【このテーマの目的・ねらい】
目的:
歯周病の恐ろしさを再認識しましょう。
ねらい:
皆様、歯の手入れはきちんとされていますね?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この項は、學士會会報2017-Ⅴ号に掲載された
天野敦雄大阪大学大学院の歯学関係教授が書かれた
「国民医療費削減の切り札は健口」のご紹介です。
歯周病がいかに怖い病気であるかを説いておられます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
歯周病は感染症
2001年、人類史を俯瞰するギネスブックに
「全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。
地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は
数えるほどしかいない」
と明記されました。
歯周病とは歯肉(歯ぐき)に限局した炎症である歯肉炎と
さらに症状が進み
歯を支える歯槽骨が破壊される歯周炎の二つからなります。
歯を失う原因となるのは歯周炎です。
日本人成人の80%が歯周病、
そのうち半分が歯周炎に罹患しています。
成人の4割が歯周炎ですから、
多くの中高年の方が
入れ歯を入れている理由もお判りいただけると思います。
歯周病はうつる病気です。
歯周病菌がいる人の唾液が口の中に入ることにより感染します。
他人の唾液が直接口に入ることによる感染もあれば、
唾液が付着した食べ物や
お箸・スプーン・フォークによる感染もあります。
宴会でよく見られる、
大皿料理を
自分の唾液が付いている箸(直箸)でシェア―する習慣は、
私にはぞっとする光景です。
私の教室の宴会では、和・洋・中を問わず、
大皿料理には必ず取り箸を置いています。
悪玉歯周病菌は17―18歳以降に
ヒトの口に感染することが分かっています。
普通に歯磨きをしている中学生以下の子供たちの口からは
悪玉歯周病菌は検出されません。
中略
歯周炎になると、
歯と歯ぐきの間に歯周ポケットと呼ばれるすき間ができます。
この歯周ポケットの内面の歯ぐきには潰瘍ができています。
中略
歯周病と全身疾患の関係
すべての歯に深さ5ミリの歯周ポケットがあると、
その潰瘍面積は
手のひら大の72平方センチにもなるといわれています。
この大きな傷口は
プラーク(細菌の塊)に24時間接し感染を受けています。
その結果、プラーク細菌は潰瘍面の毛細血管に侵入し、
全身に運ばれ菌血症を起こします。
さらに歯周組織の慢性炎症によって生じる炎症性サイトカインも
血流にのって全身に運ばれ
他臓器の炎症を亢進させます。
こうした病巣感染が歯周病によって引き起こされる
全身疾患の原因です。
歯周病の影響を受けると考えられる全身疾患は
年々増えています。
特に糖尿病と歯周炎は互いに強く影響を及ぼし合っており、
糖尿病の改善に歯周病治療が効果を発揮します。
最も健口にいい生活習慣は、毎日の歯磨きです。
歯周病予防効果が期待できる
歯磨きやマウスウォッシュが市販されています。
ビールやリンゴのポリフェノールは歯周病菌の毒性を弱めます。
代用甘味料エリスりトールはプラーク形成を抑制します。
この両方の効果がある
ユーカリ抽出物であるマクロカルバールCを含有し、
特定保健用食品の認定を受けたガムも市販されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先日私も歯肉炎か歯周炎かになりました。
痛くて食事を満足に噛むことができなくなりました。
初めは自己流でヨーチンを付けたりしていましたが、
家内が歯槽膿漏に効く塗り薬を買ってきてくれました。
それを付けていたら1週間ほどで痛みはなくなりました。
まだ歯周病菌が隠れているのかどうかは分かりません。
お医者様は自分の専門の患者ばかりを多く見ていますから
一般の目から見るとやや極端だという面が否めません。
法医学者だった父は、
後頭部を打って死んだ人間を多数見ていましたから、
後頭部を打つことを非常に恐れて
子供たちに注意をしていたことを思い出します。
それでもやはり歯の健康(健口)には留意しましょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