2022年4月18日月曜日

茹でガエル日本の源流は縄文時代だ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 茹でガエル日本の源流が縄文時代にあることを確認します。
ねらい:
 そのくらい、根が深い問題であるとして、脱「茹でガエル」に
 取り組まなければなりません。
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日本人が変化を感じるのが鈍いユデガエルであるということは。
今や国民の常識となったようです。

最近、ある機会に、その源流は縄文時代にあるという
「気づき」を得ましたのでそれをご紹介します。

要約するとこうなります。
現在日本語を使う人の脳は自然の音を言語脳で聞くようになっている。
日本語の原点は縄文語であることが発見されている。
ということは、現在の日本人の脳の働きは
1万年も同じような生活を続けた縄文人から引き継いでいる
ことになる。
その結果、縄文人の生活様式から覗える思考・行動特性と
現日本人の思考・行動特性には共通性がある。

したがって、以下のように考えなければならないのです。
変化を好まない日本人の思考特性は、
縄文時代から続いているものである。
縄文時代からの思考特性が「茹でガエル日本」の根本原因なのである。
ということは,
茹でガエルを脱却する対策は生半可なことではできない。
(だからユデガエルなのですからね)

以下の項目建てにより論を展開します。
1.現日本人の思考特性の縄文人の思考特性の継承
(1)日本語をしゃべる日本人は
  自然界の音を言語脳である左脳で聞いていることが解明されている
(2)現日本語の原点は縄文語であることが解明されている
(3)言語学の研究によれば、思考は言語を用いて行われるので、
    言語とそれを用いる思考・行動特性とは密接不可分の関係にある
   (4)日本語を使用している現日本人の脳の作動特性(角田説)は、
  日本語の原点が縄文語である(小泉説)ので、
  縄文人から引き続いていることになる
  
2.現日本人の思考・行動特性と縄文人の思考・行動特性の対比
(1)解明されている縄文人の代表的な生活様式 
(2)縄文人の生活様式から覗える縄文人の思考・行動特性
(3)現在の日本語の特徴と、縄文人の思考・行動特性との整合
(4)縄文人の思考・行動特性は現代まで引き継がれている要因
(5)現日本人の思考の現状

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1.現日本人の思考特性の縄文人の思考特性の継承
(1)日本語をしゃべる日本人は
  自然界の音を言語脳である左脳で聞いていることが解明されている

・この日本人の脳の作動特性の大発見をしたのは、
 東京医科歯科大学の角田忠信教授(当時)です
 

(角田忠信「日本人の脳」1978年)。
その後、2016年にこれの改訂版が
「日本語人の脳」として刊行されています。









1)日本語をしゃべる日本人
  (正確には9歳までに日本語を習得している人間、民族不問)は、
  動物や自然界の音を言語脳である左脳で聞くようになっている。  
2)動物や自然界の音を言葉として理解しようとしているのだという
  角田教授の解釈である。
3)日本語は母音優勢の言語であり、母音単独で意味を持っている。
  そのため母音を非言語脳で聞く欧米人と異なり、
  母音を言語脳で聞くようになっている。
  そのことと自然界の音も言語脳で聞くことと関係がありそうだ
  と解釈されている。
4)このような言語は、角田教授の認識している範囲では、
  世界で日本語とポリネシア語だけである。

出典:角田忠信「日本人の脳」


日本では認識過程をロゴスとパトスに分けるという考え方は、西欧文化に接するまでは遂に生じなかったし、また現在に至っても哲学・論理学は日本人一般には定着していないように思う。日本人にみられる脳の受容機構の特質は、日本人及び日本文化にみられる自然性、情緒性、論理のあいまいさ、また人間関係においてしばしば義理人情が論理に優先することなどの特徴と合致する。

西欧人は日本人に較べて論理的であり、感性よりも論理を重んじる態度や自然と対決する姿勢は脳の受容機構のパターンによって説明できそうである。西欧語パターンでは感性を含めて自然全般を対象とした科学的態度が生まれようが、日本語パターンからは人間や自然を対象とした学問は育ち難く、ものを扱う科学としての物理学・工学により大きな関心が向けられる傾向が生じるのではなかろうか。


 

