2022年7月28日木曜日

新型コロナ対策の全貌はどうなっているのでしょうか?

【このテーマの目的・ねらい 】
目的:
 新型コロナ感染症対策の議論をまとめてみました。
ねらい:
 やはり、有効かつ安価な治療薬が出てこないとダメなようですね。
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2022年7月24日のフジテレビ「日曜報道THEPRIME」では、
新型コロナの第7波感染拡大を受けて、
その対策についての意見交換がなされました。

流れは、感染の拡大阻止ではなく、重症化阻止対策の強化でした。
その点から、治療機関を限定している感染症2類指定も見直し、
どの医院でも治療可能となる5類に指定替えすべきである
という意見も出ていました。
現在は、コロナの対応ができる発熱外来認定医員が30数%しかなく、
これが発熱外来医院の「医療崩壊」を招いているというのです。

議論されたコロナ対策全般をまとめますと、以下のようになります
(あまり切れ味が鋭くありません)。





「行動制限」「3密回避」「マスク着用」は感染回避対策です。
「ワクチン接種」は感染回避と重症化回避の効果が期待できます。
ワクチン接種率がかなり高くなってきた状態では、
行動制限や3密回避の効果は小さくなっています。
政府が行動制限を緩和するのは当然の対策です。

重症化を防ぐ対策、これが重要なのですが、
早期発見に基づく「適切な治療」実施しかありません。
そのためには、対応医院の拡大が必要です。
従来の法制度の下では、
(5類に対応できる)「発熱外来の拡大」促進しかありませんが、
感染症法による分類を第5類に引き下げて
一般医院で対応可能にすることを主張する識者も増えています。

決定的な対策はないのですが、
強いて言えば以下の対策が有効ということになるようです。

1.若い年代のワクチン接種率を高める。
 現在は12-19歳75%、20歳代81%、30歳代80%、
 40歳代83%、50歳代以上は概ね90%台です。
 若い世代の人たちは感染しても無症状の場合もあり、
 本人はなんともないのですが、他人に感染させてしまいます。
 ぜひ、接種を進める必要があります。

2.対応医院を増やして、早期発見・早期治療(隔離)を実現する。
 対応医院に患者が集中することを避けねばなりません。
 対応医院では治療医薬品の適切な投与も可能です。

3.高齢者に対する治療をていねいに行う。
 60歳未満と60歳以上をの重症化率・致死率をみると、
 100倍から200倍の差があります。
 医療機関の激務状態を緩和して、
 高齢者に対して丁寧な治療を行う必要があります。


2022年7月25日月曜日

安倍元総理の警備の不備は何でしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 安倍元総理の警備の不備を要人警護の「目的・ねらい」の観点から
 整理してみます。
ねらい:
 「目的」(本件では警護)は「ねらい」(本件では安全確保)を
 見失ってはいけないということです。
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安倍元総理が銃撃された時の警護の状況はこうなっていました。
出典:日本経済新聞月22日






















要人警護の「目的・ねらい」はこういうことだと思います。
「ねらい」
要人を犯人の襲撃による危害から防御し安全を守る。
「目的」
要人の安全を守るために要人を警護する。
当然ながら、漠然と警護をしていればよいのではありません。
警護をするからには、
備えるべき襲撃とそれに対する警護の方法はこうなります。
当然のことなのですが、今回、それができなかったということなのです。

