2023年4月26日水曜日

気功や超能力の正体を探る!!

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 気功や「超能力」と言われているものの正体を確認します。
 まだまだ分からないことがあることを確認いただきます。
ねらい:
 今後の解明を期待しましょう。
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本項は、
別項上野則男のブログ: 「科学と神秘のはざまを解く 気のはなし」 (uenorio.blogspot.com)でヒントをいただいた
以下の2冊の気功・超能力の解説書のご紹介です。

1.品川嘉也 日本医科大学教授(当時)著(1990年)
 「気功の科学 大脳生理学が解明した『東洋の神秘』」
2.町好雄 東京電機大学工学部教授(当時)著(1995年)
 「科学がとらえた超能力の正体 あなたにもある潜在能力」 
どちらも書名に「科学」が入っています。
気功や超能力は一般には、
科学的なものとしては認められていないことを示しています。
「科学ですよ!」とアピールしているのです。

以下に、2書のご紹介をします。
項目見出し以外の太字部分は、該当書からの転載です。
両書とも1990年代の著作です。
かなりのことが解明されているのですが、
その後はあまり進展がないようです。

オウム真理教事件が1995年に発生し、
オカルト的な話題がタブーになったことと無関係ではないようです。
その頃までテレビの人気タレントだった冝保愛子さんが
ほとんどテレビに登場しなくなったのもその頃です。

A.品川嘉也 日本医科大学教授(当時)著(1990年)
 「気功の科学 大脳生理学が解明した『東洋の神秘』」


1.著者の専門
大脳生理学
人間が抱くイメージの脳生理学的研究を行っておられた。

2.気功を研究するに至った動機
「気」も「イメージ」もともに高次の神経機能の働きの一つであり、
「気」を発しているときの脳波の動きを分析することによって
その実態に迫ることができるのではないかと考えられた。

3.見聞した気功の秘技
1)89年4月、気功研究の日中交流の使節団で、
メンバの一員が中国の英才気功師の診断を受けた。
2-3分凝視しただけで、メンバについて
「左側の上の背骨にケガのあとが残っています、
左側の乳腺のところが気の流れがあまりよくありません」
と診断された、
そのメンバは十数年前にモンブランで
800メートル滑落する事故に遭っている。
その時の傷跡を当てられたのである。

2)5年前(1985年)に筑波大学で「科学・技術と精神世界」
と題する国債シンポジュウムが開催された。
その時に新体動の青木宏之師範が『遠当』の実演を行った。
師範が精神集中して、入れると、
3メートルばかり先の攻撃者はどうとばかりに倒れた。
その後、十数人がかかっていったがいずれも同様に倒れ、
師範に近づくことはできなかった。
(その後の脳波の研究では、遠当をかけるものの脳波は
一瞬だけ激しく変化するのに対して、
受ける側の脳波は同時により激しく変化し、
その高い変化レベルがそのまま持続する、
という違いが判明している)

4.気功について解明した事項(本書の解説事項)
(1)気功とは何か
もともと気功は、
中国で道士、医家、儒者、僧侶、武術家などの様々な流派が、
伝統的に培ってきた「気」を鍛錬する諸技術の総称である。

その名称こそ新しいものの、
実体からいえば中国千年の歴史を持つ心身鍛錬法の一種である。
したがってその内容は、たとえば、導引、座禅、養生など、
多岐にわたっている。

1973年、中国湖南省の馬王堆3号墓(紀元前2世紀ごろ)から
気功の姿が描かれている帛画(布に描かれた図)が出土している。



中国では、優秀な気功師養成法のひとつとして、
近所のあの子が外気をよく出すらしいという噂が立つと、
気功師の先生がその子どもを引き取って
気功の訓練をほどこすという方法がとられているという。
外気は他人から教えてもらって出るようなものではない、
出る人は出るし、出ない人は出ないという。





(2)気功の種類
硬気功とは、
主に武術によって「気」を鍛錬し、超人的なパワーを発揮しようというもので、
別名「武術気功」とも呼ばれる。
訓練を積んだ武道家が、レンガを2本の指で気合もろとも砕いてみせたり、
直接体に触れることなく「気」のパワーだけで相手を投げ飛ばしたりする光景は
お馴染みであろう。

