2014年8月29日金曜日

「オジサン世代に増殖中 職場の『お荷物』社員」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ベテラン社員の危機状態を理解していただく。
 ほとんどが手つかず状態の
  ベテラン社員対策の各社取り組み状態を知っていただく。
 ベテラン社員が幸せになれる対策を考えていただく。

ねらい:
 この問題をみんなの問題として考えていきましょう。

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これは、
週刊ダイヤモンド2014年8月2日号の特集のタイトルです。

素晴らしい「総力」特集です。
この問題提起は、こうです。

総務省の調査によれば、従業員1000人以上の大企業全体で
40代後半から60代半ばの社員は500万人程度おり、
中小企業を含む全企業では2500万人に上る。




1989~1993年のバブル時代に大量採用されたバブル世代
の現状について、

「高齢化が進む一方で企業の対応は消極的」
「期待と言いつつ施策は不十分」
「シニアを持て余している現実も」

という見出しをつけて各種のデータを示しています。

そうなった原因を当特集の第2部で
「働かない社員を量産 大企業人事部の“大罪”」
としています。

しかし
人事部とて企業の1部門です。
人事部の責任にはできません。

企業の責任です。
言うなれば、企業の人事政策の先見性のなさ、
現状追認、行き当たりばったりの人事政策が悪いのです。

第1部ではこうも述べています。

しかしこれは、
働かないオジサン本人の資質だけが問題なのではない。
日本企業の採用や育成に関する仕組み、
労働市場を硬直化させる政府の政策が、
働かないオジサンを量産している。
まさに日本特有の構造問題なのだ。

新卒を一括採用する一方で解雇は難しい。
加えて、
労働市場の流動性が低く中高年の転職も活性化していない。

そのため、入社した会社で定年まで働く社員がほとんどだが、
社内でのスキルアップ教育はほとんどなされない。
その結果、使えないオジサンが社内に滞留していく。

そのとおりです。

これは私のブログでもご紹介した濱口桂一郎氏の
「日本の雇用と中高年」でも指摘されていることです。
http://uenorio.blogspot.jp/2014/08/blog-post_14.html


特集の第3部では
「社員高齢化で待ったなし 「お荷物」を戦力化せよ」
と前向きな取り組み事例を紹介しています。

 「再雇用ではなく定年延長で戦力アップ」
 「シニアを特別扱いしない」
 「シニアのノウハウを汎用化」
 「ジョブローテーションで多能化」
 「ミドルにシニアの自分をイメージさせる」
 「人生経験豊富なシニアこそ接客に使う」

「戦力化」ということであればこのような対策になるのでしょうが、
「お荷物」問題の根本解決にはなりそうもありません。


この特集で面白いのは、「お荷物社員」を7分類していることです。
その7分類ごとに周りの人間の対応策(処方箋)を示しています。
残念ながら、その対応策は根本問題を解決しません。
その処方箋も併せて以下に引用します。

           お荷物社員の分類と処方箋


タイプ
副題
処方箋

無気力タイプ

のれんに腕押し
     元から無気力だったのかどうかを確かめる
     活躍していた往時を思い出させ、やる気を引き出す


批評家タイプ

上から目線
     本当に建設的な批評ならば一度じっくり聞いてみる
     単なる批評ならば、なるべく離れて聞き流す


お気楽タイプ

仕事するふり上手
     爽やかにどんな成果を出しているのか確認してみる
     仕事するふりの努力を業務に振り向けさせる


勘違いタイプ

オレに任せろ
     やる気は残っているのだから、そこは尊重する
     チームでの働き方を少しずつ理解してもらう


存在感0タイプ

気付かれない
     害がないからと放置するのは良くない
     とりあえず、なぜそうなったのか会話して聞いてみる


権限委譲タイプ

実は丸投げ
     本当に信頼して任せてくれているのか怠けなのかを確認
     上司のところに一緒に行かせるなど無理やり巻き込む


嘆き愚痴タイプ

毎日ため息
     愚痴の原因は会社や現状への恨みにある
     恨みの裏にあるパワーをうまく引き出し再起動してもらう



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この問題の根本解決策は何だと思われますか?

