2022年7月9日土曜日

安倍元総理の非業の最期を悼みます!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 安倍元総理の業績を再確認します。
 謹んでお冥福をお祈りいたします。
ねらい:
 安倍元総理の遺志を継いで
 なんとか憲法改正の実現をしなければなりません。
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心からお悔やみ申しあげご冥福をお祈りいたします。
安倍元総理の業績は高く評価されていますが、
私は氏の主義信条の根底にあるのは、強い愛国心だと思います。
以下に氏の愛国心の現れを確認し整理してみます。
ついでに、甘いところがあったことも確認いたします。

私はこれまで、安倍元総理のことを当ブログで、
10回以上取りあげています。
それらも参照しながら、以下をまとめました。

1、基本信条

以下太字は田崎史郎氏著「安倍官邸の正体」からの引用でした。

【2006年10月の衆議院本会議での安倍総理の発言】
「私にとって保守とは、いわゆるイデオロギーではなく、
日本および日本人について考える際に、
自分の生まれ育ったこの国に自信を持ち、
今までの日本が紡いできた長い歴史を、
その時代に生きた人たちの視点で見つめ直そうとする
姿勢であると考えています。

一方で、
そうした歴史に根差した保守主義という基盤に立ちながらも、
それは閉鎖的あるいは排他的なものであってはならず、
現実に対しても虚心に目を向けることで、
開かれた保守主義を目指していきたいと思っています。

私の考えるナショナリズムとは、
自分たちが生まれ、育ち、そしてなれ親しんだ自然や祖先、
家族、また地域のコミュニティーに対する帰属意識であります。

そういう帰属意識があるからこそ、誰かに言われなくても、
ごく自然なみずからの感情として、
そうした自然や家族、地域に誇りを持ち、
これらを壊さないように愛情を持って守ろうとする、
そうしたものがナショナリズムであると考えております。

[14年1月30日の参院本会議での発言】
政治は国民のもの、
自民党の立党宣言はこの言葉から始まります。
私たち自民党には、
右に偏った政治も、左に偏った政治もありません。
あるのは、
ただ現実の国民に寄り添う政治、それだけであります。

(中略)

南西の海では主権への挑発が繰り返されています。
日本の安全保障環境は厳しさを増している、
これが現実であります。

そうした現実の下で、私たち自由民主党は、
国民の生命と財産は断固として守り抜いていく決意であります。
これは右傾化などでは決してありません。
国民を取り巻く現実を直視した責任ある政治にほかなりません。

そのとおりですね。まったく同感です。
安倍総理の国を思う精神はまったくぶれていません。

このような愛国精神は、
人間であれば誰しも持っているものだと思いますが、
今の多くの日本人はそれを見失っていると言われています。

安倍総理が「現実を直視する」
という点では以下の意見開陳があります。
(出典は同上です)

【正論10年10月号の日下公人によるインタビューでの発言】
自分の方針を打ち出し、各政党や世論の動向を冷静に見て、
押し通せるなら押し通す。
分厚い壁にぶち当たったら
「ゼロか100という勝負ではなく、
30でも40でも徐々に積み上げていこう。

【安倍首相の基本信条の生れた背景】

以下も、田崎史郎氏の「安倍官邸の正体」の記述です。

 ニクソン元米国大統領の著書「指導者とは」の中で
 チャーチル元英国首相、ドゴール元フランス大統領、
 アデナウアー元西ドイツ首相についてこう述べている。

 「多くの指導者が荒野にさまよう過去を持ち、
 その間に得た洞察力と英知、
 復帰のための闘争が養った力などが、
 のちに威力を発揮したのだった。

安倍総理もまさにそうだったのです。
雌伏5年余の間に賢明な安倍総理が磨いた
「洞察力と英知、復帰のための闘争が養った力」
が今(注:当時)の強い安倍総理を作ったのです。

2.愛国心の現れ
(1)外交
今回の不慮の死に対して、米国のトランプ・バイデン元・現大統領、
インドのモディ首相、プーチン大統領、エリザベス女王、中韓首脳、
その他多くの海外首脳から弔意をいただいています。
米国は10日まで反旗を掲げる、インドは9日国を挙げて喪に服する、
ということです(おひざ元の日本は、そういう習慣がないのですね)。

そのくらい、海外首脳と交流し、
日本の国際的な地位向上に努められました。
これも愛国心の発露です。

(2)安保関連法案
出典:2015年9月

ご承知のようにいわゆる安保関連法案が、
2015年9月19日未明の参議院本会議で採決され成立いたしました。

国会周辺の大反対デモに見舞われながらのことでした。
1960年の安保闘争依頼の国会デモです。

それに先立つ委員会での暴力沙汰は、
面白おかしく報道されてしまいました。
日本国民として残念なことです。

私は今回の反対運動は、
「戦争反対」とか[憲法違反だ」などが前面に出て、
十分納得のいく説明がされていないということが
背景にあると思います。

ある面でやむを得ない状況があるのです。

安倍総理は、こう考えているのだと思います。
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日本および日本国民の安全確保は最重要課題、
しかも喫緊の課題である、
本来は憲法を改正して対応すべきである、