これに対し、主に医療や健康の維持促進のために行う「気」の鍛錬法が、
「医療気功とも呼ばれる軟気功である。

軟気功は「外気功」と「内気功」に分かれる。
外気功は、気功師が自分の体から「気」を体外に放射して、
それを受ける患者の病気を治療しようという技術である。
「気」の放射が中心になるところから「射気功」の別名がある。

外気功による治療の方法には、
気功師が患者の体に触れてマッサージのように行うケース、
指を患者に当てるだけで「気」を患者の体内に送り込むケース、
患者から少し離れて直接体に触れないで「気」を照射するケースなど、
がある。

内気功は、
自分自身で体内の「気」をコントロ432ールする訓練のことで、
すべての気功の中でもっとも基本的なものとされている。
内気功の中の静功は体を動かさないでする鍛錬、
動功は動かして行う鍛錬であり、
按功は、按摩やマッサージの中で気を生じさせる鍛錬である。

(3)気とは何か
中国の代表的な気功入門書「気功三百聞」にはこう書かれている。
「気は、古代の人々が自然現象に対していだいていた
素朴な認識のひとつである。
気は世界を構成する最も基本的な物質であり、
宇宙にあるいっさいの事物はすべて気の運動変化によって生ずる、
とみなしていた」

日本の識者はこう述べている。
a筑波大教授
「現代の見方に立っていうと「気」とはさしあたり、
心と身体を一つに結びつけている生命体に特有なエネルギーである、
ということができる。
心と身体、心理作用と生理作用の両方に関係を持つ」

b日本医科大学講師
「気とは人間と自然を結び付ける一種のエネルギーであり、
人間の心と身体、人間と自然とを根底において結びつけている
根元的な力である」

中国では、物質説が強いのに対して、
日本ではエネルギー説が主流だとのことです。

(4)気功について「科学的に」解明した事項
一言で言えば、気功時には脳波が特別な状態を示す、
気功は脳の働きである、ということを解明されました。
しかし、その脳の働きによって、
どうして「遠当」などが実現するのかについては解明されていません。

1)気功実施状態の人間の脳波は独特の様相を示す。




靜功状態では、自覚としては無念無想の状態であるにもかかわらず、
脳の活動状態を表すベータ波が激しく動く。
動功状態では、アルファ波、ベータ波とも後頭部に集中する。
(本書ではその詳しい状況が解説されています。
ご関心ある方は本書でご確認ください)









2)気功の受け手は、気功のかけ手と同じ脳波の状態となる。
(これを「脳波の同調現象」と称している)

(5)その他
1988年、中国では、
主として「特異効能」を研究する「人体科学学会」が設立された。
「特異効能」とは、
念力、テレパシー、千里眼、透視、予知、物体浮揚などである。
中国最強の気功師「厳新」は、遠隔気功を得意とし20キロ離れていても
発揮できると言われている。
(その厳新の力を日本テレビで検証した番組では
「何とも言えない」という結果でであったという)

上野注:その後その研究成果はどうなっているのでしょうね?
その後、確認できたところでは、
先生は1992年10月に亡くなられています。
大変残念なことです。

B.町好雄東京電機大学工学部教授(当時)著(1995年)
 「科学がとらえた超能力の正体 あなたにもある潜在能力」 


1.著者の専門
液晶や半導体、アモルファス太陽電池など電子工学の研究

2.超能力を研究するに至った動機
テレビ局から「中国から高名な気功師が来るので、気を測定してほしい」という依頼があって、それをやむなく受けたことがきっかけである。

3.見聞した超能力の秘技
1)中国の林氏は、気功麻酔で外科手術を多数実施している。
2)同じく徐氏は、講演中に多くの人に気を送り、
  杖をついている人に杖を捨てて歩けるようにした。
3)訓練した子ども(中学生)が透視をした。
  文字や数字を書いた紙を丸めて中が見えないようにしたものを
  額に当てて中を当てる。
  このとき、右前頭部の表面温度が高くなり、心拍数も上がった。
4)18歳の羅さんは、病気の診察・治療、透視ができるが、
  透視の実験をした際に、顔の温度と心拍数が大きく上がり、
  脳波、心電図、血圧、呼吸、皮膚電気抵抗に変化が見られた。
  脳波は、右前頭葉のアルファ波の振幅が大きかった。
5)成都の「地震おばさん」は、
  94年12月の実験で95年1月17日の阪神大震災を予告した。
6)北京の王先生は、気功治療医院をしておられるが、
  骨折で松葉杖をつき両脇を抱えながらやってきたが先生の気で
  僅か数分で完治し、松葉杖を置いて帰っていった。
  テレビ局のスタッフが気をかけられて倒れた。
  先生が「4人がかりで持ち上げてごらん」
  と言うのでやってみたが、重くて全く動かなかった。
7)女性気功師◎錦さんは、リュウマチで歩行困難な患者を治した。
  東京から富山の遠隔治療も行ったが、
  大学病院での手術が基で下半身不随だった男性が
  歩けるようになってしまった。
  彼女が透視をしているときは、
  右前頭葉と右視覚野が非常に強く働いている。
  治療段階では、視覚野は働いていない。
8)英国人女性ヒーラー(ヨーロッパでは超能力者をこう言う)は
  初対面のがんの疑いのある女性を診断して、
  卵巣に異常があることを見つけ、治療を行った。
  以下はその時、著者が測定したサーモグラフィーの記録である。



