目的:
脳を損傷するとその脳がどういう働き方をしていたのかが分かります。
そのような「異常」ばかりを研究した図書があることを知っていただきます。
上脳と下脳という概念と事実があることを知っていただきます。
ねらい:
上脳派・下脳派という見方をしてみましょう。
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私も脳の働きにつきましては、
非専門家ながらかなりの関心を持って「研究」しています。それで、本書が日経新聞の書評に載りましたので、
買ってみました。
まずは、池谷祐二(脳研究家)氏の書評の一部をご紹介します。
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脳障害や脳疾患に焦点をあてながら脳を解説する本書。
以前にも似たようなアプローチはあった。それは故オリヴァー・サックスの書籍だ。
それもそのはず。著者ヘレン・トムスンは故人に惹かれて
サイエンスライターになったという筋金入りのサックスのファン。
本書はいわばオマージュだ。
しかし単なる模倣には留まらないのは、
さすが医学部出身の専門ライター。
圧倒的な取材力と筆力で現代風に洗練された著作に仕上がっている。
脳を解説するために、
なぜ障害や疾患という裏側からのアプローチを軸にするのか。
これはちょうど車が故障してはじめて
車が走る仕組みを知ることに似ている。
正常に作動しているうちはボンネットを開けてはみないもの。
不具合に遭遇してこそ「正常」の意味を捉えることができる。
本書で取り上げられる症例は、魅惑的なほどに極端で非日常的だ。
何もかも覚えてしまう完壁な記憶を持つ人、
住み慣れた自宅なのに迷子になる方向音痴、
自分の身体が自分ではないように感じる人、
自分が死んでいると信じて疑わない人、
人の痛みを自分の身体で感じる人。
脳を専門に研究する私でさえ初めて知った症例も少なくない。
本書の自眉は、相互に関連のないように見えるこれらの症例が
絶妙な配置により有機網的な物語となり、
ワクワクしながら全編を読み進められることだろう。
研究史から最新の知見までを縦横無尽に往来しつつ、
その分野の基礎知識や前提が徐々に提供され、
世界が照らし出されていく展開は権理小説さながら。
(以下省略)
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脳のどこかがおかしくなると、
上述例示のような異常が起きるのです。
そういうことを知るのはあまり気持ちのいいものではありません。
この女性の著者はよくもそんなおかしな症状を探求したものだと、
感心します。
私が得た有効な知識は、上脳と下脳という捉え方でした。
第4章「何が性格を決めるのか?」の中の記述です。
ハーバード大学名誉教授スティーブン・M・コスリンの説の紹介です。
人の性格は「上脳」と「下脳」の関係性で決まる。
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場所
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機能
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上脳
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前頭皮質のほとんど
側頭葉
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計画を立てそれを実行する。
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下脳
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前頭皮質の一部
側頭葉、後頭葉
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外界から入ってくる情報を解釈し、意味のあるものにする。
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上脳と下脳の両方をフル活用する人は、計画を立てて物事を実行し、
その結果も細かく考える性格になる可能性が高い。
一方で、下脳が優位である人は、周囲の状況を非常に詳しく観察したり、
出来事の結果や意味を微に入り細を穿って考えたりしやすくなる。
このモードの人は、全ての情報を考慮した結果、計画を実行しない、
という選択をとるかもしれない。
逆に上脳が優勢な人は想像力と先進性に富むやり手になる可能性が高いが、
同時に、結果を考えない性格になる可能性も高い。
コスリンはそれを「猪突猛進」モードと呼んでいる。
上脳も下脳も優勢でない場合、
その人は経験の細部にこだわりすぎることもないし、
将来に備えて計画を立て、それを実行することもなく、
ただ「刹那的」に生きるだけである、とコスリン言う。
外部の出来事に行動を左右されるというのだ。
「彼らはチームプレイをするようになるのです。
みなが大統領になれるわけじゃない。
兵士のように、深くは考えずに行動し、だだ実行し、
求められたことを正しいタイミングで行える人たちも必要なんです」
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上脳型と下脳型の人間がいるということは、
コスリン教授らは以下の実験で証明しています。
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2500人近くの人に
物の性質を考える力や空間認識能力を測るアンケートを実施した。
その結果で、上脳派と下脳派をそれぞれ200人を選定した。
そして、上脳派同士や下脳派同士、異なる組み合わせで
2人に役割を与えて一種のゲームをさせた。
その結果、自分に合った役割を与えられた同士のチームが
最も好成績であった。
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上脳と下脳をつなぐ軸策を損傷した人間の性格が
ガラッと変わってしまった事例も数件紹介されています。
著者自身は上脳派でその夫は下脳派です。
そうであることをお互いが認識して役割分担するようになったら
夫婦関係もうまくいくようになった、と書いています。
たしかに、周りをみると上脳派と下脳派がいます。
その場での対応や処理は素晴らしいのに、
どうしても計画を立てて実行することが超不得意な人がいます。
下脳派です。この理論で納得です。
その場での対応・さばきが優れているので高く評価して、、
あるかたまりのあることを依頼すると、
先送りしていつになっても処理してくれない人がいます。
そういう人を何人も知っています。
下脳派の人には単独で仕事をさせるのではなく
上脳派との組み合わせて仕事をしてもらわないといけないのです。
部長と次長がこの組み合わせだと
その部門の運営はうまくいくでしょう。
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