2015年1月15日木曜日

やればできる!!箱根駅伝青学大優勝の奇跡??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 青学大箱根駅伝優勝の勝因を分析する。
 素人監督も没入すれば偉業を成し遂げられることを
 再認識していただく。
 
 10年計画で取り組む凄さと有効性を再認識していただく。

ねらい:
 地道な努力を行うことにチャレンジしましょう!

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青山学院大学が世間をあっと驚かせる形で、
箱根駅伝の完全優勝を成し遂げました。
その勝因につきましては、いろいろ言われています。

たいへん興味深い分析対象なので、
私もスポーツ紙を含む主要新聞の記事を参考に
その勝因分析に参戦しました。

1.基礎事実
(1)今大会の成績
 
1)総合成績
 ・従来の最高記録を2分以上も短縮し
  初の10時間50分を切る10時間49分27秒。
 ・2位とは10分50秒の大差。
  (2位に10分以上の差をつけたのは、
  1988年順天堂大の17分9秒差以来)
 ・11年に早稲田が初めて11時間を切った。

2)箱根往路の成績
 ・「新山の神」神野大地が1時間16分15秒
 ・神野選手は身長164センチ、体重43キロの小柄
 ・過去19分を切ったのは、
  初代「山の神」東洋大柏原選手を含む3人しかいない。
 ・柏原の記録は1時間16分39秒、これを24秒も短縮している。
 ・ 2位に4分59秒差をつけた。

3)各区間の成績
 ・10区間中往路2区間、復路3区間で区間賞をとった。
 ・ほぼ全員が一流選手ということ。

(2)青山学院大学(以下当大学)の陸上部の成績
 1918年 創部
 1943年 箱根駅伝初参加(11位)
 1976年 途中棄権
 2009年 33年ぶり参加22位
 2010年 8位 シード権獲得。以後シード権維持
 2011年 9位
 2012年 5位
 2013年 8位
 2014年 5位
 2015年 優勝(20回目の参加)

(3)原晋監督の経歴
 ・広島県三原市出身 47歳
 ・高校・中京大学時代に陸上で活動
 ・中国電力に入社し陸上部で実業団駅伝に出場
 ・いずれも目覚ましい成績はない。

 ・27歳で陸上選手引退し10年間某社で営業を経験
 ・ここでは素晴らしい成績を挙げた。

 ・2004年 高校の後輩当大学OBの勧めで陸上部監督就任

(4)原監督の監督就任時の大学に対するコミット
 ・「3年で出場、5年でシード権、10年で優勝争い」
 ・実績は
  5年めで出場、6年めでシード権、11年めで優勝
  出場が遅れた段階で大学側からブーイングがあり、
  廃部説も飛び交ったらしい。

2.勝因
 ・勝因と考えられる項目を縦軸にとり、
  それは誰の貢献かを横軸にとり表として整理しました。

 ・2位の駒大とは10分以上の差がついていますが、
  「これは往路5区の選手の故障が響いた、
  その「事故」がなく競っていたらどうなっていたか分からない、
  したがって、運もある」という説もあるようです。
 
  しかしここでは素直に、
  今回は実力勝ちだと認めて分析します。

 ・「誰か」は以下の3分類としました。
  原晋監督
  選手  
  大学 大学側も原監督の意見に従って
     原監督を信じて設備面等でかなりの貢献をしています。
 
 ・貢献度は私の判断で貢献大を◎、貢献ありを〇としました。
  
青山学院大学箱根駅伝優勝の勝因のまとめ

勝因
原晋監督
選手
学校
(組織)
1.10年計画での取組み

2.有望選手の獲得

3.設備・環境の整備

4.監督・選手の一体感

5.目標管理(月単位)

6.合理的トレーニング

7.選手の自立性・自主性尊重

8.選手のやる気

9.選手ののびのび感

10.キャッチフレーズ
   「ワクワク大作戦」





この表で一目瞭然ですが、
優勝は圧倒的に原監督の功績です。
以下、1項目ずつみていきましょう。

(1)10年計画での取組み
 ・原監督は、監督を引き受けた時に、
  10年間で優勝することを大学側にコミットしています。
 ・なんというスケールの大きさなのでしょう!!
  しかもそれをほぼそのとおりに実現したのです。
 
 ・任せた大学側もスゴイです。
  よく「外様」の監督に任そうという気になりましたね。

(2)有望選手の獲得
 ・どんなにすごい合理的なトレーニングをするとしても、
  素質がなければ優勝まではムリです。
 ・原監督は、青学陸上部が大した成果を挙げていない時から、
  高校を回って人材確保を行っているのです。
 ・その際、大学のネームバリュ―は得したでしょう。

 ・今回の主力選手はほとんど監督直々のスカウトだそうです。
 ・大学は、
  陸上部の推薦入学枠を増やすなどの措置をとっています。

(3)設備・環境の整備
 ・大学は、原監督の求めに応じて、
  寮・専用グラウンド・天然芝のクロスカントリ走路
  専用マイクロバス、
  トレーナ増員、水風呂設置
  などを行っています。
 
 ・たいへんな力の入れ方です。

(4)監督・選手の一体感
 ・監督は広島県住まいでしたが、
  監督を引き受けるに際して陸上部の専用寮に住み込みました。
 ・そうして奥様共々選手の「面倒」を見たのです。
 ・まさに「寝食を共にする」状態でした。
 
 ・その結果「和気あいあい」という雰囲気が生まれています。

(5)目標管理(月単位)
 ・選手は、記録会・練習・生活面の目標を記述し、
  監督と結果を確認する「目標管理」をしました。
 
 ・この仕組みは、一般にビジネス界で行われているものですが、
  これをスポーツの世界に持ち込んだのです。
 ・自分が目標を立てて、結果をレビューするという方法は、
  自己責任が明確になっていいでしょうね。

