菅総理は、総理の器ではないと盛んに言われています。
東電の社長は、みじめだと言われています。
でも自民党のあの人もダメだな、とか、
何が足りないのでしょうか。
そこで、
成功するトップやマネジャーの条件を研究するために
ミンツバーグ教授の「マネジャーの実像」を
読んでみました。
この本は、29人のマネジャーに密着取材して
マネジャーの行動を把握・分析した大部の作品です。
マネジャーの日常行動の探求は、
それはそれで、たいへん興味深い人もいるでしょう。
文献としての価値があると思われます。
しかし、「ではマネジャーはどうしたらよいのか」
については、
どうも決め手に欠けるきらいがあります。
たとえば、
「優れたマネジャーの条件」は
これまで多数挙げられてきた。
たとえば、勇気、献身的姿勢、
振り返りを重んじる姿勢、洞察力、
人脈が豊かであること,思慮深さ、賢明さ、
振り返りを重んじる姿勢、洞察力、
人脈が豊かであること,思慮深さ、賢明さ、
人々を鼓舞する力、不屈の精神、協働志向、愛嬌。
だが、
そんなすべての条件を満たす
マネジャーなんかいない。
そんなすべての条件を満たす
マネジャーなんかいない。
と述べています。
そのとおりだと思います。
置かれた環境条件、自らの個性から
十人十色のマネジメントスタイルがあるのでしょう。
それを言えば、
何も原理原則がないことになってしまいます。
偏っていても「こうすればよい!」と言われれば
100人中何人かには当てはまって
成果に結び付くと思われます。
そこで、ミンツバーグも、今回の分析の中から
いくつかの成功要因を挙げています。
分析力
広い視野
協働力
積極行動
統合能力
です。
おそらく、このいずれかが全くダメで
成功しているマネジャーはいないでしょう。
これとは別に、
「現場から遊離してはいけない」と、
現場の重要性も説いています。
「事件は現場で起きている」のです。
他にもいろいろなことが述べられています。
何しろ430ページもの大作ですから。
でも、何か物足りません。
そこで私なりに考えてみました。
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【マネジメントの成功要因】
「マネジメントとは、
自分に与えられたミッション(使命)を
他の人の力によって実現することである」
というメアリ・パーカー・フォレット
(1920年代の経営学者)の説が
本書でも何回か紹介されています。
この定義は、
まさにマネジメントの本質を突いた定義であると
私も以前から感服していたものです。
この定義からすると、
マネジメントの成果であるところの
「自分に与えられたミッション(使命)を
他の人の力によって実現する」
という目的を達成するには
以下の3要素が必要であると考えられます。
1(マネジメントのインプット)
情報を収集する
2.(マネジメントのプロセス)
的確な判断をする
3.(マネジメントのアウトプット)
他の人の協力を得る
【1】
まず、1番目の「情報を収集する」につきましては、
自分は直接現場にタッチしていませんので、
いかに現場の適切な情報を収集できるか、
がマネジメントができる前提条件です。
裸の王様にならないように、よい情報だけでなく
「悪い」情報も得られるようにする必要があります。
マネジャーの最大の課題は、
いかに現場から離れないでいられるか、ですから。
現場から離れて現場の情報も得られないと、
空中遊泳状態になってしまいます。
誰しもマネジャーになる前は、
どこかの現場で苦労して
現場感覚を持っているのです。
現場感覚を持っているのです。
現場にいるときは、有視界飛行です。
これに対して、
マネジャーになると計器飛行となります。
かなり様相が異なります。
人により得手不得手があるでしょう。
できるマネジャーは、現場から離れても、
いかにして
現場からの情報を的確に取り入れられるか
を知っています。
―――――――――――――――寄り道
ダイエーの中内功さんは
いつまでもお店に顔を出しておられました。
有視界飛行です。
中内さんは現実のお店のレイアウト、店員の仕事ぶり、
店の陳列や品ぞろえに関心がありました。
消費者が本当に何を望みだしているのかについては
あまり関心が向かなかったようです。
消費者の望みは昔と変わっていない
