【このテーマの目的・ねらい】
目的:
中国に関する櫻井よしこさんの意見を知っていただく。
ねらい:
中国に関する「正しい」認識を形成していただく。
(注:「正しい」とは日本の国益にかなうということです)
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この本は、今年の6月30日に出版されたものですが、
内容は「週刊新潮」連載の「日本ルネッサンス」
に加筆したものがほとんどです。
「はじめに」だけは櫻井よしこさんが最近書かれたもです。
そこには、中国に関して以下の記述があります。
まず、
攻勢ないし「防御」を軸とするクリントン国務長官の後を受けた
ジョン・ケリー国務長官の中国宥和政策のリスクと
国防総省の危機意識を
以下のように訴えています。
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ケリー長官は、中国訪問で習主席、李首相に会った後で、
以下のように語った。
「全ての人にとっても絶対的に明らかなのは、
世界最強の2カ国、世界最強の2大経済圏、
2大エネルギー消費国、国連安保理の2大国が、
国際社会の隅々の事象にまで関心を抱くとき、
この2大国の間で(よい)相乗作用が生じるということです」
大国の外交責任者としては
無防備に過ぎると思われるほどの
中国への期待感ではないか。
(中略)
これに対して国防総省は国務省の対中宥和姿勢に対して
強烈な疑問を突きつけ警鐘を鳴らした。
5月6日に発表した年次報告書で以下のように述べている。
中国の軍拡は「地域紛争に短期間で勝利するため」に
長期にわたって準備された包括的な軍事力の近代化である
と分析し、
米国の介入を阻止するために米空母の接近阻止・領域拒否
の実現を目指していると警告した。
中国を巡る過去の事例は
国防総省の分析の正しさを明確に示しているが、
国防総省のジレンマは米国の財政事情にある。
米国の弱点が国防費であることはいまや明らかで、
中国にとっては今が、
軍拡で優位を築く絶好の機会なのである。
ケリー氏以下米国務省の対中政策は成功どころか
中国の更なる軍拡を傍観し、
米国が中国に屈服する事態を招く結果になりかねない。
(上野注:ケリー長官の言動は要注意です。
ひょっとして米国は日本の「対中防衛」において
これまでのように頼りにならないのです。
ケネディ大使を強い味方に引き入れましょう)
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そして以下の記述へとつながります。
これは途中省略なしでご紹介します。
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オバマ大統領の指導力の著しい低下もまた、米国の外交、
安全保障における行き詰まりを加速させている。
人権重視を標榜してきたオバマ政権が、
シリアのアサド政権の下ですでに10万人の犠牲者が出、
しかも化学兵器が使用されたという明確な証拠が示されても、
尚、シリアへの軍事介入をためらうのである。
北朝鮮の核、ミサイル問題も再び中国に任せることになった。
海外、国際社会の問題に巻き込まれるのを極度に恐れる
オバマ政権の姿勢は、中国にはどのように映るだろうか。
国運を賭けて米国の事情を窺い続けるのが中国である。
米国が財政事情ゆえに軍事費の削減を迫られ,
オバマ大統領が消極的になるいま、中囲はここぞとばかり
軍拡に拍車をかける。
元々中国共産党はどの時代も軍事最優先を貫いてきた。
彼らは時代によって力点の置き所を変えながら、
着実に軍拡に励んできた。
たとえば陸軍中心から海・空軍に重点を移して軍の
近代化を進めたのは江沢民主席の時代だった。
胡錦濤主席の時代は陸海空の三軍に
第二砲兵部隊(二砲=戦略ミサイル部隊)
を加えた統合作戦が主軸となった。
習近平主席はこのような軍事最優先の国策をさらに
進めると見られる。
習主席は軍の各部隊を回り、陸海空、宇宙、サイバーの
全ての分野で中国の優位を確立すると軍を鼓舞し、
全国人民代表大会(全人代)では
「人民解放軍は戦争に打ち勝つ"強軍目標"に基づき、
国家主権と安全、発展の利益を守らなければならない」
と演説した。
これからの10年間、中国を治める人物が主席として臨む
初の全人代で何を語るのかと全世界が注視する中で、
習主席は戦争に勝てる軍を目指すと、
尋常ならざる決意を語ったのだ。
世界に向けて戦争という異例の言葉を発した演説は現在の
中国の軍事侵略に走る危うさを印象づけた。
腐敗の深刻化、格差の拡大など、困難な国内問題に
直面する習政権にとって軍こそが支えである。
政権が軍の支えを死活的に必要とすることによって、
中国は軍事独裁国家への道をより一層突き進むと見られる。
そのような中国の実態を、見誤ったり過小評価することは
危機を自ら招く結果につながる。
中国が
戦争を目的達成のための有効な手段のひとつと位置づけ、