備えるべき襲撃

要人の安全を守るための警護の方法

1.棒や槍による襲撃

検査が可能な状態であれば検査を行う。

長いものを持っている者を近づけないようにする。

万一、近づいてきたら防御する。

2.刀剣類による襲撃

同上

3.刃物による襲撃

検査が可能な状態であれば検査を行う。

要人と群衆の間に警護者を配置して、要人に近づく人間を監視する。

危険な状態と判断したら、身ももって危険人物に当たる。

4.手りゅう弾等による襲撃

検査が可能な状態であれば検査を行う。

要人と群衆の距離を20メートルくらい開けることができればよい。

それができない場合、20メートル以内くらいの至近距離の群衆の挙動を注意深く監視し、異常を察知したら要人を避難させる等の対応を行う。

5.銃による襲撃

検査が可能な状態であれば検査を行う。

360度に対して襲撃の目を光らせることは困難なので、後方は選挙カーなどでブロックする。

左右方向がオープンであるなら、それぞれ前方向とは別の警護者が監視を行う。

20メートル以内くらいの至近距離の群衆の挙動を注意深く監視し、異常を察知したら要人を避難させる等の対応を行う。

場合によっては犯人を銃撃する(米国ではそれが通常)。

6.ドローンによる襲撃

今後の研究課題である。


今回は、後方の警備が不備であったのです。
銃による襲撃を想定しなかったために、
群衆の少ない後方は1人の警察官が担当していました。
そのために犯人の不審な挙動に気が付くのが遅かったのです。
結果からみると、要人の後方の道路は通行自由になっていたので、
犯人は車で近づいてきて、至近距離から射撃することも可能だったのです。

もう一つの問題点は、SPが安倍氏の近くにいたので、
一発目の発砲の際に気が付いて瞬間的反応で
安倍氏をカバーすべきだったのに、
2,3秒後の2発目の被弾を許してしまったことです。
SPからすると、銃による襲撃は「想定外」だったのです。
警護をするからには、
警護の「目的・ねらい」は完全に体に浸透していなくてはならず、
「想定外」などあってはならないのです。

2022年7月24日日曜日

安倍元総理襲撃犯人の心理を想定します

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 安倍元総理襲撃の不可解な状況を整理してみます。
ねらい:
 問題提起された我々は何を学べばいいのでしょうか。
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今回の事件を、二つの材料から分析してみました。
その結果をまとめました。

【1.事件発生の経緯】
こういうことです。

時期

事実(かっこ内は想定)

1980年9月

山上容疑者、3人兄弟の次男として誕生

1984年

父親自死

1991年

母親が統一教会に入会

(長男が小児がんでこれを救いたかったのではないかという説がある(母親の兄))。

父親の保険金などで献金

1992年~

中学時代はバスケットボール部に所属。目立たずおとなしいタイプだった。

高校は進学校で勉強はできた。

1999年

母親が祖父から相続した土地を売却、献金。

2002年

容疑者海上自衛隊に入隊

母親が自己破産

2005年

容疑者自殺未遂騒動を起こす。

(「家族は生活苦。死亡保険金で兄弟たちの生活を支援しようとした」説)

その後海上自衛隊退職

アルバイトや派遣社員として転々。

2015年頃

容疑者の兄が自死

(がんを患っていた)

2019年

統一教会幹部の来日に際し、火炎瓶襲撃を計画するが、会場に入れず断念。

2020年10月から

京都府内の工場で勤務

2021年春頃

武器の製造を開始

奈良の山中などで試射実施。

2021年3月~9月

家賃2万円でアパート賃借(火薬を乾燥するため)

2021年9月

安倍元総理が統一教会の友好団体にメッセージ

2021年11月~22年2月

シャッター付きガレージを月1.5万円で賃借(目的は同前)

2022年春ごろまで

複数の銃を完成。

統一教会幹部が来日しないので対象を安倍元総理に転じた。

2022年5月

体調不良を理由に休んだ後退職

(準備完了して機会をうかがっている)

2022年7月

襲撃実施を決断

(所持金が減り、実行を決意。あせっている)

2022年7月7日

午前4時、統一教会が入居するビルで試射

2022年7月7日

岡山で安倍総理の襲撃を意図したが屋内だったため未遂。

米本和広氏への手紙投函

(この手紙は遺書のつもりもあったかもしれない説あり)。

2022年7月8日

前日に奈良で演説会があることを知り待機していて11時半に凶行。


【2.7月7日に投函された米本和広氏への手紙】
全文です。
米本氏は統一教会の非を訴えるブログの発信者です。

ご無沙汰しております。
「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んで
どれくらい経つでしょうか。

私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたが
あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。
その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、
方向は真逆でも、よく似たものでありました。

