2022年6月27日月曜日

英語の言葉遊びその7 「英語の諺・格言 (Proverb, Maxim)」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 米野忠男氏の著作によって、「英語の諺・格言」を研究いただきます。
ねらい:
 英語を勉強中のお子様がおられたら教えてあげたらどうですか。
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英語の達人米野忠男氏の言葉遊びシリーズの7回目です。
氏の学の深さには脱帽です。
「へー!そうなんですか」ということがたくさん出てきます。

英語の諺・格言などの短くパンチの利いた文章は、
言葉遊びの要素が入ったものが多い。
従って直訳では原文のリズムや洒落,遊び心が表せない場合が多い。
また諺とか格言の類は言語が異なっても、同じような意味を持つものも多い。
日本のものは漢字と一緒に中国から入ってきたものが多いが、
英語を訳したものをそのまま使っているものもある。
例えば,「Kill two birds with one stone(一石二鳥)」
は英語からきたもので、日本では「一挙両得」だ。
また「Time is money (時は金なり)」も日本版は「一刻千金だ」。

1. 韻・反復・ 同音異義
(1) 頭韻:

Live and learn (長生きすれば見聞が広まる)。

(2) 脚韻
Might is right(勝てば官軍)。
「勝てば官軍」は日本語では頭韻になるのが面白い。
Seeing is believing(百聞は一見に如かず)。
Health is better than wealth (健康は富に勝る)。

(3) 反復:
Out of sight, out of mind(去る者は日々に疎し)。
Nothing succeeds like success 
(成功ほど続くものはない;良いことは続く)。

(4) 逆説:
No news is good news (便りのないのは良い便り)。

(5) 同音異義:
Women must have wills while they live 
because they make no wills when they die.
(女は死ぬ時には遺言状を残さないから、生きている間は意地を張る)。
「will」は「意思」と「遺言」の別の意味を持つ。

2.Love に関するもの
(1) Lost love is better than no love
(失恋は全く恋をしないよりまし)。
これは失恋した人への慰めとしてよく使われる。
似たような諺に、Half a loaf is better than no bread
(半分のパンでもないよりまし)がある。

(2) All’s fair in love and war
(恋愛と戦争ではどんな手を使ってもよい)。
この「All’s fair」はシェークスピアの喜劇
「All’s well that ends well(終り良ければすべて良し)」を連想させる。
日本の諺にも「仕上げが肝心」というのがある。

(3) Those whom the gods love die young(佳人薄命)。

3.原文のパロディ
真面目な諺を茶化してパロディを作る言葉遊びだ。
日本の諺で「溺れる者は藁をも掴む」を
「溺れる者は笑えない」とするようなもの。
藁(ワラ)と笑(ワラ)を掛けている。

(1) A bird in the hand is worth two in the bush.
(手の中の一羽の鳥は藪の中の2羽の価値あり;明日の百より今日の五十)。
このパロディが
「A bird in the hand is warm(手の中の鳥は暖かい)」だ。
worthとwarmを掛けている。

(2) Early to bed and early to rise makes a man healthier, 
wealthier and wiser.(早寝早起きは三文の得)。
この パロディが「Early to bed and early to rise makes a man tired.
(早寝早起きは疲れる)」だ。
「早起きは三文の得・早起き鳥は虫を捕獲できる
(The early bird catches the worm)」と言われた人が、
私は虫になりたくないと早起きを拒否した、
というジョークを聞いたことがある。

(3) A rolling stone gathers no moss(転がる石に苔むさず)。
このパロディが「A rolling stone plays a guitar .
(ローリングスターはギターを弾く)」だ。
ローリングストーンは有名な音楽バンドの名前である。

(4) The pen is mightier than the sword.
(ペンは剣より強し,文は武に勝る)。
このパロディが「The pen is mightier than the pencil.
(ペンは鉛筆より強し)」pen とpencilを掛けたもの。
この文をふざけて、文中のpenとisをくっつけて
「The penis mightier than the sword」というのがある。
勿論pennisよりnが一つ足りないが意味は通じる。

(5) To be or not to be, that is the question.
(生きながらえるべきか,死ぬべきか、それが問題だ)。
有名なハムレットの言葉だ。
このパロディに「To buy or not to buy, that is the question」があり、
「be」と「buy」を掛けている。
さらに面白い別なパロディが「TV or not TV, that is the question」だ。
これはアメリカの大学生が作ったと言われている。
「to be」と「TV」の発音が似ていているところが秀逸だ。
「テレビを見るべきか、テレビを見ない(で勉強す)べきか、それが問題だ」
の意味になる。

4.キャッチフレーズ
日本でも宣伝文句のキャッチフレーズなど、
面白い言葉遊びに感心することがある。
英語では,この種のキャッチフレーズには韻をふむ言葉遊びが多い。
昨年ロサンジェルスの街を歩いていた時、結構このような言葉に気がついた。
路上に停まっていたゴミ収集車の大きなトラックに
会社名(Waste Management)と共に、
「Think Clean, Think Green」と大書してあった。
因みにこの会社は米国最大のゴミ処理会社で、売り上げ1.5 兆円の上場企業だ。

