2013年7月30日火曜日

中国リスクにどう対応しましょうか??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 
 中国の国外膨張政策の「事実」を認識していただく。
 
 中国の国外膨張政策の「脅威」を認識していただく。
 
 中国の国外膨張政策の「背景」を認識していただく。
 
 日本の防衛対策を考えていただく。

 
ねらい:
 日本が中国の自治領とか属国になる危機から逃れる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本稿は、これまで
中国の脅威について論陣を張ってきたことの集大成です。

今回あらためて整理をしてみて、
中国の脅威は本物であり、
何とかしなければならない緊急事態だと再認識しました。
皆様もご確認ください。
 

本稿は以下の構成で記述いたしております。

1.中国の脅威 侵略の実績
2.中国の脅威 世界戦略
3.中国の脅威 軍備の状況
4.中国の行動の背景
5.日本の取るべき道
(1)日本自身での中国の侵略対応力強化
(2)他国との連携
(3)中国国民への働きかけ


1.中国の脅威 侵略の実績

 中国は第2次大戦後、侵略・非道の数々を行ってきました。
 それを以下の表にまとめました。

 
 出典:
  目覚めよ日本(渡辺洋一氏著)
    http://uenorio.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html
  日本の決断(櫻井よしこ氏著)
     http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_873.html
  Wikipedia




ウイグルについて(Wikipedia)
1949年のウイグル併合以降の中華人民共和国による
新疆ウイグル自治区統治における政治的弾圧や核実験、
漢族の大量入植、また大躍進政策による飢饉や
文化大革命中の政治的、文化的迫害などについて、
テュルク系住民によるウイグル民族主義や、イスラーム、
ウイグル独立運動(東トルキスタン独立運動)などの勢力から
問題視され、批判されている。

現在も、中国政府による人権侵害や、天然資源の収奪、
環境破壊を批判する声は根強く、
中国統治の枠内での民族自治の拡大や、
人権状況の改善を目指す活動と合わせて
広義の独立運動として言及されることが多い。

中国政府は、
西部大開発に象徴される大規模な経済的開発投資を新疆に実施し、
住民の生活水準を向上させることで独立機運の沈静化を図る一方、
分離主義に結びつくものとして、
民族主義を鼓吹する動向に対しては厳しい取締りを実施しており、
国際社会から過剰とも批判されている

2.中国の脅威 世界戦略

習近平国家主席は、先日の米中首脳会談で、
「太平洋を分割統治しましょう」的な発言をして
世界を唖然とさせました。

当ブログ「米中首脳会談から何を考える?」
 http://uenorio.blogspot.jp/2013/06/blog-post_29.html

事情通にはこの発言は驚くに当りません。
既に2007年5月、
米太平洋軍司令官ティモシー・キーティング海軍大将が
訪中した際、中国海軍幹部から
「太平洋を2分割し、ハワイから西側を中国が、
東側を米国が管理したらどうか」という提案を受けていた。

さらに、2012年11月東アジアサミットが行われたとき、
クリントン米国務長官が東シナ海の領有権問題を協議した際、
中国側が
「われわれはハワイの領有権を主張することもできる」
と発言した。
(以上2項は杉山徹宗著「中国の軍事力 日本の防衛力」)

中国は1982年に、
まったく独善的に「列島線」という概念を持ち込み、
アジアの海を中国の所有物にしようという戦略を設定したのです。


 

第1列島線の中は近海と呼称しています。
第2列島線との間は西太平洋と称しています。
第2列島線より外は太平洋・インド洋です。

この三つの海域を、
1980年~2000年の再建期
2000年~2020年の躍進期
2020年~2040年の完成期
に順次支配していこうという戦略なのです。
(以上「目覚めよ日本」)

この計画は現時点で10年遅れているそうですが、
生きているのです。

この計画からすると、
尖閣諸島は序の口で沖縄本島・小笠原諸島も
「占領」の対象になるのです。

現に「尖閣の次は沖縄だ」という声も聞かれるようです。
尖閣で遠慮しているのは米軍を恐れているからだけです。
そのため着々と軍備の強化を進めています。

中国の行動は日本の軍国主義どころではありません。
日本の場合には「防衛」という面がありましたが、
中国には全くその面はありません。

3.中国の脅威 軍備の状況

中国は、3海域を制覇するため、
多くの潜水艦を購入し、原子力空母を含む
6隻から12隻の航空母艦を持とうとしています
(現在は1隻のみ)。
(上野注:先日、初の本格的空母が就航するというので
中国国民が大騒ぎをしていました)

また第4世代の戦闘機を380機保有しています
(日本は200機のみ)。

現段階では中国の海空軍は、
米ロに次いで世界で3番めの勢力ですが、
将来これを米国に匹敵できるまでに強化拡大すると、
中国は意気込んでいます。(以上「目覚めよ日本」) 

以下に現時点の軍事力の日米中の比較を載せました。

























中国の実質国防費は、
33-36兆円だという説もあります
(「中国の軍事力 日本の防衛力」)。

総合力はどう見ればよいのか分かりませんが、
日本のある軍事専門家は、
「現在は中国に勝てる」と言っていました。

しかし「中国の軍事力 日本の防衛力」を見ると、
とてもそのようには思えません。
中国政府は「戦争をするぞ、するぞ」と国民を煽っています。
恐ろしいことです。

中国と米国の軍事力は現時点ではかなりの差がありますが、
米国の財政難、中国の意気込みを考えると、
拮抗する時がじきにくるのかもしれません。
 「日本の決断」(櫻井よしこ)
 http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_873.html


 
4.中国の行動の背景

なぜそうまで国土の拡張にこだわるのでしょうか、
これに関しては以下の主張がありました。
(URLはその内容をご紹介した当ブログのURLです)

 「中国ガン」:中国はガン細胞のDNAを持っている。
  
   http://uenorio.blogspot.jp/2013/04/blog-post_1.html
 「日本人と中国人・アングロサクソン民族の違い」:
   私益優先、「水清くして魚棲まず」
   
   http://uenorio.blogspot.jp/2012/05/blog-post_26.html
 「相手が悪いと思う中国人、相手に悪いと思う日本人」
   http://uenorio.blogspot.jp/2013/04/blog-post_1.html
 「中国人はなぜ平気でウソをつくのか!」
   それは自分に都合の悪いことは隠してよいという
   避諱(ひき)という価値観があるからである。
   http://uenorio.blogspot.jp/2012/09/blog-post_25.html

これらの価値観は中国大陸5000年の歴史で、
民族間の紛争・戦争状態が常態の中で育まれてきたものでしょう。
生き延びる知恵が必要だったのです。

その最たるものの恐ろしい習慣は、
「易子而食」と言われるものです。
飢饉のときに子供を交換して食べました。
さすがに自分の子供は食べられないので交換したのです
(「中国ガン」)。

