2021年9月13日月曜日

これはスゴイ!!「もうだまされない 新型コロナの大誤解」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 新型コロナウィルス病の正しい知識を確認いただきます。
ねらい:
 不当に怖れることはやめ、的確な対応をするようにしましょう。
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本項は、西村秀一国立病院機構仙台医療センター ウィルスセンター長の
「もうだまされない 新型コロナの大誤解」のご紹介です。
同氏はインフルエンザ治療の大家です。

巷に新型コロナの専門家面をした方が多くおられますが、
これは新しい病気です。その専門家などいるわけがないのですね。

著者のような
新型コロナに近いインフルエンザの専門家の意見がまっとうなのです。
それが分かりました。

本書はこういう構成です。
第1章 新型コロナは空気感染だと知れ
第2章 手洗いよりうがいのすすめ
第3章 PCR検査をただ増やせば良いという大誤解
第4章 ウィルスに勝つマスクの達人になる
第5章 こうすれば飲食店も営業できる
第6章 ウィルスと細菌はちがいます
第7章 新型コロナはいつ終息するのか

多くの知見が得られました。
「残された首相の期間にコロナ対策に専念したい」といわれている
菅総理にぜひ読んでいただきたいと思います。
(ベストセラーのようですからもう読まれたかも、です)

私として主な収穫は以下のとおりです。
以下の記述は、上野注と表示した以外は本書の主張です。

1.ウィルスは新型コロナに限らず宿主となる細胞の中でしか
 生きられない(正確には「活性化されない」)。
 細菌は増殖によって増えるが、ウィルスはコピー生成により増える。

2.新型コロナは空気感染で感染する。
 空気から呼吸器系に感染するのです。
 空中に浮かぶ粒子(飛沫と飛沫核〔水分を失って乾いた飛沫〕)を
 エアロゾルと言います。


 新型コロナが感染する呼吸器系の全体図
 感染するリスクが最も高い行動は、
 ウィルスを肺まで吸い込むことで、
 乾燥した環境(冬も)だと飛沫が小さくなり、
 肺まで到達しやすくなります。
 
 生きたウィルスが何かに付着して長く生きることはありません。
 (上野注:ということは、
  電車のつり革は、感染者が咳を手で受けとめて
  その手でつり革を触った直後に他の人が掴み、
  その手を鼻や口に持っていく、
  ということでない限り感染はあり得ません)

 したがって、コロナで亡くなった方を納体袋に入れて密閉せよ、
 などという厚労省からの通達は、
 エボラ出血病の延長で考えられたまったくの非科学的判断である。
 
 患者の便からも生きたウィルスは確認されていません。

 したがって、オフィス・店の入り口にあるアルコール消毒は、
 気休めです。
 机などの消毒も同じです。

3.コロナウィルスは空気中で長く生きられない。
 新たな「カモ」にとっついて呼吸器系に入り込まない限り
 死んでしまいます。
 したがって、換気は重要な対策なのです。
 また、外を歩くときにはマスクは不要です。

4.物体の上でも長く生きられない。
 したがって、テーブルや室内、本などを消毒するのは無駄です。
 私は「硬貨が感染源の一つである」と想定していましたが、
 現実的にはそういうことは起きない、
 実社会の場でそれを確認した人はいない、のだそうです。

5.手洗いよりもうがいが重要である。
 上掲2.4.の理由からそうなります。
 著者は、鼻うがいも勧めています。そうでしょうね。

6.アクリル板設置は気休めでしかない。
 感染源の飛沫は容易にアクリル板の上下左右から越えてしまいます。

7.フェイスシールド・マウスシールドでは何も防げない。
 上下左右から漏れます。
 マスクをしてなおかつ他人からの飛沫を防御するためのものです。、
 場合によっては、外からの飛沫を貯めこみかえって危険です。

8.3密はどれか一つが欠けても危険である。
 リスクはand条件ではなくor条件です。
 したがって、屋外イベントでも密集は危険です。
 (上野注:実際にクラスターが発生しています)

9.マスク着用が最も有効な感染対策である。
 他人にうつさないため、自分がうつらないために、です。
 筆者らの実験では、
 マスクの材質の飛沫粒子の除去能力は以下の順序でした。
   N95マスク、医療用サージカルマスク
   少し下がって不織布マスク
     ⇓
   ガーゼマスク、ポリエステルマスク
     ⇓
   ポリウレタンマスク(無効に近い)
 ただし、どんなマスクでも密着させなければ効果がないのです。