9)上海には「ガンクラブ」があり、ガンから生還した郭林氏が開祖の
  気功でガンを治す会員4千人の団体がある。

4.超能力について解明した事項(本書の解説事項)
武術気功では、術中手などの体表温度を下げている。
その温度変化は急である。
医療気功では、術中、体表温度を上げている。
その温度変化はゆっくりである。

温度変化を起こす中心は経穴(つぼ)である。
気は直接接触しなくても相手に伝わり、「気」の場を作り出している。
その気の場は、エネルギーそのものではない
(そんな大きなエネルギーが出ていない)。

気功による伝達は、
「非常に高い周波数を持つ遠赤外線の電磁波に乗って放射される
1ヘルツ前後の低周波のシグナルである」ことを解明した。

このシグナルは脳波として測定される。
脳波は、気功中は独特の活動状態を示す(前掲4)7))。
霊能者も同じような徴候を示している。
そのシグナルは1ヘルツ前後の音の場合もある。

そのシグナルが相手の経穴を通して脳に伝わり、
シグナルは情報を持っていて、脳で情報処理されて自律神経に作用し、
本人の意思に関係なく体に影響を及ぼすのではないかと考えられる。
この情報として、
ホルモンの分泌を促すものや免疫細胞を強化するものがある。
この働きで、がん細胞を殺していると考えられる。

自律神経でコントロールされている体温、心拍などを
意識して変化させることはできない。
これに対して、呼吸は意識で変えることが可能である。
気功師たちは、呼吸を媒介にして自律神経に影響を与えているらしい
ことが解明されている。

【解明事項の要約】
以上を要約すると、以下のようになります。
著者はこれらを解明するために、独自の測定機器の開発も行っています。
たいへんな発見をしているのですが、
学界的にあるいは世間一般ではあまり評価されていないのは、
この世界が「非科学的」だという認識のせいなのでしょう。

前掲のような、医療気功の原理が完全に解明されれば、
不治の病やがんの克服が可能となるはずです。
もったいないことです。

気功は気功師の発する遠赤外線により
エネルギーそのものが伝わっているのではなく
そこに乗せられている低周波の情報が伝わっているのである。

その情報が相手の経穴を経由して脳に伝わり、
脳がその情報を解読して体内に指示を出している。
その情報の中には、免疫細胞を強化する指示などもある。

C.超能力現象のまとめ
町博士の仮説はかなりの説得性がありますので、
その説によってこれまでの超常現象が説明できるのかどうかを
整理してみました。

町博士仮説の検証

「超能力」の種類

「気功では1ヘルツ前後の低周波のシグナル(情報)が送られている」という町博士説での説明

武術気功(遠当)

気功師が相手に、「体を麻痺させろ」という情報を送っている。

医療気功 外気功

     診断

気功師が相手に、「悪い部分を教えろ」という情報を送っている。受け手はそれに従い体のスキャンをして悪い部分を相手に「シグナル」で伝えている。

医療気功 外気功

     治療

気功師が相手に、「悪い部分を治せ」という情報を送っている。

医療気功 内気功

自分で自分の脳に「健康になれ」という情報を送っている。

透視・千里眼(目で見えない「もの」が見える)

冝保愛子氏が、エジプトの未発掘の神殿の跡地の存在を指摘した、など相手は人間ではない「もの」なので当説では説明できない。

念力

有名なスプーン曲げなど。同上

予知

本文「地震おばさん」参照。同上

前世の記憶

「前世」の記憶を持っている子どもがいる。その記憶内容を確認すると事実であることが判明している。当説ではまったく説明できない。

霊媒

死者と話をするなど。これも説明できない。

物体浮揚

その存在自体も?であるが、説明はできない。

 

説明できるのは、気功系であって
それ以外はこの仮説では説明できないことが分かりました。
おそらくそれらの多くは、
田坂広志氏の「ゼロ・ポイント・フィールド」仮説では
説明できることのようです。



2023年4月20日木曜日

がんの療法棚卸、帯津三敬病院のがん療法は?