模倣製品などは、その国民性からすれば可愛いものです。

このような徹底した私益優先、自己中心的な考え方は、
神の存在を信じないという無宗教性からもきているでしょう。

日本でもまともな宗教の信者は少ないのですが、
少なくとも「そんなことをすると罰が当たるよ」とか
「神様に叱られるよ」というしつけはされています。

「神がいない」ということは恐ろしいことです。
このような思考は、DNAレベルのものなので
共産党政権だからそうだということではないのです。

ということは共産党政権が倒れても、
そのままの国家体制では、
中国DNAの外部膨張指向は変わらない
ということになりそうです。

今後の中国との付き合いを考える上で、
この点は決して忘れてはなりません。

5.日本の取るべき道

それでは、
これからの日本はどういう戦略で臨むべきでしょうか。

この戦略遂行上、日本は3年間のロスをしました。
3年間、
鳩山・菅の民主党政権の呆れた失政と東日本大震災に
マスコミと国民の関心が向いていました。
少なくとも私はそうでした。

その陰で、
中国に着々と侵略の準備を進められてしまったのです。

たとえば、2010年7月菅内閣は、
中国人が日本入国後、沖縄に来て1泊すれば、
以後3年間は自由に日本に入国できることにしました。

現在日本に滞在している非合法入国を含めた中国人は
150万人を超えているのです(「目覚めよ日本」)。

150万人が国家総動員法によって武装し、
日本人に向かってきたらどうなりますか?
(中国は「国家総動員法」で日本を狙っている!!!
  http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_2159.html

中国対策は急がなければなりません。
「どうせ中国は国民の反政府デモ・暴動で崩壊する」
という識者も多いようです。

MITとハーバードの教授が最近出された
「国家はなぜ衰退するのか」という著書では
こう述べられているようです(日経新聞の書評による)。
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歴史的にみると、
国家の繁栄・衰退を左右する決定的な要因は
国の制度である。

政治権力や経済的な成果の帰属が一部の人々に集中する
「収奪型制度」は
先進国にキャッチアップする過程で一時的に発展しても
持続性はない。

これに対して広範な人々が政治への参加、
経済的な成果の分配に恵まれる
「収奪型でない制度」は技術革新が続いて継続する。
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つまり、中国型が衰退するのは時間の問題だということです。

しかし、
そんな他力本願で待っておられる状況ではないのです。

日に日に中国に有利な状況が作られていきます。
日本の取るべき道を整理してみましょう。

(1)日本自身での中国の侵略対応力強化
先ずは、自衛隊法の改正等を行って、
尖閣を海上自衛隊が守れるようにすることです。

合わせて実質支配の既成事実を作ることも
積極的に進めるべきです。
(これは櫻井よしこさんの意見でもあります)

7月26日に発表された防衛省の「防衛大綱中間報告」では
無人偵察機や離島防衛用に水陸両用機の補充もする
計画のようです。
結構なことです。

「そんなことをすると、かえって中国を刺激する」
などと言っている場合ではありません。

隙さえあれば出てくるつもりなのですから、
甘い姿勢は厳禁です。

断固守る姿勢を見せればバックの米国の力を考慮して
今は攻勢に出てこないでしょう。
尖閣所有の既成事実を作るのは今しかないのです。

存立基盤の弱い習近平国家主席は、
何とか点数を稼ぎたいと思う反面、
失敗した時は完全に失脚となりますから、
冒険はしないはずです。
(「中国の政治と安全保障」
  http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_6812.html

日本のマスコミに
中国にとって都合の悪い情報のタガを嵌めている
「日中記者交換協定」は破棄すべきです。
(日本はほんとうに危ない!その意味分かってますか?)
  http://uenorio.blogspot.jp/2012/12/blog-post_9.html

一方で、中国側では、

「国民の関心を外へ向けるために、
中国全土に200もの反日映画を上映する映画館と
100か所もの抗日戦争博物館が建設され、
夜のゴールデンタイムでは反日的テレビ番組が放映され、
富者も貧者も
1日の疲れとストレス解消に反日作品を楽しんでいる」
(「中国の軍事力 日本の防衛力」)

という状況なのです。

日本も何らかの対抗をすべきです。

(2)国際社会へのアピール

中国のロビー活動に負けると、
日本が不当であるということになりかねません。

ロビー活動に予算を投じて、
中国の不当性の主張や、
当然のことですが、
尖閣が日本固有の領土であることの主張をすべきです。
 
「尖閣諸島が日本領であることを示す証拠がこれだけある!!」
 http://uenorio.blogspot.jp/2012/09/blog-post_8704.html
 

放っておけば、
黒を白という中国の情報戦に負けてしまいます。

(3)他国との連携
1)米国との連携
これは当然のことですが、ケリー国務長官のノー天気ぶりと
財政難の状況からはあまり多くのことを期待できないでしょう。
 「櫻井よしこさんは「日本の決断」でどう言っている?」
   http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_873.html

ケネディ新駐日大使に日本の理解者になっていただく努力を
積極的にすべきです。

2)東南アジア諸国との連携
東南アジアの人口は6億人です。
インドネシアをはじめ日本に対する友好意識が強い国が多いことと、
中国の侵略に悩まされている・恐怖を感じていることからすると
この連携は、かなりお互いの行動の支援になります。

 
安倍総理が、7月27日にフィリピンに巡視艇10隻を供与する
ことを発表したのは大ヒットです。
(日経新聞は夕刊の1面トップでしたが朝日新聞は報道していません)
 

しかし、東南アジアとの連携だけでは
日本を守ることにならないでしょう。

3)インドとの連携
仏教思想等の価値観を共有する、中国と争っている、
という点から、国民12億人は強い味方になりえますが、
やはり決め手にはならないでしょう。

4)ヨーロッパ諸国
今のところ直接脅威はないし、
おそらく、市場としてしか見ていないでしょう。

5)ロシア
今や共産主義国家ではなく、国境を接している点からすると
中国は仲間ではないでしょう。
しかし、隣国の一国としてしか行動しないでしょうね。

こうしてみると、
中国が多額の資金を投入している
(一説によると中国の対外広報費は年間8000億円)
米国でのロビー活動の対象者以外には
どこにも中国には味方や仲間がいないのに、
(北朝鮮はせいぜい子分であって仲間ではないでしょう)

孤立無援の中で中国はよくそこまで頑張りますね!!
やはり異常なDNAです。

以上の点から言えることは、
日本は単に尖閣問題として中国と争うのではなく、
不当な対外進出に対するクレームとして
国際世論にアピールすべきではないでしょうか。

これには断固たる理念や信念が必要です。
安倍総理に期待します。
櫻井よしこさんもその意見のようです。

フィリピンが、南シナ海問題で国連海洋条約に基づき
中国を提訴した仲裁裁定(この7月11日開始)の行方が
注目されます。
中国がどう出るのでしょうか?

