2023年10月27日金曜日

「思考の方法学」ですって!

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 「思考の方法学とは何だろう?」という疑問にお答えします。

 思考の方法や、解決策検討の方法について
 再確認していただきます。
ねらい:
 モデル思考やモデル分析をもう少し気にするようにしましょうか。

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本テーマは、栗田治 慶応大学管理工学研究所教授著
「思考の方法学」のご紹介です。
私も、思考の方法家を自負しておりますので、
以下は若干拘った内容となりました。
 

本書の構成はこうなっています。
序章 思考はモデルによって支えられている
第1章 モデル分析はこうして行われる
第2章 数学を用いるか、言語を用いるか
    --定量的モデルと定性的モデル
第3章 いつか役立てるか、いま役立てるか
    ーー普遍的法則を追求するモデルと
      個性的な個体を把握するモデル
第4章 ざっくりと切り分けるか、細部を見るか
    --マクロモデルとミクロモデル
第5章 時間による変化を考えるかどうか
    --静的モデルと動的モデル
第6章 モデル分類法の活用
第7章 モデル思考のための学問「オペレーションズ・リサーチ」
    --キーワードは「らせん的展開」
第8章 モデル分析を支えるキー概念
    1.正味現在価値法
    2.埋没費用
    3.パレート最適
    4.伝統主義
    5、フェティシズム
    6.官僚制の準機能と逆機能
第9章 誰のために考えるのか
    --問題の所有者という要件
第10章 モデルと人間

本書のタイトルは「思考の方法学」ですから、
思考とは何で、どう思考すればよいか、
の基本的解説があるべきです。
それについて、「はじめに」で以下の記述があります。

「思考」という言葉はとても一般的で広範な意味をもちますが、
今回、特に限定的に焦点を当てるのは、
 ある目的をもって物事に対処し、
 納得したり解決策を見つけたりするために考える
という営みです。
こうした思考を支える技術としての「モデル分析」に
さまざまな角度から焦点を当て、
それを上手く役立てるための方法を分かりやすく解説します

それを敷衍して、序章の1.本書が対象とする「思考」とは
で「誰のために」「何のために」という目的に副う必要がある
と書かれています。
それはそれでいいのですが、もう一歩進めて
「誰のために」「何のために」「どう考えるのか」とすべきでしょう。

それを受けて、第9章で「誰のために」について解説しています。
これは、もっと初めに置くべきものです。

「何のために」については、第1章の「1.モデルの目的の類型」で
以下の記述があります。
以下に解説しますように、この記述は不十分です。

モデルの目的の類型

番号

タイトル

内容

類型1

経験的な事実の確認

現実を観察すると興味深い現象が起きている用に見える。それは本当に起きているのか、勘違いなのかをあきらかにしたい。

類型2

真理の解明

ある興味深い現象が起きていることが確かになった。そのメカニズムを明らかにしたい。

類型3

最適解の算出(注)

ある目的を達成するための最も良いやり方を見つけたい。

類型4

将来予測

このままだと将来どうなるかを、あらかじめ知っておきたい。

類型5

物事の評価

あることを実現するためにいくつかの方法が提案されている。それらを比較して順位をつけたい。

類型6

アルゴリズムの開発

ある問題の解を求めるための計算の手続きをつくり出したい。

類型7

存在証明

ある事柄が生じうるかどうかを明らかにしたい。

(注)原文は、最適解・最適設計・最適スケジューリングの算出

著者は、「思考をする場合の目的の類型は、これで網羅しているはず」
と言われていますが、これだとランダムな配列で、網羅性の確認がしにくいので
以下のように一般的な検討の流れに沿って順序を変更してみました。

どうもこういうことがありそうだ➡やはりあることが証明できた
➡それはなぜ起きているのか証明したい。
➡そういう前提なら最適な方法は何か➡最適を実現するアルゴリズムを作りたい
➡いくつかの代案を評価したい
➡ところで将来はどうなるのだろう。
という流れです。

モデルの目的の類型 順序並び替え上野案

番号

タイトル

内容

類型1

経験的な事実の確認

現実を観察すると興味深い現象が起きている用に見える。それは本当に起きているのか、勘違いなのかをあきらかにしたい。

類型7

存在証明

ある事柄が生じうるかどうかを明らかにしたい。

類型2

真理の解明

ある興味深い現象が起きていることが確かになった。そのメカニズムを明らかにしたい。

類型3

最適解の算出(注)

ある目的を達成するための最も良いやり方を見つけたい。

類型6

アルゴリズムの開発

ある問題の解を求めるための計算の手続きをつくり出したい。

類型5

物事の評価

あることを実現するためにいくつかの方法が提案されている。それらを比較して順位をつけたい。

類型4

将来予測

このままだと将来どうなるかを、あらかじめ知っておきたい。


あらためて、これで網羅しているかどうかを検討してみますと、
類型3の最適解の算出は、
最適解とは限らず改善案の場合もありえることが分かりました。
社会問題では、最適解は不明です。

最適解というのは、
本書でも取りあげているオペレーションズ・リサーチでの概念で、
前提条件が明確でなければ求められません。
社会問題には、前提条件が明確ということはほとんどなく、
いい加減な前提条件で「最適解」を求めますと、
前提条件が変化すると、最適解が最悪解になる可能性があるのです。

若干脱線しましたが、本題に戻ります。
ここに上げられている目的の類型は、
自然科学では、類型7と2が検討の目的と言えるでしょう。
発見になるのです。

しかし、自然科学以外の領域では、
この類型が検討の目的とは言えません。
何のために、物事の評価をするのか、将来予測をするのかが
「何のために」の答えなのです。

その本来の「何のために」をどう検討したらよいかは、
本書では一切触れていません。

私が過去に、世界の著名な問題解決的手法の分析をしましたが、
その時に判明したのは、問題解決の目的を取りあげているのは、
ナドラーのワークデザイン手法だけだったのです。
他の手法はすべて
どうやって問題を解決するかだけを対象としていたのです。
ですから、
目的について掘り下げていないのは本書だけではないのです。

そういう点からして、
本書のタイトルを「思考の方法学」とするのはおこがましいのです。
いいかげんな出版社の勇み足だと思われます。
せいぜいが「問題解決方法検討の方法学」でしょう。
「問題解決のためのモデル分析入門」でもよいかもしれません。

先に批判をしましたが、「どうするか」の検討方法として、
第2章から第5章までモデルの4類型を挙げられたのは、
たいへん有効な解説です。

分析モデルの整理
(本書の内容に基づき上野が作成)

分析モデル

の区分

モデルの名称

モデルの内容

分析ツール

定量的モデル

数学を用いて分析

定性的モデル

数学を用いないで分析

分析対象

原理解明モデル

原理原則の解明

個体解明モデル

個体の態様を解明

分析のメッシュ

マクロモデル

粗いメッシュで分析

ミクロモデル

詳細なメッシュで分析

時間軸の有無

静的モデル

一定時の分析

動的モデル

時間による変化の分析

 