[このテーマの目的・ねらい]
目的:
 がんの治療法の全貌を確認いたします。
 その治療の多くを実践しておられる「帯津三敬病院」
 の治療コンセプトと治療種目をご紹介します。
ねらい:
 がんの治療法に関心のある方は、このブログを手がかりに
 ご研究ください。
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当ブログでは、これまでがんの治療法・克服法について
何度も取り上げてきました。
この際、その全体を整理してみました。
インデクス欄に、その治療法をご紹介しましたブログを表示しています。

がんの治療法一覧

区分

治療法

内容

インデクス

実用性

(有効性ではない)

医学

外科治療

がん細胞の活動部分を除去する。

抗がん剤治療

がん細胞の活動を低下させる。

放射線治療

がん細胞に放射線を照射して死滅させる。

超音波治療

放射線治療は周辺の健康細胞にも影響を与えるので、それを避けて同じ効果を狙う。

上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき) (uenorio.blogspot.com)

免疫療法

がん細胞に対する免疫力を強化する。

免疫細胞の攻撃力の強化をするものと、がん細胞の抵抗を排除するものとがある。

上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき) (uenorio.blogspot.com)

抗体薬物療法

がん細胞の働きをブロックする薬物を開発し利用する。

上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき) (uenorio.blogspot.com)

一部〇

ウィルス療法

がん細胞を攻撃するウィルスを見つけ利用する。

上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき) (uenorio.blogspot.com)

上野則男のブログ: 「新しいがん治療時代の夜明けーウィルス療法」スバラシイ!! (uenorio.blogspot.com)

遺伝子療法

(ゲノム医療)

棄損しているゲノムを特定し、その影響を排除する方法(既存薬も含む)を開発する。

上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき) (uenorio.blogspot.com)

上野則男のブログ: 「医の変革」 (uenorio.blogspot.com)

精神力

自らの意志による方法

生きる目標を強く持ち、「死んでられない」と思う気持ちで延命する。

上野則男のブログ: 病は「気」で治る (uenorio.blogspot.com)

上野則男のブログ: 野村監督のお母様も「気」でガンに克った! (uenorio.blogspot.com)

指導による方法

その原理を解明体系化した先生の指導を受ける(例:YSメソッド)。

「がんを消す心の自然治癒力」 単行本

気功

どの程度有効かは不明

上野則男のブログ: 「科学と神秘のはざまを解く 気のはなし」 (uenorio.blogspot.com)

療養師(巫女等)による方法

療養師先生次第で、一般には利用できない。

その他

鍼灸

どの程度有効かは不明

上野則男のブログ: 「科学と神秘のはざまを解く 気のはなし」 (uenorio.blogspot.com)

総合

総合医療

【帯津三敬病院】

相手の状況に合わせて、利用可能なすべての療法を選択する。

 まず、医学的療法があります。

最近の進歩が著しいのはこの領域です。
内容は該当のブログをご参照ください。

その次が精神力です。
「生きるんだ」という前向きの心が病を克服するものです。
こちらも該当のブログを表示しました。

「生きるんだ」という精神力を体系化して
治療法に精錬された方もおられます。
佐藤庸行氏で「YSメソッド」と称されています。
帯津先生との共著である「がんを消す心の自然治癒力」に
多数の成功例が紹介されています。




次は「気」です。
精神力は内面的なものですが、「気」は外に出る力です。
「気」は遠赤外線であることが、かなり前に証明されたようです。
「気」によってがん細胞を殺してしまいます。
気功も「気」を強化しているものでしょうが、
気功の達人が治療ができるという説は聞いたことがありません。

