2023年5月23日火曜日

「心の病の脳科学」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「心の病」の研究進展状況を確認いただきます。
 何かご参考になることがありましたら幸甚です。
ねらい:
 やはり「心の病」は難しいテーマですね。
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この件名は、2023年2月刊行林朗子、加藤忠史氏著の書名です。
病の探求をしてきて、とうとう心の病にまで到達してしまいました。
しかし、皆様の身の回りでも、(「も」に着目してください)
ガンよりも心の病を患っておられる方の方が
多いのではないでしょうか。

心の病は重いテーマです。
この病の克服に取り組んでおられる先生方は偉いですね。
本書は、
12人の先生方がご自分の得意分野について解説をされています。

「はじめに」にはこう書かれています。

現代社会は「ストレス社会」とも呼ばれ、
私たちは多くのストレスを抱えて生活しています。
競争社会、管理社会、高齢化社会、情報化社会、・・・というように、
ストレスは雨のように降ってきます。
この状況に連動するように、
心に起因する社会問題はますます深刻化しています。
最新の疫学データによれば、精神疾患、
つまり「心の病」に一生涯のうちに一度でも罹患する確率は
80%だそうです。
私たちにとって一大事のこの病は、もはや他人事ではありません。

精神疾患には多様な種類があり、その要因も症状もさまざまです。
たとえばストレスがなくなれば精神疾患が治る
という単純なものでないことも多くの方を苦しめています。

そのような中、
質の高い心豊かな生活を送るためにはどうすれば良いでしょうか。
それには、「心の病」を生み出す「脳」に対する正しい理解と、
それに立脚した共感と思いやりのあるコミュニケーションを介して、
人々が互いに調和しながら進むべき道を柔軟に模索していく
必要があるのではないか
――脳を研究している私たちは、そのように考えています。
人が人の脳を正しく理解する「脳リテラシー」こそが、
「心の病」の予防や治療への鍵になるはずです。
中略
多くの精神疾患は、適切な治療によって、
少なくとも一部の症状は改善、もしくは完全に治りうるものです。
そのためには、
正しい理解に基づいた自己理解および周囲のサポートが
必要となります。
本書が脳リテラシーの一助となれば幸いです。   林朗子
 (理化学研究所脳神経科学研究センター 
           多階層精神疾患研究チーム チームリーダー)
上野注:そんな研究組織があるのですね。
 優しい文章だな、と思って読んでいましたら書かれたのは女性でした。

私としての「収穫」は、このとおりでした。
1)うつ病について
 日本人の6%がかかっている。
 環境要因が大きく、その中でも慢性ストレス要因が大きい。
 なかなか完治しない(美智子妃殿下がその例)。
 うつ病では脳細胞は死滅しない。

2)発達障害について
 日本の学童・生徒の9%が該当している。
 根本原因は分かっていない。
 人見知り傾向とかがあり、治すための「療育」が困難である。


各章はそれぞれの先生が
分かりやすく解説してくださっています。
しかし皆様は、そのテーマの結論を知りたいと思われますので、
以下、私が適当に要約を作成しました。
違っている部分があるかもしれません。
疑問に思われましたら、本書をご覧ください。

章名・著者

概要

第1部「心の病」はどこから生じるのか

1.シナプスから見た精神疾患

 林朗子著

シナプスの機能のあり方がかなりの精神疾患(主に統合失調症)に影響している。その状況の解明も進んでいる。

2.ゲノムから見た精神疾患

 久島 周・名古屋大学医学部病院講師著

精神疾患でも遺伝要因が大きいものと環境要因が大きいものがある。遺伝要因が大きい疾患についてゲノムの探索が行われている。ゲノムを構成している塩基配列は99%は皆同じで、1%だけが他人と異なる。違うポイントは1000万以上ある。

一つ一つのゲノムの差では大きな発症との関係が大きくないので。組み合わせによる発症リスクが研究されている。その成果は上がってきているが、ゲノムの異常が原因と分かっても、目下のところ、ゲノムを修正する技術が開発されていないので、根本治療はできない。

3.脳回路と認知の仕組みから見た精神疾患

 那波宏之・和歌山県立医科大学教授著

脳には異なる機能を果たす領域が最低でも1000か所ある。その間をつなぐのが脳回路である。脳回路の異常が障害を発生させていることは一部分かっているが、実験の困難性などからほとんど解明が進んでいない。

 


第2部 脳の変化が「心」にどう影響するのか

4.慢性ストレスによる脳内炎症がうつ病を引き起こす?

 古屋敷智之・神戸大学大学院教授著

うつ病は、日本人の6%がかかっている。環境要因の影響が強いと言われている。抗うつ薬は3割の患者に効かない。慢性ストレスがうつ病を引き起こす状況は確認され、その原因状況も解明中である。うつ病患者は脳の一部が退縮しているが、神経細胞の死ではなく樹状突起が縮にでいるのである。(上野注:ということはうつ病は治れば正常な脳活動に戻れるということになる。)慢性ストレスでもうつ病になりにくい「体質」があることも分かってきている。

 

5.新たに見つかった「動く遺伝因子」と精神疾患の関係

 岩本和也・熊本大学大学院教授著

内容不明です。

6,自閉スペクトラム症の脳内で何が起きているのか

 匠味 透・神戸大学大学院教授著

分析省略

7.脳研究から見えてきた注意欠如・多動症(ADHD)の病態

 岡田 俊・国立精神・神経医療研究センター部長著

分析省略

第3部「心の病」の治癒への道筋

8.PTSDのトラウマ記憶を薬で消すことができるか

 喜田 聡・東京大学大学院教授著

PTSDとは「心的外傷後ストレス障害」のことである。アルツハイマーの治療薬メマンチンが、恐怖記憶を消し去ることに効果があるらしく研究中である。

9.脳科学に基づく双極性障害の治癒を目指す

 加藤忠史・順天堂大学医学部教授著

双極性障害とは旧称躁うつ病のことである。その解明が進められているが、従来対症療法だと思われていたリチウムが根本治療薬であることが分かってきた。その有効な投与法等が研究されている。

10.ニューロフィードバックは、精神疾患の治療に応用できるか

 柴田和久・理化学研究所チームリーダー著

ニューロフィードバックとは、脳の情報を解読し、その情報をリアルタイムで被験者に見せ、自分で自分の脳活動を特定のパターンに誘導してもらう技術である。それには脳からの信号をいか 







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