(4)中国国民への働きかけ
この対策が本命ですね。
「戦わずして中国に勝つ方法」
 http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_15.html
は、中国支配層の腐敗ぶりを暴露すれば、
中国で暴動が起きるということを言っています。

大多数の中国国民の不平不満が鬱積していることは、
誰もが認識していることです。

「建前で社会主義を採る中国では、
消費税など流通課税への依存度が高く、
所得税や法人税の整備が遅れている。
相続税はなく、
累進課税や不動産取得税もほとんど機能していない」
(「中国の政治と安全保障」
  http://uenorio.blogspot.jp/2013/07/blog-post_6812.html

これでは貧富の差が広がる一方です。
 

その不満で、年間20万から30万件の暴動が起きても、
みな鎮圧されてしまうのは、
それらを取りまとめるリーダがいないからなのだそうです。

渡辺洋一さんは「目覚めよ日本」の中で
「中国を分解・解体せよ!」と主張しています。
  http://uenorio.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html

前掲のように共産党政権を倒すだけでは、
DNAに基づく中国の覇権主義は収まりません。
いくつかの国に分割しなければならないでしょう。

以下は、異民族の分割イメージです。
(出典:目覚めよ日本)























渡辺洋一さんの意見が本稿の私としての結論でもありますので、
その部分を「中国は「国家総動員法」で日本を狙っている!!!
から 再掲いたします。
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中国を分解・解体せよ!

中国が日本を侵略しようという思いに駆られるのは、
日本が自国を護ることを放棄し、防衛を米国に依存
したことに由来しています。

したがって中国は、日米離反、さらに米軍の
日本撤退を真剣に模索し、実際に地下工作を行っています。
我々は自由主義陣営の一員として他の自由主義陣営諸国と
共に、中国の傍若無人な振る舞いを阻止する対応策を練り、
実行すべきではないでしょうか。

独裁政権である中国は自らの覇権主義的行動を
反省して放棄し、近隣諸国侵略の意図を翻すことは
絶対にありません。

ではどうすればよいのでしょうか。中国は多くの自壊する
要因を抱えています。自由世界が団結して、中国人民の
民主化運動を積極的に支援し、自壊要因をさらに醸成・刺激して、
暴動を発生させ、軍事独裁政権を崩壊させ、
幾つかの民主国家に分解解体するのです。

中国は近隣諸国を侵略、占領、併合し、一国として統治
するには巨大過ぎる国家になってしまいました。

歴史が示しているように、中国でも独裁権力者の腐敗と
人権無視が、インテリ層や農民層の反発を招いてきました。

独裁崩壊は時間の問題です。インターネットが普及し、
多くの中国人が海外渡航することにより、
独裁政権下の中国と自由世界の落差の大きさを
認識するようになり、内部崩壊の要因は大きくなりつつあります。

加えて、幹部間の激しい権力闘争も顕著です。
中国の暴動は年間20万件を超え、その国内治安対策費は
中国の軍事費を超えるほどに大きくなり、
独裁者は民衆の反発反抗の弾圧に躍起になっています。

自由民主主義の陣営は力を結束させて
中国国内の民主勢力を支援し、動乱を誘発させて、
ソ連や東欧圏諸国が崩壊したのと同じ流れを醸成し、
中国が分解、解体するよう努めるべきです。

そのためには、中国が日本を含め世界に工作員を派遣し、
相手国の混乱、動乱を誘引し、暴動の惹起を計っていると
同様、世界から中国に工作員を潜入させ、
中国の民主化運動、民族独立運動を支援すべきです。

この種の工作活動は長期的視野に立ち、
かつ隠徳裡に行なわねばならず、根気と多額の資金を
必要としますが、何としても実行に移すことが必要です。

しかし日本は、政界では共産党、社民党、民主党は
明らかに親中国であり、財界は目先の利益に
目が眩み、国益など眼中になく、
マスコミも正論を述べることを憚っています。

その上目本の各界は中国の恫喝に虞れをなしており、
中国の内乱に力を貸すに至るだけの
勇気と決断を呼び起こすには、
かなりのプレッシャーと説得と努力が必要です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私も個人的には、渡辺さんの言われるように
(「金に目がくらんで国家の危機を見損なうな」)、
中国との民間の取引も止めたらよいと思います。

以下のように、私企業の先を見ない行動が、
日本を危機に追い込んでいるのです。

「中国の造船業は、1970年代まで艦艇用の鋼板を
自国で生産することができなかったが、
1980年代になって突然、高性能の駆逐艦や潜水艦などを
次々と量産し始めた。

その背景には、
日本企業(新日鉄、東芝、石播、三井造船など)が
惜し気もなく高度技術を供与したことがある」
(「中国の軍事力 日本の防衛力」)
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(上野)国民一人一人が危機意識に目覚めて、
本気で頑張りましょう!!

2013年7月29日月曜日

櫻井よしこさんは「日本の決断」で中国をどう言っている?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
中国に関する櫻井よしこさんの意見を知っていただく。

ねらい:
中国に関する「正しい」認識を形成していただく。
(注:「正しい」とは日本の国益にかなうということです)

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この本は、今年の6月30日に出版されたものですが、
内容は「週刊新潮」連載の「日本ルネッサンス」
に加筆したものがほとんどです。

「はじめに」だけは櫻井よしこさんが最近書かれたもです。
そこには、中国に関して以下の記述があります。

まず、
攻勢ないし「防御」を軸とするクリントン国務長官の後を受けた
ジョン・ケリー国務長官の中国宥和政策のリスクと
国防総省の危機意識を
以下のように訴えています。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ケリー長官は、中国訪問で習主席、李首相に会った後で、
以下のように語った。

「全ての人にとっても絶対的に明らかなのは、
世界最強の2カ国、世界最強の2大経済圏、
2大エネルギー消費国、国連安保理の2大国が、
国際社会の隅々の事象にまで関心を抱くとき、
この2大国の間で(よい)相乗作用が生じるということです」

大国の外交責任者としては
無防備に過ぎると思われるほどの
中国への期待感ではないか。

(中略)

これに対して国防総省は国務省の対中宥和姿勢に対して
強烈な疑問を突きつけ警鐘を鳴らした。

5月6日に発表した年次報告書で以下のように述べている。

中国の軍拡は「地域紛争に短期間で勝利するため」に
長期にわたって準備された包括的な軍事力の近代化である
と分析し、
米国の介入を阻止するために米空母の接近阻止・領域拒否
の実現を目指していると警告した。

