東日本大震災の一連の被災に関しては、
「想定外」が乱発されています。
なぜ想定外が、そんなに多いのでしょうか。
一般の市民たちは疑問に思っています。
今の状況では、今年の流行語大賞になりそうですね。
そこで、その疑問を探るべく
リチャード・S・テドロー教授の
「なぜ、リーダーは「失敗」を認められないのか」
を読んでみました。
副題に「現実に向き合うための8の教訓」
と付いています。
と付いています。
原題は単に「DENIAL」(否定、否認)
のようです。
のようです。
哲学嫌いで、
具体的なHowto(処方箋)好きの日本人読者向けに
出版社がこの副題を付けたのでしょう。
当書の訳者は、否認のことを、
「不愉快な現実に対して本当ならひどすぎる、
だから本当のはずはない
と考える無意識の心の働きだ」
と考える無意識の心の働きだ」
と注釈しています。
「想定外」は
「そのことが起きるかもしれない」ことを
否認しているのです。
否認しているのです。
当書の真骨頂は前半の著名企業の
具体的な失敗物語・成功物語で、
具体的な失敗物語・成功物語で、
これはなかなか興味深いものがあるでしょう。
当書の後半に、
「現実に向き合うための8の教訓」として
以下の8項目が挙げられていました。
1.否認に立ち向かうのはまさに今、今日この日である
危機を待っていてはいけない。
2.事実を無視したり、否定したり、理屈をこねたり、
ねじ曲げたりすることが、
その残酷さを和らげたりはしない
その残酷さを和らげたりはしない
3.権力は人を狂わせる
4.最高意思決定者が聞く耳をもつ
5.真実を語る
6.長期的な視野に立つ
否認と近視眼的な考え方には密接な関係がある
7.相手をバカにするのは、否認の徴候である
すべきでないことをしている人は、
その呼び名を変えようとする傾向がある。
8.たいていの人間は、たとえ間違っていようと、
過去の常識にしがみつこうとする
この「教訓」はランダムに並んでいて、
全体像が掴めません。
そこで、分析・整理好きの私が、
以下のように多少整理してみました。
1.否認の状況について
・たいていの人間は、たとえ間違っていようと、
過去の常識にしがみつこうとする
・相手をバカにするのは、否認の徴候である。
2.否認が起きる原因
・権力は人を狂わせる
(上野注「成功は人を狂わせる」や
「過信は人を狂わせる」など
「過信は人を狂わせる」など
他にも多数ありそうです)
3.否認への対応原則
・否認に立ち向かうのはまさに今、今日この日である
・事実を無視したり、否定したり、理屈をこねたり、
ねじ曲げたりすることが、
その残酷さを和らげたりはしない
その残酷さを和らげたりはしない
(だから否認をやめろ!)
4.否認の対策
・最高意思決定者が聞く耳をもつ
・真実を語る
・長期的な視野に立つ
こうしてみると、
否認をテーマに展開したことはよい着眼ですが、
「教訓」としては
どの項目も物足りない感じがします。
どの項目も物足りない感じがします。
そこで、もう少し突っ込んでみることにしました。
(とは言うものの、これでもまだ不十分の感じです)
1.否認の発生原因
人間はなぜ否認したがるのでしょうか。
それは訳者の言葉を少し補強すると
以下のようになります。
以下のようになります。
こうあってほしいと思うからだ。
だから、そうなってほしくないことを否定する。
都合のよい方の情報を信ずる。
都合の悪い方を否定する。
そうするのは、それが有利で楽だからです。
これが否認の原因のすべてで、極めて単純です。
そんな地震は起きるわけがない。
そんな津波は来るわけがない。
自分がガンのわけがない。
(超常現象を否定した早稲田大学の大槻義彦元教授)
「そんなことがあるわけがない」
「我々が知っている科学で説明ができない、から」
(これは笑止千万の論理です)
2.否認を避ける対策
否認の原因がそういうことだとすると、
これを覆すのは容易ではありません。
「どうやって日本の80年代のバブルを見抜くのか、
あるいは、
数年前のサブプライムローンの脅威を見抜くのか」
を考えてみれば分かります。
2-1否認を避ける対策 状況その1.
「ことが続いている時、あるいは調子がよい時、
それがいつまでも続くと思ってしまう」場合
本書での否認回避の成功例は、
すべて危機的な状態が背景になっています。
この場合は過去を否定するのも容易です。
具合が悪い時、
逆境の時は誰しも何とかしようと
現状を否定するでしょう。
現状を否定するでしょう。
これが成功するかどうかは能力と運です。
むしろ良い時に「待てよ、これでよいのか?」
と問題意識を持たなければなりません。
それが否認回避の入り口です。
その入り口はどうすれば開くのでしょうか?