それは、マンネリ化した会社に居座ることではなく、
自分に向いた、自分が熱意を持って取り組める
仕事を見つけることなのではないでしょうか。

中には、
今の会社の中で新たな仕事という場合もあるでしょうが、
多くは転職です。

 運転が好きならユニークなタクシーの運転手になる
 人材が不足している介護の仕事をする
 身体を動かすのが好きなら建設作業員をやる
 モノを育てることが好きなら農業をする

そうして新天地で働くことが、
日本の産業構造の転換、日本の活性化に繋がるのです。

そのような発想のもとに、システム企画研修㈱では
「ベテラン社員が元気になる研修」を始めました。

これは45歳前後の方を対象に、
それから80歳までの30年間を視野に入れた
第2のビジネスライフを見つけていただくものです。

その方法は、潜在意識を活用するのです。
自分の潜在意識に
「自分はほんとうは何をしたいのだろう」と問いかけて
その方向を見つけ出していただくのです。

誰しも「肩たたき」には抵抗しますが、
自らがこの道に進みたいと思うことについては
条件さえ合えば喜んで受け入れするでしょう。


よく指摘されるようにシニアが「お荷物」になるのは、
終身雇用制で働き手の流動性がないためです。

成長産業で人手不足、衰退産業で人手余り
という状態でありながら
衰退産業から成長産業への人材の移動が行われません。


転職を活性化するには、
企業としての支援策
――3カ月の準備期間を認める、割増退職金支給など――
だけでなく、
「ベテラン転職補助金」のような国としての補助も必要でしょう。

企業によっては、
「セカンドキャリア支援制度」のようなものを設けて
第2のビジネスライフ形成を支援しています。

この研修は、
そのような制度をより有効にするための仕組みとして
活用いただくことが「ピッタリです。

早く「元気になる」実績を出して、
日本のベテラン社員、日本の企業、日本の社会
に貢献できたらよいなと考えています。

なおこの研修は、
システム企画研修社の新経営理念の実現そのものです。

 Mind-UP 個人が元気になる

 Shape-UP 企業が強くなる
 
 Jump-UP  日本が活性化する


ご期待ください。



5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

この問題を一言で片づけることはできませんが、私が一番感じるのは、大企業においては管理職になる年齢が早く、実務能力が急激に落ちていくということです。その会社で管理職として昇進を重ねる人は、管理職としてのキャリアパスを重ねていけばよいのです。しかし、多くの中間管理職で終わる人は、実務能力もなく、外に出ても役に立ちません。従って、お荷物でも会社にしがみついて生きていかざるを得ないのです。管理職になっても実務をやっている人は、その会社では偉くなれなくても、外に出て十分活躍できるのです。これまでの大企業は、階層を深くして無用な管理職を粗製乱造してきたのですから、その付けが来ているわけです。ちなみに、大企業の人事部門は事業が分かる訳ではないので、採用計画はラインからの要望を鵜呑みにし、同業他社を横にらみしながら、役員の気に入る施策を挙げて、人事部門の存在感を示してきました。その意味では、罪は重いです。アメリカ流の成果報酬をそのまま持ち込んで、日本企業の良さを殺した責任の多くは、人事部だと思います。
と言うわけで、単なる感想ですが、階層を少なくして、無用の管理職を少なくすることが、一つの解決策です。

上野 則男 さんのコメント...

匿名さま

ご意見のとおりです。
日本の大企業が管理職になるルートを優先して実務能力を奪ってしまうことは、濱口さんも「日本の雇用と中高年」で指摘しておられる問題指摘です。
多くの人事部は、極めて保守的で、自らの考えで何かをするということはありませんので、私は人事部には責任がないと思っています。経営の責任です。

匿名 さんのコメント...

私は、本気で提案しない人事部が諸悪の根源だと思います。
役員に阿るだけが人事の現実ですね。

匿名 さんのコメント...

大企業においては、人事部門に対する恨み、つらみは相当ねずよい強い。役員に阿る、人事部門と所属社員の利益優先が露骨で、社内利益団体みたいな組織です。人事部門のDBには、社員の入社時からのデータが蓄積されている。役員でも弱みを握られて、強く出れない人も多い。人間だれでもパーフェクトではない。良いところを活用するのが、人事、と思う。

上野 則男 さんのコメント...

人事部門と人事機能は分けて考えるべきでしょう。ここまで議論されている問題点はほとんどすべて人事機能の問題で、その責任は人事部門だけが負うものでなく、ほとんどは経営の責任だろうというのが私の判断です。人事部の責任は、経営の言いなりになっていて、自ら積極的な提言・活動をしていないことだと思います。