次に「その他」としましたが、鍼灸が入ります。
鍼灸術は、神経とは異なる特殊なエネルギーの伝達経路(経絡)と
特定の臓器や身体部位に直結する経穴(ツボ)を体系化しています。
日本・中国・韓国の共同研究結果をWHOが認定して経穴は361種類です
鍼灸によって肉体的疲労だけでなく、
内臓の治療も可能であることが想定されます。
そのような研究成果も発表されているようです。
(後掲、「がん治療最前線」)

最後に、「総合」として「総合医療」(仮称)を挙げました。
実用化されている各種の療法の中から、
本人の症状や考えによって療法を選択し治療を施します。
他にもあるのかもしれませんが、「帯津三敬病院」が代表例です。

帯津三敬病院の治療法は以下のようになっています。
(出典」帯津良一氏著「がん治療」最前線)
外科治療、抗悪性腫瘍薬療法、放射線治療、免疫療法、
漢方薬、気功、太極拳、食事療法、ホメオパシー、
サプリメント、心理カウンセリング、イメージ療法、
鍼灸治療、ビワ温灸、アロマテラピー、音楽療法

それぞれの専門家を抱えておられます。





帯津三敬病院(川越市大中居545番地)
現在では、100人超の各種医療スタッフ、100病床を持つ大病院となっています。



実は、帯津良三先生は、大学空手部の先輩です。
帯津先生は、上掲の著書「がんを消す心の自然治癒力」で
以下のように述べておられます。

【自然治癒力研究の歴史】
私はこれまでの58年間、医者としてがんの世界に身を置いてきました。
もともと外科医で20年、ホリスティック医学を38年、
合わせて58年ということになります。

ホリスティック医学はアメリカで始まりましたが、
ホリスティック(holistic)の語源は
「ホロス(Holos)」というギリシャ語にあり、
「全体」という意味です。

つまりホリスティック医学とは、人間を丸ごと扱う医学なのです。
人間の体だけでなく、心や命が一体となった、
そっくりそのままを丸ごと捉える医学なのです。

西洋医学が現代に通ずる形になってきたのは、
19世紀の終り頃です。
フランスの細菌学者であるルイ・パスツールが、
分析的な医学を完成させたわけです。
現代までに百数十年が経過しましたが、
西洋医学はまだ「命とは?」というテーマについては、
ほとんど手つかずの状態です。
命を高めるのは癒しの技術で、これは東洋医学がやってきたのです。
(中略)
やっぱり一番大切なのは、自然治癒力です。
自然治癒力と一口に言っても、
その概念があまりはっきりしないところもあり、
免疫力と自然治癒力を混同している人も昔はたくさんいたのです。

この辺を分けていかなければならないのですが、
まず免疫力というと
体内の免疫システムが「自己」と「非自己」に分けて、
病原菌などを攻撃します。
この「非自己から自己を守る」というのが免疫力です。
自己にこだわる世界なのです。

そうすると、
仏教で言われる唯識(ゆいしき)の、
末那識(まなしき)になってくるのです。
唯識とは、
すべての現象はそれを認識する心の現れであるという意味です。

末那識とは、人間の心を8層に分けたときの、7番目の層を指します。
心の8つの層は、6つの表層と2つの深層に分けることができます。
その6つの表層のうち、第1から第5までは五感の世界です。
見る、聞く,嗅ぐ、味わう、触れるですね。

第6識が心、意識なのですが、どうも心そのものでもないようです。
どちらかと言えば、ホリスティックに近い命の方も少し入っている。
そして第7識が末那識です。
末那識はあくまでも自己にこだわる層で、
これが免疫だご思われるのです。
第8識の阿頼耶識(あらやしき)は
末那識を超えたところにあるのですが、
これが自然治癒力だというのが私の考えです。

本当は、
自然治癒力そのものを医学的にも明確に説明しないといけないのですが
現代の医学事典を見ても自然治癒力という言葉は載っていません。
しかし、歴史的にははっきりしています。
自然治癒力を最初に提唱したのは古代ギリシャの医聖、
ヒポクラテスです。ヒポクラテス一派が、
病の原因はやはり人間の体、生活、この辺りをしっかり見て、
そこに原因を求めて治していく、経験医学というものを提唱しました。
中略
自然治癒力というのは、
体の中にある「命の場が持っている能力である」
と私はとらえています。
命の場が持っているエネルギーが生命です。
これが低下した時に、これを回復すべく働く、
その生命の場が持っている本来的な力が自然治癒力なのです。

