2015年11月2日月曜日

「居場所のない男、時間がない女」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 書名の意味は何かを知っていただきます。
 その解決策は何かを知っていただきます。

ねらい:
 「居場所」と「時間」少しずつでも改善しましょう。

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久々に的確でかつ上手な書名に出会いました。
この本は、
おもしろおかしいテーマをとりあげているのではなく、
本質をついている問題提起をしているものでした。

著者の水無田気流さんは女性で、詩人であり社会学者です。

水無田さんの主張を要約するとこうなります。

居場所のない男  「関係貧困」と名付けています。
日本のビジネスマンは仕事に従事している時間が長く、
会社の人間以外との付き合いがほとんどない。
地域社会との接点もない。

したがって、定年になるとどこにも行くところがない。
家庭でも明確な役割はなく「ナマゴミ」扱いである。
結局どこにも居場所がない。

家計を支えるのは男性であり、
その責任感は強いストレスとなっている。

日本の自殺者数は年間3万人弱で
その7割が男性であるが、
雇用者の自殺は8割が男性である。
その理由は「経済・生活問題」「勤務問題」が多い。

1955年前後には15―24歳層の自殺が多い。
就職難や生活苦が原因と想定される。
1980年前後には35―54歳層の自殺が多い。
リストラ等の影響と考えられる。
1998年以降には45―64歳層の自殺が多い。
バブル崩壊後男性の賃金水準が低下していったことで
中高年男性に影響したと考えられる。

水無田さんは、
男性の寿命が女性の寿命よりもかなり短い(6年以上)理由について
以下のような仮説を披露しています。

女性の社会進出が進まず、男性が片働きで、
専業主婦の妻と子どもを養わねばならない国では、
男性は勤め先の不当な命令にも従い、
会社にしがみついて働かねばならない可能性は高くなり、
日常的な長時間労働も辞さない働き方を余儀なくされがちになる。

ストレスを紛らわせるためや、
男性同士のつながりが優先される社会の中で付き合いの必要上
飲酒喫煙の機会は増え、
仕事中心の生活のせいで、
たとえ体調不良でも適切な時期に病院に通う機会は減り、
結果、男性の心身の健康は損なわれがちとなる。

戦後のサラリーマン全盛時代
日本の終身雇用・年功序列の勤務体系ができたのは戦後である。
戦後日本型サラリーマンモデルは、
「男は仕事、女は家事育児」の性別分業を促進した。
未だに日本の標準世帯は、夫婦子供二人である。

結婚率最高から未婚率最高へ
その結果、1970年代には、
婚姻率が男性98%、女性97%となった。

歴史的には日本の未婚率は2割前後であった。
農家で継ぐ田畑のない次男坊・三男坊は結婚できなかったのである。
したがってこの時代の婚姻率は画期的なことであった。

人生一度も結婚したことのない「生涯未婚率」の推移は
以下のようになっている。

 















生涯未婚率の増加は、
要介護になった場合のケア不足・貧困・社会的孤立のリスクを抱えている。


世界一孤独な日本の男性
OECDの調査では、日本人の男性は世界一孤独である、
という結果となっている。

「友人や同僚と業務外で外出したり、サークル活動などに参加したりした」
経験を聞いている。
その調査結果はこうなっている。


 



時間のない女  「時間貧困」と名付けています。

日本の女性は家事の従事時間が長く、
共働きで働いていても多くの場合家事は女性が担当している。
育児もほとんど女性の役割となっている。





 





そのため、女性は時間がない。
睡眠時間も短くなっている。 

















上野意見

「時間のない女」の前提になっているのは
有業者、かなりの時間仕事をしている女性の場合であって、
専業主婦あるいは僅かの時間しか働いていない「パート」の場合は
単純には当てはまらない。

解決への道

「居場所のない男と時間のない女」の改善を実現するのは、
女性の就労条件の改善と就業者特に男性の生産性改善である。

まず、女性の就労と出産・育児の両立を可能とすることが必要である。

女性が出産・育児に関わる際の休業条件や復職条件を改善することによって
女性の有業率を高めることが、
男性の勤務条件・勤務時間を改善することに繋がる。

ここで。オランダの90年代初頭の「オランダの奇跡」と言われた改革
が紹介されています。

それは
1)労働団体が賃金抑制に協力した。
2)使用者側が雇用の拡大と時短の推進をおこなった。 
3)減税の推進と社会保障の大幅見直し(縮小)
でした。

オランダは就労形態のパターン化で
1)週約36-38時間就労のフルタイム労働
2)週約30-35時間就労・週休3日の大パートタイム労働
3)週約約20時間労働のハーフタイム労働
4)臨時就労のフレキシブル労働
を選択できるようになり、
パートタイム労働者が大幅に増加した。

これを可能にした
オランダの「柱状化社会」モデルが紹介されています。
それは、
海抜1メートル以下の低地の国であるため、
治水に対する危機対策については、
主義主張を超えて一致協力するという風土のことです。

かたや、日本の時間当たり労働生産性の低さが
長時間労働を招いているのでこれを改善すべきである
という指摘も行われています。

1時間当たりの労働生産性
 「購買力平価で換算した年間GDPを
 労働投入量で割って算出した労働生産性」

 日本       40.1ドル 世界20位 先進国では最低レベル
 1位ノルウェー 86.6ドル
 アメリカ     64.1ドル
 G7平均     55.2ドル

そのとおりだと思われますが、
具体的な方策についての提言はありません。


要約すると、

給与水準の低下→生活困難→未婚率増大→
           →プレッシャー増大→自殺者増大
男性の社会的孤立→自殺者増大

こういうことになっているので、
給与水準を上げるための生産性向上と
勤務時間短縮による男性の社会参加の増加
が必要という主張です。

ということは生産性の改善がキーですね。
別項でその対策私案をご披露いたします。

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