「奢れるもの久しからず」
「栄耀栄華は続かない」のです。
「栄耀栄華は続かない」のです。
「事業ライフは30年」とも言います。
まずは、トップがそのような哲学を持っていること、
でしょう。
でしょう。
上掲の「長期的な視野に立つ」は
このことに関係あります。
このことに関係あります。
私を含めて
“超”楽観主義者はトップとしてダメでしょうね。
“超”楽観主義者はトップとしてダメでしょうね。
状況その1の否認回避の入り口の2番目は、
「情報収集マインド」です。
日ごろから本書で言う「聞く耳を持つ」
ことが必要です。
ことが必要です。
社外へ出て人の話を聞くことなどが有効です。
商工会議所とか、
経営者の集まりをバカにしてはいけません。
そこから多数のヒントが得られるのです。
そういうセンスのない方は
経営のトップをやってはいけません。
社外に行く余裕がないトップなら、
少なくとも、
信頼する人の助言が得られるようにすべきです。
信頼する人の助言が得られるようにすべきです。
裸の王様にならないように、
そういうスタフを置かなければなりません。
本書で勧める、
部下が「真実を語る」ことも対策としてありますが、
上司に聞く耳がなければ無効ですね。
状況その1の3番目の否認回避の入り口に
「皆がそうだと言っていることを疑う」
があります。
これも成功しているトップの行動です。
「皆が反対することでもやる」
日本経済新聞の「私の履歴書」で紹介された例でも
宅急便を始めたヤマト運輸の小倉昌男元社長、
日本で初めての本格的なコンビニを始めた
セブンイレブンのの鈴木敏文元社長
があります。
お二人とも、
このビジネスは必ず成功するという信念を持ち
社内の猛反対を押し切って
そのビジネスを始めておられるのです。
2-2否認を避ける対策、状況その2.
「ことが起きたときに[大したことではない]
と影響を小さく見てしまう」場合。
リコール問題などの例がこれに該当します。
この対策には、まずは、
「ものごとを嗅ぎ分ける鋭敏な感覚を持っている」
ことが必要です。
これはやはり資質でしょうね。
もう一つは「現場を知っている」ことです。
現場を知るには、
前掲の2番目の「情報収集マインド」が必要です。
2-3否認を避ける対策 状況その3
「将来予測で、発生可能性を低く見てしまう」場合
今回の原発事故が、これに該当します。
これは、
基本的には科学的な予測能力が関係してくるので、
単に予測者の判断の問題だけではありません。
その時点の科学の限界は認めざるをえません。
しかし、多くの薬害事件では、
その時点で予測できたはずという判決が出ています。
当事者たちは「甘く見ていた」
ということになります。
ということになります。
福島第1原発での問題で言えば、
予備電源の発電機の収納建屋を、
完全防水状態にしなかったことが
問題を引き起こす直接原因となりました。
これは、明らかに手抜きです。
と言いますのは、
その後に建設された福島第2原発以降では
その後に建設された福島第2原発以降では
完全防水状態になっているのです。
それなら、
遡って第Ⅰについても改修すべきだったのです。
遡って第Ⅰについても改修すべきだったのです。
明らかに、その間の対応に矛盾があります。
状況その3に対する対策として、
法医学者であった父上野正吉の遺訓を
ご紹介させていただきます。
ご紹介させていただきます。
鑑定は自らの学識経験に基づいて
何者にも拘束されず
ただ一つ己の良心に忠実に
科学的な判断を下すものである
法医鑑定の場合は、おおざっぱに言えば、
白か黒かの判断をすることになります。
その場合に予断を持って
鑑定作業を行ってはいけない、
鑑定作業を行ってはいけない、
自分や誰かにとって都合がよいとか
悪いとかを考えてはいけない、
悪いとかを考えてはいけない、
ということを言っているのです。
逆に言えば、
(科学的判断のはずですが)
予断で歪むリスクがかなりある
予断で歪むリスクがかなりある
という警告をしているのです。
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「これでよいのか?」という問題意識を持ったら
次のステップに移ることは容易です。
ここから先は、ビジネスなら事業分析の世界で、
事業環境の分析手法、
競合の分析手法も専門家も多数存在します。
競合の分析手法も専門家も多数存在します。
コンサルタントなどの専門家も多数います。
個人の問題なら、
専門家を訪ねる、
専門書を研究する。
客観的な事実を整理する、
できればその結果について第3者の評価を受ける、
というようなことをすればよいのです。
結局のところ、
過去のことの原因を追求するなら、
その時に、どのような「否認」の動機があったのか
を探求すれば状況が解明できるでしょう。
あるいは今、
相手が不当と思える否認をしているのであれば、
相手が不当と思える否認をしているのであれば、
なぜ、そのような発言・行動をするのか、
を探ることです。
を探ることです。
その人にとっていかなる「有利性」や
「楽」があるのだろうか、
「楽」があるのだろうか、
と考えて対応策を練ればよいでしょう。
というようなことかと思われます。
この項は読み返してみて歯切れが悪いですね。
申し訳ありません。
現在体調不良ですので、
体調のよい時に再チャレンジさせてください。
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