私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。
母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産、、、
この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。
この間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。

個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、
私にとってそれは、
親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、
止める術のない確信に満ちた愚行、
故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。
(上野注:この段は若干意味不明です)

世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、
その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。
私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、
それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、
今もそれは変わりません。

苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。
あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパ
の一人に過ぎません。

文一族を皆殺しにしたくとも、
私にはそれが不可能なことは分かっています。
分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。
(注:文一族は「統一教会」創業者文鮮明一族)

現実に可能な範囲として韓鶴子本人、
無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが、
鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか
あるいは統一教会が再び結集するのか、
どちらにしても私の目的には沿わないのです。
(注:韓鶴子は「統一教会」現会長、文鮮明との間に14人の子供を作った。
2012年の文鮮明氏の死後、一族はバラバラになっているらしい)

安倍の死がもたらす政治的意味、結果、
最早それを考える余裕は私にはありません。

【3.事件の背景の要約】
以上二つの資料から、上野はこういう風に事件の背景を整理しました。

容疑者一家を破綻に追い込んだ統一教会を
徹底的に恨んでいる。
 ⇓
恨みを晴らしたいと思った。
統一教会幹部を襲撃しようとした。
 ⇓
襲撃ができなかった。
 ⇓
自分も失業してしまって生活が不安である、
将来の希望も持てない。
こういうことを許している社会を憎みだした。
 ⇓
統一教会幹部に代わる襲撃先を考えた。
安倍元総理は
統一教会関連のイベントにメッセージを送っているので
恨みの対象である統一教会と無関係ではない、
かつ現状日本の責任者である。
 ⇓
襲撃先を安倍元総理に絞って機会を窺った。
「安倍元総理の死の影響を考える余裕はない」

【4.事件の背景要約(上野意見)】
結局、こういうことなのでしょう。
統一教会への恨みが大きくて、
何としてもその恨みを晴らしたいとずっと思っていました。
しかし、統一教会幹部を攻撃するチャンスに恵まれませんでした。
生活苦に遭遇する可能性もあり焦りだしました。
そこでその矛先をかなり統一教会との関係が薄い
安倍総理にしてしまったのです。
それは、容疑者一家をそういう境遇に追い込んだ、
そういう不条理を許している日本社会への恨みを晴らすという
やけくその心理が加わってのことと推察されます。

蛇足
この犯人は、以下の点から非常に優秀な能力を持っています。
1)的確に標的に当てられる銃を自作した(開発力)。
2)目的を達成できた襲撃計画を立てられている(計画力)。
3)襲撃を実行できた(実行力)。

彼はこれだけの能力があれば、それを発揮できる場に恵まれていれば、
かなりの人生成果を上げられていたと思われます。
その人生を破壊してしまった「宗教」を恨むのは当然と思います。


2022年7月17日日曜日

人間が「老化」しないことはできるのでしょうか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 ありえるかもしれない不老不死を研究しましょう。
ねらい:
 不老不死を期待しますか?
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2022年7月17日の日経新聞に
「老化」知らぬカメの群 (老化は)生物の宿命ではない可能性
という見出しの解説記事が載りました。

要旨はこうです。
南デンマーク大学の研究成果が6月の米科学誌に載った。
世界から1200以上の動物園や水族館から集めた
カメの飼育記録の分析によると、
生活環境が整うリクガメなど52種の75%で、
老化が極めて緩やかか、無視できる状態だった。
老化は生物の宿命ではない可能性がある。




























当ブログでは、2022年3月26日
で以下を掲載しました。

当テーマは、
小林武彦東京大学定量生命科学研究所教授の著書のご紹介です。

本書の構成はこうなっています。
第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

「生物はなぜ死ぬのか」は要約するとこういうことです。
1)生物は10億年前に多細胞生物が誕生して以来進化してきている。
2)進化は遺伝子の突然変異により起きる。
3)環境に適応しやすい方向に進化した生物が生き残っている。
4)遺伝子の突然変異は生きている生物には伝達されない。
5)したがって、環境に適応できない個体は死んで、
  適応できる個体が生き延びて種を存続させてきている。
6)つまり、種の進化のために個体は死ぬ、ということである。
  死は生の前提条件である。
 (個体の存続よりも種の存続を優先させているのです。
  鮭・セミは産卵すると死ぬ、タコのメスは子が卵から孵ると死ぬ、
  交尾すると死ぬオスの生物も多い)