中略。これ以下の文章は上野による要約です。

近代的設備の病院で、医師が腕を奮っても、
50年間の5年生存率がほとんど改善されませんでした。
そこで、西洋医学の限界に気が付き、
東洋医学を中国に視察に行って学びました。
その結果、中国医学と西洋医学を合わせた
「中西医結合」の医療を実現しようとしましたが
大病院ではその実現が困難でした。
患者側の抵抗もありました。

そこで自立してそのコンセプトを実践することにしました。
それが帯津三敬病院の誕生です。1982年、40年前でした。
当病院では「心のふれあい」を重視しています。
医療は「治しと癒しの統合」です。
そして、トコトン患者さんと向き合う治療を実現するために
患者さんと「戦略会議」をしています。
これからの医療で何よりも大事なことは、
患者さんと医療従事者の信頼の統合=信頼のコミュニケーションです。
(詳細は、本書をご覧ください)

素晴らしいコンセプト・信念ですね。
医院全体がその方針で運営されているのですから、
他では真似ができません。

帯津先生は、その後2016年にホリスティック医学を超えた
大ホリスティック医学を提唱されています。
ホリスティック医学は、人間の体を丸ごと対象にするものですが、
大ホリスティック医学は、人間の階層より上位の、
家庭、病院、社会、日本、地球、
そして宇宙を超えて虚空までもすべて含んだ、
最も大きな全体から捉えることです。

本書にはこのような記述があります。

私がこの世で完結したいことはいくつかありますが、
ダントツの1位は
「私はどこから来て、どこへ行くのか」という問題を解くことです。
フランスの画家ポール・ゴーギャンがタヒチ滞在中に描いた
「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」
という有名な絵がありますが、
ゴーギャンもこの問題の解答を見つけようと
もがき苦しんでいたのではないでしょうか。

さらに言えば、このことは決して私だけの問題ではなく、
地球上に生きるすべての人に当てはまることではないかと
思うようになってきました。
つまり、私たちが生きていく最大の目的は、それぞれの人が、
この問いに対する正解を見つけることなのではないでしょうか。

しかしながら、大ホリスティック医学につきましては、
上野は疑問があります。
ホリスティック医学の目的・ねらいは、
「患者にとって最適の治療を施し、患者の健康生活を実現すること」
であり明確なのですが、
大ホリスティック医学の目的・ねらいが不明です。

と思って、大ホリスティック医学について、
もう少し詳しく解説のある「がん治療最前線」を見ましたら、
こういうことのようでした。

帯津先生の宇宙観


その宇宙観を前提にして、ホリスティック医学の位置づけはこうなります。



大ホリスティック医学の目的は、体の健康だけでなく心の健康を実現し、
平穏で幸せな時間を過ごせるようになること、なのでしょう。
もう少し言えば、
死を生の延長上にある自然な状態として受け入れることです。
その状態に対して
「ナイスエイジング」という言葉も使っておられます。

この宇宙観は、
当ブログで話題にしました田坂広志教授の「死は存在しない」の考え方に通ずる
ものを感じます。

私は、医療としては、
帯津先生が実践されている
ホリスティック医学で十分ではないかと思われます。

人間は、その目標(目的・ねらい)が達成されると、
その上位の目的の実現を目指すようになるのは、自然の摂理です。
帯津先生もその境地に入ってこられたということなのでしょうね。

2023年4月17日月曜日

「科学と神秘のはざまを解く 気のはなし」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「気」と言われるものの本質は何であろうかを確認しました。
 (人類は「気」とはずい分奥深いご縁があるようですが)
ねらい:
 あらためて、気功や鍼灸に関心を持ちましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本項は、ベテラン鍼灸師若林理砂氏の書のご紹介です。










著者はスゴイ研究家で、以下のように多岐に亘る章立てで
解説を展開されています。
第1章 気の起源
第2章 孔子・老子・荘子の気
第3章 孟子・道教の気
第4章 易と風水の気
第5章 東洋医学の気
第6章 科学の気
第7章 養生と気

第2章の例



筆者には申し訳ないのですが、
私は、気の正体は何だろう?ということに関心がありますので、
第6章を中心に読みました。
気の起源や易とか風水とかに関心のある方は、
ご自分で本書をご確認ください。

分かったことはこういうことです。
1.気は一体何なのかを科学的に検証する研究は
 1980年代にたくさん行われていて、
 2000年代に入ってからの研究はほとんどない。
 (研究が出尽くしたのであろう)

