2013年5月28日火曜日

「7日間で突然頭がよくなる本」ですって?

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 頭はどうすればよくなるのかを考えていただく。
 哲学概念のコンパクトな解説書を知っていただく。
 頭のよい著者がどうやって読者を騙そうとするかの
 テクニックを知っていただく。
 (そのためには原著を読んでいただかないと
  ダメかもしれません)

ねらい
 誇大宣伝の本に興味を持っていただく。
 誇大宣伝の本を読まないようにしていただく。

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この本はいつもの日経新聞の書評からではなく、
一般紙の広告から見つけて読んでみました。

「そんなわけはないだろう!
またまたいい加減な出版社の誇大宣伝だ。
でも、どんなことを言っているのか読んでみよう」
という動機でした。

当書の著者名の上に「哲学者」と入れているのも珍しく、
際物っぽい感じです。

ところが内容は極めてまじめなものでした。
著者は、とてもいい顔をしておられる小川仁志さんという
京大法学部卒の43歳の博士(人間文化)です。

哲学者と称するだけあって、
哲学の歴史等には精通しておられて
「知っておくべき哲学概念10項目」「追加の20項目」の
選定とその解説は、
素人にも分かりやすいなかなかのものです。
あらためて勉強になりました。

小川さんの主張する7日間の勉強はこういうものです。

1日目 社会のことを知らないと物事の本質は見えない
     (そのとおりです。小川さんはよくご存じです)

2日目 頭がよくなるためのボキャブラリーを増やそう!
     (ボキャブラリーというより概念です。
      ここで主要哲学概念の紹介が登場します。
      よく整理されていて、分かりやすく解説されているのは
      大感心です)

3日目 頭がよくなるための論理パターンベスト10 
     (2日目に登場したベスト10の丁寧な解説です)

4日目 先ずは100通りの物の見方で頭をほぐそう
     (100は誇張で、物の見方を変えよう、
      常識を疑おう、というお勧めです)

5日目 言葉の家族、仲間、敵を探そう
     (事象の分類整理法の紹介です。
      KJ法的な方法を解説しています)

6日目 論理的に話せない人へのとっておきのアドバイス
     (これは誇大宣伝です。小川さんのお勧めは
     グループに分ける→哲学概念を使って整理する→
     1文にする。
     1文にする際には、英語の文型を利用しましょう、
     ということです)

  かなり難しくなってきました。
  論理的に話せない人が、
  このような論理的なアプローチができるのでしょうか。

     
7日目 一言でキャッチーに表現するためのコツ
     (言い切り型、体言止め型、ショック表現型、造語型、
      謎かけ型、極論型の7つだそうです)

  私のブログのタイトルの付け方には
  たいへん参考になりますが、
  頭を突然よくしようという人にはどうでしょうか。

そもそも「頭がよくなる」ということは、
今は頭がよくない人へのアドバイスだということです。

俗に言う頭の良し悪しには二つあります。
1.いわゆる地頭の良し悪し
  頭のできを言います。
  IQ等はその測定法の一つです。

2.知識の豊富・不足
  勉強して物事をよく知っているかどうか。
  何も知らない人を「バカ」と言いますが、
  その人は地頭が悪いとは限りません。

2の頭がよくないと思われている人には、
本人にその気があって、お勉強の方法を教えれば
「頭がよくなる」でしょう。

ところが、普通に頭がいいとか悪いとか言う時は、
1.を指しています。

その意味で頭が悪い人が
この本に書いてあることを読んで理解でき、
実行できるとはとてもとても思えません。

その面ではまったくの誇大宣伝で、
医薬品であれば薬事法違反で引っかかるものです。

しかし、地頭は悪くないけれども
あまり物事の整理法とかを知らない人が
知識として勉強するにはとてもよい本です。
おこがましいですが、私もたいへん勉強になりました。

この本の誇大広告部分は、
「突然」と「7日間」という「キャッチー」です。
どう考えても「7日間」で「突然」はありえないでしょう。

何か開眼ということなら突然はありうるでしょうが、
この世界で、突然は考えられません。

類題で考えてみましょう。
7日間で突然美人になる、だとどうなりますか。

もともと美形の人なら、
化粧の仕方を改革すると、突然美人になる、
ということはあるでしょう。

そうでない人は整形をすれば、
成功すると「7日間で突然美人になる」があるでしょうね。

外形・見かけの問題は楽なのです。
7日間も突然もあり得ます。

しかし頭は「突然」とか「7日間」というのは
どんなに方法を考えてもムリですね。

それでもこの本が売れているのは
どういうことなのでしょうか???
誰が騙されているの?

1 件のコメント:

  1. 自称哲学者なのに、論理思考から抜け出ていないのは残念ですね。ダニエルピンク著の「ハイコンセプト」によれば、アメリカでも大企業のMBA採用が減少し、今はMFAの時代に入っているそうです。
    論理思考から、時代はイメージ思考に変化しつつあります。
    前者は、演繹と帰納法ですが、後者は、具象化と抽象化です。
    今の時代は、この具象化と抽象化を身に着ける人が、「頭がいい」のだと思います。
    しかし、これは、日本文化の基底となっている考え方です。
    ということは、これからは、日本人が「頭のいい」時代になったということが言えると思いますがいかがでしょう?

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