2019年11月17日日曜日

AI事例を分析してみました!!

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 今話題のAIの活用状況がどうなっているのか
           を知っていただきます。
ねらい:
 詳細をお知りになりたければ、
           私にお問い合わせください。
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最近は、AIがずいぶん話題になっています。
日経新聞では,AIのネタがない日はほとんどない状態です。


そこでシステム企画研修社では、
AI事例を解析した「AI解析事例集」を作成しています。


この事例集は、AI以外のデジタル化の事例を集めた
デジタル化事例集(現在230件)のサブセットです。


これがその事例集の一部です(クリックすると全体が表示されます)。
1件ごとにその出典情報が付いています。
左端をクリックすると表示されます。
AIの事例が100件になりましたので、
その内容を分析してみました。


この事例情報の基は、以下の5種類です。
 日経新聞
 日経コンピュータ誌
 野村総研編集「ITロードマップ」2019年版他
 経済産業省「攻めのIT経営銘柄」2018年版他
 他出版物


事例収集方針は、特に絞り込むことはせずに、
新しい動向であると考えられるものを対象としています。
特別な偏りはないと考えます。


この事例集収録の事例は次の4つの切り口で分類しています。
1)AI適用のねらいーーどういう効果を期待するのか
2)AIの適用目的ーーAIに基本的に何をさせるのか
3)AIの適用機能ーーAIが何の機能を担うのか
4)AIの実施手法ーーどういうAI手法を使うのか


以下、この切り口で
100件の事例がどうなっているかを見ていただきます。

     表1 AI適用のねらい


項目

件数

1

納期・時間短縮

40

2

成果増大

46

3

精度向上

19

4

信頼性・安全性強化

15

5

利便性向上

38

6

苦痛削減、楽しさ・満足度向上

22

7

健康維持・強化

13

8

環境改善

5

9

最適・正解の導出

15

10

工数・コスト削減

62

この表の数値は、重複選択です。
最大は10番の「工数・コスト削減」です。
ということは現在人手でやっていることをAIで代替するということです。
非常にベーシックなねらいです。


次は,AIを活用することで、
売上の増大を期待するなどの「成果増大」です。
ターゲットマーケティングなどがその例です。
これも基本的ニーズでしょう。


その次に、迅速に自動応答するなどの「納期・時間短縮」です。
11/15の日経新聞にも、多くの自治体で市民からの問い合わせに
自動応答を使っているという報道がありました。
市民からは「たらい回し」されないと評価は高いようでした。


ほしいものがすぐに得られるとか、言わないでも分かってくれる、
などの「利便性向上」も上位です。


クイズや囲碁将棋に勝つなどの「最適・正解の導出」
人間を上回るようになってきています。


「精度向上」「信頼性・安全性強化」
「苦痛削減、楽しさ・満足度向上」などもAIは得意です。
「健康維持・強化」「環境改善」なども挙がっています。
そのニーズを持っている法人が取り組んでいます。

表2 AIの適用目的
項目
件数
1
検索
6
2
判断
93
3
処理
27
4
発見
6
5
創造
1


次は,AIに基本的に何をさせるかです。
この数値も重複選択です。


93%の事例が,AIに「判断」させています。
AI=人工知能ですから当然でしょうね。
「処理」は,AIが翻訳をする、回答をする、などです。

「検索」は得意技ですが、
膨大な事実を解析してほしい解を「発見」する、や
絵画や音楽を「創造」する試みも始まっています。
人間も負けそうです。

       表3 AIの適用機能


項目

件数

1

画像解析

31

2

音声解析・生成

10

3

センサー/GPS情報解析

24

4

事例解析

53

5

行動解析

16

6

情報検索

8

7

関係解析

2

8

最適解探求

7




「AIでは何をするか」です。
1位の「事例解析」は、

大量の文献情報あるいは蓄積データの事例を解析して、

望む答えを得ようとするものです。


それに対して「行動解析」は、当人の過去の選択や行動を分析して
その人に合った提示を行うものです。
「あなた、これお望みでしょう?」のスタイルです。


2位の「画像解析」の技術は、後掲の深層学習の手法等を活用して
日進月歩の状態です。
中国の顔認証の進展は恐ろしいほどです。


「センサー/GPS情報解析」は、
センサーで集めた情報から、水道管の摩耗の状態を
推定する、などです。


「関係解析」は膨大なゲノム情報と疾病の関係を解析して
原因となるゲノムの状態を突き止めるものなどです。


「最適解探求」は、碁将棋に勝つとか、
物流の最適解を求める、などです。
検討している人たちは楽しいでしょうね。 
         表4 AIの適用手法


手法

件数

1

機械学習一般

77

2

深層学習

11

3

強化学習

1

4

深層強化学習

1

5

転移学習

1

6

GAN(敵対的生成ネットワーク

1

7

好奇心持つAI

1

8

少量データ分析

1

9

スパースモデリング

2

10

エッジAi

3

11

蒸留技術

1
AIの手法と言うと、前面に登場するものがこれです。
AIでは、基本的にはすべて「機械学習」をしています。

1位の「機械学習一般」は、それ以外の特殊な手法は使っていない、
少なくとも使っていると報道されていないものです。
77%はそうなのです。


それ以外の特殊な手法は、その後出てきたものです。
AI(機械)が自分でデータから学んでいく手法が深層学習
(ディープ・ラーニング)です。


Youtubeの画像をAIに1週間見せ続けたら
猫の画像に反応するようになったというのが有名な事例です。
AIに何も教えていないというのです。
AIは、どうして猫に関心持つようになったのでしょう?


「強化学習」は、崩れやすい食品のピッキングをロボットにさせたら
試行錯誤して次第にできるようになったというような事例です。
自分の行動で自己学習するものです。


「転移学習」は、汎用的な能力を持ったAIに、
専門的なデータを少し付け加えるだけで、
専門能力のあるAIを作る手法です。
転移=移植です。


AI=大量データの分析というイメージがありますが、
「少量データ分析」「スパースモデリング」は少量のデータから
ほしい結論を得る方法です。
事例としては、新材料開発があります。
データは少なくても、新材料の条件とかを詳しく教え込むのです。


6番目の「GAN」は、AIの中でAI同士に対戦させて
「勝つ」案を作らせるのです。
写真からそれをイラスト化する例などが紹介されています。


「エッジAI」「蒸留技術」は高性能マシンで開発したAIを
能力の小さなPC屋ウェアラブル端末にインストールして
動かすシステムです。
これらは、AI自体の手法ではなく、AIの活用の手法です。


というような数値的なAI活用の状況が分かりました。
こういうデータは他にはありません。
ご覧になったことはないでしょう?
ご参考までにご紹介いたしました。

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