しかし憲法を改正するとなると、時間もかかるし、
今回の審議以上に中国の脅威について明確に論じないと通らない、
それは「火中の栗」となる。

今は硬軟両用作戦で、中国の危機に対応しようとしている、
日中韓首脳会議も用意しようという時に、
軟作戦が通らなくなる、

硬作戦一本には今少し時間稼ぎをしたい。

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本来は憲法改正すべきであると思っているのです。
それが正論です。

したがって、違憲ではない、という主張には無理があって、
国会審議でもボロが出たのです。
それがまた反対派に要らぬ疑心暗鬼を起こさせました。

「ムリ}を承知で、
「とにかくこの法案を早く通してしまえ」という戦術です。
本質的議論(中国脅威論)を避けて通らなければならない
ことからきているムリですね。
結果「強引」と受け取られてしまいました。

1960年の安保法案の時がそうであったように、
結果がよければいいではないか、という苦渋の判断です。

それだけ安倍総理の「国を守らなけければならない」
という気持ちは強かったのです。

安倍総理が目指しておられた憲法改正を実現される前に
凶弾に斃れられたということは本当に無念でならないでしょうね。

(3)靖国神社参拝
2013年12月26日に1回目の靖国参拝をされました。
この時、中韓は当然のクレームとして、
米国からも「失望」のコメントを受けました。

その時、
「国のために尊い命を落とした英霊に対して
尊崇の念を表すのは当たり前だ。
閣僚はどんな脅かしにも屈しない。
その自由は確保していく」

と毅然として「内政干渉」をはねのけました。

しかし、現実主義者の阿部総理としては、参拝はやめ、
奉納だけにしていました。
参拝の意志は変わっていないのです。

そこで退任後、2021年8月15日に2度目の参拝をされました。
以下のコメントを出されています。
「先の大戦において祖国のために母や父、友や子、愛する人をのこし、
祖国の行く末を案じながら散華された、
尊い命を犠牲にされたご英霊に尊崇の念を表した」

国のために命を犠牲にした先人の霊に感謝したのです。
他国からとやかく言われる筋合いのものではありません。

3.安倍総理の限界

愛国心については、上述のようにぶれない信念をお持ちだったのですが、
経済については誰も正解を持っていない世界です。
アベノミクスの基本方針まではいけますが、
具体策となると自分では答えが分かりません。

特に、金融、財政に次ぐ本命の「成長戦略」がそうです。
信用できる人に頼るしかないのです。
結果的には本人が思うような成果は上がっていません。
「失われた20年、30年」の低迷が続いている状態なのです。

コロナについても同じです。
誰もどうすべきか正解を持っていない世界です。
安倍総理も誰かの言うことを信ずるしかないのです。
これも結果的には成功とは言えませんでした。
参照:2020年5月上野則男のブログ

いずれにしても、誰に頼るかの判断が重要です。
ここで、安倍総理の弱点が現れてしまいます。

4.人を見る目
そうです。
育ちのよい安倍総理は「人を見る目が弱かった」のです。
以下は2017年7月の当ブログの内容です。


稲田防衛大臣が辞任しました。
安倍内閣の大臣辞任者は6人目だそうです。
金銭疑惑の人もいますが、失言者が目立ちます。

記憶に新しいのは、今村復興相が
「(東北大震災は)東京でなくてよかった」
と言ったものです。

東京だったらもっともっと大変だったということで、
間違ってはいません。

しかし、
東北大震災で被害にあった人の気持ちを逆なでした
ということでアウトになりました。

この発言は東北でしたのではなく、党内の会合です。
つい油断したのでしょう。

今回の稲田さんの最後の失言
「(都議選は)防衛大臣としてもお願いします」も
選挙応援演説の熱気の中で出てきてしまったものです。

稲田さんは、冷静な時の判断力はしっかりしていて、
テレビの座談会等での意見はまっとうで
信頼できるものでした。

私も期待する人材でした。

安倍総理もそのような点を評価して、
女性活用の一環もあり大臣に任用したのでしょう。

失言は「政治的に」未熟ということになります。

ベテランの政治家は、微妙な問題、難しい問題の時には
曖昧な返事、なんともとれる返事でごまかします。

「政治的発言」というものです。
それが「政治家」です。

安倍さん自身も
「こんな人たちに負けるわけにいかない!」
と大失言していますから、政治家としては未熟ですね。

6人も辞任者が出ているということは、
安倍さんは、「人を見る目がない」ということになります。

安倍総理は、日本の経済、防衛、外交等の判断は的確であり、
実行力・行動力もあり、大いに期待しているところです。

ですが、これは昭恵夫人の問題かもしれませんが、
あのおかしな籠池氏を信用してしまうとか
人を見る目には欠けるところがあるようです。


「人を見る目」は、判断力の一部でしょうが、
敵か味方かを見分ける動物本能に近いのかもしれません。
太古であれば敵にやられて生きていませんね。


動物本能だとすると、なかなか強化できませんから、
補佐役に依存するしかないのでしょう。
今度の内閣改造ではそうしてほしいですね。

安倍氏は、自らは体力の限界を感じられて首相を退陣されましたが、
日本を真の独立国家とするための憲法改正は悲願で、
その実現のために後進を応援しておられました。
今回の非運もその応援の一環です。
本当に死んでも死にきれないお気持ちだったであろうと推察いたします。
おそらくこの事件の影響で、
明10日の参議院選挙では自民党が圧勝するでしょう。
政治家の皆様!
ぜひ「悲願」の実現に向けて努力していただきたいと思います。


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