2017年6月28日水曜日

 「MBA100の基本」


【このテーマの目的・ねらい】
 目的:
  MBA的な常識とはどういうものかを知っていただきます。
  標語のような短い言葉は受け止めやすい
              ということを再認識していただきます。
ねらい:
  こういうことに関心のある方は、
          この本をバイブルにするとよろしいのではないでしょうか。


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1992年の設立以来、
「経営に関する、ヒト、カネ、チエの生態系を
創り社会の創造と変革を行う」
ことをビジョンに掲げ、
各種事業を展開しているグロービス社が編集しているものです。


「MBA100の基本」の意味は、
MBA(経営学修士Master of Business Administration)
の基礎的事項という意味でしょう。

以下の11章に分かれています。
こういうガイドブックを作るということは、たいへんな力が必要です。
まず幅広く知っていなければなりません。
これはある程度経験を積めばできるかもしれません。

しかし、その知見の中から100を選ぶこと、
それが絶対ではなくてもそれにチャレンジすることは、
たいへんな見識です。
感服いたします。

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1.論理思考 説得力を高める

2. 問題解決 望ましい状況を手に入れる

3.経営戦略 よき戦略なくして長期的な繁栄はない

4.マーケティング 効果的にキャッシュを得る

5.リーダシップ 人が動いてくれなければ、どんな仕事も実現できない

6.組織 いい仕組みが競争力を向上させる

7.定量分析 数字を使って意思決定をし人を動かす

8.アカウンティング 会社の数字を正しく読みとる

9.ファイナンス 企業価値の最大化を図る

10.新事業創造 企業存続の道であり、経済成長の源

11.交渉・説得・会議
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この11章に100の名言が紹介されています。
この中から、私が「これは何だろう?」
と思ったものをご紹介します。


「空、雨、傘」
以下のように解説されています。
 
観察される事実や分析が自分や自社にどのような意味合いを持つのか
を考える必要があります。

特に、「何をすべきか」という行動への示唆を
仮説でもいいので考えることが、
ビジネスの大きな推進力となります。

「空が曇ってきた」
  ↓
「今日は雨が降りそうだ」
  ↓
「傘を持っていくべきだ」
でこの展開は「だから何?」「それで?」です。

「事実を眺めていても何も生まれない。意味合いを考える」
ということです。


「ファスト&スロー」

行動経済学の第一人者で
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、
人間には二つの思考があると指摘しました。

一つは早い(ファストな)思考で、システム1と呼ばれます。
これは直感的な思考です。

好き嫌いといった思考もここに含まれています。

それに対してシステム2と呼ばれる、システム1の後にくる
遅い(スローな)合理的な思考は、
適切に行えばよりよい意思決定に結びつきますが
努力も必要なため、多くの人は避けがちです。

ポイントは多くの人間が頼りがちなシステム1の直感的思考は、
バイアス(思考の歪み)にきわめて弱いということです。
 
ハロー効果:
 ある目立つ要素によって全体の印象が歪められてしまうバイアス

フレーミング:
 見せ方によって異なる印象を受けてしまうというバイアス。
  例:10万円と言われると高く感じるが、
    1日300円と言われると安く感じる。

プライミング効果:
 初期に得た印象に引っ張られてしまうバイアス

「直観に気をつける」が結論です。



「クイック&ダーティ」

どれだけ仮説検証マインドを持っていたとしても、
あまり検証に時間をかけすぎていては、
スピードが成功のカギとなりやすいビジネスシーンでは
取り残されてしまいます。

100%のクオリティを追うよりも
7割から9割方検証されたと確信できたらどんどん先に進めるべき
という考え方(多少粗くてもいいから、素早く)です。

 「時間や経営資源を有効活用する」が結論です。



「ORではなくANDを目指せ」
―「大勝するにはあえてトレードオフを打破すべし」

 (以下、―の後ろに示すのが
 その項の副題として示されているものです)

「すぐれた経営が大企業を衰退させる要因である」
 ―「自社のビジネス脅かす真の競合は誰かを理解する」

「CSVこそが競争優位につながる」
 マイケル・ポーター教授は、近年、企業の社会への貢献が
 競争優位性を築く上で非常に重要になってきたと述べています。

かつてのCSR(企業の社会的責任)とは異なり、
より能動的なCreating Shared Value(共有価値の実現)
でなくてはならないというのです。
 
CSVの基本(上野抜粋)
 価値はコストと比較した経済的便益と社会的便益
 企業と地域社会が共同で価値を創出
 (上野注:地域社会というのは大賛成です)