と思いこんでいました。
それが、ダイエーの凋落原因となったのです。
最近出版された「総合スーパーの興亡」東洋経済新報社
では、ダイエーの「潰れてしまった」原因は、
人材配置を間違えたことだ、
その最たるものは自分が総合スーパー業を担当したこと
だとなっていました。
だとなっていました。
そうでしょうね。
中内さんは、
息子さんを計器飛行のマネジャーとして
育てようとされました。
しかし、成功しなかったようです。
有視界飛行の成功者が計器飛行をマスタすれば、
偉くなるのですが、
最初から計器飛行だけという道はないでしょう。
最後に着陸するときは有視界飛行です。
すべて計器飛行ができるなら、
パイロットは不要になります。
――――――――――――――――寄り道終り
いかに的確な情報を得るかにつきましては、
当ブログでも4月28日の
「なぜ「想定外」が起きてしまうのか」で
取り上げました。
たいへん大ざっぱな結論は、
聞く側の姿勢の問題だということでした。
【2】
2番目の「的確な判断をする」は
ミンツバーグの指摘だと、
「分析力」と「広い視野」が該当しそうです。
たくさんの情報に恵まれてもそれらを選別し
的確な判断をする能力を持っていなければ
「猫に小判」状態です。
判断が的確かどうかは、
その時点では分からないこともあります。
その場合は、結果で適否が判明するのです。
「浜岡原発を止めて防潮堤工事をせよ」は
的確な判断でしょうか。
別項「浜岡原発の運転中止要請は是か非か」を
ご参照ください。
【3】
3番目の「他の人の協力を得る」は
マネジメントの定義からして必須事項です。
その意味で対人関係能力のない人は、
マネジャーになってはいけないのです。
自分で専門職や職人としての任務を遂行する方が
その人が幸せでしょう。
マネジャーの対人関係能力で重要なのは、
他の人を鼓舞してその気にさせることです。
プロ野球の監督を見ていると、
そのスタイルは違いますが、
この能力のない方は成功していませんね。
これから先の議論は専門家にお任せします。
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【トップの成功要因】
次はトップの要件です。
それは、ビジョンとマネジメント力と強さ
の3本柱でしょう。
●マネジメント力
トップもマネジャーですから
当然マネジメント能力が優れていなければなりません。
●ビジョン
それに加えて、
自らがその組織の方向性を決めなければなりません。
それがビジョンです。
ワタミの創業者渡邉美樹さんは、
「地球上で一番たくさんのありがとうを集める」
そういう企業にするというビジョンをお持ちです。
これだと業種不問で通じます。
その目標を目指して日々改善の努力を行うのです。
松下幸之助さんは、
「社会生活の改善と向上を図り,
世界文化の進展に寄与する」
世界文化の進展に寄与する」
でした。高次元ですね。
ヤマト運輸は
「全国どこへでも翌日お届けする」でした。
日本電産は
「世界と人々の(今日と)明日のために、
「世界初」「世界一」を追求する技術と製品で
「世界初」「世界一」を追求する技術と製品で
快適な社会づくりに貢献をつづけます」です。
松下幸之助さんのに似ています。
このようなビジョンを社内外に提示して
その方向に突き進むのです。
ビジョンがなければ進む方向が分かりません。
その意味で、
菅総理は、日本をどういう国にしようとしているのか
のビジョンが示せていないのです。
のビジョンが示せていないのです。
「自分の保身だけを考えて、
妥協を続けているだけではないか!」
と言われてしまいます。
●強さ
当然ですが、トップたるものは、
精神・肉体とも強くなければ務まりません。
これが基礎条件です。
その点、菅総理は何とかなっているようです。
東電の清水社長は、途中休場してしまいました。
おそらく肉体よりも精神のダメージが
大きかったのではないでしょうか。
ということで、トップの要件は、
基礎に「強さ」があり、
「ビジョン」を示して
「マネジメント力」でそのビジョンを実現するのです。
ということのようですね。
ここまで整理をして、
自分の振り返りになりました。
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