10.ウイルスの有無判定のみのPCR検査はあまり信用できない。
 死んだウィルスでも陽性になります。
 陽性になった場合は、きちんと定量化できる再検査を実施すれば、
 状況の正しい判断ができます。

11.飲食店でも、3密を守れば感染は起きない。
 調理のため換気が必要なラーメン店や焼き肉店は安全です。
 料理やトングなどから感染することはありません
 (前掲4.の理由)
 上野注:その点からすると、
 現在の飲食店の一方的営業自粛要請は意味がないことになります。
 対策を取って営業すればよいのです。
 (上野注:橋下徹氏は以前からそういう主張をされています)

12.子どもの感染対策は騒ぎすぎをやめよう。
 子どもは感染しても滅多に重症化しません。
 熱や咳、鼻水、喉の痛みだけというものが多く、
 それもPCR陽性者の1割強だけです。

 濃厚接触者に対して行われたPCR検査で陽性者が一人出ただけで、
 学校全部を休校にしたり、消毒したりするのはもうやめましょう。
 いつまで経ってもキリがなくなり、
 学校教育自体が成り立たなくなります。
 怖がりすぎの保護者が、
 パニック気味に学校を非難するという話も聞いていますが、
 親ももっと賢くなりましょう。

13.生きている限り「ゼロリスク」なんてあり得ない。
 過剰に脅している「専門家」がいて、
 過度に恐れている人がいることも事実です。
 そういう人たちはゼロリスクを求めているとしか思えませんが、
 生きている以上、ゼロリスクなどあり得ません。
 飛行機に乗ること、自動車に乗ること、
 リスクよりも便益性を重視しているのです。
 食べものの中に未知の発がん物質があるかもしれません。
 それを思えば食べることができなくなります。

 なぜ新型コロナに関してだけゼロリスクを求めて
 社会生活の不自由を強いるのか、理解に苦しみます。
 (上野注:この意見大賛成です。
 私もコロナの死者はインフルエンザの死者・交通事故死者より少ない
 と言っていましたが、最近コロナ死者が急速に増えてきてはいます)

14.新型コロナはいつ終息するのか。
 過去のSARSやMERSが終息したのは、
 そのウィルスは肺の中で増殖するものです、
 肺を犯された人間は動けなくなり、
 他に感染させることができなかったので
 沈静化したのです。
 
 ところが、新型コロナは上気道で増殖しますので、
 直ぐに重症とならずに他人に感染させます。
 ワクチンでも治療薬でも絶滅は困難です。

 しかし、感染症の歴史を見ると、
 一般的には感染が広がるほどウィルスは弱毒化し
 病原性を発揮しなくなっています。
 (宿主を殺してしまうと自分も死ぬので、
 そのような変異をしていくと解釈されています)
 絶滅は困難です。末永く付き合っていくことになります。

 世界で100年前に大流行したスペイン風邪は、
 数千万人が死亡しましたが、第2波で終息しました。
 (原因は解説されていません)
 今のインフルエンザはその末裔ではないかと言われています。

 現在のコロナ対策は、100年前のスペイン風邪のときと
 ほとんど変わっていません。
 もっと歴史に学ぶべきです。

以上です。さらに詳しくお知りになりたい方は、
ぜひ本書をお読みください。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

上野さん、本の内容を要領よくまとめて頂いてありがとうございます。内容的には、YouTubeなどではかなり早い時期から(3~6か月前)発信されていることと、一致しています。不思議なことは、国、東京都知事などは、当初の飛沫感染説から空気感染に注意しなければならないという方向転換を公式に認めておらず(私にはそう思える)、従来の飛沫感染対策を継続していることです。
これはなぜか?
①感染ルートが空気感染であるとすると国民がパニックに陥る・・・感染の機会が大幅に増加
②飛沫感染から空気感染に方向転換すると、今までの対策が誤っていたことを認めることになる・・・からではないかと推測されます。
色々な情報が揃ってきたので、多くの人の意見を集約して、正しいと思われる方向に舵を切ることを、迅速に実行して欲しいものです。 
尚、飛沫感染と空気感染の違いは、上野さんのまとめで良くわかりました。

上野 則男 さんのコメント...

匿名さん
貴重なご意見ありがとうございます。
ご意見によって、空気感染と飛沫感染の違いをもっと明確に整理すればよかったと思いました。
仰るとおり、飛沫が物質についてそこから感染することは滅多にないということですね。
とにかく早く終息してほしいと願うばかりです。