「神は細部に宿る」
 ―「細かなディテールにも気を配ってこそ戦略は実を結ぶ」
 →(上野)「千丈の堤もありの一穴から」と言います。

「人は見るまでその商品をほしがらない」
 ―「製品コンセプトの調査には限界がある」

「人の行動はほとんどが習慣」
 ―「選択肢に入らない段階で負け」
「フィードバックに過剰はない」
 ―「フィードバック不足の落とし穴を避ける」

「見て、感じて、変化する」
 ―「視覚と心に訴えかけることが、人が行動を変える上での鍵」

「人間はインセンティブの奴隷」
 ―「人間はインセンティブに想像以上に過剰反応して行動する」

「ビジネス数字は人間学」
 ―「人間の感情や行動をイメージしながら数字を見る」

「眼で考えよ」
 ―「グラフ化して直感的に考えることが大事」

「きれいすぎるデータには裏がある」
 ―「悪意のある数字は注意を凝らすことで見破れることがある」

「PDCAはあらゆるフレームワークを包含する」
この意味は、PDCAが最も基本となるフレームワークである、
というものです。

何をしようともPをして,Dをし、
その結果を分析反省し次につなげないとダメ
ということで、最低限度のmustだというわけです。

システム企画研修社の目的達成手法では、
業務機能としては、PDCAではなくPADSCであり、
Aを充実強化しなさい、と言っています。

AとはArrangementの略で,
Dを実行するために必要な準備をする機能です。

Aの対象は、人、物。金。システムです。

この成果次第でDの生産性が大幅に違ってくるのです。

「卵は同じ籠に入れるな」
 ―「ポートフォリオを組むことでリスクを下げる」

「NoというなHowと聞け」
 ―「頭ごなしの否定はNG」

「寿司屋とは、寿司で客寄せして酒で儲ける飲食店である」
 -「どこで損を出してもよくて、どこでしっかり儲けるのか」

「オレンジの皮か中身か」
 ―「同じものに対しても感じる価値は異なる」

「感情、規範、利得」
 人を説得するレバー(梃子)となるのがこの三つです。

 規範には、ねばならぬの大義だけでなく、
 美意識も含むのだそうです。
 相手を見て使い分けるということです。

「返報性と一貫性に注意せよ」
当書の記述スタイルを実感していただくために
この解説を単純引用いたします。
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返報性と一貫性は、ロバート・チャルディーニが
『影響カの武器』の中で示した6つの影響力のうち、
交渉や説得の場面で特に意味を持つ影響力です。
 
これを武器として用いる人間が多いので気をつけるべし、
というのがこの言葉の趣旨です。

返報性とは、人に何か施しを受けたら、
お返しをしなくてはいけないと考える人間の性向を指します。
「借り」がある状態は気持ちが悪いので
なるべく解消したいと考える人間の性向ともいえます。

返報性の怖いところは、「借り」が実在しない
架空のケースでもそれを感じてしまうことです。

「いやあ、上司を説得するのにかなり骨が折れましたよ」
などといわれれば、多くの人は
相手に「借り」を作った感じを抱くものです。
 
一方、一貫性とは、一貫した立場をとる人間と
周りから見られたいという人間の性向です。

コロコロいうことを変える人間は、
周りから信頼されないということに起因します。

一貫性も非常に強く人間の行動に影響を与えます。
 
返報性と一貫性を利用した有名な交渉術や
説得のテクニックが以下に紹介するものです。

1. ドア・イン・ザ・フェイス

これは返報性を利用した超有名テクニックです。
ここではAとBの交渉を考えます。

最初にAがBに対して過大な要求をします。

たとえば、「50万円の寄付をお願いします」といった感じです。

Bとしてはとても受け入れることはできないので、
「さすがに無理ですよ」などと答えます。

それを受けてAは、「では10万円でいかがでしよう」
などと要求を下げます。

Bは、Aが要求を下げてくれたことに「借り」を感じ、
多少その要求はまだ高いと感じていたとしても、
その条件を飲んでしまうのです。

往々にして、その下げた方の条件が、
もともとAが狙っていた条件かもしれないのです。

2. フット・イン・ザ・ドア

これは一貫性を利用したテクニックです。

ここでもAとBの2人を想定します。

今度は、まずAが3000円の寄付をBに募ります。
Bとしては、「3000円ならまあいいか」ということで気軽に応じます。

そしてしばらくしてからAはBにこういいます。
「Bさんは○○に非常に高い関心を持たれていますね。

すでに一度寄付もしていただきました。つきましては、
あらためて1万円の寄付をお願いできないでしょうか。」

気が強い人間であれば断ることもできますが、
ちよっと気の弱い人間であったり、
その寄付行為が別の人に公開されている場合には、
一度自分がとった立場を変えることを逡巡し、
相手の要望を受け入れてしまうのです。

そして徐々にエスカレートする相手の要求を断れないまま、
気がついたら数万円の寄付をしてしまう、
ということになってしまうのです。

3.ローボール

これも一貫性を用いたテクニックです。

このテクニックでは、まず、気軽に協力してもらえるような
要求を飲んでもらいます。

たとえば、AがBに対して、
「ちょっとブレストをしたいから、15分時間貸して」
というイメージです。

この程度であれば、安請け合いするでしょう。
 
問題はここからです。

「ところで、そのブレスト、土曜の朝でもいい?」
とAがいったとします。

Bとしては、土曜日は休みたいので、本来は断りたいのですが、
一度引きうけた以上、断りづらくなるのです。

これは、周りに人がいる場合より顕著になります。

そしてAはさらに畳みかけます。
「ところで、こういう資料も用意してもらっていいかな?」

もし最初に
「土曜日の午前中にブレストをしたいので、
資料を準備の上、15分ほど参加して」
といわれていたら断っていたかもしれないのに、
徐々に小さな要求を受け入れてしまったため、
最終的に大きな要求を飲むことになってしまったのです。

これらのテクニツクは、まずはこうしたものがある
というのを知っておくことが大事です。
 
そして、「来た!」と感じたら、
多少心に気後れする感じがあったとしても断固として断る、
あるいは、相手に質問を返すことで、
相手の不当性をえぐり出すなどが効果的です。

「みんなの意見は案外正しい」
 普通は、この反対を言う場合が多いので、
どういうことだろうと読んでみました。

このフレーズは社会心理学者ジェームズ・スロウィッキーの著書のタイトルを
そのまま用いたものです。
  
趣旨は、あるテーマに関して、ある程度の意見を持った多様な人間が集まると、
そこで生まれてくる平均的な見解は、
1人のエキスパートの意見よりも的を射ていることが多いというものです。

そういう面もあるでしょうが、衆愚となる危険性も大きいと思います。

 著者もその点について危惧し、
この仮説が成り立つ前提条件を挙げています。

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