2022年4月18日月曜日

英語の言葉遊びその5 「英語の駄洒落(Pun)」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 米野忠男氏の英語研究第5弾のご紹介です。
 これは面白い!!よく研究されています。
ねらい:
 驚いて楽しんでいただければ結構です。

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日本語でも英語でも洒落(駄洒落)には
言葉遊びの要素が入るものが多い。

日本語の洒落は凝ったものになれば、すぐには分からないものがある。
日本語に堪能な外国人でも理解しにくいはずだ。

英語の洒落となると,語源とか歴史がからむと、
日本人には理解しにくいし,
聖書にちなんだものなら、我々にはお手上げだ。

例えばある本に出ていたものだが、
「ハムレットの父は誰か」の答えが「ハムかベーコン」というのだが,
すぐには理解できない。

hamletは「小さな村」の意味で,letは「小」を意味する語尾。
つまり「hamの子」になるからハムが親になる。
ベーコンは,
戯曲「ハムレット」の産みの親がシェークスピアではなく、
時代のフランシス・ベーコンの作品との説があることから
きているとのことだ。

日本語にも洒落と駄洒落のランクがあるようだが、
英語の洒落(pun)は、
「the lowest form of wit」と言った人がいるので、
洒落はウイットより下級ということか。

ここでは言葉遊びが入った洒落(駄洒落)を、
思いつくままいくつか集めた。

(1) 同音異義
Some are wise, some are otherwise. 
ここでnot wise とかfoolish と言わずに言葉を掛けてotherwise
と言うのが洒落になる。

(2) 同語異義:
「What is the matter ?」、「Never mind」

この問答は「どうしたの」、「何でもないよ(気にしないで)」
という普通の会話だが、
matterは物質,mindは精神という意味もあるから、
「物質とは何ぞや」、「決して精神ではない」
という哲学談義になるから面白い。

上の会話を逆にして,
「What is the mind ?」、「No matter」というのもある。
これも「気分はどう」、「たいしたことはない(気にしないで)」と
上記と同じような普通の会話だ。
今度は「精神とは何ぞや」、「物質ではない」という、
上記と逆の哲学談義になり秀逸だ。


(3) 同文異義:
I have a friend for dinner.
普通の意味は「夕食を共にする友がいる」だが、
「夕食のための友人」即ち「夕食に食べる友がいる」
という人食い人種の恐ろしい言葉にもなる。

(4) 同じ言葉の羅列:
You can can as many cans as you can.
同じ語をたくさん並べる言葉遊びの洒落だ。
「あなたはできるだけ多くの缶に缶詰めすることができる」
の意味だが、
「can」を助動詞,動詞,名詞として羅列している。

(5) 隠し語(地名の例):
We hope kind people are getting well. 
文の中に隠されている地名を探す言葉遊びの洒落だ。
ここでは「--hope kind---、つまりPekinが隠されている。

他の例をいくつか。
 We wish you have nice weather.(答えはVenice)
   When in Utica, I row on the river.(答えはCairo)

上記は簡単だが,私の好きなびっくりの傑作がある。
Timid people never sail lest they get seasick.
(臆病者は船酔いを恐れて船に乗らない)。
答えはなんと
フランス語のベルサイユ「Versaille」が隠れている。

(6) 定義:
Mistress is someone between mister and mattress,
という「Mistress」と「mattress」を掛けた、
ちょっときわどい言葉遊びの定義がある。

「Pedestrian is a person who can luckily find a parking space」。
これは私がニューヨーク勤務時代に、
ニューヨークの雑誌で見つけた言葉だ。
マンハッタンの中で渋滞に巻き込まれたら、
約束の時間を気にしながらいらいらする。

歩く方が早いからどこかに車を置きたいが、
道路脇の駐車スペースや有料駐車場にはまず空きはないから
泣きたくなる。
こんな時に車社会のアメリカならではの「歩行者」の洒落た定義
(幸運にも駐車スペースを見つけた人)は納得できた。

アメリカの本で見つけた「veteran engineer」の定義に、
「a person who has experienced every possible mistake」とあった。
若い時に生産技術研究所で新技術開発の一工程の主任設計者として、
日夜悪戦苦闘した際にこの言葉が励ましになった。

また海外の市内観光バスで,夜の姫君が集まる場所の説明の際に、
女性ガイドが彼女達を
「ladies of the world oldest profession(世界最古の職業の女性)」
と言った。
婉曲な上手い定義だと感心しながら聞いた。
後に私の好きな英国の作家の小説を読んだら、この表現が出ていた。


(7) 名詞の動詞化:

名詞を動詞化して簡潔表現する一種の言葉遊びの洒落だ。
日本の新聞,特にスポーツ新聞の見出しなどでは、
非常に短いパンチの利いた表現がよく使われる。

英語の新聞や週刊誌の見出しにも、
この種の簡潔で面白い言葉遊びの表現が使われることが多い。
「Car jacknived guardrail」という交通事故の新聞の見出しを
アメリカに住んでいた時に見つけ、
印象が強かったので今でも覚えている。
「車がガードレールに衝突して、ガードレールが八つ裂きになった」
という状況を、車を主語にして、ジャックナイフを動詞にすることで、
わずか3語で見事に表現している。

また「Bridge ices before road」という標識を、
やはりアメリカで運転中に橋の手前で見つけた。
iceを動詞に使い「道が凍る前に橋が凍る」という意味で、
road の後にicesが省略されている。
つまり
道が凍ってなくても橋の上は凍っているかもしれないから注意せよ、
という警告を4語で表した標識だ。

アメリカでは橋の上は風が強く、大きな車でもハンドルを取られたし,
寒い時期には橋の上は凍って滑りやすく怖かったので、
上記の標識を見た時にすぐ意味がわかった。

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