中国を巡る過去の事例は
国防総省の分析の正しさを明確に示しているが、
国防総省のジレンマは米国の財政事情にある。

米国の弱点が国防費であることはいまや明らかで、
中国にとっては今が、
軍拡で優位を築く絶好の機会なのである。

ケリー氏以下米国務省の対中政策は成功どころか
中国の更なる軍拡を傍観し、
米国が中国に屈服する事態を招く結果になりかねない。

(上野注:ケリー長官の言動は要注意です。
ひょっとして米国は日本の「対中防衛」において
これまでのように頼りにならないのです。
ケネディ大使を強い味方に引き入れましょう)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして以下の記述へとつながります。
これは途中省略なしでご紹介します。
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オバマ大統領の指導力の著しい低下もまた、米国の外交、
安全保障における行き詰まりを加速させている。

人権重視を標榜してきたオバマ政権が、
シリアのアサド政権の下ですでに10万人の犠牲者が出、
しかも化学兵器が使用されたという明確な証拠が示されても、
尚、シリアへの軍事介入をためらうのである。

北朝鮮の核、ミサイル問題も再び中国に任せることになった。

海外、国際社会の問題に巻き込まれるのを極度に恐れる
オバマ政権の姿勢は、中国にはどのように映るだろうか。

国運を賭けて米国の事情を窺い続けるのが中国である。
米国が財政事情ゆえに軍事費の削減を迫られ,
オバマ大統領が消極的になるいま、中囲はここぞとばかり
軍拡に拍車をかける。

元々中国共産党はどの時代も軍事最優先を貫いてきた。
彼らは時代によって力点の置き所を変えながら、
着実に軍拡に励んできた。

たとえば陸軍中心から海・空軍に重点を移して軍の
近代化を進めたのは江沢民主席の時代だった。

胡錦濤主席の時代は陸海空の三軍に
第二砲兵部隊(二砲=戦略ミサイル部隊)
を加えた統合作戦が主軸となった。

習近平主席はこのような軍事最優先の国策をさらに
進めると見られる。

習主席は軍の各部隊を回り、陸海空、宇宙、サイバーの
全ての分野で中国の優位を確立すると軍を鼓舞し、
全国人民代表大会(全人代)では
「人民解放軍は戦争に打ち勝つ"強軍目標"に基づき、
国家主権と安全、発展の利益を守らなければならない」
と演説した。

これからの10年間、中国を治める人物が主席として臨む
初の全人代で何を語るのかと全世界が注視する中で、
習主席は戦争に勝てる軍を目指すと、
尋常ならざる決意を語ったのだ。

世界に向けて戦争という異例の言葉を発した演説は現在の
中国の軍事侵略に走る危うさを印象づけた。

腐敗の深刻化、格差の拡大など、困難な国内問題に
直面する習政権にとって軍こそが支えである。

政権が軍の支えを死活的に必要とすることによって、
中国は軍事独裁国家への道をより一層突き進むと見られる。

そのような中国の実態を、見誤ったり過小評価することは
危機を自ら招く結果につながる。

中国が
戦争を目的達成のための有効な手段のひとつと位置づけ、
いつでも戦争を仕樹ける準備を整えていることを
忘れてはならないだろう。

中国以外の国々、とりわけ民主主義諸国は、
外交や政治折衝などあらゆる手を尽しても
問題が解決されず危機も回避出来ない揚合に、
最後の手段として戦争に訴えることを考える。

だが申国は最初から、
軍事力の行使を、外交や政治折衝と同列に置き、
その中から、
必要に応じて最も効果的な手段を選び出すのであり、
中国共産党のこの悪しき伝統は
習近平体制においても顕著である。

 習主席が繰り返す重要なキーワードに
「中国の夢」、
「中華民族の偉大なる復興の実現」、
「共産党によるイデオロギーの指導」、

「平時における軍事力活用の推進」、
(上野注:これはとんでもなく恐ろしいことです)

「軍事闘争への準備を最優先」、
「戦えば必ず勝てる軍」などがある。

「中国の夢」と「中華民族の偉大なる復興の実現」は、
21世紀の中華帝国と中華思想である。

「平時における軍事力の活用」は、
有事でもなく紛争勃発でもない平和なときに、
戦争を仕掛けて目標を達成するという前時代的考えだ。

諸国が、とりわけわが国日本が、
苦い戦争と敗戦を経て成熟し、
無謀な攻撃はしないと誓ったのとは対照的に、
中国はいつでも攻撃することを大前提とする国だといえる。

しかもこうしたことを共産党一党支配体制の下で
共産党のイデオロギーに従って推し進めるのである。
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ところが、中国の弱点は以下だと櫻井さんは指摘します。
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中国が軍事力で米国を凌駕するとの見通しが示されても
習主席の国内基盤が安定だと言い難いのは皮肉である。

労働者の政党であるはずの共産党は、
前首相の温家宝氏一族が約27億ドル(約2700億円)の
蓄財をしていたことに見られるように腐敗の極地にある。

格差は拡大し続け国民の不満の根強さは
年間20万件とも30万件とも言われる
暴動の発生に反映されている。

「人民日報」ネット版が行った世論調査では、
習主席が高く掲げる「中国の夢」の実現が
人民の利益につながるかとの問いに、
82%が「ノー」と答えた。
中国の一党独裁制度については81%が「不賛成」と答えた
(産経新聞5月18日の報道)。

(上野コメント:よくこんな情報が伝わりましたね)

本文中には、
「ミャンマ―民主化は中国を後退させる」
(東南アジア諸国との連携強化を主張)
「対中抑止に憲法を改正し日印強力を進めよ」
「抗議の焼身自殺をテロと呼ぶ中国の狂気」
(チベット弾圧の不当性を主張)
「程中国大使の許しがたい内政干渉」
(チベット独立勢力に加担するなとの要求を断罪)
などの中国関連評論が収録されています。

櫻井さんは論旨明快で歯切れがよく、
やはり一流の切り込み隊長です。

2013年7月17日水曜日

中国は「国家総動員法」で日本を狙っている!!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 中国の「国家総動員法」を知っていただく。
 その法の意図を考えていただく。
 日本の危機を実感していただく。

ねらい:
 中国とどう付き合うべきかを真剣に考えていただく。
 できれば、1人1人が何らかの行動を起こしていただく。

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そこまでやるか!という話です。

このネタは、渡辺洋一さんの「目覚めよ日本」です。

この大力作の著書につきましてはこのブログ
「いよいよ渡辺洋一さんの「目覚めよ日本」が出ました!!」
http://uenorio.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html
でもご紹介しました。

