2018年2月28日水曜日

それぞれが労働生産性を高めましょう!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日本の労働生産性が低い状況を再確認します。
 労働生産性を高めるカギを確認いただきます。
 対象業務の生産量を把握することがそのカギなのですが、
  今までできていなかった生産量の把握を実現する事例を
  ご研究いただきます。
ねらい:
 お一人お一人が何らかの形で
  日本の労働生産性改善に力をお貸しください。


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1.プロローグ

現在、国会でもめていることがあります。


裁量労働制を巡っての与野党の攻防です。
このもめごとの元が実にお粗末なのです。

厚生労働省が作成したデータ
「裁量労働制の従事者が、一般の残業労働制の従事者より
残業時間が短い」というものです。

両者の時間の計算方法がいい加減であるということなのですが、
そもそも比較するなら、同じ業務の人を比較すべきです。
違う職種の人を比較して意味があるとは思えません。

安倍総理も
このデータについては四の五の言わず謝ってしまいました。


厚生労働省のお役人様は、
上から下までこんな低レベルなのでしょうか。


2.日本の労働生産性の低さ


そもそも、このもめごとは、
働き方改革関連法案の審議中に起きたものです。


この法案は、


 日本の労働生産性は先進国中最下位である。
 異常残業の結果で犠牲者が出ている


ということの改善を狙いにしたものです。


日本の労働生産性の低さとその対策につきましては、
当ブログでも再々取り上げてきました。
 

 2017.3.31
働き方改革、同一労働同一賃金の実現方法は?」
   

 2017.5.30
なぜ、残業はなくならないのか、なぜ日本の労働生産性は低いのか


ここでは、以下の点だけ再確認しておきます。


国の労働生産性が低いのは、
売上高に対して労働時間が長いからなのです。
その原因として考えられる一つは、
中小商店・工場の個人企業の多さです。


総務省統計局のデータでは、日本の個人企業がこれだけあるのです。





 

全企業

個人企業

個人企業の率(%)

企業数

413

218

53%

従業者数

5349万人

634万人

12%

売上

1326兆円

28兆円

2.1

付加価値

245兆円

12兆円

4.7

付加価値率

18%

42%

 

個人企業の従業者は1社3人程度ですが、
この人たちは効率が悪くても労働は売上と直結していますから
我慢して働いているのです。


個人企業以外でも、

サービス業等の売上効率の悪い産業の従事者が多いことが
日本の労働生産性を低くしています。




3.労働生産性を高める方策

労働生産性を高めるには、当然ながら、
時間当たりにこなす仕事量を増やす必要があります。


人間の能力には幅があって、
頑張る時とそうでない時は仕事のスピードが大きく違います。


これは有名なホーソン実験で証明されたことですが、
皆様も毎日のようにこういう経験をされていませんか。


起床してから家を出るまでの出勤準備です。
急ぐと30分でできることが、ゆっくりすると1時間かかります。


その気になると、早く仕事ができる例を以下にご紹介します。
原著は40年前に書かれた
ラッセル・エイコフの「問題解決のアート」のものです。
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小型精密部品を製造しているある会社は、
完成品の検査員として数多くの女性を雇っていた。


これらの女性は、彼女達の出来高とは無関係に一定の日給を
支払われていた。


彼女達の生産性はかなり低下し、同時に、まちがって
合格としたり不良品としたりした品物の数も増加しつつあった。


生産性を増加させることとミスを減らすことを期待して、
この工場の経営者は、もし彼女達の出来高が
以前に達成していた水準までもどったならば、
以前よりも、かなり多くの賃金を稼ぐことができる歩合制の
報酬制度を提案した。


ただし、この制度では、もし彼女達がこの時点での
水準を維持したとすると、彼女達の稼ぎは減ることになる
という制度であった。女性達は、この提案を即座に拒絶した。


その工場経営者は、
この返答に驚いたがそれ以外の策を思いつかなかった。


彼はたまたまこの工場で、この問題とは無関係の別の問題の研究に
とり組んでいた外部の研究グループに助けを求めた。


研究者達は、女性達のほとんどが結婚しており、
彼女達の夫は仕事を持っていて、家族が生活するには困らない額の
お金を稼いでいることを知った。


女性達は、欲しいけれども実際になければ困るというほどでない
商品やサービスを、買うために
必要なお金を稼ぐために働いていたのだった。


これらの女性は彼女達の夫と同じくらい稼ぐと、夫の持っている
一家の大黒柱としての自尊心を脅かすことになるであろうと
信じていたので、夫と同じほどは稼ぎたいとは望まなかった
(これは、ウーマンリブ運動が行われる前の話である)。