2.行われた研究はいくつかのエネルギーが体を流れている、
 もしくは体から放出されていることを確認した。

3.気功をサーモグラフィーで計測した結果、
 遠赤外線(電磁波)が測定された
 (当時東京電機大学町好雄教授。
 町教授の著書「科学がとらえた超能力の正体」を入手して、
 その内容をご報告します)

4.放出されている遠赤外線は一律ではなく、
 波形があることが判明した。
 つまりメッセージが乗せられているのであろう。

5.日本医科大教授品川嘉也氏は、
 気功の送り手と受け手の脳波が同調することを突き止めた。

6.体内のエネルギー伝播は、神経でも血管でもなく、
 細胞そのものが行っているらしい(証明されていない)。

7.その伝達経路が「経絡」であり、
 ツボは経絡上にある「経穴」(気の出入り口)である。

8.鍼灸は、
 特定の経穴を刺激して、体の不調を恢復させる療法である。

9.「良導絡自律神経調整療法」はその一つで、
 経穴に電気を流す療法である。

10.筆者は、気の実体として電気だけではない何かが
 存在しているのではないか、と述べています。

11.経穴(つぼ)はWHOも日中韓の研究を基に、
 2006年に361種類の経穴があることを認定している
 (左右対称にあるものもあるので経穴の数としては670。
  その後、それ以外にもあることが確認されている)。
 医学的意義があることを認めているのである。
 上野注:へー!知りませんでした。

上野補足
「手当てをする」は怪我などの場合の処置のことを言いますが、
もともとは、怪我や腹痛に対してその場所に手を当てると
快方に向かう、治癒することから来た言葉です。
子どもが打撲をしたりすると、母親がそこに手を当てて
「イタイノイタイノ、スットンジャエー」と言ったりしたのも
この手当てなのです。

その「手当て」が進んだものが、「超能力者」の医術です。
私が存じあげている先生は、
西洋医学の医師がギブアップした末期のの肺がんなどを
「手当て」で完治させてしまいます。
ひどい場合は、1回の治療ではすまずに、2回、3回と施術されます。

私の家内の祖母は、
日蓮宗品川支部と伏見稲荷品川支部の開祖である宗教家ですが、
やはりそのような施術能力を持っておられたようです。
私の推定では古今東西の宗教の開祖は、
みなそのような能力をお持ちだったのではないでしょうか。

私は、先生がたは「念力」で治されているのかと思っていました。
そうではなく、特別な強い遠赤外線を出して
医学的な施術をされていたのだ、ということが分かりました。

2023年4月16日日曜日

ガンの新療法、ぞくぞく!(つづき)

[このテーマの目的・ねらい】
目的:
 がんの新療法のご紹介の追加をします。
ねらい:
 日進月歩でがんを撲滅してほしいですね!!
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今年の2月17日に以下のブログで、
がんの新療法が続々開発されていることをご紹介しました。
上野則男のブログ: ガンの新療法、ぞくぞく! (uenorio.blogspot.com)

そうしましたら、その後2つの関連記事が出ました。
1)3月25日日経新聞 
「第一三共、新型がん薬で先行、抗体で標的狙い撃ち」
「抗体薬物複合体(ADC)」 
 がん細胞に結合する抗体と、薬物を組み合わせた複合体。
 抗体が体内のがん細胞まで薬物をピンポイントで運ぶことで、
 従来の抗がん剤よりも高い効果が期待できる。
というものです。
エーザイや米ファイザーなど国内外の製薬大手も新規開発に参入している。
第一三共は先行して、2023年度にも米国で承認申請する。
のだそうです。



2)4月11日日経新聞
「手術困難ながん 超音波で治療へ」
「医療機器新興 膵臓がんの治験開始」
膵臓は胃の陰にあるなどして、放射線治療が難しいのだそうです。
これを解決するために開発中の治療法です。







































3)さらに、別項でご紹介している「医の変革」には、
免疫チェックポイント療法が紹介されていました。

そこで、前掲のブログの表にこの3件を追加しました。
この表の9番・10番・11番が追加です。
他は変更していません。

がんの新療法

 

療法名

内容

有効な症例

中心推進者

実用化時期

ウィルス療法

出典:「新しいがん治療時代の夜明けーウィルス療法」東京大学医科学研究所藤堂具紀教授(學士會会報2022号)

