目的:
インドの概況を再確認していただく。
インドがスポーツ弱者である理由を知っていただく。
ねらい:
この際、インドを応援していただきたい、
インドとの関係強化を考えていただきたい。
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私は、8月18日の上野則男のブログ
「ロンドンオリンピックの成果は立派なものだったのでしょうか!」で
「人口大国のインドがメダルを5個しか取れないのはなぜでしょうか。
どなたか教えてください」
という問題提起をしましたが、
その後、どなたからもご意見が得られませんでしたので、
自分で研究してみました。
以下がその結果です。
1.インドの経済
これに関しては、學士會会報896号(2012-Ⅴ号)
近藤正規氏の「インド経済の現状と今後の日印関係」で
このように紹介されています(一部上野が別の資料から補足)。
インドのGDPは、為替レート換算では1兆6761億ドル(135兆円)で
中国や日本の4分の1 世界11位。
しかし、購買力平価基準のGDPでは、アメリカ、中国に次いで第3位。
1人当たりCDPは1389ドルで世界平均以下の貧乏国
1991年の経済自由化から経済成長率は大きく、
為替レート換算GDPで、2040年までに、インドは日本を抜き、
中国、アメリカ、インドの順になる。
GDPに占める比率は
農業が15-17%、工業が28%、サービス産業が60%弱、
IT産業はその内の5%。
小売、運輸、通信。金融などのサービス業中心なので、
内需中心で世界経済の影響をあまり受けない。
電力・道路・鉄道・水道などのインフラ整備が遅れている。
(60%を占めた農民のために補助金がばら撒かれたため)
GDP金額で10数%しかない農業の従事者は、
国民の60%で、低生産性のため貧困である。
(過去の日本と似ていますね)
2.インドの宗教
ヒンドゥー教82%、イスラム教12-13%、
キリスト教2%、仏教1%(発祥の地なのに)
ヒンドゥー教は菜食主義で動物は原則として食べません。
貧困のせいもあるかもしれませんが、
太ったインド人は見かけません。
もう一つ、ヒンドゥー教では、
肉体労働を蔑視し、頭脳労働を重視しています。
3.カースト制度
この起源は、紀元前にアーリア人がインドを支配した際に
原住民を肌の色等で差別したのが始まりとされているようです。
その後はヒンドゥー教の根本的世界観である輪廻転生の概念の下に
維持されています。
日本語では、司祭、王族・武士、平民、奴隷の4区分で
生まれによって決められていて、変わることはできません。
日本の士農工商を厳しくしたようなものです。
職業もカーストで決められているのですが、
この制度(教義)ができた時になかった職業については、
対象外なのだそうです。
そのために、IT産業は誰が従事してもよいことになっています。
なるほど、ですね
そのためもあり、優秀な人材のあつまるインドのIT産業の実力は
高く評価されています。
憲法では、カーストによる差別を禁止していますが、
結婚(同一カースト内で行う)を初め、
実態はかなりの差別が継続されています。
4.インドのスポーツ
インドの得意スポーツは、ホッケーで、
国民の人気(かつての日本の野球)はクリケット、
テニス(上位階級が自宅のコートで取り組んでいるイメージ)、
サッカーも徐々に普及というところのようです。
クリケットは、残念ながらオリンピック種目ではありません。
5.インドがオリンピックで不振な理由
以上から見ると、以下の理由が想定されます。
1)肉体軽視 ヒンドゥー教の教義
・子供は運動よりも勉強に励む。
2)菜食主義 ヒンドゥー教の教義
・元気が出ません。
3)カースト制度
・自由な社会的交流の場が限定される。
4)貧困
・多くの国民はスポーツどころではありません。
5)国のスポーツ助成の貧困さ
・ということもあるようです。
・以下は、土肥克彦氏の「スポーツの認識高まるインド」
というコラムからの転載です。
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この (オリンピック成績不振の)原因としては、
まず国のスポーツ振興策が貧弱なことがあげられます。
インドはスポーツ振興の国家予算が
2億8,000万ドル(約300億円)しかなく、
さらにその金は役人の公費による旅行費用に充てられるなど、
その大部分が“ムダ”となってきました。
例えばインドのホッケーチームは国の誇りであり、
過去80年間で8つの金メダルを獲得していますが、
北京ではオリンピック出場すらできませんでした。
一方で、最近そのインドホッケー協会の上層部が、
汚職で辞任するといったことがありました。
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土肥さんの指摘によると、
最近は、国も国民の一体感醸成の効果等を意識して、
スポーツ助成の強化に取り組み出しているようですから、
今後に期待しましょう。
ところで、現在、中国と揉めています。
中国に恐怖心を持っている国民も多くいます。
そういう点から、
第2の人口大国インドと仲良くした方がよいのではないか、
という意見があります。
ところが、他の国がインドとの関係強化、投資強化などを
ためらっているうちに、
中国はインドと経済的には強い関係を築いてしまっています。
2億8,000万ドル(約300億円)しかなく、
さらにその金は役人の公費による旅行費用に充てられるなど、
その大部分が“ムダ”となってきました。
例えばインドのホッケーチームは国の誇りであり、
過去80年間で8つの金メダルを獲得していますが、
北京ではオリンピック出場すらできませんでした。
一方で、最近そのインドホッケー協会の上層部が、
汚職で辞任するといったことがありました。
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土肥さんの指摘によると、
最近は、国も国民の一体感醸成の効果等を意識して、
スポーツ助成の強化に取り組み出しているようですから、
今後に期待しましょう。
ところで、現在、中国と揉めています。
中国に恐怖心を持っている国民も多くいます。
そういう点から、
第2の人口大国インドと仲良くした方がよいのではないか、
という意見があります。
ところが、他の国がインドとの関係強化、投資強化などを
ためらっているうちに、
中国はインドと経済的には強い関係を築いてしまっています。
インドも中国に対する警戒心は強く持っていますが、
経済関係が先行してしまっているのです。
インドに対する中国の影響を弱めて
そこに日本が割り込むことには、
かなりの覚悟と戦略が要りそうです。
でも、そうあってほしいですね。
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