このように、彼女達はこれまで稼いでいた額よりも
多くを稼ぐことは決して望んでいなかったのである。


その上、のんびりしたペースで神経をとがらせずに
働くことで、退屈で単調な仕事にある種のくつろぎを得つつ、
仕事をしながら同僚とおしゃべりすることができたのであった。


さらに重要なことは、女性達のほとんどが就学児童を持っており、
子供達が学校から帰宅したときに家で迎えてやれないことに対して、
非常に罪悪感を持っているということを、研究者達は発見した。


子供達は自分で自分の身の回りのことをしなければならないので、
このことが母親達の心配の種であった。


そうでなければ、誰か他人に世話をしてもらうかだった。
このことはまた、人に子供達の世話を押しつけているという
気持の負担を母親達に感じさせていた。


どちらにしても、女性達はこのような不愉快で
罪悪感を起こさせる状況を生みだした原因は
会社にあると思い込んでいた。


研究者達がこのことを知ったとき、
彼らはひとつの新しい奨励システムを設計した。

ある“正当な1日の仕事量"――正しく検査された品物の数――が
具体的に決められた。


それは検査員の女性達が以前に達成していた出来高の
最高水準に置かれた。


そのかわり女性達には、決められた出来高に達したときには
いつでも仕事を終えて家へ帰ることが許され、
また、それ以上は、彼女達が働きたいと望む時間まで、
必要生産高に余裕のある限り、
出来高払いで仕事を続けることができるようにした。


女性達は、この提案を熱烈に受け入れた。

彼女達の検査の速さは2倍以上になり、子供達が学校から
帰ってくるのを迎えるのに十分間に合う時間に工場を退社した。

ミスは減り、満足感は増えた。 
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この例の場合、従業員は能率を上げて高い給与を受け取る者と

早く退社する者とがでています。
その選択ができるのです。

自分に成果が返って来るなら頑張るということです。

これとは逆の現象ですが、
ゆっくり仕事をすると残業代が多く貰えるという点が、
残業代方式の難点です。

そこで、SCSK殿では経営者の大英断で、
残業を減らすように各人に努力を要請しますが、
給与が減るのは個人にとってのマイナスなので、
見做しで残業代相当を支給することにしました。

日本電産の永守社長もそうすると発言されています。





4.生産性を高める方策の根源

個人企業の主人・個人事業主の例を見ても、
エイコフの事例を見ても、朝の出勤準備でも
自分の努力が自分に返ってくるようになっているのが

一番の対策です。



その点からすると、
前掲のSCSK殿の残業代対策は過渡的なもので、
本来は、個人個人の成果を把握して給与に反映させる
成果給制度がゴールです。

それには、

個人個人の働きの成果を目に見えるようにする必要があります。
ところが仕事によっては、個人の成果が測れない業務も多くあります。

裁量労働制の対象にするのは、成果が測れる仕事です。

日本の今後の進め方としては、

順次成果を測る方法を実現していけばよいのです。

その点につきましては、

前掲の「働き方改革、同一労働同一賃金の実現方法は?」
に私見を述べました。


成果が測れない仕事は、代替策を考案しなければなりません。
以下にその例をご紹介します。


5.事例研究 
  「変更管理業務における生産性改善」

ここで、私が現在関わっているソフトウェア変更管理業務
(先日まではエンハンス業務と称していました。
一般にはソフト保守業務や維持管理業務と言ったりしています)
の生産性を把握する方法についてご紹介します。


(1)一般的な変更管理業務の契約形態


一般的には、労働生産性=生産量(=成果)÷作業時間ですから
ここでは、成果のことを生産量と称します。


一般にソフトウェアの開発業務は、
発注者の提示する開発要件に対して
受注者が個別に見積りをして(多くの場合はコンペ)、
受注すると開発に入る、という方法をとります。


ところが、
変更管理業務は、大小さまざまな規模のものがあります。
大きな規模のものは開発業務と同じように、
個別見積りをして開発に入ります。


しかし、小さな案件は、
一々そのような手順を踏むと時間がかかってしまいます。


そこで一般的にどうしているかというと、
前年度実績を基に次年度の定常的変更管理業務の量を見積り、
受注者にそれが可能な要員の人数の確保を要請します。


それを人月契約と言います。
この確保された生産量の枠で順次発注して埋めていくのです。
定常的規模を超えるものが発生した場合は
個別見積りをしてその枠外で対応します。


(2)一般的な変更管理業務の契約形態の問題点


この方式の生産性管理上の問題は何だと思われますか?