つまり、種が進化して環境適応し生き延びるためには、
個体は死ぬようになっている、ということです。

これは、神の摂理とかでなっているのではなく、
結果的にそうなっている、ということなのですから、
種の存続と個体の存続のバランスはいろいろあっていいのです。
個体が老化で死ぬのが生物の宿命なのではないのです。

カメは、個体の存続をかなり優先させている種です。
彼らは敵が少ないので個体がそのままで生き続けているのです。

たまたま先日あるテレビ番組で、
500歳のサメを発見したと言っていました。
年齢は、歯の年輪のようなもので判別できるのだそうです。
サメは海のなかでは敵なしですから、
進化による種の生存強化の必要がなかったのでしょう。

ハダカデバネズミも、そういう種なのです。
前掲書でのハダカデバネズミの紹介はこうなっています。

ハダカデバネズミは、同じ齧歯類(ネズミの仲間)、
例えばハツカネズミの寿命が2-3年なのに対して、
ハダカデバネズミは30年と10倍ほど長く生きます。














霊長類にたとえると、
ヒトとほぼ同じサイズのゴリラやチンパンジーの寿命は
40-50年なので、
もしハダカデバネズミ並みにヒトが長生きできたとすると、
単純計算ではヒトの寿命はその10倍の500年生きることになります。

前掲書で老化現象は、こういうことです。
老化細胞は、初期の段階で細胞死(アポトーシス)を引き起こし、
その後免疫細胞によって除去されるのですが、
加齢に伴って、細胞死や除去する反応が低下してしまいます。

したがって、
古い細胞の細胞死を促進し、それを除去する免疫機能を強化すれば、
老化は防げるのです。
その研究は進められているようです(前掲書)。
ご関心ある方は前掲書をご覧ください。

つまり、自然状態では、生物は老化し死んでいくのですが、
人為的に老化させない方法は可能だということです。
カメを研究しなくても、老化現象をせき止める方法の研究を進めれば
人間が老化しない方法、あるいは老化しにくくする方法は可能なのです。

いつ頃、それが医科学的に可能となるのか、
その方法の実施はどうするのか、は大問題ですね。
老人たちが死なない社会は実現していいのでしょうか。
どうも、そういう種は滅びそうですね。

2022年7月15日金曜日

安倍元総理の非運!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 あり得ないことが起きた偶然を分析してみます。
ねらい:
 残された政界人は「災い転じて福」として欲しいですね。

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安倍元総理の急逝はとんでもない事件でした。
しかしこの事件は、
以下のように非常に多くの偶然の結果で成立しています。
そんな奇跡に近い偶然を考えますと、
まことに残念なことですが、
これが安倍元総理の運命だったのではないかと思えてきます。

偶然その1:
安倍元総理が21年9月に、
統一教会創始者らが設立した友好団体の集会に
ビデオメッセージを寄せました。
それを犯人が知って、
安倍元総理が「統一教会」と関係があると思ったことが発端です。
安倍元総理は、単に何らかの依頼・要請に応えただけで、
その組織(統一教会)を応援するつもりはなかったはずです。

偶然その2:
犯人が凶器を試作中に、マンションで騒音を発生させていますが、
(マンション住民が騒音を聞いたことを証言しています)
もめごとにならなかったことが2番目の偶然です。
もめごとが起きていれば、
凶器の試作が露呈したのではないかと思われます。

偶然その3:
事件前にその付近で明け方4時ころに試射していますが、
試射跡が見つかって警察への届出がされることがなかったこと。
(近所の住民は大きな爆発音を聞いていますが、
そのままになっています)