腫瘍細胞(がん細胞)だけで増えるように改変したウィルスを腫瘍細胞に感染させ、ウィルスそのものが腫瘍細胞を殺しながら腫瘍内で増幅していく。

 

脳腫瘍や白血病など手術が困難ながん

東京大学医科学研究所附属病院 脳腫瘍外科

2021年7月、世界初の脳腫瘍ウィルス療法薬製品名:デリタクトが、悪性神経膠腫の適応で承認された。

ウィルス療法

(続き)出典:

2023/2/16日経新聞「進化するがん治療3

同上

前立腺がん向けの臨床研究

 

悪性黒色腫(メラノーマ)向け医師主導治験を

杏林大泌尿器科と実施中

 

信州大学医学部と進行中

デリタクトを使用。

動体追跡放射線治療

出典:「癌における動体追跡放射線治療」白土博樹北大教授(学士會会報2023-Ⅰ掲載)

放射線をピンポイントで患部に当てることは、動く臓器等では困難である。それを解決する各種手法が開発されている。

 

呼吸器、消化器など動きが大きい部位のがん

北大が初期の技術開発

1990年代後半から

放射線療法「セラノスティクス」

出典:2023/1/13 日経新聞「放射線新手法「セラノスティクス」実用化進む」

がん細胞にくっつく診断用の放射性医薬品(例:ガンマ線)と、同じ構造の治療用の放射性医薬品(例:ベータ線)を患者に投与する。病巣の場所や状態を可視化してピンポイントで攻撃する。

前立腺がん、転移したがんにも有効。

スイスのノバルティス社などが先行している。

2022年、ノバルティスの医薬品は前立腺がん用で米欧の認可を受けた。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

出典:2023/2/14日経新聞「進化するがん治療1」

がん細胞がホウ素を取り込む性質を利用し、ホウ素と中性子の核反応によってがん細胞を破壊する。中性子を発生させるのに原子炉は使用許可が出ないので加速器を使う。

手術がしにくい部位のがん

大阪医科薬科大学BNCT共同臨床研究所(小野公二所長)

 

2001年に実験的に初利用で効果を確認した。

一部府県で保険適用が可能。

ADC(抗体薬物複合体)療法

出典:2023/2/15日経新聞「進化するがん治療2」

特定のタンパク質(HER2)を持つがん細胞に結合する抗体と薬物を組み合わせた薬剤を利用する。

乳がんが中心だったが、肺がんでも治験が進んでいる。

第一三共社

2020年に第一三共から「エンハーツ」名で発売

がんゲノム医療 出典:2023/2/15日経新聞「進化するがん治療4」

血液検査により、がん由来の遺伝子を見つけ出し、早期診断を実現する。同時に、特定のがん由来遺伝子の有無によって、抗癌剤の有効性の判定も可能である。

大腸がんなど。

国立がん研究センター

研究進行中。

mRNAガンワクチン療法

出典:2023/2/11日経新聞「mRNA次は癌治療に」

がんの目印となるたんぱく質「抗原」の断片を生成するmRNAを体内に入れると免疫機能が抗原を覚え、がんを攻撃するようになる。

悪性黒色腫、頭頚部がん、皮膚扁平上皮がんなど

モデルナ、ビオンテック、など

2025年の実用化を目指し治験中。

ADC(抗体薬物複合体)療法

出典:2023/3/25日経新聞

上掲6の続き

肺がん向けの2新薬の開発を終え治験中である。

肺がん

第一三共

2023年度に米で承認申請

10

超音波治療

出典:2023/4/11日経新聞

他の臓器の陰にあり放射線治療が困難ながんに対して、超音波を一点に集中して照射する「集束超音波」の治療装置を開発した。

すい臓がん

ソニア・セラピューティクス

22年10月治験開始。26年の販売開始を目指す。

11

免疫チェックポイント療法

出典:春日雅人編「医の変革」など。

がん細胞がPD-L1たんぱく質を生成し、免疫細胞のPD-1にくっつき免疫機能が働かないようにする。この働きを抑える薬を投与する。

カーター大統領は悪性黒色腫から肝臓や脳に転移して「余命」の状態であったが完治した。

(どの症状にどの医薬が有効か不明なのが難点)

悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫など

本庶佑先生はこの抑制機能を発見し臨床応用に道を開きノーベル賞を受賞した。

オプジーボ、キートルーダなど複数の医薬品が市販されている。