久しぶりにUCLAのキャンパスを散策し、Medical Center のカフェに入ったら、
「Best in the West」という標識があちこちに貼ってあった。
ショッピング・モールでは、「Zoom Room」という看板の店があり、
カメラ屋かと思ったらペットショップだった。「Zoo」との連想か。
また衣料品店には「Dress for Less」と「安売り」の標識があった。

「技術的負債」とは何でしょうか?どうしましょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「技術的負債」とは何か、
  どうすべきかについてご研究いただきます。
ねらい:
 「技術的負債」対応をご検討ください。 
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日経コンピュータ誌の5月12日号に「技術的負債に向き合う」
という特集がありました。


「技術的負債」多くの人にとってはこの言葉は初耳なのですが、
1992年にウォード・カニンガム氏が使いだした言葉だということが
紹介されています。
「ソフトウェアの複雑さがだんだん増していって、
機能追加や適切な改修が難しくなっている現象」
なのだそうです。

当特集ではこういう解説がされています。
システムのブラックボックス化が引き起こす「技術的負債」の問題に、
日本企業が真剣に向き合い始めた。

システムの改修や新機能追加にかかるコストが膨れ上がり、
ITによる事業強化や業務改革といったDXの足かせになる事態を防ぐためだ。
旧来のアーキテクチャの見直しからクラウドをはじめとした最新技術の取り込み、
生産性や保守性の見える化と継続的な改善、
経営陣と開発陣の密な連携まで課題は山積み。
 先進企業の取り組みを通して、長く険しい、
技術的負債に立ち向かう道のりを追った。

 ご承知のようにこのテーマは、
経済産業省が2018年の「DXレポート」の中で「2025年の崖」として
問題提起したものです。

この問題提起にもかかわらず、その後、大半の企業においては、
「検討はしているが、何らの手も打っていない」という状況でした。

今回の特集は、「2025年の崖」対策に取り組みだした
先進企業があるぞ、という紹介記事なのです。

そこで、私はハタと思いついて、
技術的負債が発生しないようにするあるいは軽減できるような
ガイドを作成することにしました。

それが「技術的負債リスク チェックリスト」です。
その「ソフトウェア保守業務編」「開発業務編」
「マイグレーション業務編」の3編を作成しました。

最も技術的負債に関係深いのは、ソフトウェア保守業務です。
ソフトウェア保守業務が難儀する元は開発業務にあります。
何とかしなくてはと思いながら作り直しを逡巡するマイグレーションも
技術的負債の継続に「貢献」しています。

以下に、開発業務編のチェックリストをご紹介します。





このチェックリストで、開発業務の場合は、
担当組織ごとにチェックをしてNGの比率を算定します。
上掲の例では、55%です。
定期的にチェックをして改善または改悪状態を把握します。

このチェックリストには解説がついています。
解説欄をクリックすると以下のような解説が表示されます。




このチェックリストは、3業務込みで商品としてご提供しています。
そのご案内は以下をご参照ください。

これをご覧になってどう思われますか?
「有料のものなら自分たちで作ろう」そう思われますか?
できそうですが、いざとなると喧々諤々、議論百出でまとまりませんよ。
「MAKEorBUY」という言葉がはやったことがありました。
必要だと思われたら「BUY」した方が早いのです。
ただし、どういう風に利用するかを検討されないと、
「宝の持ち腐れ」になりますから、
その点にも注意が必要ですね。

「新失敗学」で成功する方法を学べる?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 畑村洋太郎先生の「新失敗学」をご紹介します。
ねらい:
 失敗を活かすだけでは成功しませんね。
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本テーマは、畑村洋太郎太郎東大名誉教授の「新失敗学 正解を作る技術」
のご紹介です。












氏の失敗学の前身は、以下の領域の「危険学」ですから、
成功する方法「正解を作る技術」といっても、社会テーマ全般ではなく、
主として事故を避けるための方法が中心です。
中に、商品開発の成功を高める方法の紹介なども出てきますが、
主役ではありません。

しかし何となく腑に落ちないので、「熟読吟味」した結果、
当書の対象は「モノ」や「コト」だということが分かりました。
私たちが対象としているシステムでも、
無人店舗の開発などまったく新しいものの開発は対象になります。
一般のシステムは現状の改善ですから当書の対象にならないのです。

氏は工学部出身の技術者です。
危険学の初めは、子どもが回転ドアに挟まって死亡した事故なのです。
「どうしてそのような事故は起きるのか、どうすれば防げるのか」
を探求されたことから始まったのです。















本書の構成はこうなっています。構成は極めて明快です。
第1章 正解がない時代の人材とは
第2章 すべては仮説から始まる
第3章 失敗を捉えなおす
第4章 仮説の基礎をつくる
第5章 仮説をつくる三つのポイント
第6章 仮説を実行する

氏は、現在は「正解のない時代」ではなく「正解がいくつもある時代」だ
と主張されていますが、
第1章で、その時代に合致した人材を、以下の図を使い説明しています。
これまでの人材である「優等生タイプ」は
自分の知識を基に現象を解釈しているだけなのに対して、
これからの人材である「本質を突き詰めて考える人」は、
思考回路を行動と検証を通じて自分で作る、とされています。
(私は、前者を記憶能力が高いが判断力が弱い人(メモリ型人間)、
後者を記憶力はそれほどでないが判断力が優れた人(CPU型人間)
と言っています)

