静的モデルの例

動的モデルの例




























そのモデルで経済学の学説を整理してみました。

経済学のモデル分析

経済理論

定性・定量

普遍法則

・個体解明

マクロ

・ミクロ

静的・動的

古典派経済学

定性

普遍

マクロ

静的

マルクス経済学

定性

普遍

マクロ

静的

ケインズ経済学

定性

普遍

マクロ

静的 動的

ゲーム理論

定量

普遍、個別

ミクロ

静的 動的

行動経済学

定量

普遍、個別

ミクロ

静的 動的

マーケットデザイン

定性 定量

個別

ミクロ


いい加減な判定もあるかもしれませんが、
これによれば、定性から定量へ、普遍法則から個体の行動解明へ、
マクロからミクロへ、静的から動的へ、
というモデルの進化状況が見られます。

経済学が、現象解明の学から
役に立つ学問になってきているということです。

ただし、ゲーム理論と行動経済学は、この表では全く同じですが、
ゲーム理論の主体は合理的行動をとるものとしていますが、
行動経済学では、非合理的行動もとる、という違いがあります。

また、マーケットデザイン
(好ましい結果が得られる行動モデルを設計すること)
は、経済学というよりは、経済学者が取り組むようになった対象
ということかもしれません
(私は、マーケットデザインの存在を知りませんでしたが、
ある講演会で、
そのお先棒を担いでおられます神取道宏先生に教わりました)。

これまた、問題指摘になるのですが、
第8章 モデル分析を支えるキー概念
で挙げられているものは、伝統主義、フェティシズム、など
えーーっ!なぜこれがキー概念なの?というような内容です。
第8章は「モデル分析の際の参考概念」とすべきでしょう。

最後に先生のむすびの部分をご紹介します。
仰るとおりです。

【古きを捨て新しきをこしらえる】
ここで述べてきたことをまとめると、
①車中心社会から人間中心社会への転換
②人口減少問題への対応としてのコンパクトな都市空間への転換
③医学的事実に基づく徒歩忠臣社会の肯定
というアイデアに立脚し、新しい都市計画の潮流が生まれつつある、
ということです。

特に③に焦点を当てると、
これまでの、移動距離を小さくする施設配置研究ではなく、
徒歩移動をある程度以上確保するための施設配置研究、
というものが大切になってきます。
その際にも,
a.社会的な最適化,b.弱者救済,c.住民間の公平性の確保
といった異なる価値観の下でのモデル構築が展開していくことは
言うまでもありません。

以上の説明から分かる通り、
モデルというものは一通り作り終えたらそれで終わりではありません。
人間による営みを、伝統主義に陥ることなく正面から観察し、
変える勇気を持つことが大切です。

そして上述のような新たなる医学上の知見や、
自然と人間の関係に関する知見、これまで気づかなかった要件、
そうしたものに目を光らせるのです。
新事実を部品として取り入れ、古きを捨て新しきをこしらえる
(こういう営みをスクラップ・アンド・ビルドといいます)
ことに努力を注ぐのです。
これが、人間の幸せの実現を目座す研究の本質かもしれません。

そして大切なことは、
このような思考の営みが、すべて人間の領分である、ということです。
「自分はこのようになりたい」「大切な人に幸せになってほしい」
「社会の有りようを良くしたい」といった、
人間としての正直で素朴な欲求からスタートして思考するのです。

その際に、思考を支えてくれるモデル分析を意識し、
モデルを十全なものにすることを目指しましょう。



2023年10月26日木曜日

「ヒトの原点を考える100点」はスゴイ!!

 [このテーマの目的・ねらい]

目的:
 人類の肉体は狩猟採集生活で作りこまれている、
 そのために、今の生活形態は歪みが出ている、
  ということを知っていただきます。
 著者の目から見た現在の日本の欠点をご理解いただきます。
ねらい:
 ぜひ、本書をお読みください。
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本項は、「ヒトの原点を考える」の紹介ですが、副題は
「進化生物学者の現代社会論100話」となっています。
元は、雑誌「財界」に2018年9月11日号から連載されたもので
1編は2ページに区切れた読み切りになっていますので
たいへん読みやすくなっています。

この著者の長谷川眞理子さんは、
総合研究大学院大学名誉教授、日本芸術文化振興理事会理事長です。
なかなかのご見識です。

勝手ながら、その100話の中から、私が特に感心した部分を
以下にご紹介します。
最後の2項は、原文をそのまま転載しています。
他はもとの章の部分であったり、
いくつかの章の内容を合体したりしています。

書名は「ヒトの原点を考える」ですが、
実態は「ヒトの原点から今を考える」が大半です。
その「考え」はたいへんご尤もで参考になります。

1.人類の歴史
人類という生物が他の類人猿から分かれて進化したのが600万年前、
今の私たちと似たような体形のホモ属という人類が出現したのが
200万年前、
私たち自身であるホモ・サピエンスが進化したのが20万円前である。
その長い進化史のほとんどにおいて、人類は狩猟採集生活をしていた。
(多くの地域で農耕生活が始まったのは1万年前である。
1万年は20万年の5%に過ぎない、ということです)

2.狩猟採集生活向きの人体特性
私たちの体の基本設計は、狩猟採集生活に基づいている。
狩猟採集生活は、野生の動物や植物をとって食べる、放浪の生活だ。
とても大変で、
飢餓とすれすれであるかのように想像するかもしれないが、
そうでもない。

それは決していろいろなものにあふれたという意味での
「豊かな」生活ではないが、ある意味、
豊かでとても健康な生活なのである。
野生の動物を追跡し弓矢や罠でしとめたり、
食べられる植物をさがしたりすることは、
とても難しくて先の見えない生活のように思うかもしれない。

今の私たちが、急に狩猟と採集で生計を立てろと言われたら、
それは無理だろう。
しかし、狩猟採集民は、私たちと同じ脳を持った人間だ。
私たちが今の複雑な産業社会を生きるために使っている能力のすべてを
狩猟採集の技術に投入したら、
そして、そのような生活を代々受け継いできたならば、
結構うまくやっていけるのだ。

現在もまだ狩猟採集生活を続けている人々の暮らしを基に、
さまざまな研究を合わせると、
狩猟採集者が食物その他のために働く労働時間は、
毎日平均5時間ほどだ。
大型獣はいつも獲れるわけではないので、
毎日の栄養源は植物などである。
球根や根茎、種子、葉、果実、昆虫、魚介など、実に種類が豊富だ。
そのために栄養全般がバランスよく保たれていた。
農耕が始まり、米や小麦など少数の食品に頼るようになって以後、
カロリーは増えたが栄養は偏り、健康状態はむしろ悪化した。

狩猟採集生活はまた、よく移動する社会である。
みんな毎日10キロ以上は歩く。
そして、何かの職の専門家などはいないので、狩猟と採集のみならず、
キャンプで掘っ立て小屋を建てる、火を起こす、調理をする、
子どもの世話をする、病気やけがに対処するなど、
個人がだいたい何もかもできねばならない。

現代の暮らしはすっかり様変わりだ。
自然から切り離され、オフィスで座り続ける仕事。
1日30種類以上のものを食べましょう、毎日1万歩歩きましょう、
と言われるが、
普通に暮らしていればそれすら難しい。
健康のためには、30分おきにストレッチをしたり、
1時間おきに歩き回ったりするのがよいそうだが、
オフィスでそんなことできるだろうか。

これまでの人類進化史の中で、糖分や脂肪が、
現在のように安くてあり余るほどあった時代はない。
常に糖分や脂肪は、
得るために努力しなければならない貴重な資源だった。
いったん手に入れば、存分に食べる。
今度いつ手に入るか分からないから。
そこで、今の私たちの体には、
糖分や脂肪の摂取を控えるようにするシグナルは備わっていない。
進化史の99%において、
糖分や脂肪がふんだんにある状況などなかったからだ。
それが、メタボなどの健康障害をもたらすことになった。

