2019年2月8日金曜日

統計不正問題の原因を考える!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 統計不正問題の本質を考えてみます。
 ソフトウェア保守業務との共通性を整理します。
ねらい:
 統計の方の抜本解決は難しいように感じます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国の統計不正問題は、
日本の国全体の信頼を損ねる大事件です。
発端は、毎勤統計ですが、
その後の調査で、出るわ出るわ、ビックリです。
なぜこのようなことが起きるのか、考えてみましょう。


まず、毎勤統計の不正はこうです。
1.本来従業員数500人以上の事業所は
全数調査しなければならないのに、
2004年から東京都分について、勝手に3分の1にした。
これは意図したことです。


2.3分の1のサンプリングにしたのなら、
他の県の全数調査のデータと合算するときには、
3倍にしてから行う必要がある。
ところがそのまま加算した。


東京都の事業所は他の県の事業所よりも高い所得ですから、
3倍していないということは
実態よりも過少に答えが出ることになります。


この過少であることが、雇用保険の給付額に影響した、
という大問題になったのです。


3倍にしなかったのはおそらく故意ではなく、
初歩の初歩の初歩的ミスでしょう。
こんなことは、統計の専門家でなくてもすぐにわかることです。


因みに、
フジテレビのPrimeサンデーでこの問題を取りあげた時に
登場した統計局のOBとかの二人は、
「統計の内部の計算ロジックなど素人にはわかりません」
とうそぶいていましたが、
問題はまったく違うところにあるのです。


フジテレビもこんなことを報道するから、
視聴者は混乱してしまうのです。
フジテレビの日曜朝の報道番組はレベルが落ちましたね!!


さて、このような統計不正・不備が発生する原因は何でしょうか。


それは、統計を担当する統計局が地味な日陰部署だからです。
1.予算削減となると真っ先に対象となります。
 2004年の時もそうだったのでしょう。
 予算削減されるなら全数調査はできない、ということになります。
 でもそれを内密にしているというのは、やはり「不正」です。


2.積極的で優秀な人材は配属されない。
 この仕事では、手柄の立てようがないのです。
 何か新しいことをする、ということもできません。
 優秀な人材は行きたがりません。


 たまたま、
 異動のタイミングで優秀な人材が配属された場合
 のことを指して「休憩所」というのだそうです。
 作業者以外は、誰も計算の中身に関心を持たないのです。


なぜ、私がこのことをリアルに感じられるかというと、
現在私が取り組んでいるソフトウェア保守の現場との共通性
があるからです。


ソフトウェア保守の現場も、1,2ほぼ同じです。
この業務では、人も予算も不十分です。


2、もほぼ同様なのですが、保守業務は統計業務よりましです。
それは何かというと、
保守業務は、お客様(ユーザ)に直結しています。
工夫して改善すれば評価されるチャンスがあるのです。


ただ、ほとんどの保守業務担当は、
時間制約が厳しいこともあって
新しいことや改善に取り組んでいないだけのことです。
改善をするように私は日夜働きかけています。


その点、統計業務は厳しいですね。
優秀な人材がその職についてもやることがあるのでしょうか。
これもフジテレビで、元知事の片山善博さんが、
「統計部局に優秀な(か普通のか)人材を投入すべき」
と言っていましたが、現実は難しいでしょう。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

保守業務も全く同じで、優秀な人材が必要に思います。新規開発と違って工夫の余地は少なく、前任者の作ったプログラムを速く理解して問題箇所を見付け、修正が他の箇所に及ばないようにするというのは高度な技術力が必要です。

上野 則男 さんのコメント...

ご意見ありがとうございます。
保守業務にも優秀な人材が必要という点に関しては、まったく同感です。
本項では、官庁の統計担当は、業務の創意工夫の余地が少なく、そのため優秀な人材の働き場所となっていない、ということを申しあげたのです。