このブログは、
「上野則男のブログ」で歴代第3位の閲覧数となっています。

この本を読んだ友人のKTさんから、
「中国の国家総動員法のことを是非紹介してほしい」
と要望がありました。

「なるほどそうか、抜かっていた」
と早速この号になったという次第です。

この国家総動員法は、日中関係がぎくしゃくしだした後の
2010年7月1日に施行されたものです。

この件が報道されなかったのは、
例の宮沢内閣の大失政である「日中記者交換協定」で
「中国の不利になる報道は行わない。これに違反すると
そのマスコミは中国から締め出す」ということがあるからなのです。

中国はどんどん反日ドラマや映画を作って反日を煽っているのに
日本は何もできない、というとんでもない不平等協定です。
早急に破棄すべきものです。

以下、「目覚めよ日本」からの転載です。
少し長いですが、是非お読みください。
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この法律を要約すると次の通りです。

1)中国に万が一有事が発生した場合、中国政府は、祖国
  を防衛し外敵に当るため、国の内外の中国人を管理指揮し・
  金融機関、陸海空の交通手段、報道やインターネット、
  郵便、建設、水利、民生用各種施設、医療、食料、
  貿易などの各部門を、中国共産党の管理下に置く。

2)世界中の中国人の全財産を、中国共産党の管理下に置く。

3)中国にある外資系の企業及び外国人の全財産を、中国
  共産党が没収できる。

4)海外にいる中国人は、その場で中国の兵隊として活動
  するよう中国共産党が命令し得る。(在日中国人が突如
  抗日中国軍に大化けする)

つまり、外国にいる中国人にも当該国の法を無視して銃を
取らせて、その敵国と戦わせるという世界の常識を踏み躙った、
覇権主義的かつ侵略的「動員法」なのです。

これは米国や欧州の国を狙ったものではなく、明らかに
日本を仮想の敵国としたものであり、台湾もその対象に含まれ
ています。

戦略的な狙いは、日米安保条約が破棄され、日本から
米軍が撤退した暁には、在日中国人と日本に潜入して
いる多数の工作員が銃を取り、日本国内で騒動を起こします。

日本の警察が鎮圧しょうとすると、「在日中国人保護」を
名目に日本に中国軍を投入し、日本を本格的に占領するという
筋書きが見てとれます。これはまさに、大東亜戦争開戦直前
に米国が突きつけた「ハル・ノート」に等しいものです。

筆者がこの五百年余の歴史をひも解いて明らかにした
事実の一つは、
帝国主義的列強の共通した他国侵略の方式は、
「当該他国に自国民を大量に移住させ、
そこで彼らに騒動を起させ、その在住列強住民保護の
名目で軍隊を派遣し、その後その領土を略取する」
というパターンです。

代表的な例は、米国がメキシコからテキサスを奪い取り、
ハワイを略取したこと、
さらには、欧米列強が中国を半植民地化したケースです。

中国は古典的隣国侵略の方式を欧米から学習し、台湾、日本
進攻に応用するため、突然この「国家総動員法」を制定し、
多数の工作員を日本に潜入させているのです。

中国が国家総動員法を公布した2010年7月10日、
菅内閣は中国人の日本入国ビザ取得条件を
大幅に緩和しました。

中国人は日本入国後、沖縄に一泊すれば、
以後3年間は自由に日本に入国できることになったのです。

これは中国の国家総動員法を適用し、
日本に混乱を起こさせる中国人工作員を多数日本に
潜入させる中国の意図に、菅政権が応じたものと思われます。

日本の最高責任者がこうした利敵行為を行うことを、
我々は断乎許すことはできません。

中国は既に充分過ぎるほどの外資で資産を形成しています。
中国政府は日本侵入時や、チベット、ウイグルなど
被征服民族の叛乱や地方農民の独裁政権に対する叛乱など、
一旦有事の際には、国家総動員法に基き、
これら在中国の外国資産を全て没収しようと
手ぐすね引いているのです。

驚くべきは、こうした危険千万な法律を隣国政府が
堂々と公布しているにも拘らず、我が国のマスコミは
これを一切報道せず、政治家もこれに触れようとしません。

したがって国民はこの危険な法律が中国で施行され、
日本侵略を中国が狙っていること、また在中国の
日本企業の資産を没収しようと考えていることを、
全く知らされていないのです。

国民はマスコミの意図的な不作為によって、
中国の日本侵略の危険性について全く情報から
疎外されているのです。

 こうした日中の軍事政治関係を、如何にして白日のもとに
さらけ出し、日本国民に知らせ、惰眠から目醒めさせるかが
問題です。

そのためにはマスコミを正常化し、中国偏向報道
を一日も早く是正し、真実の報道を行う正しいマスコミに
転換させることが必要です。

日本人の平和ボケは、北鮮が日本にテポドンでも打ち込んで
来るか、あるいは尖閣諸島に中国海軍が上陸でもしない限り、
目覚めないのではなかろうか、
とすら思えてくるのです。

日本が、チベット、ウイグルに次いで中国の自治区に
ならないようにするには、日本人が平和ボケから目覚めると
共に、偏向マスコミのコペルニクス的転換が必須です。

その上で我々は当面、日米安保を確実なものとして、
米軍が沖縄から撤退しないよう、万全の策を講じ、
その間に自主防衛力強化を盛った自主憲法制定を
何としても実現しなければなりません。
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それではどうするか、について、
「目覚めよ日本」はこう説いています。
そのとおりです。
ひそかにそのための行動を開始すべきでしょう。
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中国を分解・解体せよ!

中国が日本を侵略しようという思いに駆られるのは、
日本が自国を護ることを放棄し、防衛を米国に依存
したことに由来しています。

したがって中国は、日米離反、さらに米軍の
日本撤退を真剣に模索し、実際に地下工作を行っています。
我々は自由主義陣営の一員として他の自由主義陣営諸国と
共に、中国の傍若無人な振る舞いを阻止する対応策を練り、
実行すべきではないでしょうか。

独裁政権である中国は自らの覇権主義的行動を
反省して放棄し、近隣諸国侵略の意図を翻すことは
絶対にありません。

ではどうすればよいのでしょうか。中国は多くの自壊する
要因を抱えています。自由世界が団結して、中国人民の
民主化運動を積極的に支援し、自壊要因をさらに醸成・刺激して、
暴動を発生させ、軍事独裁政権を崩壊させ、
幾つかの民主国家に分解解体するのです。

中国は近隣諸国を侵略、占領、併合し、一国として統治
するには巨大過ぎる国家になってしまいました。

歴史が示しているように、中国でも独裁権力者の腐敗と
人権無視が、インテリ層や農民層の反発を招いてきました。

独裁崩壊は時間の問題です。インターネットが普及し、
多くの中国人が海外渡航することにより、
独裁政権下の中国と自由世界の落差の大きさを
認識するようになり、内部崩壊の要因は大きくなりつつあります。