上野コメント
今の人間の体は、
20万年の狩猟採集生活に適合するように作られてきたので
それから外れた現代の生活は人間の心身に大きなムリを与えている
ということなのです。
狩猟採集生活時代には、うつ病や肥満症などなかったでしょう。

3.人間の脳の大きさ
ヒトの脳は同じ体重のサル類の3倍の大きさがある。
脳の重さは体重の2%ある。
ゾウ、クジラ、チンパンジーなどは
体重に比べて大きな脳を持っているものの、
それはせいぜい1%なのである。
2%の脳がエネルギーの20%を使っている。
そのエネルギーの確保を可能としたのは、火の利用である。
食べ物を火で温めることによって消化をよくし、
大量のエネルギー摂取を可能としたのである。

火を通した食べ物を食べるおかげで、
ヒトの腸は、この体重の哺乳類としては極端に短い。

人類進化のどこかの時点で、ヒトは火で調理することを始め、
超が短くてもよくなった。
そして、そこで余ったエネルギーを脳に回す余裕ができ、
実際に脳が大きくなれたということだ。

4.人間の赤ん坊
サルや類人猿だけでなく、シカもイノシシも、
野生動物の赤ん坊は、決してぎゃあぎゃあ泣いたりしない。
そう言えば、猫や犬の赤ちゃんも、
ぎゃあぎゃあ泣かないではないか。
その理由は簡単だ。
大声で泣けば、捕食者に見つかって食べられるリスクが高いからだ。

なぜヒトの子どもは大声で泣くのだろう?
哺乳類の赤ん坊は、たいていは母親のすぐそばにいる。
だから、不具合を母親に知らせなくてはいけないとしても、
それほど大きな声を出す必要はない。
しかし、ヒトの赤ん坊は、母親にしがみつくことはできず、
どこかに置いておかれることが多い。
そうだとすると、時に大声を出す必要はあるだろう。

でも、それだけだろうか。
私は、これは、ヒトが共同繁殖であることと関係があると考えている。
ヒトは、両親、兄弟姉妹、祖父母等が家族を形成する。
そして、そのような家族がそれぞれ孤立して暮らすのではなく、
多くの家族が一緒に集まって暮らしている。
血縁も非血縁も含めて多くの人々が協力し合わねば暮らしていけない。
それは子育ても同様で、子どもを育てるためには多くの人がかかわる。
そういう状況で、
子どもの具合が悪かったり何かが不満足だったりする時、
世話をしてくれるのは親だけではない。
何かしてくれるだろう潜在的な存在は周囲にたくさんいる。
そこで、子どもは大声を出し、
そういう人たちをリクルートしようとしているのではないだろうか。

今の核家族、個人主義の都市生活では、
誰もよその人に気軽に声をかけることはしない。
だから、電車の中などで子どもがぎゃあぎゃあ泣くと、
親だけがなだめようとし、周囲に恐縮するばかり。
この光景は、
ヒトの進化史と現代社会のギャップの象徴だと思うのだ。

上野コメント:オモシロイ意見ですね。

5.犬の経緯、猫の経緯
犬はオオカミを家畜化した動物だ。
祖の起源は1万5千年ほど前だと言われているが、
新しい遺跡や分析資料が出てくるたびに、この年打は古くなる。
それでも、だいたい数万年前というところだろう。

ネアンデルタール人は、ヨーロッパでおよそ3万年前に絶滅したが、
彼らは犬を飼っていなかった。
同時代に共存していた私たちの祖先のホモサピエンスが生き延び、
ネアンデルタール人が滅んだ原因の一つに、
犬の力があったと考える学者もいる。

参考:ネアンデルタール人が滅んだ理由
2016.10.31
上野則男のブログ: 人類進化の謎を解く2冊、なぜネアンデルタール人は滅びたのか?
(uenorio.blogspot.com)
ここでは、ネアンデルタール人が滅んだのは、以下が原因だとされています。
1)共同体規模が小さく協力し合える限界が限られる。
2)前頭前野の発達が小さく、計画・予測能力が不足した。
3)現生人類は針を開発し衣服を縫うことができた(防寒機能大、
  ネアンデルタール人は寒冷化に対応できなかった)

犬はもとは狩猟の手伝いである。
数あるテリアのたぐいは、ネズミ獲りやキツネ狩りのために作られた。
オオカミは集団で暮らし、個体の間に厳しい順位関係がある。
犬はそのような動物を家畜化したので、
やはり順位関係の厳しい社会を作る。

だから、誰が一家の長であるかをすぐに見分ける。
わが家では、圧倒的にうちの亭主が「長」で、
私は「友達」にすぎない。
最近の研究によると、犬は飼い主と目を見合わせる。
オオカミはこのようには互いに目を見合わせない。
ヒトは、互いに目を見合わせて親愛の情を育む。
おそらく、オオカミを家畜化して犬にする間に、
少しでも多くヒトと目を見合わせて情を通わせる個体を
人為的に選択してきたのだろう。
その結果、今では、
犬はヒトと目を見合わせて愛情を育む動物となったのだ。

猫は犬とは違って、
特に人間によって「家畜化」されたのではないらしい。
人間が農耕を始め、穀物が収穫されるようになると、
それを狙ってネズミなどが集まってくる。
それを狩ろうと野生の猫たちが人間の集落の近くに寄ってきた。
そして何となく居ついてしまった、
というのが飼い猫のれきしであるらしい。

現在の飼い猫たちの遺伝子は、古代からほとんど変わっていない。
人間にとってはネズミを獲ってくれるので便利、
猫にとってはネズミの近くにいられるので好都合、と言いうことで、
両者は互いにあまり干渉せずに共通の利益を得てきたのだろう。
だから猫は、今でもツンとして孤高を保っている。

6.第82章 リスク回避だけの社会
先日、久しぶりに地元の葉山で花火大会があった。
コロナ禍でもう2年間、花火大会は開催されなかった。
またもやコロナの感染拡大が激しいこの頃なのであるが、
あえて開催されたのは本当に嬉しい限りである。
花火は素晴らしかったし、
それを見る一瞬があることで、心がとても癒された。

リスクだけを考えていれば、何もしないのが最善であろう。
しかし、物事には、リスクもあればベネフィットもある。
昨今の日本は、リスク回避に重点が置かれ過ぎている結果、
ベネフィットのことは忘れているように思えるのだ。
この先の感染拡大に対して何をするのか、
いろいろと考慮せねばならないことはたくさんあるだろう。

しかし日本では政府が法律で強制的に人々の行動を制限することは
できないので、所詮は「お願い」となる。
それを聞くか聞かないかは個人の選択だ。
しかし、日本には「個人」がないので、
これにどう対処するかは、同調圧力に頼ることになる。
(上野:なるほどそういうことですか)

同調圧力とは何か。
それは、個人が自分の判断によって行動を決めるのではなく、
周囲の人々がどう行動するのかに応じて
自らの行動をそれに合わせねばならない、と思う心情だ。

おそらく各人はそれそれに自分の判断を持っている。
しかし、それを素直に表出することはできず、
まずは周囲の行動を見る。
ここで、もしも自分は勝手にやるという意思表示をして、
そう行動する人々が一定数入れば、
同調圧力はそちらの方に動くのだろう。

