【このテーマの目的・ねらい】
目的
やなせたかしさんを追悼する。
アンパンマンの魅力を分析する。
ねらい
処世訓を考えていただく。
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アンパンマンの原作者やなせたかしさんが、
2013年10月13日に94歳の人生を終えられました。
名曲「手のひらに太陽を」の作詞家でもあり
作詞者としても一流でした。
氏はば晩年「詩とファンタジー」という季刊誌を
責任編集されていました。
最後となった10月発刊の号で、
以下のような二つの巻頭誌を
お得意の漫画イラスト付きで書いておられます。
チャーリー 注;チャップリンのこと
チャーリーの
古い昔の
コマ落としのリズムで
ぼくの人生喜劇
シリーズ
ついに全巻の終り
これからはじまる
チャーリーみたいな
自作・自演の
おわかれコンサート
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死ぬほど面白がらせて
みせるから
天命
見おぼえのある
絶望の岸
ここまで何度か
追いつめられ
助からないと思ったが
奇跡的に
九死に一生
なんとか
生きのびてきた
生きとしいけるものには
天命がある
もはや
無駄な抵抗はせぬ
ゼロの世界へ
消えていくでござる
拙者覚悟は
できているから
あせらず
しばらく
お待ちくだされ
完全に死を覚悟された記述です。
この号が発刊されたのは
氏が亡くなられた次の日くらいでした。
氏はガンを患ってはおられましたが、
死因は心不全ですから
最期は言わば急逝でしょう。
よくもまあ絶妙のタイミングで
お書きになられたものと感心します。
氏は1941年(昭和16年)に徴兵されて、
野戦重砲兵として日中戦争に出征されました。
主に暗号の解読に携わったり、
宣撫工作に携わり、紙芝居を作って地元民向けに演じたりされ、
実際の戦闘に加わった経験はありません。、
一度も敵に向かって銃を撃つことはなかったのだそうです。
(Wikipedia)
ですがかなりの飢えを経験され、
それが、アンパンマンが空腹の人(キャラクター)に
自分の顔のあんパンをちぎって与えるという
ユニークな発想に繋がったのだそうです。
アンパンマンは、
73年に発表され(今年で満40年です)、
テレビアニメ「それいけアンパンマン」は
1988年から始まっています。
25年の歴史があるのですね。
私の初孫は9歳になりますが
何年間か「それいけアンパンマン」の大ファンでした。
今は同居の孫娘が大ファンで、
テレビだけでは足りずに、
毎週ビデオやに行って数本ずつ借りて見ています。
アンパンマンを観賞している時は、
ずっと集中して画面を食い入るように見ていて
何か話しかけても聞こえません。
私もときどき一緒に見ているのですが、
大人が見ても楽しめます。
小さい子がテレビを見る時は大人が一緒のはずですから、
大人も楽しいということは長続きの条件でしょうね。
何が楽しいのか、少し分析してみました。
まずは登場キャラクターです。
正義の味方アンパンマン
困っている人を助ける
悪物を退治する
顔が汚れたり、顔をちぎっていたりすると
「力が出ない」で悪者にやられるが
顔を取りかえると「元気百倍!」悪者をやっつける
お腹がすいている人にあんパンを差しだしますが、
決して自分は食べません。
アンパンマンが食事をするシーンは1度もないそうです。
みんなが食べるのをやさしく見守っています。
悪者バイキンマン
凄いマシンを作る天才なのだが、間抜けでドジ
途中まではアンパンマンを追いつめるが
最期は負けて「バイバイキーン」のセリフで消えていく
憎めないキャラです。
悪者なのに子どもたちにも人気です。
ドキンチャン
可愛いキャラです。
バイキンマンと一緒に住んでいますが
どういう関係か不明です。
兄弟でもない夫婦でもないのですが、
バイキンマンはドキンチャンにはまったく頭が上がらず
女性が強いカップルを模しているようです。
2人のやり取りが絶妙で
ここが大人にも受けるところです。
「わたしを誰だと思っているのよ!!」
「ハイはい分かりました」
というようなセリフがよく登場します。
アンパンマン仲間のショクパンマンに恋していて
バイキンマンとアンパンマンの戦いで
バイキンマンの邪魔をして波乱を起こします。
他のキャラは常連メンバの他に、
臨時の主役キャラがつど登場して興味をつなぎます。
キャラの数の多さはとてつもないもので
2009年7月にその数(種類)の多さ1768体が
ギネスに認定されています。
主役たちがお互いがどういう関係かはほとんど不明です。
それが、ストーリ展開の自由度を確保することに
貢献しているのでしょう。
そういう中で姉妹とはっきり分かる関係が
2組あります。
ドキンチャンの妹コキンチャンと
メロンパンナちゃんのお姉さんロールパンナです。
ですが、この二組とも離れ離れに暮らしています。
メロンパンナちゃんがお姉さんに会いたがるのも
全編を通じた一つのテーマになっています。
全編の主テーマは、言わずと知れた
アンパンマンとバイキンマンの戦いです。
バイキンマンが知恵を絞って
悪行をするいろいろなマシンを作って闘います。
この変化が楽しいのです。
ですがこの戦いの中で1人も死者はでません。
西部劇テーマで、
おなじみガンマンの決闘シーンがあるのですが、
正義の保安官が早撃ちで勝ちます。
ですが、弾は銃弾ではなくカレーで
黄色いカレーが相手の顔に当り
相手は何も見えなくなって負けるという笑える展開です。
戦いの中でも必ず笑えるシーンが登場することが
緊張一辺倒でなく、人気の秘密かもしれません。
キャラが一旦死んだようになっていて
見ている子供たちに心配させますが、
よみがえるというシーンもあります。
ということで、
やなせさんがすべての脚本を作っているのではないでしょうが、
やなせさんの人生哲学、的確な人間社会の洞察が
大人も子供楽しめる作品になっていると思われます。
その意味で哲学のない興味本位・迎合主義の作家とは
一線を画す素晴らしい作品であり作者です。
後継者はおられると思いますが、
アンパンマンはこのあとどうなるのでしょう!!
やなせたかしさんのご冥福を心からお祈りいたします。
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