目的:
植物って何だろう?動物って何だろう?を
再確認していただきます。
死とは何かについても少し分かります。
ねらい:
関心ある方は、本書をお読みください。
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ねらい:
関心ある方は、本書をお読みください。
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本項は、植物学者稲垣栄洋行農学博士著「植物に死はあるのか」
本書は植物に関する基本的な問いに
丁寧に面白く答えてくれます。
その記述は小説家はだしで、
なぞの生徒からの「質問」に答えていく形で展開されます。
以下にその主要な解説をご紹介します。
その1 動くかどうか
植物は土地に留まり動かない。
動物は自由に動き回る。
植物は土地に留まり動かない。
動物は自由に動き回る。
例外があります。
動かない動物もいるのです。
サンゴは全く動かないが動物、
イソギンチャクは普段は岩に張り付いているが、
移動もできる動物である。
その2 植物の本質
植物は葉緑体を持っていて光合成を行って生命を維持する。
動物は他の生物を食べて生命を維持する。
例外があります。
動物である「ウミウシ」と「ミドリアメーバー」は、
体内に葉緑体を持っている。
その3 再生能力
植物は栄養繁殖(部分からの再生)ができる。
動物は栄養繁殖ができない。
栄養繁殖の例は、挿し木です。
栄養繁殖で生まれた新植物は元の植物のクローンで
遺伝子は同じです。
例外があります。(上野の調査)
ミミズ、とかげ、やもり、➡しっぽ切り
イモリ➡しっぽだけでなく手も再生する。
カニ,蜘蛛➡アシ切り
これらの場合は、切られたしっぽ側は再生せずに、
本体の方のしっぽ等が再生するのです。
ですから、植物と同じ栄養繁殖とは言えないようです。
動物と植物を分ける主な特徴は以上のようにあるのですが、
すべてグレーの部分があるのです。
本書では、そもそも動物とは何かの定義がされていません。
前掲その2で「光合成を行って生命を維持する」のが植物である
としていますが、
「動物である「ウミウシ」と「ミドリアメーバー」は、
体内に葉緑体を持っている」
と解説されています。
ここで「動物であるウミウシ」というときの
「動物である」とは何を指すのか解説はされていません。
(ただし、「植物には脳がない」という記述はありますが、
定義としての解説ではありません)
私は、以前から以下の区別を認識していました。
その4は上野説です。
その4 生命体全体のコントロール機能の有無
植物はその生物体全体をコントロールする機能を持っていない。
動物は持っている。
植物は、各部分(根、茎、枝、葉、花)が勝手に成長している。
(だから、栄養繁殖もできるのです)
動物にはその生物体全体をコントロールする脳神経系の組織があり、
各器官を動かしている(動物が動けるのはそのためである)。
動物は脳神経部分を損傷すると死にます。
(ただし、イモリは脳の一部を損傷しても再生するそうです。
残念ながら、この説にも例外があるのです)
生物を動物と植物の二つに分ける「二界説」では大雑把すぎるということで、
1)植物
2)動物
3)キノコのような多細胞の菌類
4)大腸菌のような単細胞の真核生物
5)バクテリアのような原核生物
の五界説や六界説、八界説があるそうです。
3)~5)は物理的な定義ですから明確ですが、
植物・動物という区分は、学術的にはムリがあるのではないでしょうか。
もともと生物は環境に適合して進化してきたのです。
植物とか動物というのは、人間が勝手に区別をしているのであって、
生物自体は、自ら植物や動物を選択しているのではないのです。
したがって、グレー部分があるのは当然なのでしょう。
せっかくですから、
動物と植物の違い以外に、興味深い本書の解説を以下にご紹介します。
1)木と草はどちらが進化形か
実は弱そうな草なのです。
木は、
大きく強いのですが倒れて死ぬとか、種子によって種を維持するという
容易ではない(果実を動物に食べてもらって伝播するなど)
リスクがある。
1世代が長い(数年から数百年)ということは、進化のスピードも遅い。
草は、果実とかによらず、花粉を風に乗せて運ぶ、
ほとんど単年性なので進化も早い、ということで
草が生まれて種族の維持を強化している。のだそうです。
2)植物に死はあるのか
単細胞生物は、細胞分裂を繰り返しているので死はない、と言える。
植物の種族維持法には、種子繁殖と栄養繁殖がある。
種子繁殖の場合は、その個体はいつかは死ぬ。
種子により種族の維持を行っている。
これは動物も同じである。
しかし栄養繁殖の場合は、
根や茎からいくらでも増殖していくことが可能である。
この場合はその植物に死はない。
ヒガンバナは、縄文時代に日本に渡来したとされている。
ヒガンバナは、種子を作ることはできないで、球根で栄養繁殖して
そのクローンが未だに生きているのである。
結論は、死ぬ植物と死なない植物がある、ということである。
人間が品種改良して創った種無しブドウや種無しスイカは、
栄養繁殖によって育成しているのです。
3)死とは何か
死は、生物が種として環境に対応して生き延びるために
生み出した仕掛けである(世代交代しないと進化はない)。
生物の細胞の染色体の中に「テロメア」という部分がある。
テロメアは染色体の両端にあって、
染色体の中のDNAを保護する役割を持っている。
このテロメアは細胞分裂をするたびに短くなっていく。
テロメアが限界を超えて短くなると細胞分裂ができなくなる、
すなわち死を迎える、ことになる。
ということでした。
これらの解説は、面白いですよ。
ご関心ある方は是非本書をお読みください。
1 件のコメント:
テロメアはほぼ24時間で1分子のATPをADPに換えてエネルギーを得ているんだって!1個と数えた人も凄いね!(英章)
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