偶然その4:
事件当日、背後から安倍元総理に7メートルまで接近した際に
警備者が気が付かなかったこと。
(警備の不備が指摘されていますが、
警備は銃器を想定していなかったのです)

偶然その5:
当たらなかった銃弾の1発目から当たってしまった2発目までの
3秒ほどの間に警備者が安倍総理を保護しなかったこと。
(とっさの判断をする訓練ができていなかったのです)

偶然その6:
射撃素人の犯人の撃った弾が偶々致命傷になる部位に命中したこと。
(頭蓋を打ち抜いているのでない限り、
即死に近いダメージを与えることは非常に困難です)

以上の一つの偶然の可能性が2分の1としても、
全体での可能性は64分の1です。
それぞれありそうな確率で計算すると、
おそらく1万分の1くらいの実際にありえないような確率です。

この事件の発端は、安倍元総理のビデオメッセージですが、
おそらく、誰かの依頼に応じたものだと思われます。
人が良く人を疑わない(悪く言えば「人を見る目がない」)
安倍元総理の人柄の現れだったのではないでしょうか。
これも運命です。

そうだとすれば、
残された者たちは安倍元総理の遺志を継いで、
日本を沈没から救わなければなりません。
頑張りましょう!!

2022年7月13日水曜日

2207参院選トピックスベスト3!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 2022参院選の結果を、上野なりに分析してみました。
ねらい:
 もっと、興味深いこともあるのでしょうね。
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以下、やや興味本位の分析で申し訳ありません。

その1:安倍元総理急逝の影響
自民党候補が選挙区選挙で相手候補に競り勝ち当選したケース
(相手候補と2倍以上の差がある場合を除く)が、
全45選挙区中、以下のように16件あります。
次点当選者得票数の欄の「無」は、
野党複数党からの推薦を受けている者を示します。

「当選が危ぶまれる」ということで、
安倍元総理が応援に臨んだ奈良の得票差が約3割ありますから、
2割くらいは状況により変動する可能性があると言えそうです。
20%以内の次点との差の合格者は7人いますから、
その人たちは、安倍総理の陰ながらの応援で合格した可能性もある
と言えるのではないでしょうか。
特に、数%の差の二人は、間違いなくそうだと思われます。

逆に自民党候補者が涙を呑んだのは3件です(山形、長野、沖縄)。
相手はかなり強いのですね。
沖縄の場合は、2888票の僅差で敗れています。

安倍元総理の事件で、世論が自民党に有利になったことは、
以下の日経リサーチの、調査結果でも明らかになっています。
この調査は、毎週、固定電話と携帯電話に自動音声で質問して
毎回約1000人から回答を得ているものです。
自民党支持は7週前の40%から低下してきていましたが、
9日に39%に挽回しています。
このデータだと、影響を受けているのはなぜか維新です。
維新の躍進がそがれたということになるのです。























その2:各政党の人気度
比例代表の投票は、政党名または政党の候補者名を書きます。
全国の投票が集計されますから、全国規模の人気投票の面があります。
この表を見ますと、日本維新の会は得票数第2位で、
自民党の43%にもなっているのです。
公明党が手堅いのは当然として、長い歴史を持つ共産党が、
れいわや参政党に追いつかれようとしています。
同じように、社民党がN党と同じというのも時代の流れです。
福島党首が奮闘していますが、お気の毒です。

この人気投票と実際の当選者数の比率を比較しますと、
自民党が圧倒的に、人気を上回る当選者を出しているのです。
死に票が少ないということで、余裕の選挙戦略ですね。
立憲民主党は議席数を大きく減らしましたが、
人気投票より上位の当選者数です。

日本維新の会は、得票率14.8%に対して当選者比率が9.8%
ですから死に票がかなり多いのです。
関西以外の選挙区での戦いがうまくいっていないことを
示しています。
松井代表が「野党の完全な敗北だ」と言われたのは、
野党全般のこともありますが、
自分の党のことが重く受け止められたのでしょう。
おそらく、人気投票並みの当選者数を期待しておられたと思います。
今後に期待したいです。