しかし、そうではなくて、
自分は勝手にやるという判断を表示したくないとなると、
まずは何もしないで周囲を見ることになる。
そういう人がある程度の割合でいると、
それを見ている人たちは
「そうか、何もしないのが一般的なのか」と思って何もしない。
その結果、誰もそれを欲していないのに、
自分の判断で好きなようには行動しない、というほうに傾いていく。
(上野:なるほど)

感染したらいけない、クラスターが出たらいけないなど、
リスクだけを考えれば悪いことはたくさんある。
しかし、人々が集まり、花火やショーなどを見て心が癒されたり、
新しい機運が出てきたりするのであれば、
それは大きなベネフィットだろう。
しかし、それは考慮せずにリスクだけを考えて行動するのだとすれば、
それは何もしないのが最適となってしまう。

こんな心情の文化からは、
イノベーションも新しい発想も冒険も何も出てこられず、
ただ縮小する以外にないのではないか、花火を見ながらの感想である。

(上野:失われた30年の原因の一つはその国民性ですね。
ユデガエル日本は、同じ方向にズルズル進んで行ってしまうのです)

参考:
上野はその著「価値目標思考のすすめ」において、
日本人の思考特性を以下の図で表現しました。
これの中の「和の重視」のところに
同調圧力をかっこ書きで入れた方がいいようです。

なお、価値目標思考につきましては、
システム企画研修社の研修の必須内容となっています。




7.第100章(終章) 人間を助ける機械とは
昨今の情報技術の発展は目覚ましい。
たしかに世界は、そのおかげでここ数年の間に激変した。
少し前までは思いもつかなかったような大量のデータを
扱うこともできるようになった。
何でも機械がやってくれるような社会が来るという期待の一方、
人間の職業の多くが機械に奪われてしまうなどの危惧も
ささやかれている。

英国、オックスフォード大学に
スーザン・グリーンフィールドという神経科学者がいる。
1990年代の彼女の本の1冊に、
未来の人間社会を想像したところがあった。
脳科学と情報技術が発展して、脳の快感を制御する部分に
自在に働きかけることができるようになった世界だ。
そこで人々は何もせずに、
薄ぼんやりと開けた目でバーチャルリアリティの世界を眺め、
ほんわかとした快感に包まれて時間をつぶしている。

まるで麻薬中毒患者のようだ。
みんながこんな暮らしになるなんて嫌だなあと思ったが、
どうだろう。
こんな世界になっていないが、
今流通しているゲームやソーシャルメディアその他のアプリは皆、
人間の欲求にすり寄るものであり、やめることが難しい。
電車の中でも街中の通りでも、ほぼ8割の人が
スマートフォンの画面に釘づけになっている光景は奇異だ。

先日、ある会合で、情報関係の研究者の話をきいた。
その人は、情報技術が人間の能力に取って代わるのではなく、
人間が自分で何かを達成するのを助ける働きをするべきだと
考えを変えたそうだ。
掃除も洗濯も機械でできます、ロボットがご注文を承ります、
配達もします、お勧めメニューもお見せします、ではなく、
ある人が何をしたいか、
それをその人が自分で達成するにはどんな手助けをしたらよいかという
観点から考えたいということだ。

つまり、技術の発明や改良を考えるのが楽しい研究者の側から
何が出来るかを追求していくだけではなく、
人々が幸せで充実感のあり生活を送ることを大目標とする。
そして、その目標を達成するためには、
AI、ロボット、情報技術がどのように役立てられるかを
考えるのである。

たとえば、テニスが上手になりたいと思う人には、
自分で実際に上達するように仕向けるアプリを提供する。
目標は本人が上達することであって、
バーチャルリアリティの世界でテニスをすることではない。

昔から発明、改良されてきた様々な技術の多くは、
人間の肉体的な重労働を軽減するものだった。
それにもいろいろな副産物があるのだが、
これからの技術には、
人間が幸せに暮らすとはどういうことかをまずは検討し、
その実現のためには何をするべきかについて、
より深く考える必要があるのだろう。

上野:そのとおりです。
「人類を幸せにする」という目的思考で行動すればよいのです。



2023年10月23日月曜日

ChatGPTの「プロンプト」集が出ました!ビックリです!!

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 ChatGPTの現実的な利用法を知っていただきます。
ねらい:
 週刊ダイヤモンド9月9日号はまだ入手可能です。
 ぜひどうぞ。
  (残念ながら印刷版は売り切れで電子書籍版だけです.
    そういえば、電子書籍は品切れはないのです。
    その点、便利ですネ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ChatGPTについては、いろいろな出版物が出ています。 

書名

著者

内容

1)ChatGPTの頭の中

スティーヴン・ウルフラム

ChatGPTの基本原理(主として検索方式)の解説

2)ChatGPT産業革命

日経XTECH

ChatGPTの動向の基本解説

3)アフターChatGPT

山本康正

ChatGPTのビジネスへの影響を解説

4)ChatGPTプロンプト100選 (週刊ダイヤモンド2023/9/9号)

ダイヤモンド編集部

ChatGPTの基本的利用法と業種・職種・業務別の代表的プロンプト(テンプレート)の提示

 1)は、ChatGPTの基本原理の解説(どうやって回答を出すのかの解説)で、2)3)は、動向の解説です。実用的なガイドではありません。

それに対して4)は、どうやってChatGPTを使うのか
の現実的・実際的なガイドです。
ChatGPTを使うためには、
ChatGPTに問いかけなければならないのですが、
その問いかけ文(それをChatGPTではプロンプトと言います)の事例を
100個集めたのです。

「その問題についてはコピペで使える」をうたい文句にしています。
こういう企画を考え事例をこれだけ集めたダイヤモンド編集部は
スゴイものです。

私がこの103の事例を分析しましたらこういう結果でした。

種類

件数

内容

1)情報検索

 9

条件を提示して検索依頼

2)新規作成

43

条件を提示して作成依頼

3)アドバイス

24

要求を提示して意見聴取

4)添削・加工

 4

対象文書と条件を提示して添削・加工の依頼

5)要約・分類

19

対象文書と条件を提示して要約・分類の依頼

6)分析(丸投げ)

 4

対象文書を提示して意見聴取


#1情報検索は9%、#2#3はコンテンツ生成系で65%、
(ChatGPT等が生成AIと言われることを表わしています)  
#4~#6はコンテンツ加工系で26%です。
#1が少ないのは、わざわざプロンプトを研究する必要がないからで、
実件数は多いでしょう。

このプロンプトとそれに対するChatGPTの回答例を示します。


オモシロい例が載っていました。
こういうこともChatGPTはできるのです。























プロンプトを定型化して用意しておく、というアプローチは
ChatGPT活用の王道と思われます。
当社では、各社で共通性のあるマネジメント業務と間接業務について 
標準プロンプト(当社では質問テンプレートと称しています)
の作成を進めています。

マネジメント業務の基本構成はは以下のとおりですが、
横軸にその業務で使用するChatGPTの機能を示しています。

マネジメント業務の基本構成とChatGPT対応

この丸の数だけ、「質問テンプレート」が必要なのです。

これだけでも、40個の〇がありますが、
マネジメント業務と代表的間接業務だと約100業務で、
必要なテンプレートは400を超します。
因みに、前掲の週刊ダイヤモンドに掲載されている
その範囲のプロンプトは39個でした。
網羅するにはその10倍が必要だということです。

質問テンプレートの現実的な利用法のガイドを含めて、
ご支援するコンサルを用意しています。
ご関心ある方はお問い合せくださいませ。


「恐怖の正体」って何でしょう?