第2章で「すべては仮説から始まる」は、
「どうしたらよいか」の案のことなのです。
正解は分かっていないので、
仮説を立てて検証してみるしかない、と言っておられるのです。

私がずーっと関わってきたのは、システム・仕組みの世界です。
ここでは、「どうしたらよいか」の答えは分析によって導き出します。
分析が正しいかどうかは、
実施してみて結果が意図したようになるかどうかで判断するしかないので、
「やってみなければ分からない」という点では似ていますが、
「仮説」と言われると違和感があります。

「すべては仮説から始まる」ではなく
因果関係や解決策の妥当性等は「関係者の判断で決める」なのです。

第3章では「失敗を捉えなおす」では、
失敗を恐れて何もしないのでは一切の進歩が得られない、
積極的に失敗せよ、と言っておられます。
失敗を反省して次に生かすのです。
「人間は成功よりも失敗から多くを学ぶ」は誰かの名言です。

第4章では、有効な仮説を作れるには、
がり勉的な知識蓄積も必要だと言っておられます。
ただし、第1章で述べておられるような
それができる脳の働きを持っていなければダメですが。

一般の三現は(現場、現物、現実)ですが、
先生の三現は(現地、現物、現人)だとされていて、
これを重視されています。

以下若干脱線医気味ですが、
東北大震災の被災地の復興状況を見られて、
巨大な堤防よりも、こうしたらよいのではないか、
という発案をされたそうです。



つまりコストのかかる防波堤や盛土の高さは控えめにして、
津波の際に避難できる避難塔を作成するというのです。
防波堤を高くしてもそれを超える津波が来ればやられます。
避難塔案は命だけはまちがいなく助かります。
コストが格段に安いでしょう。
しかし、この案に住民たちは賛成しなかったようです。
結果的に、高い防波堤によって、
海に寄り添う生活はできなくなりました。
そのことを嘆く住民の声が報道されました。
「津波を防ぐ防波堤を作ろう」という単純な発想は、
悲しいことです。
私も、高い堤防方式には反対意見です。

どうやったら有効な仮説を立てられるかについて、
第5章で解説されています。
(1)価値について考える
(2)想定外を考える
(3)時間軸を入れて考える

(1)は、日本の産業は、消費者の価値については詮索しないで、
過去の延長で「品質の良いもの作り」をしてきた、
これからはそれではダメで、
消費者の価値の実現を第1義にすべきだという主張です。
これはそのとおりです。
日本の電機業界がダイソンの掃除機にやられたのはそのせいですからね。

(2)は、想定外のことが起きたらどうするか、という考え方は
システムの場合にも有効です。
想定外のことが発生してシステムが止まったらどうするか、です。
みずほの事故はこれが不十分でした。

(3)は、モノやコトの企画をする際のことです。
システムや仕組みの場合には関係なさそうです。

本書には、思考を整理するための手法として
「思考展開図」が紹介されています。




我々のMIND-SA手法では、
一番左の「実現したい課題」を「目的・ねらい」としていますが、
あとはまったく「問題点連関図手法」と「5W2H手法」と同じです。

蛇足:
氏は、政府の「事故調査委員会」の委員長として、
1年3か月福島第1原発事故の調査をされています。
その委員会は、本質的な原因究明ができませんでした。

本書では、事故発生原因として、
予備電源であるディーゼル発電機が
地下に設置されていた(ため浸水した)ことを挙げておられます。
地下にあるのは、当時指導を受けた米国の原発は竜巻に備えていたために
安全な地下に設置されていたとしています。
しかし、地下にあっても完全な水密になっていれば損傷しないのです。
第1原発の予備電源が水密が不完全なタービン建屋に設置されたのに対し、
第2原発の予備電源は水密が完全な原子炉建屋におかれたので
損傷しませんでした。
1年3か月もかけて、そんなことも把握していないようでは
委員長としての畑村氏の才覚が疑われるな、と思ってしまいました。
因みに、2012年7月に出版された
大前研一さんの「福島第1」事故検証プロジェクト最終報告書
ではそのことがきちんと記述されています。

結局、失敗から学ぼうといい氏の発想は素晴らしいものですが、
まだその体系は未完成だということのようです。
氏もそのことは自覚しておられて、
本書の問題提起が失敗学の強化になれば嬉しいとされています。

2022年6月26日日曜日

「<叱る依存>がとまらない」ですって!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「叱る」とはどういうことなのかを考えていただきます。
ねらい:
 本当に叱ることは効果がないのでしょうか?
 ご検討ください。
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本テーマは、臨床心理士、公認心理師、
一般社団法人「子ども・青少年育成支援協会代表理事の村中直人氏の
著書のご紹介です。













怒らないで叱りなさい、
怒るのは感情を相手にぶつけているので、
相手も感情的に受け止めて指導的効果がない
と言われていました。
ところが、叱るのも効果がないというご託宣なのです。

著者は「叱る」をこう定義しています。
言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)
を与えることで、相手の行動や認識の変化を引き起こし、
思うようにコントロールしようとする行為。

相手にネガティブな感情を引き起こすという点では、
こちらが冷静かどうかの差はあるが怒るも叱るも同じだというのです。
「ダメよ」と「なんだ!」の違いです。
同じでしょうか?

