2013年11月26日火曜日

「ありえない決断」ってどんなことがあった?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 
 経営を大きく変革した経営者の決断の例を知っていただく。

ねらい:
 発想法を強化していただく。

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「ありえない決断って何だろう?という興味本位で
「ありえない決断」は米国フォーチュン誌の編集部が
書き下ろした書籍です。

「ありえない」は書名の常とう手段の誇大表現で、
正確には経営を変えた偉大な決断とでも言うべきものです。

全部で18例が紹介されていますが、
私の独断でその中から11例を以下の表にしました。


ありえない決断の事例一覧(抜粋)

時点と決断企業

内容


1996

アップル

スティーブを呼び戻す

有名なことであるが、誰かの決断ではない。

1982

ジョンソン・エンド・ジョンソン

株主より顧客を優先

市販頭痛薬に何者かに毒物を混入された際、全量回収と不正開封防止機能の導入をした。

1948

スリーエム

技術関連従業員に夢想の時間を与える(15%)

そこから」ポストイットが生まれた。

1991

インテル

「インテルインサイド」のキャッチフレーズ

一瞬で思い付いたアイデアではない。

1961

トヨタ

デミング博士の指導を受ける

正確には「教えに従って徹底的に実践した」

1993

タタ・スティール

斬新な人員削減の敢行

一切解雇をしなかった優良企業の苦渋の決断

1952

ボーイング

707に社運を賭けた

国防産業から民間航空機業界にシフトするため、受注の当てはないのに民間用ジェット技術に投資した。

1993

IBM

ベアハッグ作戦

ITの素人ガースナーが考えたお客様密着作戦で、この成果が現在の世界一のサービス提供会社である。

1962

ウォルマート

土曜日早朝ミーティング

関係者全員が集まって情報共有した。週末の売れ筋を逃さないことに貢献した。

1957

HP

利益より信頼を優先する「HPウェイ」

従業員の信頼を大事にするのが第一で解雇はしなかった。その後2人の創業者が亡くなったが、この「ウェイ」は生きている?

1914

フォード

従業員の賃金の倍増

これにより購買力を挙げて車を買ってもらった。歴史上最大の決断と称賛されている。

 
それぞれ「ありえない」は言いすぎにしても、普通ではそういうことをしないという「逆張り」ではあります。

経営者の参考になるでしょうが、
読み物としても興味深いものです。

この中でも、最大の「ありえない」はフォードが、
まだ車が一般化していない時期に従業員の賃金を倍にして、
消費を喚起し車を販売したというものです。
これこそありえない決断です。

現在の日本で、
デフレ脱却のために給与を上げてほしいと
安倍総理が言っているのはこの原理です。

給与を上げれば日本経済が活性化して
消費財だけでなく生産財も売れるようになります、
という主張ですが、
保守的な経営者はなかなか乗ってくれません。

朝日新聞の11月10日前後の調査(24日の朝刊の記事)
(対象は主要企業100社)だとこうなっています。、

増えてきた利益をどこに振り向けるかの回答
 設備投資      53社
 従業員への還元  52社

52社の内、「ベアを検討する」のは4社のみで、
あとは一時金での対応が12社、
残りは従来型の業績連動での一時金対応
(特別な対応はしない)ということのようです。

日本の経営者は、
なかなかヘンリー・フォードにはなれません。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

日本の経営者の決断で有名なのは、松下がコンピュータから撤退した決断と、本田氏が水冷エンジンを諦め空冷エンジンにすることを許可し、社長の座を降りた決断などが思い浮かびます。
やはり決断には、信念が必須のようですね。