加えて、幹部間の激しい権力闘争も顕著です。
中国の暴動は年間20万件を超え、その国内治安対策費は
中国の軍事費を超えるほどに大きくなり、
独裁者は民衆の反発反抗の弾圧に躍起になっています。

自由民主主義の陣営は力を結束させて
中国国内の民主勢力を支援し、動乱を誘発させて、
ソ連や東欧圏諸国が崩壊したのと同じ流れを醸成し、
中国が分解、解体するよう努めるべきです。

そのためには、中国が日本を含め世界に工作員を派遣し、
相手国の混乱、動乱を誘引し、暴動の惹起を計っていると
同様、世界から中国に工作員を潜入させ、
中国の民主化運動、民族独立運動を支援すべきです。

この種の工作活動は長期的視野に立ち、
かつ隠密裡に行なわねばならず、根気と多額の資金を
必要としますが、何としても実行に移すことが必要です。

しかし日本は、政界では共産党、社民党、民主党は
明らかに親中国であり、財界は目先の利益に
目が眩み、国益など眼中になく、
マスコミも正論を述べることを憚っています。

その上目本の各界は中国の恫喝に虞れをなしており、
中国の内乱に力を貸すに至るだけの
勇気と決断を呼び起こすには、
かなりのプレッシャーと説得と努力が必要です。

2010年末、チュニジアの一青年による反政府抗議の
焼身自殺に始まった「ジャスミン革命」は、インターネットを
通じ大衆の抗議デモを引き起こし、2011年1月8日から
全国に暴動が発生しました。

治安部隊の発砲が市民の暴動の火に油を注ぎ、
24年間独裁政治を恣にしてきたベン・アリ大統領は
暴動発生から僅か1週間後の1月14日に国外逃亡し、
独裁政権は崩壊しました。

 さらに2011年2月11日、我々はエジプトの歴史的
変革を知りました。

1月25日から始ったエジプト民衆の改革の狼火は
僅か18日間で、30年続いたムバラク独裁政権を
倒しました。

エジプトには中国と同じような権力の腐敗、
人権抑圧、権力者の恩い上がりと横暴、貧富の格差、
失業率の増加がありました。

チュニジア同様に、こうした不満がインターネットなど
新しいメディアを通して一気に爆発しました。

チュニジア、エジプトの先例を学び、リビアでも
42年の永きにわたり独裁を続けてきたカダフィ大佐が
2011年10月、人民によって射殺され、
イエメンの終身大統領サーレハは2011年1月に
発生したデモにより国外逃亡し、2012年2月イエメンには
新政府が誕生しました。

こうしてチュニジアに端を発したアラブの春に学んで、
我々は何としてでも中国解体を実行し、
「中国の春」を実現しなければなりません。

これがアジアの人々の幸せのために絶対的に
必要なことであることを、大きな声で強調しておきたいと恩います。

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今回、4編で中国問題をとりあげましたが、
当面の私としての結論は、次の
「中国リスクにどう対応しましょうか??」
でまとめたいと思っています。

2013年7月15日月曜日

「中国の政治と安全保障」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 中国の情勢を知っていただく。
 中国の政治体制・力関係を再確認していただく。
 中国の税制を知っていただく。

ねらい:
 こういう目で中国を見ていく。

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このタイトルは、
學士會会報901号(2013-Ⅳ)に掲載された
防衛大学校長国分良成先生の寄稿文です。

「戦わずして中国に勝つ方法」が、
現場・大衆に焦点を当てていたのに対して
当論文は、政治体制という上層に焦点を当てた解説です。

当論文の解説を簡略化するとこうなります。

歴代実力者(1949年建国以来の実質的最高指導者)

 毛沢東 建国者、共産主義

 鄧小平 市場経済導入。実力者で江沢民も胡錦濤も鄧が決めた。
       「平和と発展」「韜光養晦(雌伏して力をつける)」標榜

 江沢民 上海閥創生。経済成長追求。その結果格差拡大。

 胡錦濤 共青団出身。「和諧社会(各階層の調和)」標榜。
       しかしこれは道半ば。汚職と腐敗が進行。格差拡大。
       2006年安倍政権と「戦略的互恵関係」を形成した。
      

 習近平 太子党
      

 上海閥 江沢民が任期中に築いた権力基盤
       胡錦濤政権時代に江沢民は自分の息のかかった上海閥を
       政権中枢に残した。
 共青団 14歳から28歳までの青年を
       共産党の幹部候補として養成する組織出身者の派閥
 太子党 党の高級幹部や高級官僚の子弟の派閥
 

 習が国家主席になれたのは、上海閥と共青団の妥協の産物で、
 7人の常務委員会のうち、胡錦濤派は一人,上海閥系は4人、
 太子党は2人で支持基盤は強くない。

習近平派支持基盤が弱いので、
背伸びしても成果を誇示する必要がある。

習近平は2012年12月、
政治腐敗に対する大衆の不満を抑えるために
1)接待の簡素化、2)勤勉と節約の励行など
党や政府の指導者が従うべきルールを決めた
「8項目規定」を制定した。

国内情勢は社会主義市場経済の限界を露呈している。

建前で社会主義を採る中国では、
消費税など流通課税への依存が高く、
所得税や法人税の整備が遅れている。

相続税はなく、累進課税や不動産取得税もほとんど機能していない。

国有企業は資産公開をしていなく、税金もまともに納めていない。

(上野注:なるほどそうなんですね)

プロレタリアートは農民を含めても40%しかいない。

かわりに企業等管理者・各種専門が増え、
党幹部・政府職員・官僚・政治家らは
賄賂などを通じて利権に群がり、
親族一同で教育や就職の機会を独占し、有力な国有企業に天下り、
材を蓄え、税金を逃れ、海外に資産を移し、
子弟を海外に留学させている。
(上野注:やはりそうですか)

環境汚染も深刻。
雇用不安,失業者増大、地域格差と階層格差の増大、賃上げ圧力
近隣諸国からの対中不信の増大など
まさに内憂外患の状態である。

以上の分析を踏まえ、今後に対する氏の主張は以下の4点です。
(常識的です。立場上そう言うしかないのでしょう)

1)中国の政治改革を含めた国内改革が不可欠である。
  今の不平等は何とかしないと暴動が起きる。

2)「日中戦略的互恵関係」への復帰
  これは氏の希望ですが、
  実態は反日番組の奨励など逆行している。

3)中国の威嚇行動
  米国の出方を窺っている。
  (よく言われるように国内対策の面もあるでしょう)