共産党以下の小規模政党は、圧倒的に不利な当選者数です。
死に票が多いということです。
死に票を少なくするには「野党共闘」は必須なのです。

その3:女性当選者
今回の女性当選者は、比例代表で14人、選挙区で21人、
合計35人で、125議席中28%でした。
これまで、2016年、2019年の参院選挙では
いずれも28人でしたから、これを大幅に上回りました。
しかし全候補者中の女性比率は33.2%でしたから、
甘い結果ではありませんでした。

党派別の当選者中の女性比率は、
自民13人21%、立民9人53%、維新3人25%、
公明2人15%、共産2人50%、国民民主2人40%
社民1人100%、無所属3人60%でした。
政党の特性が読めそうです。

新人は11人で、ベテランの方が圧倒です。
当選4回目の超ベテランもおられます(蓮舫さん、山谷えり子さん)。

美人が多いような気がしましたので、写真を載せてみました。
出典は,NHKの開票速報です。
美人が多いかどうかは、皆様のご判断にお任せします。
何人かいるタレント出身はやはり美形なのでしょう。














































































































年齢を調べてみましたら、
以下のグラフのように完全に50代中心の正規分布型です。
50代が働き盛りということです。
最年少は38歳の今井絵里子さん(それでも当選2回目)、
最年長は71歳の山谷えり子さんでした。
国家公安委員長もされた「エライ」方です。













2022年7月9日土曜日

安倍元総理の非業の最期を悼みます!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 安倍元総理の業績を再確認します。
 謹んでお冥福をお祈りいたします。
ねらい:
 安倍元総理の遺志を継いで
 なんとか憲法改正の実現をしなければなりません。
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心からお悔やみ申しあげご冥福をお祈りいたします。
安倍元総理の業績は高く評価されていますが、
私は氏の主義信条の根底にあるのは、強い愛国心だと思います。
以下に氏の愛国心の現れを確認し整理してみます。
ついでに、甘いところがあったことも確認いたします。

私はこれまで、安倍元総理のことを当ブログで、
10回以上取りあげています。
それらも参照しながら、以下をまとめました。

1、基本信条

以下太字は田崎史郎氏著「安倍官邸の正体」からの引用でした。

【2006年10月の衆議院本会議での安倍総理の発言】
「私にとって保守とは、いわゆるイデオロギーではなく、
日本および日本人について考える際に、
自分の生まれ育ったこの国に自信を持ち、
今までの日本が紡いできた長い歴史を、
その時代に生きた人たちの視点で見つめ直そうとする
姿勢であると考えています。

一方で、
そうした歴史に根差した保守主義という基盤に立ちながらも、
それは閉鎖的あるいは排他的なものであってはならず、
現実に対しても虚心に目を向けることで、
開かれた保守主義を目指していきたいと思っています。

私の考えるナショナリズムとは、
自分たちが生まれ、育ち、そしてなれ親しんだ自然や祖先、
家族、また地域のコミュニティーに対する帰属意識であります。

そういう帰属意識があるからこそ、誰かに言われなくても、
ごく自然なみずからの感情として、
そうした自然や家族、地域に誇りを持ち、
これらを壊さないように愛情を持って守ろうとする、
そうしたものがナショナリズムであると考えております。

[14年1月30日の参院本会議での発言】
政治は国民のもの、
自民党の立党宣言はこの言葉から始まります。
私たち自民党には、
右に偏った政治も、左に偏った政治もありません。
あるのは、
ただ現実の国民に寄り添う政治、それだけであります。

(中略)

南西の海では主権への挑発が繰り返されています。
日本の安全保障環境は厳しさを増している、
これが現実であります。

そうした現実の下で、私たち自由民主党は、
国民の生命と財産は断固として守り抜いていく決意であります。
これは右傾化などでは決してありません。
国民を取り巻く現実を直視した責任ある政治にほかなりません。

そのとおりですね。まったく同感です。
安倍総理の国を思う精神はまったくぶれていません。

このような愛国精神は、
人間であれば誰しも持っているものだと思いますが、
今の多くの日本人はそれを見失っていると言われています。

安倍総理が「現実を直視する」
という点では以下の意見開陳があります。
(出典は同上です)

