内容
 工場内外の生産設備や製品、人間が相互に繋がり、「考える工場」を実現する。


3.インダストリー4.0
の対象範囲
 産業革命と言っているが、この革命は工場内に留まらない。サプライチェーンを通じて消費者まで繋がる。

 それは、インダストリー4.0の主導者がSAP元社長であることからしても自然のことである。

4.インダストリー4.0
の実現技術
 ロボット

 M2M(マシントゥマシン。部品や素材にもセンサを持たせ、設備機器・システムと交信できる)

 3Dプリンター(この技術は第3次に属するものであるが、ニーズに合った迅速な試作の実現と材料費の削減にとって非常に重要な技術である)

 IoT(センサー)
 
 人工知能

 その特徴は、サイバーシステムと物理的なシステムの融合体(CPS、Cyber Physical System)である。
 
 「センサーや自ら考えるソフトウェア、機械や部品の情報蓄積能力、相互コミュニケーション能力によって生産工程を高度化する(カガーマン氏)

 ネットによって結合されたサプライチェーンを形成する企業はバーチャルクラスターを形成する。

 このサプライチェーンはほぼリアルタイムで自動化され最適化される(在庫→部品展開→部品発注→生産→移動→在庫補給→決済)

 工場のあらゆる場所に設置されたセンサーが機械の異常やパフォーマンスの低下を検知し自動的に補修する。
 
 これらの技術の活用で、システムの統制が中央集権型から分散型へ移り作業の意思決定が飛躍的に早まる。

5.インダストリー4.0
の開始時期
2009年
 ドイツ連邦教育省は「生産プロセスのデジタル化は個々の企業が進めているが横の連携が撮れていなく標準化が進んでいない」とアピールした。

2011年
 ハノーバーメッセで、経済界、連邦政府、学会の代表が官民一体で研究開発プロジェクトを始める共同声明を発表。その中で初めてイノベーション4.0という言葉を使用した。

6.インダストリー4.0
の創始者・推進者
 ドイツはインダストリー4.0に官民一体となって取り組んでいる。ドイツ製造業の主力企業はすべて参加している。

 ドイツ技術科学アカデミーの会長ヘンニヒ・カガーマン氏(元SAP社長)が立役者

 シーメンスがフォルクスワーゲンと組んでスマート自動車工場を開発中。

 ボッシュではこういうシステムが動いている。

1. Bluetooth端末から「従業員」の情報を「生産ライン」に送る。
2.   「製品」がRFID(ICタグ)で、自分の組み立ててほしい姿を「生産ライン」に送る。
3.   「従業員」のスキルや属性、組み立てる製品の種類に合わせて「生産ライン」が変化する。




米国はインダストリー4.0と言っていませんが、
GE、シスコシステムズ、インテル、AT&T
2014年4月に
インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」
を立ち上げました。

現在米国が強いICT活用を
B2CからB2Bまで広げようという目的です。

GEのイメルトCEOは日経新聞のインタビューに応じて
こう言っています(日経新聞2015年7月18日)。

選択と集中で金融ビジネスを縮小し(約30兆円売却)
製造業を強化する、という発言のあとこう述べています。

この内容は、本項で言うインダストリー4.0の本質を
簡潔に言い得ています。
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過去20年間、
デジタル革命は主に消費者向けインターネットの分野が
けん引してきた。
企業で言えば、アマゾン・ドット・コム、グーグルなどだ。

しかし、今後10~20年で、
産業の世界にデジタル化による変革の波が本格的に訪れる。

GEはデジタル化により、
強みを持つ産業分野の「能力の拡張」を目指している。
具体的には生産性の向上だ。

我々が提唱している「インダストリアル・インターネット」は
産業機器をネットワークで結ぶことで、
資産効率を高めることができる。

競合はシーメンスや日立製作所だけでなく、
ソフトウェアやベンチャーなどあらゆる企業に広がる。

GEは接続産業企業(connected industrial company)
を目指す。

リアルとデジタルの交差点に立ってデジタル化と同時に
製造業をさらに進化させ、
新たな時代で勝利する。
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中国では「インターネット・プラス」と言って力を入れ出しています。

日本も負けじと経済産業省が、
先進的IT活用を促進しようという意図で
「攻めのIT経営銘柄」を選定しましした。
http://www.meti.go.jp/press/2015/05/20150526003/20150526003-2.pdf

ところが、応募企業が少なく、
それほど先進的ではない事例も含めて
ようやく18社になったという状況です。

この18社の中では、
小松製作所の
建設機械にセンサーを組み込み保守サービスを高度化」
した事例が先進性でダントツです。

アメリカのGEのようなリーダシップある企業が
日本にはないとすると、
ドイツにならって
官民一体の取り組みをもっと進めないといけないのでしょうか。

ほんとうに何とかしないといけません!!


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そこで、その一助になると思われる
インダストリー4.0を支える人材、
より具体的にはICTを活用した新事業の企画のできる人材
の画期的育成法を開発しました。

そこで用いる手法等は既存の練れたものです。
別項「新事業創造支援者を育成しませんか」をご参照ください。

http://uenorio.blogspot.jp/2015/08/blog-post_3.html



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