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 恐怖とは何かについて考えていただきます。
 恐怖症についても知っていただきます。 
ねらい:
 当紹介は偏っていますので、
 「恐怖」に関心のある方は本書をご覧ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本項は、都立松沢病院精神科部長などを務められました
春日武彦医学博士の「恐怖の正体」のご紹介です。

「はじめに」にはこう書かれています。
本書は、恐怖について、
さまざまな切り口で考察を試みようと悪戦苦闘した産物である。
留意したことがいくつかある。
まず、精神科医としての経験や知識を駆使して恐怖に迫ってみること。
そして、ゴキブリ恐怖や集合体恐怖Trypophobiaといった
恐怖症の原因について、自分なりの見解を示すこと。
心理学の実験だとか脳の特定部位がどうしたといった
「あたかも」科学的な、しかし無味乾燥な話は極力避け、
恐怖と娯楽との関係についても、
読者と一緒に楽しみながら柔軟に思考を進めていきたい。

こうも書かれています。

精神科医として臨床に携わっていると、
恐怖そのものをダイレクトに訴えてくる人には
滅多に出会わないことを知る。
だが彼らの症状の根底には、遠い過去に、さまざまな形で遭遇した
「恐怖」が横たわって影響を及ぼしていることが少なくない。

いわゆるトラウマも、広義の恐怖体験と見なせるのではないか。
自分ではうつ病だとさかんに主張しているが、
実際には職場恐怖症であると判断されるケースもある。
妄想と恐怖とが合体して、頭の中が大変なことになっている人もいた。
自分では意識していない恐怖は案外多い。

本書の構成はこうなっています。
第1章 恐怖の生々しさと定義について
第2章 恐怖症の人たち
第3章 恐怖の真っ最中 その精神状態が記述されています。
第4章 娯楽としての恐怖 「怖いもの見たさ」がある。
第5章 グロテスクの宴 グロテスクは恐怖の隣人
第6章 死と恐怖

著者は、甲殻類恐怖症なのだそうです。
幼い頃から甲殻類恐怖症なのであるが、
缶詰のレッテルに描かれている蟹の絵を見ただけで鳥肌が立つ。
其時に生じている生々しい恐怖感は安全・安心の文脈とは違うだろう。
危険を避けたくなる気持ちとも異なる。
むしろグロテスクな姿や習性、動きに対する不快感に近い。
それは根元的な不快感だ。
因みに蟹の鋏に挟まれていたい思いをしたとか、
蟹を食べて食中毒になった、
などという忌まわしい体験は当方には一切ない。

そもそも人間が恐怖感あるいは恐怖感もどきを感じる対象には
何があるでしょうか。
 猛獣、ゴキブリ、ムカデ、蛇、、
 新型コロナ症、疫病、死、
 暗闇、夜の墓場、夜の離れの便所(幼少時)、
 妖怪、化け物、ホラー、アウシュヴィッツの囚人、

精神科では恐怖症をこのように定義しています。
「恐怖症は、恐れる理由がないと分かっていながら、
特定の対象や予測できる状況を不釣り合いに強く恐れ、
これを避けようとすること」(濱田秀伯著「精神症候学」)
としその対象は、以下の代表例以外に200を超えるという。

 雨恐怖、笛恐怖、空気恐怖、毛恐怖、色恐怖、甲殻類恐怖
 先端恐怖、人形恐怖、高所恐怖、閉所恐怖、
 対人恐怖、視線恐怖、広場恐怖、学校(職場)恐怖
 自己臭恐怖、不潔恐怖、醜形恐怖、巨象恐怖

筆者は恐怖を以下のように定義しています。
 ①危機感
 ②不条理感
 ③精神的視野狭窄
これら三つが組み合わされることによって立ち上がる圧倒的な感情が、
恐怖という体験を形づくる。

不条理感については説明がありませんが
「そんなことあるわけない」という気持ちを指すのでしょう。
それなのにそれが起きるから恐怖を感じることになるのでしょう。

精神的視野狭窄については、以下のような解説があります。
「人は追い詰められると、(無意識のうちに)
自分が対処しなければならない対象を絞り込もうとする。
せめて対象が限定され少なくなれば、
どうにか向き合えるかもしれないという
「いじらしい」心理が働くわけだ。

そこで目の前のことしか認識しなくなる(つまり視野狭窄となる)。
だがそれは目の前の事象に圧倒されるといった結果しかもたらさない。
精神の余裕や柔軟性が奪われるだけで、逆効果しか生じない。
おろおろ浮足だった状態と精神的な視野狭窄状態は、
互いに悪循環のループを形づくって
いよいよ恐怖の感情を膨らませていくのである。

私はこの定義についてこう思います。
「不条理感」や「精神的視野狭窄」は
恐怖感を増幅させる要因であって
恐怖の定義としては初めの危機感だけでよいのではないか。

「危機感」をもっと分かりやすくして
「恐怖とは身の危険を感じること」と言えば
それだけでいいように思えます。

新型コロナ症、疫病、死、暗闇、夜の墓場、
夜の離れの便所(幼少時)、は完全に説明可能ですし、
妖怪、化け物、ホラーもそうでしょう。

ゴキブリについて言えば、
かわいいとか好きだという人はいないでしょう。
本当に恐怖を感じる人は逃げ回ります。
こちらに向かって飛んできたりしようものなら
気絶するのではないでしょうか。

しかし単に「気持ちが悪い」という程度の人もいます。
ゴキブリに対する気持ちは、
好きではない、少し気持ち悪い、非常に気持ち悪い、
少し恐怖を感じる。非情に恐怖を感じる、
まで連続的な変化なのです。
ゴキブリに恐怖感までをいだく人は、身の危険を感じているのです。

恐怖は事実を指すのではなく、意識の問題なのです。
したがって個人差があるのは当然でしょう。
ジェットコースターでも、
恐怖を感じる人と爽快だと感じる人がいるのです。

前掲の恐怖の対象の中で、猛獣は明らかに身の危険ですが、
蛇、ムカデや甲殻類は、ゴキブリもですが、
おそらく人類以前の段階で、襲われることがあり
それがDNAとして残っているのではないでしょうか。
DNAとして残っていない人もいるのです。

ゴキブリへの恐怖感について補足します。
やはり、ゴキブリが特殊なのです。
ゴキブリに恐怖を感じる人でも、
似た形の昆虫ですがカブトムシには恐怖を感じない
(人もいる)のです。
ゴキブリは3億年の歴史を持っているそうですから、
人類の祖先はその昔、
ゴキブリに追われていたことがあるのでしょう。

前掲恐怖症もその対象に対して「身の危険を感じる」のですが、
その多くは疾患で、
何らかの原因でその症状が発生してしまったのです。
トラウマもそうです。対人恐怖などはその例です。
疾患ですから原因を除去すれば治癒することができます。

そもそも、恐怖と何か、どういう場合に恐怖を感じるか
の研究は興味深いのですが、
恐怖の定義をしても何の役に立つのでしょうね。

恐怖のいろいろを知りたい方は、ぜひ本書をお読みください。

2023年10月12日木曜日

渡辺洋一氏の「謝喜怒」とは何でしょう?