【正論10年10月号の日下公人によるインタビューでの発言】
自分の方針を打ち出し、各政党や世論の動向を冷静に見て、
押し通せるなら押し通す。
分厚い壁にぶち当たったら
「ゼロか100という勝負ではなく、
30でも40でも徐々に積み上げていこう。

【安倍首相の基本信条の生れた背景】

以下も、田崎史郎氏の「安倍官邸の正体」の記述です。

 ニクソン元米国大統領の著書「指導者とは」の中で
 チャーチル元英国首相、ドゴール元フランス大統領、
 アデナウアー元西ドイツ首相についてこう述べている。

 「多くの指導者が荒野にさまよう過去を持ち、
 その間に得た洞察力と英知、
 復帰のための闘争が養った力などが、
 のちに威力を発揮したのだった。

安倍総理もまさにそうだったのです。
雌伏5年余の間に賢明な安倍総理が磨いた
「洞察力と英知、復帰のための闘争が養った力」
が今(注:当時)の強い安倍総理を作ったのです。

2.愛国心の現れ
(1)外交
今回の不慮の死に対して、米国のトランプ・バイデン元・現大統領、
インドのモディ首相、プーチン大統領、エリザベス女王、中韓首脳、
その他多くの海外首脳から弔意をいただいています。
米国は10日まで反旗を掲げる、インドは9日国を挙げて喪に服する、
ということです(おひざ元の日本は、そういう習慣がないのですね)。

そのくらい、海外首脳と交流し、
日本の国際的な地位向上に努められました。
これも愛国心の発露です。

(2)安保関連法案
出典:2015年9月

ご承知のようにいわゆる安保関連法案が、
2015年9月19日未明の参議院本会議で採決され成立いたしました。

国会周辺の大反対デモに見舞われながらのことでした。
1960年の安保闘争依頼の国会デモです。

それに先立つ委員会での暴力沙汰は、
面白おかしく報道されてしまいました。
日本国民として残念なことです。

私は今回の反対運動は、
「戦争反対」とか[憲法違反だ」などが前面に出て、
十分納得のいく説明がされていないということが
背景にあると思います。

ある面でやむを得ない状況があるのです。

安倍総理は、こう考えているのだと思います。
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日本および日本国民の安全確保は最重要課題、
しかも喫緊の課題である、
本来は憲法を改正して対応すべきである、

しかし憲法を改正するとなると、時間もかかるし、
今回の審議以上に中国の脅威について明確に論じないと通らない、
それは「火中の栗」となる。

今は硬軟両用作戦で、中国の危機に対応しようとしている、
日中韓首脳会議も用意しようという時に、
軟作戦が通らなくなる、

硬作戦一本には今少し時間稼ぎをしたい。

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本来は憲法改正すべきであると思っているのです。
それが正論です。

したがって、違憲ではない、という主張には無理があって、
国会審議でもボロが出たのです。
それがまた反対派に要らぬ疑心暗鬼を起こさせました。

「ムリ}を承知で、
「とにかくこの法案を早く通してしまえ」という戦術です。
本質的議論(中国脅威論)を避けて通らなければならない
ことからきているムリですね。
結果「強引」と受け取られてしまいました。

1960年の安保法案の時がそうであったように、
結果がよければいいではないか、という苦渋の判断です。

それだけ安倍総理の「国を守らなけければならない」
という気持ちは強かったのです。

安倍総理が目指しておられた憲法改正を実現される前に
凶弾に斃れられたということは本当に無念でならないでしょうね。

(3)靖国神社参拝
2013年12月26日に1回目の靖国参拝をされました。
この時、中韓は当然のクレームとして、
米国からも「失望」のコメントを受けました。

その時、
「国のために尊い命を落とした英霊に対して
尊崇の念を表すのは当たり前だ。
閣僚はどんな脅かしにも屈しない。
その自由は確保していく」

と毅然として「内政干渉」をはねのけました。

しかし、現実主義者の阿部総理としては、参拝はやめ、
奉納だけにしていました。
参拝の意志は変わっていないのです。

そこで退任後、2021年8月15日に2度目の参拝をされました。
以下のコメントを出されています。
「先の大戦において祖国のために母や父、友や子、愛する人をのこし、
祖国の行く末を案じながら散華された、
尊い命を犠牲にされたご英霊に尊崇の念を表した」