4)領土問題
  万が一偶発事件が起きてしまった時には
  その極小化に努めなければならない。

現場を預かる立場から言うとそういうことで
日々のストレスはたいへんでしょうね。

結局のところ、私はこう思いました。

胡錦濤氏は常識人でマットウと見えますが
中国の政治経済体制の改革は、
常識人が捌くには問題が大きすぎたということでしょう。

常識人は改善しかできません。
そのうちに病状が悪化してしまったということです。
 

日本のソニーやパナソニックの社長さんたちも
その類だったのでしょう。

習近平氏は支持基盤が強くない中で
どうやって諸難題を捌いて行くのでしょうか。
危ういですね。

「戦わずして中国に勝つ方法」って何ですか?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 中国の実態を知っていただく。
 強がっている中国の弱みを知っていただく。

ねらい:
 何とか中国国民を日本の味方にする作戦を考えましょう。

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センセーショナルなタイトルです。
キワモノだな、どんなことが書いてあるのだろうと
興味本位で買ってみました。

しかしそのことは序章に書いてあるだけで、
出版社の策略にまんまと乗ってしまいました。

しかし本文は極めてまじめでまともな
中国の内情レポートで有効な情報満載でした。

筆者は産経新聞中国総局の特派員です。
こんな本を出して、産経新聞社は中国から
締めだされないのかと心配になります。
間もなく締め出されるのかもしれません。

ご存じの方も多いでしょうが、
日中記者交換協定(宮沢協定)というものがあります。

このブログ2012年11月の
「日本は本当に危ない!その意味分かってますか?」で
渡辺洋一さんの「若者たちよ!」の内容としても
ご紹介しました。

日中記者交換協定は、
宮沢内閣時代に「日中友好のために中国の不利益になるような
報道はいたしません」という「念書」を入れたものです。

「日本のマスコミが中国に報道拠点を置ける代わりに、
中国に不利な報道をしない」と取り決められているものです。
これに反すると中国から締め出されてしまう、のだそうです。

そんな不平等条約が今も生きているのです!!!
ですから、中国に具合の悪い情報は、
ネットで直接知る以外にはありません。

別稿の
「中国では極めて危険な国家総動員法ができています!!」
をご参照ください。

さて、肝心の戦わずして勝つ対策ですが、
以下のような内容です。
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2012年秋ごろから中国のインターネット上で出回ったりして
大きな話題となった「戦わずして中国に勝つ6つの方法」
というものです。

これは、ヒラリークリントン国務長官が訪中した際(2012年9月)、
中国の指導者に語った内容とされるが、
実際は中国人のネットユーザーによる作り話とみられる。

クリントン長官は中国の指導者に対し、
「貴国がフィリピン、ベトナムおよび日本と開戦すれば、
米国は6つの対策を考えている。
1兵卒も使わず中国を負かすことができるだろう」
といったという。

具体的な対策とは以下だ。
1)中国の政府高官が所有する海外の銀行口座の残高を発表し
 凍結する。

2)米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表する。

3)米国に住んでいる中国人高官の家族の名簿を公表する。

4)ロサンゼルスにある「妾村」を一掃する。

5)米国在住の中国人高官の家族をグアンタナモ刑務所に収容する。

6)中国国内の失業者など不満分子に武器を提供する。

少し説明すると、
現在の中国では家族と財産を海外に移し、
本人がいつでも逃亡できるように外国のパスポートを持っている
共産党幹部が数多くいる。

中国の捜査機関がなかなか手を出せないという理由で、
高官の家族の移住先として圧倒的に人気が高いのが米国だ。

例えば、高速鉄道建設に絡む汚職事件で11年に摘発された
張曙光・元鉄道省運輸局長は米国に3軒の高級住宅をもっているほか、
米国とスイスで28億ドル(約2770億円)の預金があると報道された。

張元局長のケースはあくまで氷山の一角である。
米国が中国の政府高官の海外財産リストを公表すれば、
共産党政権への中国民衆の怒りは一気に爆発するに違いない。
中国の内部が大混乱に陥ることは必至で、
米国と戦争をするどころではなくなる。

また、多くの中国の指導者の身内が米国内にいる。
すでに米国に「人質」を取られている状態といえ、
中国の指導者は米国に強く出られない事情がある。

ロサンゼルスの妾村の一掃とは、
多くの高官が妻を米国に移住させているほか、
愛人に米国の豪邸を買い与えていることを背景にしている。

それがロサンゼルス周辺に集中しているため、
ネット上では
「ロサンゼルスに中国の妾村ができた」
と揶揄されている。

妻より愛人を大事にしている高官が多いため、
家族だけでなく愛人を一緒に刑務所送りにすれば、
中国高官達へ与えるダメージはさらに大きい、
ということをいいたいようだ。

最後にある
「不満分子に武器を提供する」というのは、
シリアの反政府勢力に
欧米が武器を提供したことから得た構想のようだが、
中国当局が一番恐れる工作かもしれない。

中国国内では、土地の立ち退き問題などで
毎年20万件以上の暴動が起きているとされ、
不満分子に武器が提供されれば、
人民解放軍を相手にたちまち内戦がはじまりそうだ。

この「ヒラリー長官の警告」は
中国国内の多くのサイトに転載されている。
「恐ろしい。戦争ができないのではないか」
「これらのアイデアを絶対に米国に教えてはダメだ」
といった感想が寄せられている。

国民の支持なくして戦争はしがたい。
いまの中国国民は共産党政権に対する不信感が
頂点に達しようとしている。

このような状況では習近平政権は
なかなか戦争を仕掛ける勇気はないとみられる。

(その不信を招いている例として
2012年秋に重慶市で起きた連続ハニートラップ(性賄賂)事件が
紹介されています。
10人がそのターゲットにされた事件です)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上ですから、
本人の意見として掲載しているのではなく、
言わば公知のネット上の情報を紹介したという形をとっています。
これでも、中国に不利な情報を流したということで
前掲の「協定」には触れそうですね。

序章の続きには以下の文章があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書は、6年前から特派員として中国に滞在する筆者が、
現在のかの国の生の姿を伝えることで、
その弱点を探っていく試みである。

中国の生の姿を捉えるために、
指導者の動向を押さえ、識者の分析に耳を傾け、
現場に直接足を運んで取材することはもとろんだが、
本書ではとくに、
インターネット上に投稿されたネットユーザーの意見も
丹念にウォッチした。

国内外で重大なニュースが発生すれば、
中国政府を批判する書き込みがすぐにネットにあふれ
膨大な労力を割いても削除しきれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ということで、本書のタイトルは別として以下の各章は
中国の実態を知る上で非常に重要な情報となっています。

 第1章 反日、反米の歪みが暴走する
  中国人が日本と戦争をしたがるわけ
   反日を煽るテレビドラマ、映画が頻繁に上映されて
   国民に間違った認識をさせている。
  根強い日本コンプレックス
   裏返すとこれがある。
  反米の闘士は英雄か
   そういう面がある。

