2021年10月10日日曜日

英語の言葉遊び その1「英語の回文(Palindrome)」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 米野忠男氏の著作によって、「英語の回文」を研究いただきます。
ねらい:
 皆さまも別の回文を考えてみられたらいかがですか。
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この「英語の言葉遊び」シリーズは全8巻ですが、
私の帝人時代の同期生米野忠男氏が、
海外生活における日本人の目から英語を研究された、
非常にユニークでスゴイレポートです。

これについて、米野氏はこう紹介しています。

私も長年英語に関わったので、実は数年前のある会合で、
「英語と日本語の発想の違い」と題して小文を用意して話したことがあります。
勿論アカデミックなものではなく、
体験に基づいて(面白おかしく?)纏めたものです。

またこれは私の趣味みたいなもので昔から関心があり、
長年集めたネタを
「英語の言葉遊び(英語の回文,アナグラム,なぞなぞ,語呂合わせなど8項目)」としてまとめました。
きっかけは近くに住む国家資格をもつ英語のガイドで、
来日外国人の東京案内をしている人から、
英語の面白い話があれば教えてと頼まれ、
バラバラにメモを用意して話したことでした。
8項目それぞれ2ページぴったりに纏めたので、
全16ページのやや長い小文です。
結構苦労したもので、限られた人にしか配布していませんが、
勝手に転送した人がいたようで、
自分は英文科を出たが英語に回文があるとは知らなかったので面白かったと言ってきた人がいました。

以下、お楽しみください。  
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英語でも日本語でもいろいろな言葉遊びがあるが、
前から読んでも後ろから読んでも同じ文(回文)は
その代表的なものだ。

日本では子供でも「竹薮焼けた」とか「ダンスが済んだ」
「磨かぬ鏡」などは知っている。
少し長いのでは,「塀のあるあの家」とか
「獅子の子は子の獅子」などが面白い。
落語家の立川談志が生前、
「俺が死んだら回文になる(ダンシガシンダ)」と言っていた。

日本語の発音には英語のような曖昧音がないから
回文を作るには向いている。
日本語には大文字・小文字の区別がないし、
英語文のような言葉間のスペースがないことも、
回文を作る上で有利だ。
回文は新聞の投書欄でもよく見かけるように、
作ることに興味を持っている人が多いようだ。

昔の日本人はよほどヒマも知恵もあったようで、
回文のメチャ長い和歌も知られている。
一例は、
「長(なか)き夜の遠の睡りの皆目醒め波乗り船の音の良きかな」とか
「惜しめともついにいつもと行く春は悔ゆともついにいつもとめしを」。
両句ともやや苦し紛れの個所があるが、
昔の日本には
このような回文の和歌を楽しむ遊びの文化があったようだ。
英語にも回文(Palindrome)があり、私は以前から興味を持っていた。

(1) 私が昔初めて知ったのが、有名な回文で、
アダムがイブに出合って最初に自己紹介するものだ。
「Madam, I’m Adam」。
これに対してイブが答えて、「Eve」と自己紹介する。
これも短いが回文(回語)だ。
つまり人類最初の男女の会話は回文で始まったということになる。

(2) 上記のアダムの自己紹介のもう少し長い回文もある。
  Madam, in Eden, I’m Adam.

(3) 2~4語からなる他の短い回文では,
  Panda had nap.
  Wonton, not now.
  Step on no pets.
  No lemon, no melon.
  Never odd or even.
  Desserts, I stressed.

また物が必要な時、「Borrow or rob」という物騒な回文もある。

(4) Name no one man. Name not one man. Name now one man. 
同じ4語の回文だが,少しづつ違っていて面白い。

(5) A Santa at NASA. 末尾のat NASAが同じのもう少し長いのもある。
  A Santa lived as a devil at NASA. 
  A Santa dog lived as a devil God at NASA.

(6) もう少し長いのなら、
  Some men interpret nine memos.
  Too bad, I hid a boot.
  Now I see, referees, I won.
  Was it a rat I saw ?
  Was it a bar or a bat I saw?

最後の二つは似ているが、下はbarとbatを掛けていて秀逸。

(7) アガサ・クリスティの小説のタイトルのような、
「Murder for a jar of red rum(赤いラム酒瓶殺人事件)」も、
よくできた回文だ。

(8) 私の好きな英語の回文は,パナマ運河への賛歌ともいうべきもので、
  A man, a plan, a canal, Panama.
「人間が企画した運河,これぞパナマ」と意味づけられる。
簡潔でリズム感のあるこんな文をよく考えついたものだ。

(9) 企業名の固有名詞を使ったものもある。
  A TOYOTA, race fast, safe car, a TOYOTA.
  「トヨタはレースで早く安全な車,これぞトヨタ」

  KODAK ad ? OK.「コダックの宣伝か? いいよ」

(10) 以上の例文で見るとおり、
英語の回文はスペースや大文字・小文字があるので,やや無理があり、
日本語の回文のようには美しくない。

(11) 英語の回文を作るのは日本語のように簡単にはできない。
ラテン語の方が英語より回文を作るのが簡単と言われていて、
結構長いラテン語の回文も紹介されている。
英語の場合は単語の回文(回語というべきか)なら
スペースの問題はなくなってスッキリする。

(12) 回語となると英語にはたくさんある。
3文字だと,eye, pop, pip, nun, mom, Eve等々。
4文字だと,noon, deed, peep, Anna, sees, poop 等々。
5文字だと,level, civic, radar, madam, kayak, refer, rotor, sexes 等々。
6文字だと,deified, redder(redの比較級),Hannah(人名)等々。
7文字だと,reviver, racecar, rotator, testset等々。
これ以上長い語では9文字の,deleveled, spacecapsというのを見つけた。

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