本書の構成はこうなっています。
非常に分かりやすいです。
これを見ると著者が何を言いたいか見当がつきます。
ご関心ある方は、本書をご覧ください。

Part1「叱る」とはなにか
 1.なぜ人は「叱る」のか?
 2.「叱る」の科学――内側のメカニズムに目を向ける
Part2「叱る」に依存する
 3.叱らずにいられなくなる人たち
 4.「叱らずにいられない」は依存症に似ている
 5.虐待・DV・ハラスメントとのあいだにある低くて薄い壁
Part3「叱る依存」は社会の病
 6.なぜ厳罰主義は根強く支持されるのか?
 7.「理不尽に耐える」は美徳なのか?
 8.過ちからの立ち直りが許されないのはなぜか?
Part4「叱る依存」におちいらないために
 9.「叱る」を手放す

要点をまとめるとこうなります。
叱る理由
 1.相手に対する変化の願い(「こうなってほしい」)
 2.それを攻撃性によって達成しようとする。
   (「叱る」は他の指導的方法に対して相手を責めることが特徴)
 3.自己の優越的立場に対する自己効力感
   (目下の人間は相手を叱れない)
 4.好ましくない行動に対して罰を与えたいという意識
   (これは社会の本質的欲求である)

しかしながら、
本書の重要な主張である「叱ることに効果がない」ことについては
以下のように定性的に状況を説明しているだけで、
明確な調査結果があるわけではないのです。
叱ることの効果がない根拠
 1.叱られた方は、
   叱られることから逃れるために一時的に従っているだけ
   (回避行動をしている)
 2.多くの場合、学習しているわけではないので繰り返す。

私は、叱ることが効果がある場合もあると思いますので、
どういう場合には効果がある、効果がない、
ということを示してほしかったですね。

叱る依存症からの脱却
 1.叱ることも、賭博や薬物のように依存症的になりうるので
  そこからの脱却に努めるべきである。
 2.基本的には「叱る」ことは効果がないと認識し別の方法で
  相手に影響を与えなさい、

しかし、このことは言われて「はいそうですか」と分かる人は
いいるのでしょうか?

先日たまたま以下の二つの「事件」に遭遇しました。
その1、夕方5歳くらいの女の子が玄関の前で泣いています。
その前に自転車に多分その子の妹でしょう、
を乗せてゆっくり進んでいるお母さんらしき人がいました。
女の子は何か気に入らないことがあって、自転車に乗るの嫌だ、
とか駄々をこねていたのでしょう。
お母さんは、それを無視して前へゆっくり進んでいくのです。
泣いている女の子は仕方なくお母さんの方へ歩いていきます。
いい加減近づいてきたところで、お母さんが
「さあ乗りなさい」と女の子を促します。
女の子は悔しそうに自転車の後部座席に乗り込みました。
お母さんの作戦勝ちでした。

その2 わが家の前の公園での出来事です。
幼稚園生が10時過ぎから遊びに来ていて帰る時間になりました。
先生の「集まりなさい」の「号令」に聞こえぬふりして、
近くの小山で遊んでいる3人がいました。
先生は、他の子供たちを点検して、
3人を無視して「さあ行きましょう」と10メートルほど歩き出しました。
そうしたら、多分主犯格の3,4歳の女の子が、
泣き出してみんなの列の後ろに近づきます。
最後尾とまだ5.6メートルあるところで先生は列を止めました。
3人もそこで止まりました。
女の子はまだ大声をあげて泣いています。
3人の共犯者のうちの二人は困った顔をして、
泣いている女の子の横に立っています。
先生は、しばらく泣いているのをそのままにしていました。
しばらくしてようやく、「さあお出で」と3人を仲間に入れました。

二つのケースとも、叱って「来なさい」と言うでなし、
泣いているのをなだめるでなし、本人が反省するのを待っているのです。
村中先生の、ご指導方針どおりです。

しかし、叱りたくなるのはこういう場合だけではないでしょうから、
もう少し研究が必要ですね。

上野のまとめ
私は、このテーマについて再検討した結果、
以下のようなまとめをいたしました。
必ずしも村中氏の意見と一致していない部分もあります。

1.「叱る」の定義
 相手の特定の行動に対して、
 相手との相対的に優位な立場に基づいて
 禁止的発言により
 相手の行動を変えさせようとする行為

(1)対象となる「相手の特定の行動」
 基本的には、叱る本人が好ましくないと思う行動
 例:寝坊、偏食、我が儘、反抗的態度・行動、危険な行動、いじめ
   組織の秩序を乱す行動、社会的規範に反する行動
 この見解には大きな個人差があると思われます。

(2)「相手との相対的に優位な立場」
 親と子、先生と生徒、上司と部下、指導者・コーチと部員、など

(3)「禁止的発言」
 基本的には、「ダメ」「ヤメなさい」

(4)「相手の行動を変える」
 叱る本人が好ましいと思う方向に変えること

2.「叱る」ことの有効性
叱る本人と叱る相手との信頼関係があれば有効である。
両者の信頼関係がない場合は、有効でないか無効である。
従うフリをして従わないか、無視をする。