 ・ビジネス界よりもスポーツ界の方が成績が明快ですから
  やりやすいかもしれません。

 ・原監督語録
  「今できることの半歩先のことをコツコツと積み上げてきた結果だ」
  「やればできる」

(6)合理的トレーニング
 ・十分練習しているはずの選手でも、
  膝を痛めて脱落ということがあるのです。
 ・監督はまずは「故障を起こさない」ことを重視しました。

 ・体幹トレーニング、動的ストレッチなどを行い、
  ラジオ体操のような準備運動は廃止しました。
 ・高速訓練も重視
  (5000メートル・1万メートルの記録を競った)
 
 ・選手の特性を把握しての配置もしています。
  神野選手は、昨年は「花の2区」を走っています。
  神野選手の上り適性を見抜いたのでしょう。
  そして神野選手には上りの走りに向くように
  腕を大きく振る練習をさせています。

 ・2014年度の訓練スローガンは
  「最強へ向けての徹底」でした。

 ・原監督語録「根性と理屈は両輪」

(7)選手の自主・自立性尊重
 ・多くの運動部にありがちな
  「特訓」型、「根性」型、「頑張れ」型の
  一方的で厳しいトップダウン訓練ではなく、
  前掲「目標管理」を前提に選手の自己責任を明確にした
  「自主・自立性尊重の」練習方法をとりました。

 ・前掲のストレッチ、筋トレなどもそれぞれの選手が
  自発的に取り組んだようです。

(8)選手のやる気
 ・自主性を重んじればやる気も出てきます。
 ・復路の選手たちは、
  「往路のハンデで優勝したと言われるのは嫌だから」
  と言って奮闘・善戦しリードを広げました。

(9)選手ののびのび感
 ・監督は自主性を重んじ細かいことを言いませんから、
  選手はのびのびしてきます。
 ・運動部にありがちな固い身なりではなく、
  「チャラい」と言われるように自由です。

 ・他大学の選手は悲壮感を漂わせている中で
  特に復路の選手はほとんどが笑顔でした。
 ・「楽しもう」を合言葉にしたようでした。

(10)今年の試合のキャッチフレーズ「ワクワク大作戦」
 ・以上(4)から(9)の集大成がこれです。
 ・この言葉によって全てが端的に表わされ結実するのです。

ということで、私の勝因分析を要約すれば、
こうなります。
前掲表からも明らかなように、
なんと言っても原監督の力・努力の成果です。





















次に見逃してならないのは大学の支援体制です。
外様の原監督を信用して採用し、
種々の支援を行っています。

大学側が信じて支援することがなかったならば、
優勝はなかったでしょう。
廃部になっていたかもしれません。

ですが、ここ数年5位から9位をうろついていたのを、
一気に優勝に導いたのは
「ワクワク大作戦」の言葉の魔力ではないかと思います。

12年の出雲駅伝での優勝など
少しずつ地力を高めてきていました。
実力はつけてきていたのですから、
あとはそれをそのまま最高の状態で発揮できればよかったのです。
それを引き出したのがこの言葉です。

この言葉が蓄えてきた力を凝縮させ一気に噴射させたのです。

「ワクワク」は、
まずは「リラックスしていこう」という意味にとれます。

次いで「ワクワクする結果をゲットしよう!」
という気持ちを引き出します。 

結局、原監督を中心にした10年の積み重ねと
その集大成のキャッチフレーズ「ワクワク大作戦」が
優勝を導いたのだということになります。

原監督はスゴイ方ですね。
これだけの奇跡のようなこと成し遂げたのに、
気負わないし
かといって引っ込み思案の様子や物怖じする感じもなく、
たいへん好感のもてる方です。

となると、今回の優勝の黒幕は、
原監督をスカウトしたOBなのかもしれません。

追われる身になった青学はどうなるでしょう。
登りつめた後、落ちるのは慢心と有力選手の卒業です。

まず、現在の青学は、スターに頼るチームではありません。
「新山の神」以外にも区間賞の選手が多数いるのです。
今年の8人は3年生以下でしたから、
少なくとも来年は大丈夫です。

大学のネームバリューもあるので、
これからの新人も有望選手が途切れることはないでしょう。

慢心の方はどうでしょうか。
これは、原監督の手綱捌きいかんですね。

これだけの難題を片付けてこられたのですから、
原監督が監督である限りは大丈夫でしょう。
まだ47歳ですから、当分いけるのではないでしょうか。
来年の「ワクワク大作戦」が楽しみです。

【寄り道】
第5区の箱根登りコースは箱根駅伝最大の「山場」ですが、
その比重が高すぎるのではないかという意見が出ているそうです。

この10年間で第5区を制した10チームのうち7チームが、
総合優勝しているのです。

06年から5区の距離が20.9キロから23.2キロに伸びたことも
全体の中でのウェートを高めることになっています。

箱根駅伝の「見世物」としてのアピールには
うってつけなのですが、
そもそも箱根駅伝は「日本のマラソン能力を高めよう」ということで
金栗さんが始めたことからするとどうなのか?
という意見なのです。

「山の神」たちがマラソンで好成績を上げていない、
マラソンにはそんな坂はない、とかも
その説の加担になっているようです。

来年どうなるか、この点も楽しみです。

1 件のコメント:

  1. 青学の勝因をこんなに詳しく分析しているのは凄い!私も箱根
    駅伝のファンでして、毎年1月2日の朝は京急青物横丁駅付近で選手を応援します。今年は各大学の選手が一団となって走り抜けたので、青学の選手がどこにいるのか分かりませんでした。

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