2021年8月16日月曜日

なぜ東京オリンピック開催に反対論があったのか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 東京オリンピック開催の反対論を意思決定問題の例題として
 分析をします。
 結果的には、反対論はごく少数になったことも、
 意思決定問題の筋書き通りであることを確認いただきます。
ねらい:
 意思決定・判断の際には、プラス面とマイナス面を
 公平に見るようにしましょう。
 (本文に記載しました別項「賢い人がなぜ決断を誤るのか?」
 にありますように、たいへん難しいことではあるのです)
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東京オリンピックは、コロナウィルス感染症のおかげで
たいへんな苦境に立ちました。
1年延期の羽目になった上、それでもすまずに
2021年になっても、
開催再延期、開催中止などの意見に振り回されました。
無観客開催につきましても、開催関係者は大いに悩まされました。

私は、開会式の状況を見て、こういう逆境の中での開催として
大成功だった思いました。
1)206か国・地域が参加した。
2)多くの選手たちが嬉しそうに行進した。
3)当日運営が円滑に実行された。

その後、若い人たちの活躍で過去最大の金メダル獲得も達成し、
国民は盛り上がったと思います。
関係各位のご苦労・ご努力に対して深甚なる感謝・慰労の意を表します。

この大会は、コロナに振り回され続けました。
結果的には「コロナにやられずに済んだ」ということで、
残念ながら「コロナに勝った」と言える状況ではありませんでした。

オリンピック研究者である石坂友司准教授の
「コロナとオリンピック」(副題 日本社会に残る課題)
にも記述されていますように、皆様ご承知の諸問題が発生しました。

なお、当書は2021年7月10日刊行なのですが、
以下のようにそれまで発生した問題の整理記述が大半で、
オリンピック開催を応援するというスタンスは
残念ながら見られません。
 第1章 東京オリンピックと2020年
 第2章 東京オリンピックがもたらす都市空間の変容
 第3章 東京オリンピックと震災復興 (復興五輪」だったのではないか?)
 第4章 オリパラ教育とボランティアの行方
 第5章 東京オリンピックとナショナリズム
 第6章 東京オリンピックと2021年 (聖火リレーの開始と大会の行方)

当書にも書かれていますように、
年初には予定どおりの開催を望まない人が圧倒的多数でした。
1.2021年1月9・10日、共同通信社実施世論調査
 1)2021年夏に開催すべきだ 14.1%
 2)再延期すべきだ       44.8%
 3)中止するべきだ       35.3%
2.2021年1月23・24日朝日新聞実施調査
 1)2021年夏に開催する   11%
 2)再び延期          51%
 3)中止            35%

開催を望まない人の多くは、
コロナの感染拡大につながるのではないか、あるいは、
このような状況でオリンピックどころでない、
ということだろうと思われます。

この調査結果数字をどう見るかですが、
意思決定問題として考えるとこうなります。

意思決定(あるいはことの是非判断)を決めるのは、
メリット(効用)でデメリット(負担)のバランスです。
否定的な意見は、効用をあまり期待しないで、
負担を大きく考えます。

別項の以下のブログをご参照ください。

本件の場合の負担は、
コロナの感染拡大あるいは重症者・死者の増加です。
「オリンピックより人の命が大事だ」
という極論がその典型的意見です。
(賛成派は人の命はどうでもよい、と言っているわけではありません)
オリンピックの効果ははっきり見ないで、
コロナの被害だけを見ているのです。

私は、諸情報を基に、以下のように
オリンピック開催の目的・ねらい(メリット・効果)を
整理してみました。
この中で、目的の3.の5)の経済効果以外は
分かる人にしか分かりません。
スポーツをしない人は、
「アスリートとして」の項目は実感できないでしょう。

経済効果は定量的なのですが、その恩恵を受ける人は限られているために、
強調はされません。一般人にとっては、
そのためにオリンピックを開くなどとは考えられません。


オリンピック開催の目的・ねらい

目的

1.アスリートとして

世界のアスリートが一堂に会して、技を競う。

世界中がその場に注目するので、

 アスリートにとっては究極の目標となる。

国籍・人種・民族・宗教の違いを超えて

 公平な立場で参加できる。

2.応援者として

その技の発揮・勝負を応援し、楽しみ、感激・感動する。

  困難な条件での勝利は、応援者に強く生きる力を与える。

  一言で言えば、「盛り上がる」のです。

3.開催国として

)開催国としてスポーツ振興の起爆剤とする。

  少年・少女にスポーツを目指す機会を与える。

2)各種スポーツの世界の実力を認識し、強化の方向を知る。

  国としてのスポーツ振興の判断材料とする。

3)国威掲揚の機会とする。

  好成績によって世界に自国の存在をアピールできる。

  運営成功によって国威掲揚となる

(前回の東京五輪はまさにそれ)。

 4)開催・運営に関わる技術革新の機会とできる。

  施設の建設・運営技術、開閉会式の技術などで革新が生まれる。

 5)経済効果を期待する。

  今回の東京オリンピックの場合、大会運営で約2兆円、

建設投資で10兆円。 

ねらい

1.国籍・人種・民族・宗教の違いを認める

平和な世界の実現に貢献する。

→人類が戦いによって他を制圧するのではなく、

スポーツでの闘いに転換する。

2.アスリートを目指す人材を拡大することにより、

多様な価値を認める社会の実現に貢献する。

3.産業強化・発展の起爆剤となる。

 


一般の意思決定案件でも、負担やコストが明確であるのに対して、
期待する効果は定量的に明示できないものが多いのです。
どうしても、デメリットを重視する意見が強くなります。

その後、池江璃花子選手の復帰レース(4月4日)後に
以下のように、夏開催派が急増しました。
上記目的・ねらいの「応援者としての」効果であるところの、
選手が活躍する場の高揚感・楽しさ・嬉しさが実感できたのです。
つまり、効果が見えてきたのです。

3.2021年4月10・11日朝日新聞実施調査
 1)今年の夏に開催する     28%
 2)再び延期する        34%
 3)中止する          35%

通常であれば、オリンピック代表選考会が多数開催されて、
レースの楽しさやオリンピックで勝つことの期待感が醸成される
ところですが、コロナでそういう機会があまりありませんでした。
その結果が前掲の否定的意見の増大になったのです。

その点で池江選手は、
オリンピック開催に対して非常に大きな貢献をしたのです。
池江選手の復帰活躍がなければ、開催はもっと難航したでしょうね。
オリンピック委員会から、特別金メダルをあげなければなりません。

本件の件名「なぜオリンピック開催に反対論があったのか?」の答えは
「オリンピック開催のメリット・効果が分からなかったから」です。
反対派は、終了後でも
「開催しない方がよかった」と思っているのでしょうか。
とてもそうは思えません。

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