2022年6月27日月曜日

英語の言葉遊びその7 「英語の諺・格言 (Proverb, Maxim)」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 米野忠男氏の著作によって、「英語の諺・格言」を研究いただきます。
ねらい:
 英語を勉強中のお子様がおられたら教えてあげたらどうですか。
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英語の達人米野忠男氏の言葉遊びシリーズの7回目です。
氏の学の深さには脱帽です。
「へー!そうなんですか」ということがたくさん出てきます。

英語の諺・格言などの短くパンチの利いた文章は、
言葉遊びの要素が入ったものが多い。
従って直訳では原文のリズムや洒落,遊び心が表せない場合が多い。
また諺とか格言の類は言語が異なっても、同じような意味を持つものも多い。
日本のものは漢字と一緒に中国から入ってきたものが多いが、
英語を訳したものをそのまま使っているものもある。
例えば,「Kill two birds with one stone(一石二鳥)」
は英語からきたもので、日本では「一挙両得」だ。
また「Time is money (時は金なり)」も日本版は「一刻千金だ」。

1. 韻・反復・ 同音異義
(1) 頭韻:

Live and learn (長生きすれば見聞が広まる)。

(2) 脚韻
Might is right(勝てば官軍)。
「勝てば官軍」は日本語では頭韻になるのが面白い。
Seeing is believing(百聞は一見に如かず)。
Health is better than wealth (健康は富に勝る)。

(3) 反復:
Out of sight, out of mind(去る者は日々に疎し)。
Nothing succeeds like success 
(成功ほど続くものはない;良いことは続く)。

(4) 逆説:
No news is good news (便りのないのは良い便り)。

(5) 同音異義:
Women must have wills while they live 
because they make no wills when they die.
(女は死ぬ時には遺言状を残さないから、生きている間は意地を張る)。
「will」は「意思」と「遺言」の別の意味を持つ。

2.Love に関するもの
(1) Lost love is better than no love
(失恋は全く恋をしないよりまし)。
これは失恋した人への慰めとしてよく使われる。
似たような諺に、Half a loaf is better than no bread
(半分のパンでもないよりまし)がある。

(2) All’s fair in love and war
(恋愛と戦争ではどんな手を使ってもよい)。
この「All’s fair」はシェークスピアの喜劇
「All’s well that ends well(終り良ければすべて良し)」を連想させる。
日本の諺にも「仕上げが肝心」というのがある。

(3) Those whom the gods love die young(佳人薄命)。

3.原文のパロディ
真面目な諺を茶化してパロディを作る言葉遊びだ。
日本の諺で「溺れる者は藁をも掴む」を
「溺れる者は笑えない」とするようなもの。
藁(ワラ)と笑(ワラ)を掛けている。

(1) A bird in the hand is worth two in the bush.
(手の中の一羽の鳥は藪の中の2羽の価値あり;明日の百より今日の五十)。
このパロディが
「A bird in the hand is warm(手の中の鳥は暖かい)」だ。
worthとwarmを掛けている。

(2) Early to bed and early to rise makes a man healthier, 
wealthier and wiser.(早寝早起きは三文の得)。
この パロディが「Early to bed and early to rise makes a man tired.
(早寝早起きは疲れる)」だ。
「早起きは三文の得・早起き鳥は虫を捕獲できる
(The early bird catches the worm)」と言われた人が、
私は虫になりたくないと早起きを拒否した、
というジョークを聞いたことがある。

(3) A rolling stone gathers no moss(転がる石に苔むさず)。
このパロディが「A rolling stone plays a guitar .
(ローリングスターはギターを弾く)」だ。
ローリングストーンは有名な音楽バンドの名前である。

(4) The pen is mightier than the sword.
(ペンは剣より強し,文は武に勝る)。
このパロディが「The pen is mightier than the pencil.
(ペンは鉛筆より強し)」pen とpencilを掛けたもの。
この文をふざけて、文中のpenとisをくっつけて
「The penis mightier than the sword」というのがある。
勿論pennisよりnが一つ足りないが意味は通じる。

(5) To be or not to be, that is the question.
(生きながらえるべきか,死ぬべきか、それが問題だ)。
有名なハムレットの言葉だ。
このパロディに「To buy or not to buy, that is the question」があり、
「be」と「buy」を掛けている。
さらに面白い別なパロディが「TV or not TV, that is the question」だ。
これはアメリカの大学生が作ったと言われている。
「to be」と「TV」の発音が似ていているところが秀逸だ。
「テレビを見るべきか、テレビを見ない(で勉強す)べきか、それが問題だ」
の意味になる。

4.キャッチフレーズ
日本でも宣伝文句のキャッチフレーズなど、
面白い言葉遊びに感心することがある。
英語では,この種のキャッチフレーズには韻をふむ言葉遊びが多い。
昨年ロサンジェルスの街を歩いていた時、結構このような言葉に気がついた。
路上に停まっていたゴミ収集車の大きなトラックに
会社名(Waste Management)と共に、
「Think Clean, Think Green」と大書してあった。
因みにこの会社は米国最大のゴミ処理会社で、売り上げ1.5 兆円の上場企業だ。

久しぶりにUCLAのキャンパスを散策し、Medical Center のカフェに入ったら、
「Best in the West」という標識があちこちに貼ってあった。
ショッピング・モールでは、「Zoom Room」という看板の店があり、
カメラ屋かと思ったらペットショップだった。「Zoo」との連想か。
また衣料品店には「Dress for Less」と「安売り」の標識があった。

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