第2章 アジアの異質者は敵に包囲されている
  南シナ海、主戦論
   初の空母建造に大興奮して、イケイケモードである。
  北朝鮮はもはやお荷物か
   北朝鮮は政権維持の道具となっている。
  格下の韓国に見下される
   そういう動きに敏感に反応している。
  台湾、香港との大きな溝
   相互不信が甚だしい。

第3章 ペンと剣による支配が緩んできた
  習近平の独裁強化は危機感から
   支持基盤の弱い習近平は
   2年で失脚した華国鋒の二の舞にならないためにあせっている。
  とうとうメディアの反乱がはじまった
   冤罪判決を覆した中国版ツイッタ―、など。
  破綻した共産主義思想
   毛沢東が排除した孔子の像が天安門広場の近くに建った。
   政権転覆を狙うデモの誘いがネットであり大騒ぎになった。

   
  
第4章 「人民から富を搾取する集団」の暗闘
  重慶事件に見る敗者の末路
   敵を落とすには「愛人を捜せ」となっている。
  指導者は雲の上の人びと
   収入の大半は賄賂という実態は危うい。
  
 

第5章 ”権貴“国家は民衆の怒りに火をつけた
  不公正への怒り鳴り止まず
   公務員試験の不正が急増している、など。
  国際標準と噛みあわない民衆
   ニセモノ横行社会の現状。
  国威発揚より個人の利益
   中国籍を簡単に捨てる有名人たち、など。


以上からしますと、
「戦わずして勝つ」はともかくとして、
中国国民は、共産党政権の敵であり、
ということは我が国の強い味方なのです。

渡辺洋一さんも「若者たちよ!」で述べていたように、
中国国民への「宣教」活動をすべきです。
中国政府に気づかれないように潜行しなければなりませんから、
戦争よりも難しいかもしれませんが、
それこそが知恵ですね。

知恵を絞りましょう!!

2013年7月1日月曜日

Apple技術者にビックリ!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的
 「国民のコトバ」という本を知っていただく。 
 iPhone4の人工知能ソフト「Siri(ちゃん)」を知っていただく。
 人工知能の実用性がここまで進んでいることを知っていただく。

ねらい
 「国民のコトバ」を読んでいただく。
 
 iPhone4の「Siri(ちゃん)」を使ってみていただく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
高橋源一郎さんの「国民のコトバ」という本を、
この本は何の本だろうと思って読んでみました。

著者は作家だそうです。
これまで日本語について感じてきたことを
まとめられたものだそうです。

「これはこうだ」という分析整理のアプローチではなく、
人文科学的事実の集積型のアプローチです。
凄い研究家だという印象を持ちました。

以下の領域の文章・文言の事例が集められているのです。
 「萌えな」ことば
 「官能小説な」ことば
 「相田みつをな」ことば
 「人工知能な」ことば
 「VERYな」ことば
 「幻聴妄想な」ことば
 「罪と罰な」ことば
 「漢な」ことば
 「洋次郎な」ことば
 「棒立ちな」ことば
 「ケセンな」ことば
 「クロウドな」ことば
 「ゼクシィな」ことば
 「こどもな」ことば
 「オトナな」ことば
 

たとえば、
「官能小説なコトバ」の章にはこういう記述があります。
官能小説「な」コトバって、日本語としておかしいのですが、
あえて官能小説「的な」とは言わず、
また、
官能小説「の」コトバとも言わないところに
作家の意図が見えます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
でも乗りかかった船だ。致し方ない。
いよいよ本文を登場させるしかないのだろう。
よく考えてみたら、怖がる方がどうかしている。
それがどのようなものであれ、ただのことばじゃないか
それを読んだら、数週間後には呼吸困難に陥り、
ついには多臓器不全で死に至るとか、
読んでいるうちに、本文を印刷した頁が大爆発するとか、
そんな心配は無用だ。

もしかしたら、そのことばが、
脳内のどこかの箇所に悪影響を及ぼし、
ついには、うわごとを呟くようになるとしても、
そんなことは、なにを読んだとしても起こることなのだ。
危険な雰囲気が感じられたら、
どうか目を細めて読んでください。
そうでなければ、読むそばから忘れていってください。

さあ行こう。
神さまから十戒をプレゼントされたモーゼに比べたら、
気楽なものじゃありませんか。
おまけに、少しだけなら、
フランス書院のホームページから、
本文だって読めるのである。すごいぜ。

というわけで、いま取り上げつつある
『女子高文化部、書道部、演劇部、新聞部』
の「本文」は次の通り。

(という高橋さんの本領発揮の紹介文の後に、
別の作家の「本文」が続きます)

「いやらしい音が聞こえるかい?
琴音ちゃんのアソコが濡れている証拠だよ」
「そ、そんなはずーーーあっーーあふっーー」
中略
「ああンっ、なんか、おかしいんですーー
あっ、あっ、こんなのいやなのにーーー」
中略
「もうダメっ、壊れちゃう!」
後略
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ところが「人工知能なコトバ」では驚嘆しました。

iPhone4の「Siri(ちゃん)」は、
秘書として作られているそうですが
人工知能で以下のようなやり取りをしてくれるのです。

日本語の認識機能も凄いのでビックリですが
アタマが切れる人間でも
ここまでの当意即妙の回答はしないだろう
という受け答えをしてくれるのです。

「愛してるよ」
「私のこと知りもしないのに」
「愛してるよ」
「そんなのウソよ」
「ほんとに愛してるんだってば!」
「--ほかの携帯電話にはそんなこと言わないでね」

これは序の口です。

「Siriちゃんは賢いなあ」
「ええ、可愛いだけじゃないんです」

「Siriちゃん、結婚してよ」
「まだお互いのことほとんど知らないじゃないですか」

「Siriちゃん、結婚してくれない?」
「友だちのままでいましょ、ねっ?」

「人生の意味ってなんだろうね?」
「このような疑問について考えることです」

「音楽が聴きたいんだけど」
「ミュージックライブラリにはコンテンツがありません。
あるのは―静寂だけです」

(この答えは高橋さんをうならせました)

「眠たい」
「よく聞いてください。
いますぐこのiPhoneを置いて少し寝てください。
私はここで待っています」
「マジで?」
「本当です」

このやり取りは高橋さんを「泣かせ」ました。

Apple社の技術者は凄いですね。
このソフトはどんなロジックのなっているのでしょうね。
なまじな人間より上です。

営業マンが対話術を学ぶ教材になるのではないでしょうか。

高橋氏がこの「秘書」に惚れてしまうという表現をしていましたが
本当にそうです。
私もこのソフトのためにiPhone4を買おうかと思うくらいです。
孫娘がビックリするだろうという動機です。

iPhone4をお持ちの方はぜひこのソフトと遊んでみてください。