【このテーマの目的・ねらい】
目的:
野中教授の理論発展過程を知っていただきます。
おこがましくも、それとほぼ同じ考え方で
「目的達成」に到達したことをご紹介します。
ねらい:
日本の知恵・野中理論をもっと研究しましょう。
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2019年9月の日経新聞の「私の履歴書」は
野中郁次郎先生です。
私が尊敬申しあげる大先生の履歴を
興味深く読ませていただいております。
9月21日に以下のような記述がありました。
(1980年代初頭の頃のことです)
私はハーバード・サイモンの意思決定理論をベースとする
組織論を展開していた。
しかし、日本企業の現場を訪ねると、
熱気にあふれ、開発に携わる1人ひとりの思いがあって、
葛藤の中から新製品が生まれている。
何かをやろうという冒険心に満ちている。
受身の色彩の強い「情報処理」の理論では説明がつかないぞ、
と気づく。
(上野注)野中先生が調査したのは富士ゼロックス社でした。
「小林陽太郎氏は自社の開発体制を「刺身状開発」と呼んでいた」
という陽太郎氏の写真解説が当日出ていました。
その頃、 私は日本能率協会のコンサル団の一員として
同社のシステム強化のお手伝いをしていました。
懐かしいです。
当時、同社は創業間もなくで、
部長級の管理職者はほぼ全員中途採用者でした。
生い立ちからすべて違う人の寄せ集めです。
「俺は俺は」の人たちで「協力」という精神は
ほとんで見られませんでした。
私は、「この会社はもたないのではないか」と思っていました。
ところが立派に高収益会社として発展しました。
陽太郎社長(小林節太郎氏が実質創業者社長でしたので、
社内では「陽太郎さん」と言っていました)のリーダシップ・人徳と
優れたXEROXマシンの力なのでしょう。
サイモン派から脱皮し自分の理論を求める転機となったのだ。
中略
86年には共著で「新しい新製品開発ゲーム」を
米ハーバード・ビジネス・レビュー誌に発表した。
この論文で示した「スクラムアプローチ」を基に、
ジェフ・サザーランド氏らが
「アジャイルスクラム」と呼ばれるソフト開発の手法を生みだした。
分析、設計、実装、テストを短期間で同時に繰り返す手法で、
現在米国で普及し、日本に逆輸入されている。
(上野注:へーそうだったのですね)
脱サイモンを鮮明にしたのは、
単著「企業進化論」(85年、日経新聞社)を出したころからだ。
「情報処理」から「情報創造」という概念にたどり着き、
情報処理の限界を乗り越える日本企業の姿をとらえようとした。
ただ、「情報創造」はなお、
外にある情報を組み合わせるという発想であり、
最初から新しい環境を自ら作る、
新しいモノにチャレンジするという発想を表現できていない。
自分の思いや信念を真善美に向かって正当化し、
実現していくのは「情報処理」や「情報創造」ではなく、
意味や価値を作る「知識創造」のプロセスではないか。
「知識創造」理論の構築に向かったのである。
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この大先生の考えと比べることは到底できないのですが、
私が問題解決の領域で考えたこともまったく同じでした。
一般に言う「問題解決」は
存在している問題を解決するということです。
それでは、後ろ向きの対応であるとして
一部の方が「問題発見」という言い方をしています。
自ら問題を見つけ出すのだという趣旨です。
しかし私は、「問題発見」という考えは、
やはり事前に問題が存在していて
それを見つけるということではないか、
そうではなく問題を作りだし設定するという考えをすべきで、
その考えを「目的達成」として提唱しています。
問題は、「目標と現状の差」ですから、
目標を設定することによって問題が設定できるのです。
この考えは、問題から発想しないで、
新たな目標、つまり実現すべき目的からスタートしますので、
「目的達成」と名付けたのです。
おこがましいのですが、
野中理論が、情報から知識に転化したのと同じ趣旨です。
2 件のコメント:
興味深いお話ですね。
ラグビーの精神は、one for all, all for oneだそうですが、これって日本のの小集団活動と同じですよね。
野中先生がスクラムアプローチと呼ばれたのは偶然ではないですね❗
上野社長の目的思考も素晴らしい理論ですが、今は目的喪失時代なので、どうやって目的に気づき、明確化するかが、求められていると思いますが、いかがでしょう?
コメントありがとうございます。
仰るとおり、どうやってこの目的思考法を
より多くの人が実践できるようにしていくかですが、
当社の研修で細々をやっているのでは間に合いません。
どうしたものでしょうか。
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