2020年5月22日金曜日

台湾の国情から何を学ぶ?

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 台湾の歴史・現状を再確認します。
 国としての大きな選択肢がありながら、
  現実的な中間派が多数を占めるという現状を確認します。
 ひるがえって、日本はどうなのかを考えてみます。
ねらい:
 正当なナショナリズム(愛国精神)を強化しなければなりません。
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この項は學士會会報2020年Ⅲ号に記載された
若林正丈早稲田大学教授台湾研究所所長の論考からのご紹介です。
その内容を基に、日本のことをつらつら考えて見ました。


この論考では、1996年から行われている台湾総統選挙の
背景や推移状況が詳しく紹介されています。
これまで台湾総統に選ばれたのは、以下のとおりです。


第1回 1996年 李登輝国民党
第2回 2000年 陳水扁民進党
第3回 2004年 陳水扁民進党
第4回 2008年 馬英九国民党
第5回 2012年 馬英九国民党
第6回 2016年 蔡英文民進党
第7回 2020年 蔡英文民進党


ご承知のように国民党は中国寄りであり、
民進党は独立志向です。
それが8年おきに変わっています。


戦後1党独裁であった国民党の支持は
大きな傾向としては低下しています。
しかし、民進党の不始末があると、
総統選では国民党が勝利したりしているのです。
日本の民主党政権の失敗のようなものでしょう。


「自分は台湾人である」という意識の人は、
変わらずに増え続けているます。


自分は中国人であるか台湾人であるかという設問に対する
世論調査結果はこうなっています。
1992年の第1回調査 「自分は台湾人である」は20%以下
1999年 それが40%近くになり
2007年 には43%となった。 
2014年 60%超えて
2016年以降 55%周辺である。


別の台湾のTV局が実施した世論調査(2000年と2013年の対比)では、
2択で「台湾人である」は約60%→約80%
    「中国人である」は約20%→約10%


同じ調査で興味深いのは
3択だと「台湾人である」は約40%→55%
     「中国人である」は9%→3%
     「両方である」が約50%→約40%と結構多いのです。
(両方であるが10%減ってその分が台湾人であるの増になっています)


当然、現在の台湾の状況になってから生まれ育った人は
台湾人であるという意識が強いでしょう。


台湾人のイデオロギーは
a.台湾独立を主張する「台湾ナショナリズム」
b.中国との統一を主張する「中国ナショナリズム」
c.その中間に「中国アイデンティティ」がある
(東京外語大学小笠原欣幸教授説)と言われています。


台湾アイデンティティとは、
1)自分たちの政治体は中国とは違うという認識からくる台湾主体性意識、
2)「台湾人」としての自己意識、
3)民主化された台湾への強い愛着
などを指す漠然とした言葉で、
独立・統一問題では「現状維持」となる最大多数の中間派を構成します。


現実を見た場合には、台湾独立も中国との統一も困難である、
という現実派です。
この中間派が、状況によって
右寄りや左寄りの選択をして国政を動かしているのです。


因みに、総統選挙での2大政党は、
「台湾独立」も「中国との統一」も主張していないのだそうです。


中間派がどちらを向くかで、
選挙結果(政権)の行方が決まるということなのです。


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そこで、日本はどうなのだろうと考えて見ました。
台湾の左右の選択肢はナショナリズムと中国依存です。


独立か現状維持かの選択肢を持っている国もあります。
戦後の多くの旧植民地国家がそうです。
しかしそういう選択肢が宙ぶらりんで
長く続いている国はなく。決着がついています。


ロシアに併合されたウクライナや、モンゴル、ネパールなども
大きな選択肢がある国です。


ひるがえって日本は、
大きく振れるだけの選択肢がないのです。


戦後の日本は、米国等の他国依存とナショナリズムのはずですが、
敗戦と戦後政策によって、
まっとうなナショナリズムが消されてしまいました。


安保反対運動も純粋なナショナリズムではなく。単なる反米です。
朝日新聞が知識人の思考をリードしましたが、
その主張原理はナショナリズムではなく単なる反米・反支配層です。


憲法改正も、
まっとうなナショナリズムの観点でも検討すべきなのですが、
今は憲法改正がタブー視されています。
なぜでしょうか?