叱る以前に、
日ごろから自分が好ましいと思う方向について指導をしておく。
(村中氏の意見でもある)
やむなくしかる事態が発生した場合は、
理由を説明して納得してもらうようにする。

3,叱らないですます方法
叱る事態が発生したときに、叱らないで罰を与える。
前掲の2例がそうです。
昔の学校では、宿題をしてこなかったりすると
「廊下に立たせる」という罰がありました。

しかし、この方法の有効性と弊害はよく考えてみる必要がありそうです。

いかがでしょうか。
皆様もこのテーマについてお考えになってみてください。

2022年6月21日火曜日

「『私』という男の生涯」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 あらためて、石原慎太郎さんの偉業を偲びます。
ねらい:
 石原慎太郎さんを「忘れない」ようにしましょう。
 (この項の最後をご参照ください)
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石原慎太郎さんが出版社に
「自分と奥様が死んだ後に出版してほしい」
と言い残した340頁の大作です。
それを知ってか、
奥様は慎太郎さんの5週間後にあとを追ってしまいました。

私は、比較的年齢が近いので、
氏の死に関するこだわり方に関心を持って、
このブログでも何回か取りあげています。

今回は氏の回顧録の総集編です。
「波乱万丈」というのはまさにこういう人生を言うのでしょうね。
あらためて感じましたのは、氏の見識の確からしさです。
原発に対する認識、中国に対する認識、国民の生活感情の認識、
シッカリした歴史観に支えられていて、どれも的確で、
私としては異論のあるところが一つもありません。
やはり天才ですね。
あの優れた判断力の橋下徹さんが原発反対なのと大違いです。

1.弟裕次郎さんとの兄弟愛
「持ちつ持たれつ」の関係だったことが、
端的に示されています。

2.ヨットと海
氏が命も掛けたヨットレースや海の思い出が、
色濃く描かれています。
後掲の女性の一部も同伴しています。羨ましい!!

3.冒険家
死に目に会うようなヨットレースを何度も経験された以外に、
小さなスクーターで南米を横断しておられます。
最後の日は1日でほとんど未舗装の400キロを走り切ったそうです。

4.日生劇場を作った貢献
その後の日本の芸術振興に大きく役立った日生劇場が
石原氏の貢献によりできたことはあまり知られていないようです。
その記述は省略させていただきます。

5.国会議員としての25年間
ほとんど成果がなく虚しい。とのこと。
その中でも印象に残るのは、以下の二つのようです。
1)青嵐会
日本を真に憂う仲間が集まり血判をした。
田中角栄の日中国交回復の決め手である実務協定の中の
航空協定に対して「日本の実利は何もない」と反対した。

2)中川一郎事件
中川一郎氏は、誠実で信があると石原氏も積極的に推していましたが、
幾つか挙動不審なところがあったことが紹介されています。
死は自殺ではなく、ロシアとの開発案件がらみのもつれではないか
と推定されています。

6.東京都知事としての成果
「首長はその気になれば何でもできる」のです。
国会議員よりもよほどやりがいのあるポストです。
代表的成果
 1)東京都の財政に複式簿記を導入し黒字化を実現した。
   一橋大学卒らしい成果です。
 2)東京都のディーゼル車の排ガス規制を強行した。  
   それで東京の空はきれいになりました。
 3)羽田空港の国際空港化
   旅行者の希望を実現しました。
   その間に数多くの反対があり、それを乗り越えています。
   素晴らしい行動力です。
 4)芸術・芸人の振興
   本人も絵心のある氏は、
   都庁舎に若い無名の絵かきの登用をする展示場を作ったり、
   大道芸人の「公認」などを行いました。
 5)東京マラソンの開催
   多くの人に都内を走る夢を与えました。
   私は3回出場しましたがまだ完走できていません。

7.ダメな政治家
生々しいことなのでそのまま掲載します。
1)「海江田」
福島原発事故の際、
警視庁の放水車を貸し出してほしいという要請があった。
ぜひすぐに、ということで出動させたが、
約束の地点に現地の案内係が一向に現れないので数時間待った末に
引き返してきた。
次の日ようやく段取りが決まり出直したが、
現場が混乱していてすぐには放水できない。
すると、政府の高官から叱咤の連絡が入り、
あと1時間の内に放水しないと責任者を処分すると脅しがかかった。
出向いた隊員たちは、
放射能の危険を覚悟で家族とはまさに水盃をしてで向いている。
事情もよく知らね政府高官なるものが、
言うことを聞かぬと処分するなどとは聞き捨てならぬことと、
私は激怒して官邸に電話し、
総理の菅に抗議の面会を申し込んだが忙しくて会えぬと言う。
ならば好むことではないが私が鑑定に出向いて1人で記者会見をして
政府の不届きをぶちまけると脅したら、
会議の前に5分なら会うという。
そこで官邸に赴き、不当尊大な発言をした政府の責任者を明らかにして
謝罪させろと申し渡した。
結果は海江田なる閣僚の発言と分かって、
彼も不承不承陳謝せざるを得なかった。

