2021年5月25日火曜日

ワクチン接種遅れで分かる日本の「後進性」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 多くの国民が憤慨している、
 コロナワクチンの接種が遅れていることを確認します。
 なぜ遅れるのかの原因を研究します。
 その対策を検討してみます。
ねらい:
 なかなか抜本解決は期待できそうにもないですね。
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日本のコロナワクチン接種率は、世界の最下位レベルです。
こんな重大な問題でその状況では、
日本は「後進国」であると言わざるを得ないでしょう。
なぜそんなことになるのか、ある面では自明のことなのですが、
あらためて整理してみました。

以下の図は、
当社の提供する問題分析ツール「問題点連関図」による分析を
示しています。



この図は詳細が読みにくいので、要点をご説明いたします。
1.日本のワクチン接種率は最下位
5月20日時点での日本のワクチン接種率は、
主要国中最下位です。
いいかげんだったトランプ大統領の国、米国が38%、
英国31%、仏独が13-14%に対して、日本は2%なのです。

出典:NHK特設サイト(5月20日情報)








わが家は高齢者夫婦なのですが、
私は、申込受付初日に、6月13日で予約が取れましたが、
次の日に予約した家内は7月7日でした。
こんな状況では、一般人の接種完了はいつになるのでしょう。

2.コロナ蔓延の悪影響
ワクチン接種が遅れれば、それだけコロナの被害も増大します。
(1)うつ病や自死の増大
 全国の医師に対して行ったあるアンケート調査では、
 回答した医師の4割近くが、
 新型コロナによる環境変化で増加または悪化した疾患に
 精神疾患をあげている。

(2)感染死者数の増加
 2021年4月に1万人を超えた。

(3)自殺者の増大
 2020年の自殺者数は11年ぶりに前年比増で2万919人。
 男性は11年連続減であるが、
 女性は885人増の6976人となっている
 (生活困窮等が影響していて、
  弱者にしわ寄せがいっていると見られている)。

3.ワクチン接種遅滞の原因
3.1 ワクチン供給の問題
(1)ワクチンの承認遅れ
 ファイザーのワクチンの国内使用の厚労省承認が2月14日、
 次のモデルナとアストラゼネカの承認が5月21日である。
 米国FDAはモデルナ製を18日で承認、
 EUはアストラゼネカ製を17日で承認しているのに対し、
 モデルナ・アストラゼネカの国内承認は、
 2-3ヶ月を要している。

(2)承認遅れの原因
 「海外で承認されているのであれば、
 国内の通常の治験は省略できる」
 の特例承認を徹底すべきです。
 現実は、日本人の治験データを厚労省が要求しました。

 おそらく「日本人だから効かない」とか
 「特別な副作用がある」などということはないでしょう。
 もしそういうことが起きたら
 「ゴメンナサイ」は許されるのではないでしょうか。
 「権力主義」「プライド意識」が強すぎます。
 
 国内での治験の確実実施は、
 一部の全体感のない無責任な政治家の圧力の結果
 でもあったようです。
 そういう政治家には、悪い結果の責任を
 とっていただかなければなりません。

3.2 接種体制の準備の問題
(1)接種実施者の対象拡大の不備
 医師・看護師の次に 
 4月末、特例で歯科医師を追加しました。
 その後、研修医を追加しています。
 自治体によっては、離職看護師に声をかけています。
 5月になって、薬剤師はどうかという議論も出ています。
 
 なぜ、はじめから読めないのか疑問です。
 計算すれば分かることのはずです。

3.3 接種申し込み方法の不備
 今の方法は、高齢者にはとてもできない複雑なものです。
 工夫が足りません。
 こういうこともできたのではないでしょうか。
 1)一方的に割り当てて
  「都合の悪い方は申し出てください」とする。
 2)「先着順で接種します」として並ばせる。
  品物を買うのに行列するのだから、
  ワクチン接種なら「並んで当然」と思うでしょう。
 3)会場に歩いて来られない人のうち
   自宅で生活している人は、歩くことはできるはずなので、
  移動接種車(救急車等を活用)で巡回する。
  (施設に入っている人は施設で接種で問題ない)

3.4 接種実施方法の不備
 工夫している自治体では、連続したブースを用意して、
 補助員が接種対象者をブースに案内する。
 準備担当と接種者が順次ブースを回る、
 という方式をとっている。
 1人当たり接種者(医師)のこなし件数は
 倍になっているという。
 
 よく知られている「分業」「流れ作業」方式です。
 薬剤師に注射の教育をするのは、時間がかかりそうですが、
 補助員としてなら、一般の人よりも活躍できるでしょう。

 さすがに、24日から始まった東阪の大規模接種会場では、
 円滑に人の流れができるような工夫をしているようです。  
 そういう工夫をすることを積極的に検討するべきです。

0.総括

以上を総括すると、問題は以下の2点に集約されます。

1.行政および政治家が、安全重視、慎重主義、保身主義
 「何かあったら困る」で対応が遅くなる。


2.状況を判断した有効な対策を真剣に考えていない。
 (「バカじゃないか」と
  一般市民に言われるようなことをやっている)

1.は、日本人の国民性です。なかなか改まらないでしょう。
  仕方ないですね。

2.は、多くの日本人は過去の延長でものごとを考えるので、
 経験のないことを考える力が弱いのです。
 (上野が言うところの「前例。みんな主義」)

しかし、これは日本人全員がダメなわけではないので、
「できる人」を年功や役職にこだわらずに、
活用する風土を醸成すればいいのでしょう。
具体策は、私にも今は分かりませんが、
真剣に考えれば答えが出てくるのではないでしょうか。

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