多くの資本主義・自由主義国家での対立の構図は保守と革新です。
保守と革新は、資本家層と労働者層の基盤が基本です。
現状は資本家層が経済を握っているので
それを守ろうとするので「保守」となり、
それに対抗しようとする労働者基盤は「進歩・革新」
という位置づけとなります。


米国の共和党と民主党も基本的にはその構図です。
英国の保守党と労働党も同じでしょう。


日本の保守と革新も基本的にはその構図です。
日本の保守は農業を含めた事業者・産業基盤です。
革新は労働者・勤労者基盤であったのですが、
その階級意識が薄れましたので、
どちらかと言えば、低所得者層基盤でしょうか。?


しかし資本主義・自由主義国では、
保守と革新の政策は抜本的に異なるということはありません。
どちらかが政権を担っても
極端にどちらかの有利性で政策を動かすことはできません。


資本と労働は共同して経済を支えているので、
どちらかが弱くなれば経済すなわち国家がなりたたなくなってしまう
という認識があるから、です。


過去日本では民主党政権を選択しました。
これは単なる低迷状態の現状否定で
主義主張に基づいたものではありません。


日本の民主党政権は、
野党時代の無責任主張を一部実現しましたが、
機能せずに多くは撤回の羽目となっています
(沖縄基地問題、八ッ場ダム、,多くのバラマキ政策)


日本は1億総中流と言われた時もあるように、
多くの勤労者は資本家に対峙する労働者だとは思っていません。
ほとんどがその意味で中間層なのです。
中間層が多数を占めるという点では、台湾と同じです。
しかし、
日本国民は台湾と違って大きな選択肢を持っていないのです。


今後日本でも、何か非常時が発生し選択肢が出てくれば
台湾のように状況によって右か左かに振れる可能性があります。


何が選択肢として発生する可能性があるでしょうか?


一つの可能性は、
自由主義国家継続か中国圏国家に入るか、でしょうか?。
2030年ころ、中国が世界一の経済大国になる頃から
世界中の国にとってこの選択肢は現実問題となってくるでしょう。


米国が中国経済圏国家になることは考えられませんし、
世界中が中国のような1党独裁主義になることも考えられませんので、
この両者の選択肢状況は発生しうることです。


自由主義国家の場合、
米国が大きな経済力を持つということはあっても、
他国を政治的・軍事的にに支配しようという意図は持っていません。
自由主義国家にとって独立性は維持されるのです。


ところが、中国の場合は一党独裁の覇権主義であり、
他国を自国の勢力圏に組み込んでしまおうという動きをします。
現に、チベット、ウイグルの同化をはじめ、
モンゴルやネパールも狙われています。


中国の覇権主義は、
歴史的に見ても民族の血であると言われています。


近隣国だということで、そういう動きになってきたら
日本はどうなるでしょうか。


対抗するとすれば、その力になるのはナショナリズムのはずです。


ナショナリズム(愛国主義)をほとんど忘れてしまった日本人は、
どうするのでしょうか?


この問題を考える上で、ぜひ参考にしていただきたいのは、
渡辺洋一さんの「目覚めよ日本」です。
上野則男のブログでも以下のように3回ご紹介しています。


2013.4.1「いよいよ渡辺洋一さんの「目覚めよ日本」が出ました!! 」
http://uenorio.blogspot.com/2013/04/blog-post.html
2012.12.9「日本は本当に危ない!その意味分かってますか?」
http://uenorio.blogspot.com/2012/12/blog-post_9.html
2013.7.17「中国は「国家総動員法」で日本を狙っている!!! 」
http://uenorio.blogspot.com/2013/07/blog-post_2159.html




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