(2)現日本語の原点は縄文語であることが解明されている

・このことを解明したのは、
   小泉保関西外国語大学国際言語学部長(当時)です
 (小泉保「縄文語の発見」1998年)。
  参照(2022年3月27日)
  残されているものがないので分かっていない。
2)小泉教授は、日本の各地に残されている方言を分析した結果、
  それらが共通の母語を持っていることを発見した。
3)共通の母語から、地域的・時間的に変化していくモデルを設定し
  その言語の原型を想定した。
4)それが縄文語であると想定した。
5)ということは、現日本人が使用している言語の骨格は、
  縄文人から引き継がれていることになる。
6)その縄文語がどこから来たものであるかは、
  この研究からは不明である。
 
  (3)言語学の研究によれば、思考は言語を用いて行われるので、
   言語とそれを用いる思考・行動特性とは密接不可分の関係にある
出典:ガイ・ドイッチャー著「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」
 ドイツ語人:理路整然とした考え方をする。
 フランス語人:明快さと正確さを持つ。
   エスプリに相当する英語はない
 英語人:秩序正しく力強くてきぱきとして真面目である。
   マインドに相当するフランス語はない。
 前後左右という言葉がなく東西南北で表現する民族語がある。

 

(4)日本語を使用している現日本人の脳の作動特性(角田説)は、
  日本語の原点が縄文語である(小泉説)ので、
  縄文人から引き続いていることになる

  したがって、現日本人の思考・行動特性は、
  縄文人の思考行動特性を引き継いでいる、ことになります。

1)(1)(2)(3)を結び付ければ、
 当然の帰結としてこうなりますが、
 まだその主張をしている者はいません。

2)最近のDNA分析の結果、
 当然ながら現日本人は縄文人のDNAを引き継いでいることも
 判明しています。
 (研究によって、14%から53%と幅がある。
 関裕二著「『縄文』の新常識を知れば日本の謎が解ける」2019年)

そこで以下、
縄文人から引き継いでいる生活様式や思考行動特性を明らかにします。

2.現日本人の思考・行動特性と縄文人の思考・行動特性の対比

(1)解明されている縄文人の代表的な生活様式

以下のとおりです。
1)狩猟・漁労・採集が生業であった。
 栗の栽培は行っているが本格的な農耕はしていない。
 自然との共生を旨とする縄文人にとって、
 農耕は「自然に手を入れる」ということでの抵抗があった
 のではないかという説がある。

2)弓矢・石斧を始めとする多くの道具を開発・利用した。
 特に土器を活用し煮炊きをしたので、可能な食糧が拡大した。

3)食糧確保は、
 自然を破壊しないで自然の循環系を活かす工夫をしていた。
 まさに、本物の「生活の知恵」である。

Renaissance vol.7 伊勢雅臣[SDGsは縄文文明に学べ]

縄文遺跡からは獣60種類以上、魚70種類以上、貝350種類以上の残滓が見つかっている。これだけの多種多様な食材のそれぞれを絶滅させないように「どこでいつどれだけ獲るべきか」を考えながら狩猟採集をしていた。自然の荒廃を無視して森林を切り拓き、麦だけを植え、羊や牛だけを育てる古代の農耕牧畜より、はるかに複雑広範な知識を縄文人たちは持っていたのである。

植物も400種類以上、食していたと想定されている。

4)その生活を1万年も継続した。

5)縄文中期末には稲が伝わったが、
  積極的に取り入れることはしなかった。
  稲作は食糧生産の革新であるが、この革新は実現していない。
  その後、稲作を習得した弥生人に生活の主導権を握られる
  ことになってしまった。

6)かなり大きな集団が集まる定住共同生活をしていた。  
  三内丸山遺跡が代表例である。
  中心に祭壇らしきものであるので、
  神への豊穣の祈りを共同で行うことが
  集団の目的であったようにうかがえる。

7)自然神を信仰していた。
  自然神崇拝アニミズムは原始人に共通である。
  その後生まれた言葉であるが
  「八百万の神」を信仰していたのである。
  土偶の頭部は食用にする植物や魚介類を模っているもので、
  豊漁を祈ったものとみられる。