2)蓮舫
その後も原発が停止してしまっての電力危機となり、
担当の蓮舫なる女の閣僚がやってきて
電力の最大消費地である首都圏の節電に協力してくれと言う。
首都圏というなら東京だけではなしに
隣接の神奈川、千葉、埼玉各県知事にも要請すべきであろうと言ったら
何やらもごもごして答えられない。
それが面倒なら政令を出したらどうかと問うても、
政令なるものが何か分かっていない。
たしか以前のオイルショックのときに節電の政令が出ていて、
それがまだあるはずで、
当時に比べて変わった今日の世の中だから
節電の対象に自動販売機なども加えて出すべきだと説いたが、
戻って閣議に諮りたいと言うので、
それは事の主務大臣である君から提案すべきだろう
と言ってもそれがよく分からない。
横に大勢ついてきていた記者たちも
政府全体の無能さを察知しているのか
脇でただにやにや笑っている始末だった。

8、原発に対する見解
氏はこう述べています。さすがです。
災害による福島原発の事故は、無能な民主党政府の不手際が重なって、
日本全体に放射能に関するヒステリー現象を到来させてしまったとしか
言いようがない。
さしたる根拠もなしに、
さながら広島、長崎の原爆被害に通う放射能被害が蔓延しかねぬような
被害感が広がり、
原発の存在そのものが一種の社会悪のようなイメージを造成してしまい
その後遺症は未だに止まない。

原発に関して混乱した世論の中で唯一まともだったのは
世間は意外にとったかもしれぬが、
どちらかと言えば反権力反体制の論客としてとらえられていた観のある
吉本隆明氏が
「原発反対を唱えて人間は又猿に戻ろうというのか」
と正当皮肉な論を述べていたのが印象的だった。
アインシュタインの相対性理論によれば
宇宙を動かしているエネルギーはすべて核エネルギーであって、
地球の生物の生命の発育のためには太陽が送ってくる放射線が不可欠
ということを思えば、
原発の事故を踏まえて核エネルギーをすべて忌避するというのは
文明の進展による人間自体の向上を忌避するということにもなる。
それは人間の進歩、文明の発展進歩に関する歴史的原理を
無視否定することに他ならない、
中略
そうした正当な文明史観を持たない政治家たちの無見識は、
今後も容易に歴史の進展を損ない、
下手をするとトラウマに近い精神病質的なヒステリーを蔓延させ、
人類を破滅にさえ追い込みかねない。

9.女性遍歴
4人の女性との交流が描かれています。
みな素晴らしい美女のようで羨ましい限りです。
このために、
奥様が死んでから出版してほしいということになったのでしょう。
1)N
出会ったときは新劇の女優の卵。大柄で豊満な美女。
バーで働いている時に知り合いスポンサーに。
劇団四季で頭角を表し大スターとなった。
長く懇ろだった。
ところが、後輩の俳優が運転していた車の事故に遭う。
車は大破で生きているのが不思議というくらいのものだったが
打撲で済んだ。
ところがその後遺症で失認症状となり、
それがどんどん進行して最後は
拒食症状を起こして衰弱の末53歳で逝ってしまった。

悲惨なことでした。

2)無名
銀座のクラブの女性を友人の誘いでダイビングに誘い縁ができた。
妊娠してしまったが、断乎として「未婚の母」になると
子供を産んでしまった。
その彼女にはずい分搾り上げられた。
これは大失敗の巻です。

3)S
最も長くつき合った女性だといいます。
自分より45歳も若い「背の高い容姿のいい」女性だった。
あるテレビ番組の縁で知り合った石原の大ファンである。
彼女から積極的に求めてきて深い関係になった。
石原が新銀行東京の件で、困惑していた際に
「こうなったら神仏に頼るしかない」と言うのをきいて
彼女は「願かけ」で2月間毎日40キロを走った。
満願に近い最後の日には70キロも走ったという。
その影響で脚の付け根の大腿骨部に損傷をきたし、
大手術を行う羽目となった。
そのこともあり、ますます深い精神的な関係になった。

彼女は「私と二人して沖縄に駆け落ちして私の子供を産むつもりだ」
とまで言い出し、母親と妹にそう宣言して家を飛び出し、
勝手に一人住まいを始めてしまったものだった。

すでにこの年になったこの私が今更それに合わせての人生など
ありようもなく、
私としては45も齢の離れた彼女からの情熱をまともに
受け止めようもなく、
願うことは彼女がいつか早くしかるべき若い佳き男性と出会い愛し合い、
彼女が私への妄想から外れて新しい人生を踏み出していくことを
先立つ者として彼女のために願い祈るしかありはしない。

とあるのですが、これでは尻切れトンボです。
男性は相手に攻められると逃げ腰になるようです。
石原氏がどういう責任ある行動をとったのかは記されていません。
残念なんことです。

4)Y
Nと二人で山中湖の別荘に行ったときに、
知り合い(男性2人)がいたので
一緒にバーベキューパーティをしようということになった。
Nが女性もいた方が楽しいのではないかと
近所で物色した2人の女性の1人だった。
香港籍の中国人で気性の激しい女性だった。
その後妊娠(流産)をするまでの関係となった。
しかし、彼女は
「あなたを好きだけれどあなたと一緒にいては幸せになれない」
と言って香港に帰ってしまった。