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 渡辺洋一様の「憂国の思い」をお伝えします。
ねらい:
 政治家諸兄は「目覚めよ日本」を熟読すべきです。
 もうそろそろ日本の歴史教科書の全面改訂が実現されても
  いいのではないでしょうか。
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先日、以下のこのブログでもそのご著書をご紹介しました
「憂国の士」大先輩の渡辺洋一様から、
このようなお手紙付きの冊子をお送りいただきました。
(注:渡辺洋一様は、私の始めの勤務先帝人の大先輩であり、
やや遠い縁戚関係でもあります)

 これが頂きました冊子の表紙です。



拝啓
(前略)2023年9月号での飛行機事故についてのご紹介、楽しく拝見いたしました。実は私、日本からの海外出張は221回、更にNewyorkとManila駐在中、数多くの飛行機搭乗を重ねましたが、航空機事故に遭遇したのは2回でした。

ところで、私が帝人に入社した昭和26年度入社者43人は、
毎年「年度会」を行って参りました。
2021年は入社70周年で盛大に集まろうと申しておりましたが、
残党10人は何れも何らかの「病持ち」で、一堂に会する事不能となり、
已むなく「文集」にする事となりました。

テーマは夫々自由だが、出来れば「喜怒哀楽」となり、
私はその前に感謝の「謝」をつけ哀楽を削除し、同封のものに纏めました。
その中に私の飛行機事故2件を記述いたしましたので、
ご高覧頂ければ嬉しゅうございます。
真に幸運にも、
私はその飛行機事故が災害事前で生き残り今日に及んでおります。
その他自動車事故は幾多もあり、海外事業の40年、
よくまあ生き延びてきたものと思います。(後略)

上野注:すごい幸運の持ち主ですね。
現在も厳しい病を乗り越えられてリハビリ中でいらっしゃいます。
ご両親はお二人とも100歳を越えられましたから
ご本人もまだまだ寿命がおありです。
お父上渡辺忠雄様は2005年4月に106歳で亡くなられたのですが、
その直前にギネスに列せられています。
それは奥様みのるさんとの両者生存で結婚生活最長という記録です。
なんと78年です!!

渡辺洋一様のご著書の紹介は、以下のブログでいたしました。

2012/12/9 「若者たちよ!君たちに伝え残したいことがある」のご紹介
2013.4.1
上野則男のブログ: いよいよ渡辺洋一さんの「目覚めよ日本」が出ました!! (uenorio.blogspot.com)

「目覚めよ日本」の出版意図をその「はじめに」から
再掲でご紹介します。
10年後の今も全く同じ状態が続いています。
日本は、本当に目覚めなくてはなりません。
この「精神」は、今回の「謝喜怒」の「怒」でも全く同じです。
ーーーーーーーーーーーーーー

近代世界の過去500年余は、欧米列強による有色人種・
少数民族に対する残虐な支配と人種差別が
世界に貧困と紛争・混乱をもたらした時代でした。

そして彼らの欧米優位の世界秩序が今日に至るまで
変わりなく続いているのです」

アジアを侵略した白人の列強諸国は、
我が国の生命線を厳しく圧迫し、
ついに昭和16年、
大東亜戦争の引き金を引かざるを得ないところまで、
我が国を追い詰めました。

戦後多くの人々が、
日本は好戦的な国だったと考えているようです。
なるほど、戦後の教育はそのように教えてきましたが、
真実は逆です。

膨大な歴史資料が公開・験証された今日、
日本が欧米列強によって戦争を仕掛けられた
との認識の正しいことが分かってきました。

大東亜戦争は昭和20年、日本の敗戦によって終わりを告げ、
占領軍による我が国の支配が始まりました。

占領軍は日本を徹底的に抑圧し、
日本を劣等国にする目的で改造を図りました。

彼らは、都合の悪い欧米列強による
500年にもわたる世界侵略の歴史を隠蔽し消去するために、
日本が侵略者であると歴史を巧妙に改竄し、
その歪曲・捏造した歴史を国民の
頭に徹底的に叩き込んだのです。

加えて、日本は米国製憲法を押し付けられ、
自国の安全を自分で守る自衛権すら奪われました。

昭和27年、サンフランシスコ講和条約の発効によって
独立を回復してから今日に至るまで、
日本人は
占領軍のマインドコントロールから抜け出すことができず、
平和ボケを続けています。

世界は依然として今日も、
白人列強が諸国を支配しようとしのぎを削り、
覇権を争い、弱小国を侵略し続けています。

近年急速に経済発展を遂げ、
軍事力の驚異的拡大を続ける中国が列強の中に割って入り、
米国と覇を競うまでに強大になってきました。

中国は増大させた武力でチベット・ウイグルを侵略し、
残虐蛮行を重ね、国家を滅亡させました。

その中国の軍事的脅威が我が国に差し追っています。
祖国日本はまさに第二のチベットになるかもしれないのです。

しかし、政治家をはじめ国民には、
この緊追した状況に対する危機感がまったくありません。

戦後、マッカーサーが狙ったとおり、
日本人は祖国を愛し、
自らの国を守ろうという意思を失ってしまいました。

政治家はポピュリズム・大衆迎合を旨とし、
国益を無視して、目先の党利党略に流され、
政争に明け暮れています。

国家百年の大計を慮る者はなく、
国会では売国奴が平然と利敵行為を行ってはばかりません。

マスコミは真実を報道せず、デマゴギーに走り、
列強の走狗となり下がりました。

国民は日米安保条約が日本を守ってくれると思っています。
とんでもないことです。

日米安保条約はすでに大きく変化し、
日本人自身が祖国を守ろうとしなければ、
米軍は日本を支援してくれないのです。

我が国には内憂外患が一気に押し寄せ、
沈没寸前にあります。

こうした状況にあって、
私は50年のサラリーマン生活を終えるのを機に一念発起、
わが人生最後の力を振り絞り、
世界の近代史を明らかにし、
我が国の危機的な現状を訴えたいと、
ペンを執る決意をいたしました。

残念ながら、
戦後の占領政策によって平和ボケしてしまった
現在の政・官・財・マスコミには、
祖国日本の将来を真剣に考える人はほとんどいません。

過去数世紀にわたって欧米列強が行ってきた
残虐非道な侵略の歴史の実相、
そして、
日本が現在、中国の脅威にさらされているという
厳然たる事実を知っていただきたいのです。

皆さん一人ひとりが、
真実の近代史を知ることによって、祖国を想い、愛し、
そして日本を外敵から守り抜く力となって欲しい、
と心から念じています。

平成23年3月11日、
東日本大震災という新たな国難に直面しました。
しかし、我が国の政治はまったく機能せず、
被災地の復旧、復興は遅々として進んでいません。

我が国周辺の情勢も、
尖閣諸島をめぐる中国の好戦的対応で、
ますます厳しくなっています。

絶対に日本を「第二のチベット」にしてはなりません。
祖国の将来を案ずる筆者の憂国の思いは、
いっそう募るばかりです。

    平成25年2月吉日  著者記す

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回の「謝喜怒」の第1章の「謝」では、
お世話になった以下の方々への感謝の気持ちが述べられています。
 お父上、大屋晋三元帝人社長、佐治敬三元サントリー社長、
 千玄室大宗匠・嘉代子夫人、戦友(ビジネス上の)、
 一族本家の大奥方、奥様