8)種族間等で戦いのあった形跡はない。
  力を合わせて自然と向き合う方が重要であったと考えられる。

9)種族を率いる「王」の存在は確認できていない。
  特定の者が特別の形で埋葬されている形跡はない。

10)遠隔地との交流も行われていた。
  優れた食物やヒスイ・黒曜石を入手するために
  かなり遠方まで足を延ばしている。

(2)縄文人の生活様式から覗える縄文人の思考・行動特性

要約するとこうなります。
1)自然神を崇めている。=「神頼み」である。
2)改善を得意としている。
3)革新は避けている。
4)同じ生活方式を長期に亘って継続している。
5)お互いに力を合わせて(=和の重視)よりよい生活を目指している。
6)お互いの争いはしない。

(3)現在の日本語の特徴は、この縄文人の思考・行動特性と整合
 一般に指摘されている日本語の特性

1)主語が明示されない。
 責任の所在をあいまいにしている。
2)受身表現を多用する。
 人のせいにする。「女房に逃げられた」
3)尊敬語・謙譲語が多い。
 和の重視の結果である。外国人にはとても覚えられない。
4)自然を表す語彙が多い。
 自然と共生していた生活の結果と考えられる。
 たとえば、雨に関する語彙は、「はるさめ(春雨)」
 「さみだれ(五月雨)」「つゆ(梅雨)」「ゆうだち(夕立)」
 「しぐれ(時雨)」「霧雨」「氷雨」「大雨」「豪雨」など。
5)多彩な表現力を持つ。
 冷たい、ぬるい、温かい、熱い
 (英語ではcold,warm.hotしかない)
6)断定を避ける。
 和の重視。「○○だ」「イヤ」「ダメ」は滅多に使わない。

 

(4)縄文人の思考・行動特性は現代まで引き継がれている要因
この2点です。
1)弥生時代以降の農耕生活
 ・農耕生活も縄文式狩猟採集生活に連続する共同体生活方式であり、
  思考・行動特性は引き継がれている。

2)他国との独立性
 ・国境を他国と接していない大国は日本だけである
 (イギリスはヨーロッパと35キロしか離れていなく独立性は低い)
 ・そのため、強制的に異文化に混乱されるということなく、
  純粋培養的に原文化が維持された。

(5)現日本人の思考の現状
現日本人に引き継がれている縄文時代の思考特性を確認いたします。

・以下の二つの全国版の日本人の意識調査結果を基に、
(6)の縄文人の思考・行動特性項目について、
 現日本人の思考と縄文人の思考・行動特性との対比を分析しました。

調査結果その1 NHKの調査 第10回「日本人の意識」調査(2018)
調査結果その2 内閣府の調査 「国民生活に関する世論調査」
(令和3年

・結論として、現日本人の思考と縄文人の思考・行動特性とは、
 かなりの共通性があることが確認できました。

1) 自然神を崇めている。=「神頼み」である点について

a.調査結果その1 第28問 信仰・信心
あなたが信じているものをいくつでもあげてください。
 神          30.6%
 仏          37.8%
 聖書や経典のなどの教え 5.7%
 あの世、来世     10.8%
 奇跡         14.0%
 お守りやおふだなどの力15.7%
 易や占い        4.6%
 何も信じていない   31.8%
 

・これによれば、
 日本人は特定の宗教(仏教・キリスト教)の信者である人は少ない
 となっている(聖書や経典のなどの教え 5.7%)。
・「神」の回答は、神社にお参りするあるいは
 せいぜい神社の氏子であるということであって、
 特定の神を信仰しているわけではない。

・「仏」の回答も、代々のお墓を守ってくれているお寺という意味で、
 必ずしも仏教の信者であるわけではない。

・「何も信じていない」が約32%である。

・因みに以下の資料によると、世界で無宗教者が多い国は6か国しかない。
 出典:2012年12月19日 CHRISTIAN TODAY 
 無宗教者が大半を占める国は中国、北朝鮮、チェコ、エストニア、
 香港、そして日本のわずか6カ国であることが示された。
 「無宗教者」に分類される人は、
 単にどの具体的な宗教も選ばなかった人であり、
 必ずしも「無神論者」とはいえないという。
 なお、今回の調査では、
 米国でも無宗教者が増加していることが示された。


b.調査結果その1 第44問 政治活動
あなたは、この1年くらいの間に、政治の問題について何かしましたか

 何もしなかった   80.8% 漸増
 署名運動に協力した 10.7% 減少傾向
 集会や会合に出席した 5.2% 減少傾向
 献金・カンパした   4.6% 減少傾向


