2013年7月15日月曜日

「中国の政治と安全保障」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 中国の情勢を知っていただく。
 中国の政治体制・力関係を再確認していただく。
 中国の税制を知っていただく。

ねらい:
 こういう目で中国を見ていく。

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このタイトルは、
學士會会報901号(2013-Ⅳ)に掲載された
防衛大学校長国分良成先生の寄稿文です。

「戦わずして中国に勝つ方法」が、
現場・大衆に焦点を当てていたのに対して
当論文は、政治体制という上層に焦点を当てた解説です。

当論文の解説を簡略化するとこうなります。

歴代実力者(1949年建国以来の実質的最高指導者)

 毛沢東 建国者、共産主義

 鄧小平 市場経済導入。実力者で江沢民も胡錦濤も鄧が決めた。
       「平和と発展」「韜光養晦(雌伏して力をつける)」標榜

 江沢民 上海閥創生。経済成長追求。その結果格差拡大。

 胡錦濤 共青団出身。「和諧社会(各階層の調和)」標榜。
       しかしこれは道半ば。汚職と腐敗が進行。格差拡大。
       2006年安倍政権と「戦略的互恵関係」を形成した。
      

 習近平 太子党
      

 上海閥 江沢民が任期中に築いた権力基盤
       胡錦濤政権時代に江沢民は自分の息のかかった上海閥を
       政権中枢に残した。
 共青団 14歳から28歳までの青年を
       共産党の幹部候補として養成する組織出身者の派閥
 太子党 党の高級幹部や高級官僚の子弟の派閥
 

 習が国家主席になれたのは、上海閥と共青団の妥協の産物で、
 7人の常務委員会のうち、胡錦濤派は一人,上海閥系は4人、
 太子党は2人で支持基盤は強くない。

習近平派支持基盤が弱いので、
背伸びしても成果を誇示する必要がある。

習近平は2012年12月、
政治腐敗に対する大衆の不満を抑えるために
1)接待の簡素化、2)勤勉と節約の励行など
党や政府の指導者が従うべきルールを決めた
「8項目規定」を制定した。

国内情勢は社会主義市場経済の限界を露呈している。

建前で社会主義を採る中国では、
消費税など流通課税への依存が高く、
所得税や法人税の整備が遅れている。

相続税はなく、累進課税や不動産取得税もほとんど機能していない。

国有企業は資産公開をしていなく、税金もまともに納めていない。

(上野注:なるほどそうなんですね)

プロレタリアートは農民を含めても40%しかいない。

かわりに企業等管理者・各種専門が増え、
党幹部・政府職員・官僚・政治家らは
賄賂などを通じて利権に群がり、
親族一同で教育や就職の機会を独占し、有力な国有企業に天下り、
材を蓄え、税金を逃れ、海外に資産を移し、
子弟を海外に留学させている。
(上野注:やはりそうですか)

環境汚染も深刻。
雇用不安,失業者増大、地域格差と階層格差の増大、賃上げ圧力
近隣諸国からの対中不信の増大など
まさに内憂外患の状態である。

以上の分析を踏まえ、今後に対する氏の主張は以下の4点です。
(常識的です。立場上そう言うしかないのでしょう)

1)中国の政治改革を含めた国内改革が不可欠である。
  今の不平等は何とかしないと暴動が起きる。

2)「日中戦略的互恵関係」への復帰
  これは氏の希望ですが、
  実態は反日番組の奨励など逆行している。

3)中国の威嚇行動
  米国の出方を窺っている。
  (よく言われるように国内対策の面もあるでしょう)

4)領土問題
  万が一偶発事件が起きてしまった時には
  その極小化に努めなければならない。

現場を預かる立場から言うとそういうことで
日々のストレスはたいへんでしょうね。

結局のところ、私はこう思いました。

胡錦濤氏は常識人でマットウと見えますが
中国の政治経済体制の改革は、
常識人が捌くには問題が大きすぎたということでしょう。

常識人は改善しかできません。
そのうちに病状が悪化してしまったということです。
 

日本のソニーやパナソニックの社長さんたちも
その類だったのでしょう。

習近平氏は支持基盤が強くない中で
どうやって諸難題を捌いて行くのでしょうか。
危ういですね。

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