いつでも戦争を仕樹ける準備を整えていることを
忘れてはならないだろう。
中国以外の国々、とりわけ民主主義諸国は、
外交や政治折衝などあらゆる手を尽しても
問題が解決されず危機も回避出来ない揚合に、
最後の手段として戦争に訴えることを考える。
だが申国は最初から、
軍事力の行使を、外交や政治折衝と同列に置き、
その中から、
必要に応じて最も効果的な手段を選び出すのであり、
中国共産党のこの悪しき伝統は
習近平体制においても顕著である。
習主席が繰り返す重要なキーワードに
「中国の夢」、
「中華民族の偉大なる復興の実現」、
「共産党によるイデオロギーの指導」、
「平時における軍事力活用の推進」、
(上野注:これはとんでもなく恐ろしいことです)
「軍事闘争への準備を最優先」、
「戦えば必ず勝てる軍」などがある。
「中国の夢」と「中華民族の偉大なる復興の実現」は、
21世紀の中華帝国と中華思想である。
「平時における軍事力の活用」は、
有事でもなく紛争勃発でもない平和なときに、
戦争を仕掛けて目標を達成するという前時代的考えだ。
諸国が、とりわけわが国日本が、
苦い戦争と敗戦を経て成熟し、
無謀な攻撃はしないと誓ったのとは対照的に、
中国はいつでも攻撃することを大前提とする国だといえる。
しかもこうしたことを共産党一党支配体制の下で
共産党のイデオロギーに従って推し進めるのである。
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ところが、中国の弱点は以下だと櫻井さんは指摘します。
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中国が軍事力で米国を凌駕するとの見通しが示されても
習主席の国内基盤が安定だと言い難いのは皮肉である。
労働者の政党であるはずの共産党は、
前首相の温家宝氏一族が約27億ドル(約2700億円)の
蓄財をしていたことに見られるように腐敗の極地にある。
格差は拡大し続け国民の不満の根強さは
年間20万件とも30万件とも言われる
暴動の発生に反映されている。
「人民日報」ネット版が行った世論調査では、
習主席が高く掲げる「中国の夢」の実現が
人民の利益につながるかとの問いに、
82%が「ノー」と答えた。
中国の一党独裁制度については81%が「不賛成」と答えた
(産経新聞5月18日の報道)。
(上野コメント:よくこんな情報が伝わりましたね)
本文中には、
「ミャンマ―民主化は中国を後退させる」
(東南アジア諸国との連携強化を主張)
「対中抑止に憲法を改正し日印強力を進めよ」
「抗議の焼身自殺をテロと呼ぶ中国の狂気」
(チベット弾圧の不当性を主張)
「程中国大使の許しがたい内政干渉」
(チベット独立勢力に加担するなとの要求を断罪)
などの中国関連評論が収録されています。
櫻井さんは論旨明快で歯切れがよく、
やはり一流の切り込み隊長です。
2 件のコメント:
櫻井さんらしい論調ですね。
でも何か解りにくいのが常。
つい、「坊主と先生、見てきたような嘘をつく」的に
推察してしまうのは小生が未熟故なのか。
随分と前ですが桜井さんの講演を聞きました。「逝きし日の面影」という本の要約で江戸末期から明治にかけての日本がいかに徳の高いすばらしい国であったかという内容でした。同じ頃にエコノミクスに「我々が失いしもの」というタイトルで連載されていた内容と同じテーマでしたのでとても興味深く、桜井よしこさんの造詣の深さには驚かれされました。
中国や韓国の反日には目が余るものがあり日本人ならば愛国心が刺激されるのが自然の成り行きであり、日本をいい形で子孫に残すのは我々に課せられた当然の義務で9条の改正はすぐにでもなされるべきと思うのですが、そうでない日本人もいるという事が驚きです。
今までの日本のマスコミは明かに左に偏向していました。左から見れば真ん中も右に見えるといことでしょうか、真ん中の正しいことをいっても右翼だとか、ヒトラーだとか、独裁だ軍国主義の復活だとか非難する知識人と称される人がまだマスコミに登場しています。韓国が事実ではない慰安婦問題を政治問題として日本から金をせびるために「正しい歴史認識」という言葉を大統領以下、韓国人が使い流行言葉になっています。歴史を少しでも勉強すればすぐにわかる事実を認め用としないのは、韓国人や日本の左翼が正しい歴史を学んでいるとはとても考られません。
それに対して、桜井さんの歴史認識はたいしたもので中国に対しての考察も共産党の中国という根が浅いものではなく歴代の中国の王朝、中国人の思考など永い歴史をも視野に入れた深い洞察が根底にあり、
桜井さんの論調が解りにくいのが常。「坊主と先生、見てきたような嘘をつく」的に推察してしまうのは小生が未熟故なのか
というご意見は、おっしゃるとうり貴方が未熟なのではないでしょうか。
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