・「何もしなかった」=「神頼み」「人頼み」である、
 ということになりそうです。


2) 改善を得意としている、(3)革新は避けている、点について

a.調査結果その1 第40問 政治課題
今、日本の政治が取り組まなければならないいちばん重要なことがらは
何でしょうか。
 国内の治安や秩序の維持 20.4%
 日本の経済の発展    23.8%
 国民の福祉の向上    26.3%
 国民の権利の保護    16.4%
 学問や文化の向上     2.4%
 国民の政治参加機会の増加 5.0%
 外国との友好促進     2.1%


・「国内の治安や秩序の維持」「国民の福祉の向上」
 「国民の権利の保護」は、現状の延長線上で考えられることです。
 これに対して、
 「日本の経済の発展」はその必要性は大きいが、
 現状の延長では困難であることが分かってきているテーマです。
 これが他のテーマの前提条件になるものです。
 それに対する認識が高くないということは、
 困難な革新に対する志向が大きくないことを示している、
 といえそうです。

4)同じ生活方式を長期に亘って継続している点について
a.調査結果その1 第4問 生活全体についての満足感
あなたは今の生活に、全体としてどの程度満足していますか。
 1.満足している  38.7%
          (前回調査2013年から増加している)
 2.どちらかと言えば満足している 53.0%
   満足しているの合計は 91.7%

b.調査結果その2 問2 現在の生活に対する満足度
あなたは、全体として現在の生活にどの程度満足していますか。
 満足している    7.2%
 まあ満足している 48.0% 計55.3% 
  平成4年からほぼ横ばい
 やや不満だ    32.3%
 不満だ      12.0% 


・調査結果はその1は面接法で、調査結果その2は郵送法です。
 そのため、
 調査結果その2の方が、本音が出ているものと思われます。
 いずれにしても満足派が多いのです。

・ということは、現状に満足していれば革命は起きず、
 その延長で生活が継続されることになります。

c.調査結果その2 問4 現在の生活の充実感
あなたは、日常生活の中で、どの程度充実感をかんじていますか。
 十分感じている    6.7%
 まあ感じている   48.8% 計55.5% 低下状況
 あまり感じていない 34.9%
 ほとんど感じていない 8.1%


・満足感とほぼ同じ傾向で、半数以上が現状を是としています。

5)お互いに力を合わせて(和の重視)よりよい生活を目指している点について
a.調査結果その1 第19問 理想の仕事
仕事もいろいろありますが、どんな仕事が理想的だと思いますか。
 仲間と楽しく働ける仕事    22.6%
 健康をそこなう心配がない仕事 19.6%
 専門知識や特技が活かせる仕事 16.4%
 自分が生きがいをもって取り組める仕事 この選択肢はない。


・仲間との共同を重視しています。

b.調査結果その1 第16問 仕事の相手
その仕事はかなりむずかしく、しかも長期間にわたる場合、
あなたは相手としてどちらを選びたいですか。
 甲:多少つきあいにくいが、能力のすぐれた人 24.6%
 乙:多少能力は劣るが、人柄のよい人     71.6%


・成果よりも和を重視しています。

6)お互いの争いはしない点について
a.調査結果その1 第18問 結社・闘争性
かりにあなたが、新しくできた会社に雇われたとします。
しばらくしてから、雇われた人々の間で給料と働く労働条件に付いて
強い不満が起きたとしたら、あなたはどうなさいますか。
(注:いずれも選択肢の説明あり)
 静観    50.6%
 上司に依頼 28.6%
 自ら活動  15.6%


・争いごとを避ける「静観」が過半で選択されています。

b.調査結果その1 第6問 生活目標
人によって生活の目標もいろいろですが、
あなたの生活目標にいちばん近いのはどれですか。
 1.その日その日を、自由に楽しく過ごす    25.6%
 2.しっかりと計画を立てて、豊かな生活を築く 23.5%
 3.身近な人たちと,なごやかな毎日を送る   45.9%
                         (漸増)
 4.みんなと力を合わせて、世の中をよくする   4.2%
                         (漸減)

・「なごやかな生活がいちばん」となっています。

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