受注側で作業効率を上げるインセンティブが働かない、
という点です。
急いで仕事をしても次の仕事が来るだけです。
仕事(成果)に対してお金をいただけるのではないのです。


だったら、マイペースで仕事をするでしょうね。
失礼ながら、中国人のマインドならそうでしょう。
ところが、日本人はまじめで仲間・お客様を大事にします。
一生懸命仕事をするのです。


この理屈に合わない人月契約制度が成り立ってきたのは、
日本人の国民性のおかげだと私はみています。


しかしながら、その国民性もそこまでで、
業務の実施方法を改善して楽をしよう
というところまでは回りませんでした。


その結果、ほとんどの企業の変更管理業務は、
個人の工夫レベルの改善を除いては
ほとんど改善がなされることがなく、
30年間~40年間旧態依然のままという状況です。


なぜそうなっているのでしょうか。
それは、
変更管理業務の生産量を把握する方法がなかったからなのです。
それで便法を編み出したのですね。


発注側のニーズ

すぐに仕事に着手してほしい

受注側のニーズ

要員枠の仕事を保証してほしい


(3)変更管理業務の生産量の把握方法の発見


ところが、変更管理業務の生産量を把握する方法が見つかりました。


発見(開発)したのは当社ですが、
生産量を把握する方法として開発したのではなく、
迅速簡便な見積り方法として開発されたものです。


この方法の詳細はここでは省略させていただきますが、
以下のグラフのように、
(見積り)生産量と実績工数の相関が極めて高いのです。


したがって、
この生産量を変更管理業務の生産量として使うことには
妥当性があります。






















(4)変更管理業務の契約方法の変更


そこで、従来の人月契約方式に変えて以下のような契約にすることを
関係各位にご提案中です。

 
  人月契約方式
  生産量契約方式

契約形態

準委任契約

請負契約

次年度の契約金額の基礎

 

前年度の実績人数

前年度の総生産量

次年度の契約金額

前年度分に対して次年度の案件予想をして加減する。

前年度分に対して次年度の案件予想をして加減する。



請負契約にする理由は、
生産量に対して実施責任を持ち、そこにどれだけの工数人月を投入するかは
受注側の裁量にするためです。
生産性を改善すれば受注側の利益になります。


これは、4.生産性を高める方策の根源で述べた原理に適っていることです。


(5)変更管理業務の契約方法変更の利点

この方式にする利点は、以下の点が考えられます。


すべては、自己責任性を明確にする効果です。

発注側
の利点
受注側の生産性改善努力によって、変更管理案件の処理の迅速化、高品質化、低コスト化が実現できる。
運営方法によっては、発注側要員の能力向上が実現する。
受注側
の利点
生産性改善によって、お客様満足度の向上、収益改善、要員の意欲・能力向上が実現する。
「自分の努力が報われる」ということは人生の喜びです。


(6)変更管理業務の契約方法変更の課題


ところが、この方式の実現はそう簡単にはいかないのです。
この方式のご紹介をしました2月22日の研究セミナでも、
多くの課題が提起されました。


 ・この生産量算定方式の信頼性は大丈夫か
 ・前年度の生産量実績を把握することはできるのか
 ・前年度実績を基に次年度実績をどう見積るのか
 ・前年と状況が変わった時はどうなるのか
 ・等々


永年実施してきた方法に対して、
「この方式が良いからどうですか」と言われても
そう簡単に「そうですか」と言えるものではありません。


上記の課題に対する解決策案は用意されています。


これから有志とご一緒に
素晴らしい地平を目指して課題解決に邁進してまいりたいと思っています。


ご希望の方はどうぞお声かけください。
お待ちしています。

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