第2章の「喜」では、
喜びを分かち合えた方々や機会・場を紹介されています。
 ご家族、会社の友人グループ、親友、大屋政子夫人
 海外事業の経験、故郷北海道、執筆(目覚めよ日本)
 趣味(世界の人形コレクション、和歌)
 1回の出張で3度の航空機事故に遭遇するも無事

そして、第3章が「怒」で、悲憤慷慨の内容です、
この内容につきましては、私も全面的に賛成ですので、
ご本人のご了解をいただきまして、
その憤懣やる方ないお気持ちの文章を
そのままご紹介いたします。真に歯切れのよい文章です。
「怒」や「喝」の文字の拡大は私の編集です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第3章 【怒】

第一項 -列強の世界侵略500年と大東亜戦争-

欧米列強による世界の弱小国侵略の嗃失は
ポルトガルによってなされた。
15世紀、ポルトガル人は、アフリカ大陸を探検、侵略し、
インド洋経由アジアに、更にブラジルに植民地を築いた。

次いでスペインがイタリア人コロンブスをして、
西回り航路でアジアを侵略しようとし、
1492年、彼は、カリブ海に到達した。
その後、スペインの中南米の侵略版図は、ポルトガルを凌いだ。

更に、その後、列強諸国の侵略は英仏独露などによってなされ、
地球規模に及んだ。
それらの被侵略国にあっては、原住民の多くは、酷使され、
飢餓に遭い、虐殺され、その数は、8000万人。
その代替の労働者として北中南米に、
アフリカから奴隷輸出が行われた。
その奴隷貿易の数は1億人にも及んだ。
現代の後進国の貧困と飢餓は、
それら侵略国の“搾取略奪”の結果である。
喝!!

処で、英国から北米大陸の東部にやって来た移民達は、
1776年に独立戦争を勝ち取って以来、原住民インディアンを追いやり、
虐殺の限りを尽くし、西へ進んだ。
その白人略奪者達は、1848年、遂に大陸の西海岸、太平洋に到達した。
(西部劇では、インディアンが悪者だが、実際には、逆に白人が悪者で、インディアンは被害者だった。)
僅か72年で建国時の国土の9倍の、
日本の26倍の広さの北米大陸を侵略支配したのであった。
そして直ちに彼等は、海の彼方への次の侵略を考えた。

わが国の江戸幕府は(1603年~1867年)264年間、
欧米列強の侵略の対象となりながら鎖国を続け、
幕末維新の先達のおかげで、何とか我が国は、独立を保った。
1853年米国のペリーが“たった四杯の蒸気船”で日本に開国を迫り、
日本は大騒ぎとなったが、これを契機として明治維新となり、
吾が国は、欧米の侵略を一応回避した。

その間、英仏露の大国は”眠れる獅子“支那を侵略分断し、
支那は”半独立“のような状態になった。
米国は南北戦争(1861年~1865年)と言う内戦があり、
この支那分断の競争に後れを取った。

そこで米国は、日露戦争(1904年~1905年)終結の仲介に入り、
日本がロシアから獲得した満鉄の権利を米国に譲渡させ、
支那侵略の仲間に入ろうとした。

しかし日本の外相小村寿太郎は、
日露戦争で100,000人近い人命を犠牲にして得た権益を
”濡れ手で粟“の米国に譲れないと、それを拒否した。
そこで、米国は、長期日本征服シナリオの”オレンジ計画“を立案、
日本侵略の基本構想とした。

米国は、次いで、ハワイ、グアム、フィリピンを侵略、
アジア太平洋支配を着々と実行した。
盧溝橋事件に端を発した日支事変では、
支那をして、米国の代理人の様にこれを駆使した。
そして度々の日米交渉においても米国は、種々と日本を圧迫し、
追い詰めた。

我が国は、米国の強い要請に抵抗したが、
最後は、やむを得ず支那からの撤退を含めた、妥協案を提示した。
しかし米国のルーズベルトは、之等を拒否し、
種々日本に対し、経済封鎖を行い、石油の供給も止め、
“最後通告”ハルノートと言う切り札を提示した。

日本に先に“戦端”を開かせ“反戦”の色濃い米国世論を覆し、
欧州で苦戦中のチャーチルを助けようと考えたのだ。
ここに至って、日本は、遂に追い詰められ、
最後の決断“開戦”をやむなくされた。

その結果の大東亜戦争では、当初、日本軍は、優勢で、
アジアの被支配国が独立し、大東亜共栄圏を形成した。
しかし日本軍は、次第に劣勢化し、
最後は、
米国の“非人道的原爆投下”によって終戦を迎えることとなった事は、
ご承知の通りである。
“怒” 

因みに、
近世、欧米列強の侵略により、多くの民族・国家が独立を失ったが、
大東亜戦争開始時(1941年)アジアでの独立国は、日本とタイ国。
アフリカでは、エチオピアとリベリアの夫々二国しかなかった。
現在、独立国は、アジアには37ケ国、アフリカに42ヶ国だ。
日本の大東亜戦争の戦争目的のテーマの一つ“植民地開放”の狙いは、
戦争に敗れはしたものの、
結果として、その目的は達成されたと云えよう。

第二項 -戦後レジーム-

戦后、日本入りしたマッカーサーは、
“日本が二度と世界の強国にならないこと”を基本方針として、
日本のあらゆる面での変容を要求した。

従って、戦後の占領軍の施策は、
大方“日本国の国益に反するもの”であった。
しかしながら、日本の政治家、経済人、マスコミ、そして、
大多数の国民は、
その米国の戦略の“裏に隠された本当の狙い”を感知せず、
唯々諾々と米軍の施策に従った。
“怒”

斯くして、戦後レジームは、着々と進行、祖国日本の平和ボケ、
弱体化が進行した。
“怒“

第三項 -米国製憲法の施行と自衛権の放棄-

マッカーサーがまず取り上げたのは、
国家の基本法である日本の憲法の廃止と
日本の自衛権の放棄を実施することであった。

彼はこれを実行させるために、法律に経験のない米国人を数十人集め、
たったの10日間で、
世界の国々の法令集等の中から寄せ木細工を集めるように、
米国に都合の良い憲法案を作り、日本側の作成した憲法案を拒否した。

そして若しこの米国案に日本が反対するなら、
”天皇“を戦犯として”裁判“をすると脅し、占領下の日本に、
この米国製憲法を強引にも成立させた。
大”怒“ 

そもそも戦時国際法の”ハーグ陸戦法規“では
”戦争により一国の権力が占領者の手に移っても
占領地現行法を尊重すること“とある。
ましてや憲法を占領軍が勝手に変更するとは、とんでもない事である。

米国の占領下において、
米国の素人達が一夜漬けで日本の憲法を作成する事は、
明らかにに国際法上違法である。
しかもその目的が日本を永久に米国の隷属下に置こうと言う趣旨から、
日本の自衛権を剥奪し 
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した」
など勝手な空理空論を憲法の中に押し込んだ。
大”怒“

このような国際法に違反した異国による押し付け憲法は、
当然廃棄の上、新憲法に全面的に入れ替えしなければならない。
大”怒“

しかも、その現憲法が、
75年間一言一句も変更されず今日に至っているとは何たることだ。
大“怒” 

政治家の怠慢だ!!
世界の恥だ!!