国のために命を犠牲にした先人の霊に感謝したのです。
他国からとやかく言われる筋合いのものではありません。

3.安倍総理の限界

愛国心については、上述のようにぶれない信念をお持ちだったのですが、
経済については誰も正解を持っていない世界です。
アベノミクスの基本方針まではいけますが、
具体策となると自分では答えが分かりません。

特に、金融、財政に次ぐ本命の「成長戦略」がそうです。
信用できる人に頼るしかないのです。
結果的には本人が思うような成果は上がっていません。
「失われた20年、30年」の低迷が続いている状態なのです。

コロナについても同じです。
誰もどうすべきか正解を持っていない世界です。
安倍総理も誰かの言うことを信ずるしかないのです。
これも結果的には成功とは言えませんでした。
参照:2020年5月上野則男のブログ

いずれにしても、誰に頼るかの判断が重要です。
ここで、安倍総理の弱点が現れてしまいます。

4.人を見る目
そうです。
育ちのよい安倍総理は「人を見る目が弱かった」のです。
以下は2017年7月の当ブログの内容です。


稲田防衛大臣が辞任しました。
安倍内閣の大臣辞任者は6人目だそうです。
金銭疑惑の人もいますが、失言者が目立ちます。

記憶に新しいのは、今村復興相が
「(東北大震災は)東京でなくてよかった」
と言ったものです。

東京だったらもっともっと大変だったということで、
間違ってはいません。

しかし、
東北大震災で被害にあった人の気持ちを逆なでした
ということでアウトになりました。

この発言は東北でしたのではなく、党内の会合です。
つい油断したのでしょう。

今回の稲田さんの最後の失言
「(都議選は)防衛大臣としてもお願いします」も
選挙応援演説の熱気の中で出てきてしまったものです。

稲田さんは、冷静な時の判断力はしっかりしていて、
テレビの座談会等での意見はまっとうで
信頼できるものでした。

私も期待する人材でした。

安倍総理もそのような点を評価して、
女性活用の一環もあり大臣に任用したのでしょう。

失言は「政治的に」未熟ということになります。

ベテランの政治家は、微妙な問題、難しい問題の時には
曖昧な返事、なんともとれる返事でごまかします。

「政治的発言」というものです。
それが「政治家」です。

安倍さん自身も
「こんな人たちに負けるわけにいかない!」
と大失言していますから、政治家としては未熟ですね。

6人も辞任者が出ているということは、
安倍さんは、「人を見る目がない」ということになります。

安倍総理は、日本の経済、防衛、外交等の判断は的確であり、
実行力・行動力もあり、大いに期待しているところです。

ですが、これは昭恵夫人の問題かもしれませんが、
あのおかしな籠池氏を信用してしまうとか
人を見る目には欠けるところがあるようです。


「人を見る目」は、判断力の一部でしょうが、
敵か味方かを見分ける動物本能に近いのかもしれません。
太古であれば敵にやられて生きていませんね。


動物本能だとすると、なかなか強化できませんから、
補佐役に依存するしかないのでしょう。
今度の内閣改造ではそうしてほしいですね。

安倍氏は、自らは体力の限界を感じられて首相を退陣されましたが、
日本を真の独立国家とするための憲法改正は悲願で、
その実現のために後進を応援しておられました。
今回の非運もその応援の一環です。
本当に死んでも死にきれないお気持ちだったであろうと推察いたします。
おそらくこの事件の影響で、
明10日の参議院選挙では自民党が圧勝するでしょう。
政治家の皆様!
ぜひ「悲願」の実現に向けて努力していただきたいと思います。