2022年5月12日木曜日

英語の言葉遊びその6 「和製英語 (Japanese English)」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 米野忠男氏の英語研究第6弾のご紹介です。
 これは面白い!!よく研究されています。
 知らなかったことがたくさんあります!!
ねらい:
 そうなのか!と感心していただければ結構です。

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日本人は外国の文化を取り入れ吸収同化させてきた。
言葉も同じで、英語を日本なりに勝手に日本語化してきた。
このような和製英語は巷に溢れていて、
うっかりすると外国人にも通じるのではないかと思いがちだが、
外国人には通じないものが多いから注意が必要だ。
便利で分かりやすい和製英語を作ってしまう日本人は、
言葉遊びの達人かもしれない。

1.ナイター
特に野球の夜間試合のことを誰でもナイターと言うし、
ナイター中継などと広く使われている。
もちろん外国人には通じない。
最近の若い人の間では、
外国人に通じるナイトゲーム(night game)と言う人が
増えているらしい。

2.エネルギッシュ

彼は精力的という意味で、エネルギッシュな人だなどとよく言う。
「energish」と英語でも使われると思ってしまいがちだ。
こんな英語は辞書にはない。
「精力的な」という意味の英語は勿論「energetic」である。
「エネルギッシュ」は実はドイツ語(energisch)からきている。

3.バトンタッチ
陸上のリレー競技でバトンを渡すことだが、
「政権のバトンタッチ」などと比喩的にもよく使われる。
だが「baton passing」という英語はあっても
「baton touch」という英語はない。
そもそもリレー競技ではバトンはタッチしただけではダメで、
手渡さねばならないから、
日本語の「バトンタッチ」は本来間違った言葉だが、
日本では誰も不思議に思わずに使っている。
日本語では「第一走者が第二走者にバトンタッチした」
と言えばよいが、英語なら
「The first runner handed over the baton to the next runner」
と言わなければならない。

4.ベテラン
日本ではどんな職業や分野でも熟練者のことを
一般に「ベテラン」とよく言う。
だが英語の「veteran」は本来、退役軍人を意味する。
熟練者は英語では
日本語でも使われるエキスパート(expert)というのが普通。
ただ英語でも、長年同じ職業に従事した人を、
「veteran journalist」とか「veteran engineer」などとは言う。
「Veteran’s Day(退役軍人の日)」は米国の国家祝日だ(11月11日)。
この日は全米各地で退役軍人のパレードがあり、
私も米国駐在時に何度も見たことがある。

5.マイカー
「彼はマイカーを持っている」と言えば誰でも意味がわかる。
そのまま英語に訳したら,外国人は戸惑う。
この場合は当然「his own car」と言わねばならない。
日本で車のセールスマンが外人の家に車を売りに行き
「マイカーはどうですか」と聞いたら、
その人の中古車を売りに来たと思ったという笑い話がある。
マイホームも同じ発想の和製英語だ。

6.オーダーメード
「このスーツはオーダーメードだ」などと普通に使われている。
だが英語には「ready made(既製品)」という言葉があるのに、
なぜか「order made」という言葉はない。
英語では「This suit is made to order」という。

7.TPO
「TPOをわきまえろ」などと普通に言うが、
不思議なことにこの略語が英語の辞書には見当たらない。
英語では「Be careful of time, place and occasion」とそのまま言う。
日本人は向こうの人が言わない略語まで創造してしまったのか。

8.ホッチキス
紙を綴じる文房具を日本ではホッチキスというが、
英語は paper fastenerだ。
発明したのがアメリカ人のHotchkiss で、
日本人は発明者に敬意を表したのか。

9.短縮形
元の英語を勝手に短縮した和製英語はたくさんある。
デパート(department store)、インフレ(inflation)、
マスコミ(mass communication)、サラリーマン(salaried man)、
ゼネスト(general strike)、セコハン(second hand)、
(駅の)ホーム(platform)、ハッピーエンド(happy ending)、
フライパン(frying pan)、スタートライン(starting line)等々。
逆にガードマン(guard)、フリーランサー(free lance)のように
長く変形したものもある。
勿論どれも外国人には通じないだろう。

10.清音と濁音
野球のチーム名は複数の選手から成り立つから複数形になるが、
日本ではヤンキースとかタイガースと語尾は清音で表す。
英語では Yankees, Tigers の語尾の発音は「ズ」と濁音になる。
ヤンキースも和製英語かとなるが、
アクセントが頭にあり語尾は小さい音声になるので、
どっちでも話す場合には通じるだろう。
チーム名でもドラゴンズやライオンズの語尾は英語と同じように濁音で発音する。
日本語では円滑、滑らかという意味で「スムース」と言うが、
英語の smooth は「スムーズ」と濁音で発音されるのは、
昔受験英語で習ったことだ。
反対に「時間にルーズ」と言うが、英語の loose は「ルース」と語尾は清音だ。
「スムース」も「ルーズ」も英語の間違い発音だが、
日本人は発音し易い和製英語に勝手に変えてしまったのか。

11.発音違い
英語がそのまま外来語になった言葉で発音の違いから、
外国人に通じないものもかなりある。
トンネル(tunnel)、グローブ(glove)、ポンド(pound)等々で、
これらも和製英語と言えるかもしれない。 

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