中国人らしい自己を大事にする思考です。
Sにもう少しこういう考えがあればよかったのにと思います。

9.死について
この頃になるとしきりに親しかった先人の死について思い出す。
中でも私淑した数少ない政治家の1人だった、
傑出した大蔵官僚でもあり、無類のリアリストであり、
財政家だった賀屋興宣さんと最後の面会の折の述懐の言葉だった。

亡くなる直前訪れた私に雑談の中で自分の人生の中でし残したことへの
他愛無い痛恨の会話の末に、今一番関心があるのは死ぬことだと語り、
「死ぬというのは詰まりませんなあ」と慨嘆して見せ、
その表情がいかにも深刻なので私がその訳を質したら、淡々と、

「死にますとね、
まず私の死を悼んでくれた者たちは直ぐに私のことを忘れてしまう。
そしてその後、
私は暗い暗い道を一人でどこまでもとぼとぼと歩いて行く。
寂しいものですよ」
「しかし先生、その道の先にあなたは、
かつて熱愛された奥様や幼い頃から互いの片思いで結ばれることのなかった
あの思い出深い女性とも、
あのオルフェのように出会うことになるのではありませんか」
私が質したら言下に、
「いやいや、そんなことはありませんな」
「何故ですか」
「それはね、そうやって自分一人で歩いている内に
自分で自分のことを忘れてしまうからです。
だから死ぬというのはつまらんこのなんですな。
だから私は死にたくありませんな」
薄い微笑で言われたものだった。

中略
無謀な結婚の後、妻に支えながらも繰り返した女たちとの不倫は、
間に入った弁護士に、
あれは面倒な相手だと同情されたほどの女にまでひっかかり
庶子までもうけ、妻だけではなしに、
その間長く関わり尽くしてくれた女までも傷つけたり、
晩年奇跡のような取り合わせの若い女を持ったり、
生まれつきの好色の報いは
いろいろな形で私の人生を彩ってもくれたが、
それらの思い出に関わる感慨も、
所詮死の後の虚無の中で虚無に帰していくのだろう。
それを悔いたり懐かしむ時間は今、
私にどれだけ残されているのだろうか。

中略 むすびの言葉
今思い返せば私の人生はなんの恩寵あってか、
愚行も含めてかなり恵まれたものだったと思われる。
だから、あの賀屋さんが言っていた通り死ぬのはやはりつまらない。

2022年6月19日日曜日

「日本人の承認欲求」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日本でテレワークがうまくいかないのは、
 日本人の承認欲求のせいである、という主張を知っていただだきます。
ねらい:
 承認欲求の強さは、
 縄文時代から続いている日本の共同体生活によっているのでしょうから、
 そういう観点でテレワークの運営方法を検討しましょう。
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本テーマは、同志社大学政策学部太田肇教授の著書のご紹介です。
副題は「テレワークがさらした深層」とついています。















そもそも承認欲求とは何かについて著者は明確な定義をしていません。
まずは、マズローの定義を持ち出しています。
「人間社会では、すべての人々は通常安定し、基礎の確立した、
自己に対する高い評価や自己尊敬、自尊心、他者から尊重されることに対する
欲求あるいは欲望を持っている」
著者は、「端的に言えば、承認欲求とは「他人から認められたい、
そして自分を価値ある存在だと認めたいという欲求である」と言っています。
しかし、「このような定義はやや抽象的で、
必ずしも実証的根拠に裏付けられたものではない」として
いろいろな例をあげたりしたうえで、結局こうしています。
「本書では、純粋な欲求のほか、何らかの動機に基づく承認の願望も含め
承認欲求と呼ぶことにしたい」

私は、こんな理屈をこねないで、マズローの定義でよいではないか、
と思います。
つまり、承認欲求とは
「他人から認められたい、そして自分を価値ある存在だと認めたい」
欲求なのです。

本書の基本的な問題提起はこうです。
1)テレワークになって、上司は自分の権威を示す場がなくなった、
 日本では、役職者はその呼称によって、社会的ステータスを与えられ、
 会社で部下に対して直接的に「指導」することで承認欲求が満たされていた。
 そのため、管理職はその「指導」がしやすい大部屋を好む。
 ところが、リモートワークでその場が失われた。

2)部下は自分が価値ある存在であるということを実感できなくなった。
 共同体的組織の一員として在籍することで存在感を持っていたのが、
 テレワークではその実感が持てなくなった。

つまり、日本のビジネス社会は本質的に承認欲求の強い特質を持っていた。
テレワークは、その特質に反する面を持っている。
したがって、初めはテレワークの安逸さを歓迎していた社員たちも
テレワーク全面賛成ではなくなり、「出社が基本」に戻す企業も増えた。

というのです。
そのことを以下の構成で詳細に解説しています。
第1章 「テレワークうつ」の正体は承認不足
 1.なぜ出社しないと不安になるのか
 2.テレワークで気づいた会社の存在感

第2章 「見せびらかし」文化の罪
 1.やる気の原動力は「見せびらかし」?
 2.「働き方改革」と生産性向上の足を引っ張る承認欲求
 3.承認の相互依存がゆがめる人事