民党の党是には、“自主憲法の制定”が挙げられているが、
それは単なる“お飾り”であり、
だれも今日まで之に手をつけてこなかった。

安倍内閣はそれに向かって行動したかのごとく見えるが、
それは形式的に“自衛隊”と言う文字を憲法に入れさせて
改憲の体裁を整えようとしたものであり、
米国製違法憲法を廃止、
新憲法を成立させようとするものではなかった。

尤も、現憲法では、マッカーサーの意図に従い、
憲法改正が、なかなか難しい様に仕組まれている。
すなわち第96条では、
“憲法改正は衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成を得た上、
国会が発議し、国民に提案、
国民投票により過半数の賛成を得なければならない”とある。

“米国の日本支配”を永久に変えさせまいと言う本旨である。

大“怒“

この百鬼夜行の世界情勢下で、自国の防衛権を放棄し、
自国の防衛を他国に委ねるなどは、まさに狂気の沙汰だ。
大“怒”

自分で自分の国を守らないのに、
外国人が血を流して日本を守ってくれますか?

第四項 -歴史の改竄とマインドコントロール-

マッカーサーは、“東京裁判”なる違法の茶番劇を仕立て、
先述した 列強500年の世界侵略の歴史を隠蔽し、
逆に日本を侵略者とする 歴史の改竄を行った。

東京裁判は、裁判ではなくマッカーサーの陳腐な芝居であったが、
2年半後、絞首刑7人、禁固刑18人と言う判決が下された。

死刑になられた方々は、“天皇陛下万歳”を叫び、従容と死に就いた。
大“怒“

東京裁判で、でっち上げられた虚偽の歴史は、
日本の教科書に厚かましくも取り入れられ、日教組によって広められ、
あたかも日本全土をマインドコントロールするがごとく
全国に普及された。

マッカーサーは、このマインドコントロールをさらに強めるため、

まるで共産圏の国の様に、言論の自由を抑圧、
文書、書籍、通信の検閲を行い、
更に紀元前3世紀、秦の始皇帝が実施したと云う
“焚書”すら行った。やり度い放題だ!! 
大“怒”

現在は、日本国中、
依然として改竄された自虐史観が大手を振って歩いている。
従って現在のわが国の若者たちは
依然として日教組の東京裁判史観を教えこまれ、
真実の歴史を知らない。 
“怒“ 

これは誠に重大な事であり、
一刻も早く教育を日教組離れにしなければならぬ。
大“怒” 

第五項 -内憂外患と国家の危機-

以上のマッカーサーの行った、種々なわが国の変容は、
それぞれに反撥してこなかった日本の政治家を始めとする
日本国民の自業自得であり、
我が国を“平和ボケの骨無しの国”としてしまった。
大“怒” 

特に占領軍や共産党に誘導されたり、
進歩派と称する輩達に追随したマスコミの責任は大きい。
その結果、我が国の政治は、外国勢に引っ張られ、
アチコチフラフラ、明確な国家観が無く、
財源を無視した安易な社会保障など、
ひたすら目先の選挙の“票稼ぎ”に走り、
長期的観点に立った国家国民の安寧と繁栄を目指すところがない。
大“怒”

特に岸田政権は政策の根幹に“魂”が入っていなく、
優柔不断で、大衆の動向に左右され、空理空論、朝令暮改、
いつ倒れてもおかしくない状況である。

とりわけ最近問題視されている統一教会は、
創価学会との類似点もあり
“自公”の寄り合い所帯与党の歯切れの悪さが目立つ。

その上、物価値上がり、コロナ、円安、防衛力強化、社会保障等々、
問題山積、内政は、まともに前進しない。

一方、国際問題でもウクライナ問題、中国の台湾侵攻、北朝鮮問題、
ロシアとの北方領土問題、
世界のエネルギー・食糧危機など難問山積みだ。
斯様に吾が国は、内憂外患交々来り、
政治は、一歩も前進できない状況だ。

そこで嘗ての明治維新の西郷、大久保、勝の様な一身を擲ってでも、
国難に当たろうとする人物の出現が期待されるが、
残念ながらその見込みは全く無い。

一旦、緩急の場合は、岸田首相で大丈夫か?
中共の台湾侵攻が始まれば、沖縄の米軍は、逃亡?
どのようにしてわが国が生き残れるか不安一杯だ。
今更、 沖縄の自衛隊をチョッピリ増やしてどうなるのだ!!
もはや、そんな段階でない!!有事は、もう直ぐ其処だ。
喝!!

このような状況にあって、今や国連は、“犬の遠吠え”ばかりで、
全く無力となり、相次ぐ拒否権で、
安保理の存在も意味なくなってきた。
“国連改組”が必至だ。
その上、米国の中間選挙の結果、米国の政情も不安定となり、
世界情勢は一層混沌となった。
大“怒”   

どうなるウクライナ!! どうする日本!!

第六項 -独裁者の覇権主義との戦い-

米ソ冷戦の中で、米国のレーガン大統領が、
ゴルバチョフのソ連を崩壊させたのは、つい先日のように思えるが、
あれから早くも33年が経過。

今はバイデン米国が習近平支那の追い上げに遭って、
四苦八苦している時代だ。

今や世界の60%が独裁者によって支配されていると言う時代で、
その中心人物たる習近平の支那は、
嘗て列強の侵略を、一被害者として経験した痛みを充分に感じ、
その上を行く侵略国となり、地球の歴史を塗り替えようとしている。

歴史上、独裁者は、常に、彼個人の利得、地歩を守る為、
そして民衆の反独裁蜂起を避ける目的で近隣諸国を侵略し、
自國の人民の目を誤魔化し、その反撥を回避してきた。

毛沢東はじめ、近代支那の独裁者達も民衆の独裁に対する反撥を抑え、
自己の地位を守るため、蒙古、チベット、ウイグルを侵略、
その人民を多数捕縛、惨殺し、不法占拠している。

習近平は、極端な強権政治を行っているが、
一方で現在支那では、社会不安、不満が高まり、爆発寸前だ。

現在、政権の治安対策費用は、
軍事費を上回っているとさえ云われている。
慣例を破り三期目の国家主席に就任した習近平は、
今后、更に終身国家主席を獲得する為には、
問題山積みの自国の民衆の反乱を意識し、
外部で何らかの勝利を勝ち取らねばならない。
夫が次なる侵略、“台湾”であり“日本”である。
大“怒” 

低賃金を狙って支那に進出した日本企業は直ちに撤退すべきだ。
一旦、事が起これば、進出した日本資産は、
接収され価値はゼロになる事、必至だ。
阿保!!そんな事もわからないのか。
喝!!

プーチンに於いても然り、自己の地歩保持の為、
何の根拠もなく隣国ウクライナに侵入した。

之等の独裁者の覇権権主義国と自由民主主義国との戦いは、
今後一層激しさを増すものと思われる。

双方共に原子爆弾と言う極めて危険な武器を抱えて居り、
この世界制覇の戦いに於いて、原爆による地球規模の破壊を避け、
争いを終結させるには、
夫々の独裁国家内において反独裁の芽を育て、内乱を起こさせ、
自国内で独裁制を終息させるしかないのであろうか。 
大“怒”
                以上     渡辺洋一