目的:
東電原発事故の裁判の結果をレビューします。
事故の真因が解明されなかったことを再確認いただきます。
ねらい:
原告は控訴するのでしょうか。
以下に私が述べることが事故の真因だとしても、
やはり今回の被告3人を有罪にすることは難しいでしょうね。
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2019年9月19日、
東京地裁は元東電経営者3人に無罪の判決を下しました。
津波の襲来は的確には予見できず、
対策を津波襲来までの期間に行うこともできなかった、
ということです。
この裁判は2017年6月から、2年3か月、37回の公判を経ての
判決です。
公判で明らかにした事故の経緯はこうです。
津波襲来の可能性を指摘したのは、
2002年7月の政府の地震調査研究推進本部の「長期評価」で
「福島県沖含む日本海溝沿いで30年以内にM8クラスの地震が
20%程度の確率で発生する可能性がある」としています。
これを受けて、
東電社内でも津波対策の検討を行う部署で検討を行いました。
その検討結果により、2008年3月にその部署から経営幹部に対して
津波対策の必要性が提言されました。
しかし経営幹部らは、その対策(新たな防潮堤を作る)に数百億円かかる、
ということもあり、
対策を即断できずに、土木学会に再調査を依頼する、こととしました。
そうこうするうちに2011年3月11日が到来したのです。
私はこれについてこう考えます。
1.大きな津波が発生すること自体は、以下の過去の東北の例を見ても、
正確な時期は別として到来を前提に原発の運転をすべきです。
東北地方の津波の歴史 Wikipediaを基に上野が作成
紀元前4000年頃
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三陸地方巨大津波の痕跡
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紀元前1500年頃
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三陸地方巨大津波の痕跡
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紀元前1000年頃
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三陸地方巨大津波の痕跡
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紀元前100年頃
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仙台付近で巨大津波の被害
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869年
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貞観地震による巨大津波
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1454年
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享徳地震による巨大津波
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1611年
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慶長三陸地震による津波
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伊達藩で5千人が死亡
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1677年
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八戸沖地震による津波
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1763年
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八戸沖地震による津波
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1793年
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寛政地震による津波
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死者1,213人
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1856年
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安政八戸沖地震による津波
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1896年
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明治三陸地震による津波
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死者不明者22,000人
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1933年
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昭和三陸地震による津波
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死者・不明者3,000人
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2011年
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東日本大震災による津波
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死者15,894人、
行方不明者 2,561人
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・東北地方は古くから大津波に襲われています。
特に近年は100年以内に発生しています。
1933年からしばらく無かったのが
油断を招いた面があるのではないでしょうか。
2.津波対策は防潮堤強化だけではない
・この裁判の中でも、東電の津波対策検討部門からは、
数百億円かかる防潮堤建設が提案されたようです。
・住宅地を防護するのであれば、
堤防も有効かもしれませんが、
堤防も有効かもしれませんが、
今回の件では、防御すべきは原発です。
原発が水を被って正常運転不能となることを防げば
よいのです。
よいのです。
・今回の原発事故は、
原発を冷却できずに爆発を起こしてしまったのです。
冷却用の電源と原発に電力を送るケーブルが水を被り
使用不能となったためです。
・冷却用電源を
防水不完全なタービン建屋内に置いたからです。
防水不完全なタービン建屋内に置いたからです。
・ほぼ同じ環境の福島第2原発は、
予備用電源を防水完全な原子炉建屋においたために
何のトラブルも起こさずに冷温停止ができたのです。
・したがって、対策は防潮堤建設ではなく、
もっと簡単な工事で済む
冷却用電源の原子炉建屋内への移設、
それが困難なら、完全防水の建屋を作って
冷却用電源の原子炉建屋内への移設、
それが困難なら、完全防水の建屋を作って
そこに予備用電源を設置すればよかったのです。
・なぜそんなことが分からなかったのでしょうか。
津波対策担当は、
「どうやって水が来ないようにするか」
と考えたから、
防潮堤しか思いつかなかったのでしょう。
「どうやって水が来ないようにするか」
と考えたから、
防潮堤しか思いつかなかったのでしょう。
・しかし避けるべきは、原発の異常停止で、
対策の目的は、原発の異常停止防止でしょう、に。
そう考えれば上のような対策に思い至ったはずです。
・誰もそう考えなかったというのは不思議なことです。
私はこのことについて何度もブログで述べています。
肝心の判決ですが、
総合的に見て東電が適切な津波対策をしなかったことが、
世界中に非常に大きな影響を与えた原発事故を招いた
ことはまぎれもない事実です。
ことはまぎれもない事実です。
しかし、その責任が被告となった3人にあるのか、
となると、やはり判決のように疑問です。
となると、やはり判決のように疑問です。
予備電源の工事を提案されたのに
しなかったのであれば、
しなかったのであれば、
その決定と事故には明確な因果関係がありますので
有罪です。
有罪です。
対策を実施しないと意思決定したのであれば、
これも有罪です。
これも有罪です。
しかし、
対策を検討しているうちに津波がきてしまった、
ということですから、
意思決定と事故の因果関係は曖昧です。
意思決定と事故の因果関係は曖昧です。
残念ながら、刑事責任は追及できないでしょう。
事故原因が、上で述べたように明確になっていれば、
裁判の行方は変わっていたかもしれません。
追求されている事故の原因が不明のままで
判決が出るのは
殺人事件で死因が特定できないのに犯人を起訴する
ようなものです。
歯がゆい限りです。
追求されている事故の原因が不明のままで
判決が出るのは
殺人事件で死因が特定できないのに犯人を起訴する
ようなものです。
歯がゆい限りです。
2 件のコメント:
元は高台だったのに、丘を削って発電所建設を許可したそうですから、その承認をした官僚も責任を問われるべきではないでしょうか?
いつも民間ばかりやり玉にあがりますが、官僚の責任が全く遡上に乗らないのはおかしいとおもいますが、いかがでしょう?
コメントありがとうございます。
高台を削っていなければ事故が起きなかった
ということかもしれませんが、
削っていても、津波のことを想定して対応すべきだったと思います。
本件については、完全に当事者(東電)の責任だと思います。
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