第3章 「見せびらかし」から「チラ見せ」へ
 1.奪われた「ハレの舞台」
 2.「チラ見せ」に長けたZ世代もーーー

第4章 テレワークで反転攻勢に―――そのカギは
 1.日本人の価値観も「ハイブリッド型」に
 2.消える承認の「床」と「天井」、そして「壁」
 3.副業が「個」を解き放つ
 4.日本人が捨てるもの、生かすもの

第4章の概要はこういうことです。
ハイブリッド型とは、出社勤務とテレワーク、
自社のつながりと他の世界との繋がり、
本業と副業とのハイブリッドを指します。
それらをうまく組み合わせるということです。
そして、日本人の共同体的社会での濃い人間関係は、
利が支配するビジネス社会において大きな存在価値を持つのではないか、
それが日本の強みになる、という主張です。
詳しくは、本書をご覧ください。

テレワークの功罪を承認欲求の立場から論ずるのは、
著者の専門領域の関連で仕方ないのですが、
本書でも触れられている、日本がテレワークで生産性が下がった原因は、
承認欲求以外の要因も大きいと思います。

アドビが2020年に日米の労働者それぞれ1000人を対象とした調査で
アメリカでは、「在宅勤務後もそれまでと同等またはそれ以上」が77%に対し
日本は「在宅勤務は生産性が下がる」が43%で、
「生産性が上がる」は21%しかない。

私が想定するその原因は、従来の仕事の与え方にあるのです。
極端に言うと複雑な仕事でも「これちょっとやって」とかで依頼します。
言われた部下は「忖度」するのです。
出勤状態なら、分からないことがあれば、すぐに確認することもできます。
分からないまま想定で何日も仕事を進めるということはないでしょう。

ところが、リモートだと、積極的な人は、
やむなく想定でどんどん進める可能性が増えます。
結果として依頼者の意図と食い違っていればやり直しです。
消極的な人は、「これはどういうことだろう?」と悩んでしまいます。
仕事は停滞です。

この解決策は、「ジョブ型雇用」だと一般に言われています。
私は、いきなりジョブ型雇用まで行かないでも、
依頼する仕事の「目的・ねらい」を
依頼者・担当両者で確認し納得してから
仕事を始めるべきだと主張しています。
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その確認作業中仕事は進展していないのですが
(「そんなこといいから早く始めよう」という人がいそうです)、
その検討時間は,その後の進捗促進によって元がとれます。

このツールの詳細をお知りになりたい方はお問い合わせください。
mind-pc@newspt.co.jp

2022年6月3日金曜日

Amazonのクレーム対応はこうでした!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 Amazonのクレーム対応事例をご紹介します。
ねらい:
 皆さまも不満があったらクレームしてみてください。
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最近こういうことがありました。
私は会社のプリンターのインクをAmazonで購入しています。
少し前のことです。

1月4日に新年のご挨拶回りをするための資料を印刷しようとして
買いたてのインクをセットしましたら
「不適合です」とかのメッセージが出て、
どうやっても印刷できませんでした。
そこでオフィスの共有スペースにあるコピー機で印刷しました。
コピー代は8千円以上もかかりました。

購入したインクは、純正部品ではないのです。
すぐにAmazonに返品しました。
後に「返品に関するご意見」とかのアンケートがありましたので
Amazonの製品不良のためにコピー代がかかったので
補償してほしい、と意見を入れました。
しばらく何の反応もなく、こちらも忘れていました。

昨6月2日、時間的な余裕があったので、クレームをしました。
クレームをどうやって伝えるかを見つけるのが一苦労です。
皆様も必要な時があるかもしれませんので、
以下にお示しします。

Amazonのホームページをスクロールして一番下のご案内スペースの
右の一番下の「ヘルプ」をクリック。
「今日は何かお困りですか」が表示される。
その下段の「よくある質問」の1番下の「問題が解決しない場合は」をクリック。
表示される1番下「カスタマーサービスに連絡」をクリック。
「お問い合わせはここから」の画面が表示され、
電話かチャットの選択を要求される。

私はチャットを選択しました。
チャットはいいですね。
電話のように、繋がりっぱなしを気にしなくていいし、
経緯の記録が表示されます。

経緯を説明してやりとりしました。
該当商品の注文ナンバーとかも聞かれました。
初めの担当は、「回答ができる担当に代わります」ということで
別の人に代わりました。責任者なのでしょうか。
2人とも、日本人名以外ででした。
しかしちゃんとした文章を書いていました。
また別の人に代わりました。その人も日本人名以外でした。

最後は、それはAmazonの責任だ、深くお詫びします、
業者には厳重に指導する、と言われました。
コピー代の領収書はあるかと聞かれましたので、
相手指定のメールアドレスにそのコピーを送りました。
そうしましたら、
1時間後に、その金額分のAmazonギフト券が取得できました。

この対応には感心しました。
非を認めても、お詫びか、
お詫びのサービスや商品で終らせることもありそうなのですが、
損害金全額を補償というのは感心しました。
さすがAmazonと思いました。

Amazonは納品が早いし便利なので使ってきましたが、
「売らんかな」が強くていいイメージは持っていませんでした。
今回、見直しました。

皆様も何かあったらクレームして見てください。