目的:
日本でテレワークがうまくいかないのは、
日本人の承認欲求のせいである、という主張を知っていただだきます。
ねらい:
ねらい:
承認欲求の強さは、
縄文時代から続いている日本の共同体生活によっているのでしょうから、
そういう観点でテレワークの運営方法を検討しましょう。
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本テーマは、同志社大学政策学部太田肇教授の著書のご紹介です。
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本テーマは、同志社大学政策学部太田肇教授の著書のご紹介です。
副題は「テレワークがさらした深層」とついています。
そもそも承認欲求とは何かについて著者は明確な定義をしていません。
まずは、マズローの定義を持ち出しています。
「人間社会では、すべての人々は通常安定し、基礎の確立した、
自己に対する高い評価や自己尊敬、自尊心、他者から尊重されることに対する
欲求あるいは欲望を持っている」
著者は、「端的に言えば、承認欲求とは「他人から認められたい、
そして自分を価値ある存在だと認めたいという欲求である」と言っています。
しかし、「このような定義はやや抽象的で、
必ずしも実証的根拠に裏付けられたものではない」として
いろいろな例をあげたりしたうえで、結局こうしています。
「本書では、純粋な欲求のほか、何らかの動機に基づく承認の願望も含め
承認欲求と呼ぶことにしたい」
私は、こんな理屈をこねないで、マズローの定義でよいではないか、
と思います。
つまり、承認欲求とは
「他人から認められたい、そして自分を価値ある存在だと認めたい」
欲求なのです。
本書の基本的な問題提起はこうです。
本書の基本的な問題提起はこうです。
1)テレワークになって、上司は自分の権威を示す場がなくなった、
日本では、役職者はその呼称によって、社会的ステータスを与えられ、
会社で部下に対して直接的に「指導」することで承認欲求が満たされていた。
そのため、管理職はその「指導」がしやすい大部屋を好む。
ところが、リモートワークでその場が失われた。
2)部下は自分が価値ある存在であるということを実感できなくなった。
共同体的組織の一員として在籍することで存在感を持っていたのが、
テレワークではその実感が持てなくなった。
つまり、日本のビジネス社会は本質的に承認欲求の強い特質を持っていた。
テレワークは、その特質に反する面を持っている。
したがって、初めはテレワークの安逸さを歓迎していた社員たちも
テレワーク全面賛成ではなくなり、「出社が基本」に戻す企業も増えた。
というのです。
そのことを以下の構成で詳細に解説しています。
第1章 「テレワークうつ」の正体は承認不足
1.なぜ出社しないと不安になるのか
2.テレワークで気づいた会社の存在感
第2章 「見せびらかし」文化の罪
1.やる気の原動力は「見せびらかし」?
2.「働き方改革」と生産性向上の足を引っ張る承認欲求
3.承認の相互依存がゆがめる人事
第3章 「見せびらかし」から「チラ見せ」へ
1.奪われた「ハレの舞台」
2.「チラ見せ」に長けたZ世代もーーー
第4章 テレワークで反転攻勢に―――そのカギは
1.日本人の価値観も「ハイブリッド型」に
2.消える承認の「床」と「天井」、そして「壁」
3.副業が「個」を解き放つ
4.日本人が捨てるもの、生かすもの
第4章の概要はこういうことです。
ハイブリッド型とは、出社勤務とテレワーク、
自社のつながりと他の世界との繋がり、
本業と副業とのハイブリッドを指します。
それらをうまく組み合わせるということです。
そして、日本人の共同体的社会での濃い人間関係は、
利が支配するビジネス社会において大きな存在価値を持つのではないか、
それが日本の強みになる、という主張です。
詳しくは、本書をご覧ください。
テレワークの功罪を承認欲求の立場から論ずるのは、
著者の専門領域の関連で仕方ないのですが、
本書でも触れられている、日本がテレワークで生産性が下がった原因は、
承認欲求以外の要因も大きいと思います。
アドビが2020年に日米の労働者それぞれ1000人を対象とした調査で
アメリカでは、「在宅勤務後もそれまでと同等またはそれ以上」が77%に対し
日本は「在宅勤務は生産性が下がる」が43%で、
「生産性が上がる」は21%しかない。
私が想定するその原因は、従来の仕事の与え方にあるのです。
極端に言うと複雑な仕事でも「これちょっとやって」とかで依頼します。
言われた部下は「忖度」するのです。
出勤状態なら、分からないことがあれば、すぐに確認することもできます。
分からないまま想定で何日も仕事を進めるということはないでしょう。
ところが、リモートだと、積極的な人は、
やむなく想定でどんどん進める可能性が増えます。
結果として依頼者の意図と食い違っていればやり直しです。
消極的な人は、「これはどういうことだろう?」と悩んでしまいます。
仕事は停滞です。
この解決策は、「ジョブ型雇用」だと一般に言われています。
私は、いきなりジョブ型雇用まで行かないでも、
依頼する仕事の「目的・ねらい」を
依頼者・担当両者で確認し納得してから
仕事を始めるべきだと主張しています。
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その確認作業中仕事は進展していないのですが
(「そんなこといいから早く始めよう」という人がいそうです)、
その検討時間は,その後の進捗促進によって元がとれます。
このツールの詳細をお知りになりたい方はお問い合わせください。
mind-pc@newspt.co.jp
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